バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

腹臥位圧迫で胃角部や、胃角小彎近傍病変を拾う

2012年09月30日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは、ご無沙汰しております。管理人すきくぴです。

 今日は、早期胃がん発見のさらなるコツをお話していきます。
皆さまもうよくご存じだと思いますが、胃X線撮影法ガイドラインに基づいた検査には、少なからず弱点があります。例えば、空気量の多い基準撮影は、少ないときに比べ、胃角の小彎やその近傍の病変が接線方向として現れやすくなり、病変の種類や大きさなどにもよりますが、発見が難しいことがあります。

 よく勉強されている方は、もうご存じかもしれませんが、これらの部位の病変は、腹臥位圧迫を使うと効果的に発見できることがあります。
 胃形に対して、少し厚めの枕を使い、わざと胃角小彎やその近傍をつぶすように押さえ、そして透視観察しているのですが、これが大変有効です。圧迫の強さは、ルーチンの立位圧迫で行っているような、わずかに胃粘膜面の凹凸を表現できるような弱めのイメージです。寝台の角度は、水平位で行っています。

 腹臥位の圧迫を透視観察したあと、呼吸をうまく利用しながら、つぶれていた胃粘膜を戻し、そして前壁のバリウムの流れを観察したのち、逆傾斜にして頭低位の前壁撮影を行っています。
 
 実際に、この方法を用いて、胃角小彎少し後壁寄りの分化型の0-Ⅱc早期胃がんを発見することができました。この部位は空気量が多かったり、胃がねじれていたりすると、中々透視観察で拾いあげるのが難しいように思います。また、私が携わっている対象者というのが、住民検診なのですが、体位変換が難しい方がしばしばおられ、良好な二重造影が撮影できていないことも加わって、基準撮影のみでは、あまり指摘できていないのが現状です。非常に腹臥位圧迫は有用と考えています。

 ただ、この方法は、胃形に対して厚めの枕を使っているため、呼吸を使っても圧迫された状態を改善できず、ガイドライン本来の前壁二重造影が撮れないこともあります。その場合には、薄めの枕に入れ替えて検査するのですが、時間がかかってしまうのが、この方法の欠点と言えます。また、胃の形や、受診者に痛がられたりする場合もあり、腹臥位圧迫が、全例通用するものではありません。

 これらの点を踏まえてですが、もし、まだ腹臥位圧迫を試みられていない方は、試してみてください。
 それでは、今日はこの辺で失礼します。