バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

なぜ、胃がんを発見できなかったのか??を検討すること

2010年10月29日 | 胃(全般)
検診で行っている胃X線の目的は、皆さまご存じのとおり、胃がんをはじめとするさまざまな病変を発見することです。
胃X線では、所見を疑う場合には、疑われる部位をきちんと明確にし精密検査へ紹介することが必要です。

異常が疑われた場合には、精密検査である胃内視鏡検査を受けることになりますが、内視鏡検査を施行すると、ときには胃X線では指摘されていない部位に病変が発見されることがあります。
それは、胃がんであったりします。



ここで、問題点が浮かぶと思うのですが、
なぜ、胃X線では、内視鏡検査で発見された所見を指摘することができなかったのでしょうか。


ひとつは、造影剤であるバリウムの付着が不良であったため。
あるいは、撮影体位がきちんとなされていなかったため。例えば、腹臥位前壁撮影なのに、圧迫枕をきちんと挿入できていなかったために、正確な前壁を描出できていなかったため。
他には、撮影部位に対して、バリウムを走らせたときの透視観察を行っていなかったなど。
多くの理由が考えられます。


先日、院内の胃X線勉強会を行いましたが、
偶然、内視鏡検査を行ったことで発見された早期胃癌について検討しました。

すでに他施設の諸先輩方が、学会などで胃X線における胃がんの見逃しについて発表されていますが、当施設においても、今後も見逃し原因について検討する必要があります。


私自身が撮影した症例でも、少なからず、内視鏡検査施行後、別の部位から胃がんが発見されています。
なぜ、胃X線で描出できなかったのか。きちんと検討することが必須です。
理由は何なのかをはっきりさせることが大切です。でないと進歩がない。


内視鏡検査は、胃X線と違って胃粘膜を直視できる利点があります。胃粘膜に色素を散布し、色調により、胃粘膜を観察することができ、胃X線よりも内視鏡のほうが、病変発見に優位なのは間違いがありません。

しかしながら、多くの受診者を、精度をある程度保ったまま、胃がんを発見できる検査は胃X線です。
これからも胃X線検査における立場を理解しつつ、少しでも精度向上に寄与できるよう、努力して参りたいと思います。