旧一本松町の中心部を通る旧国道に面した、女将さんが一人で切り盛りする
民宿・大盛屋に宿を取った。この日の泊客は、我々二人だけらしい。
隣で自動車屋を営むご主人の母親が、昭和26年から初めた民宿を、役場勤めを
辞めて引き継いだと言う女将、主人とは「全く別々、民宿には全く関与しな」と笑う。
「絶対歩きなど出来ん」
「だって、何時も一緒にいたら、喧嘩ばかりするだろう」と夕食時、ご主人の事を
屈託も無く話してくれた。
外人の遍路が泊まった時の話を面白おかしく聞かせてくれた女将さんは、ご主人
より二つ年下だと言う。そのご主人は我々と同年代、道理で話が合うはずだ。
知り合いの豆腐屋が毎朝届けてくれると言うやや硬めの豆腐や、「お遍路さんへ
の気付けには良い、主人も大好物やから」と言う、目の覚めるような辛味大根等の
朝食を頂いた雨模様の朝、関与しないご主人と女将さんに見送られ、8時過ぎに宿
を発つ。
旧一本松町の宿から、第40番に向かうルートは、二通りある。
一つは、札掛・豊田を抜ける県道299号を行くルート。
もう一つは、国道56号を行くルートで、距離的にはこちらの方が2キロほど短く成る。
出発時、女将さんに「どっちがお勧め?」と聞いたら、「うん~」と首をひねりながら、
「どっちも・・・」と言うので、特段の理由も無く県道を行くルートを選択する。
「喧嘩ばかりする」ご主人が、泊客の出立をわざわざ見送ってくれるのだから、なか
なかどうして、仲の良いご夫婦ではないか。(続)
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民宿・大盛屋に宿を取った。この日の泊客は、我々二人だけらしい。
隣で自動車屋を営むご主人の母親が、昭和26年から初めた民宿を、役場勤めを
辞めて引き継いだと言う女将、主人とは「全く別々、民宿には全く関与しな」と笑う。
「絶対歩きなど出来ん」
「だって、何時も一緒にいたら、喧嘩ばかりするだろう」と夕食時、ご主人の事を
屈託も無く話してくれた。
外人の遍路が泊まった時の話を面白おかしく聞かせてくれた女将さんは、ご主人
より二つ年下だと言う。そのご主人は我々と同年代、道理で話が合うはずだ。
知り合いの豆腐屋が毎朝届けてくれると言うやや硬めの豆腐や、「お遍路さんへ
の気付けには良い、主人も大好物やから」と言う、目の覚めるような辛味大根等の
朝食を頂いた雨模様の朝、関与しないご主人と女将さんに見送られ、8時過ぎに宿
を発つ。
旧一本松町の宿から、第40番に向かうルートは、二通りある。
一つは、札掛・豊田を抜ける県道299号を行くルート。
もう一つは、国道56号を行くルートで、距離的にはこちらの方が2キロほど短く成る。
出発時、女将さんに「どっちがお勧め?」と聞いたら、「うん~」と首をひねりながら、
「どっちも・・・」と言うので、特段の理由も無く県道を行くルートを選択する。
「喧嘩ばかりする」ご主人が、泊客の出立をわざわざ見送ってくれるのだから、なか
なかどうして、仲の良いご夫婦ではないか。(続)
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