子供のとき、田舎の隣家が、きれいだと思って植えたら、あちこちに殖えて、根絶やしにできず困っているといっていたのをなぜかいまも覚えています。
いま思えば、その花はムラサキカタバミ:紫傍食(カタバミ科カタバミ属)でした。
南アメリカ原産で、世界に広く帰化し、日本へは江戸時代に渡来し、各地の畑や草地に生える多年草となって広がり、害草となっています。
地下に鱗茎があり、小球をつけて繁殖します。葉はすべて根生で、花は夏、径1.5~2cmで5弁の紅紫色です。葯は白色で花粉はできません。
別名にキキョウカタバミもあるそうですが、手元の牧野図鑑では学名がOxaris martiana Zucc.で、小種名は戦争の意味、繁殖力が強くて駆除が難しいことからきているそうです(最近の図鑑では小種名corimbosaが多い)。せっかくきれいな花を持ちながら、殖えすぎるのが仇で嫌われ者になっているのはすこし気の毒です。