ヤマコウバシ:(クスノキ科クロモジ属)の花が咲いています。
淡黄色の小さな花の花被片は6個、子房と花柱は花被から突き出ます。
クスノキ科で落葉する仲間が集まっているクロモジ属のなかで、唯一ヤマコウバシだけがひとつの冬芽の中に花芽と葉芽が一緒になった混芽を作ります。雌雄別株なのに、雄株が知られていないこと、春先まで枯葉が落葉せず枝に残ることなど、なにかと不思議の多い植物です。
和名の“山香し”は枝を折るとよい香りをすることから来ていますが、別名にヤマコショウがあり、また葉を噛むと粘りがあり、10割そばのつなぎに使われるという話は、もうひとつの別名モチギと関係がありそうです。昔、若葉を乾燥して保存しトロシバの名で非常食としたというのもこの粘りと香りを利用したということでしょうか。