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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「ファウンテン」現実から観念の世界へと自由に飛ぶ

2006-10-26 21:38:40 | 大作映画ハリウッド系
「ファウンテン」★★★☆
ヒュー・ジャックマン、レイチェル・ワイズ主演
ダーレン・アロノフスキー監督

最初の印象は
「何だ、コレ?」だった。

瞑想する主人公は、宇宙に浮かぶ
透明な球体の中に居て、
ボールヘッドのヒュー・ジャックマンは
悟りの境地に達したような姿をしている。

愛する人が死を迎えようとして居る時、
医者として主人公は
なんとか治療薬を開発しようとする。

観念の中の姿と
現実が交互に現れ、
なんか難しい映画に出会っちゃったなと
思って見ていると、
そのうちに製作者の意図するところと
同じかどうか分からないが
なんとなく自分なりの解釈が出来た。

命有るものはいつかその生を終える時が来る、
もちろん人間はジタバタするのだが、
本当は毎日の暮らしの中で
常に悔いのないように接するべきなのだ。

レイチェル・ワイズは雪の様に白く
美しく輝き
生きることの貴さを存在自体で表している。

ラストはとんでもない光景が繰り広げられるが、
それほど違和感なく
人間の頭の中の「生きるということ」そして
転生をまばゆい映像で見せてくれた。

アジア映画を映画祭で2本続けて見たあとで
この映画を見ると、単純には比べられないにせよ、
ハリウッドのパワーと
それを現実に形にして見せる確かな技術を感じ、
映画製作の厚みを実感した。

公開がいつかは知らないが
ちょっと変わった映画が見たいなら悪くない。

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「ブラック・ダリア」宣伝ほどのスキャンダラスな印象は薄い

2006-10-24 16:57:20 | 大作映画ハリウッド系
「ブラック・ダリア」★★★☆
ジョシュ・ハートネット 、ヒラリー・スワンク、スカーレット・ヨハンソン 主演
ブライアン・デ・パルマ 監督、2006年アメリカ

1947年の未解決事件をヒントに
大胆な脚色と解釈をした作品。

ハリウッドの裏通り、通称ブラック・ダリア通りで
猟奇的な殺人事件が発生した。
特捜課でコンビは事件の捜査にあたることになる。

舞台のように作り込んだセットと、
セピア調に感じる光の具合が
画面をクラシカルに見せている。

その光の具合か、主演のジョシュ・ハートネットは
端正な横顔を見せ、監督は新しい魅力を
引き出すのに成功している。

また善と悪を対症的に演じる二人の女優は、
それぞれの持つ内面の危うさや
時に見せる心の闇を
巧みに表現して
それが物語を一層スリリングにしている。

惜しいのは関わるほとんど全ての人に
翻弄される男の心の動きが
今一つこちらに迫ってこなかったところだ。

しかしイメージというのは恐ろしいもので、
ヒラリー・スワンクは
アカデミー主演女優賞を2度も受賞し、
そのどちらもが、女性らしくない役だったからか、
長い髪に露出の多いドレスを来ても
どうしてもそれほどセクシーには見えない。

スカーレット・ヨハンソンはブロンドで
無垢な感じがよく出ていた、一番の役得だったかもしれない。

話題作だけど、もう一つ楽しめなかったのは、
美しい画面や細部にこだわるあまり、
肝心なストーリーに説得力があまり感じられなかったからか。

多分DVDになって細部まで見ると、
製作者のこだわりがもっと感じられそうな作品だ。

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東京国際映画祭「多細胞少女」韓国映画

2006-10-23 08:02:50 | 韓国映画・アジア映画
「多細胞少女」★★☆
キム・オクビン/パク・ジヌ/イ・キョン/イ・ウォンジョン/キム・スミ出演
イ・ジェヨン監督、韓国2006年

韓国で先日公開されたばかりの作品、
今回の映画祭一本目。

この映画が目指したものは何だったのか、
援助交際やフリーセックス蔓延の
高校が舞台のいわばメチャメチャな映画。

中心となるのは、そんな中で浮いた存在の
不幸を絵に描いたような少女、
彼女が恋をし、ネットアイドルになり
女装のおじさんと仲良くなる。

このあたりも笑えるといえば笑えるが
突き抜けて面白いというより、
とりあえず笑っとこうという感じで、
笑いの素材が日本人受けしそうにない。

高校が舞台なので、これから活躍するだろう
新しいスターを見つけるくらいしか
見所は無い。

この映画は急遽、東京国際映画祭で上映が決まったが、
舞台挨拶が有るわけでもなく、
特に今回の映画祭で上映する意味は感じなかった。

どうせなら、「王の男」の上映に合わせて
昨年の大ヒット映画「トンマッコルへようこそ」を
出演者も招いて上映して欲しかった。

公開しても入りは期待薄な映画でした。

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東京国際映画祭オープニング「父親たちの星条旗」華やかに上映

2006-10-22 13:05:49 | 大作映画ハリウッド系
東京国際映画祭のオープニングを飾る大作。
今年も行ってきました。

出演者の舞台挨拶は地味目でした。
一昨年はここでトム・ハンクス「ターミナル」を見ました。
昨年は高倉健さんが舞台挨拶だったな。

「父親たちの星条旗」★★★★オススメ
ライアン・フィリップ ,ジェシー・ブラッドフォード ,アダム・ビーチ ,
ジェイミー・ベル ,ポール・ウォーカー 主演
クリント・イーストウッド 監督、2006年アメリカ

1945年2月23日硫黄島で撮影された
一枚の写真は、そこに写った軍人はもとより、
太平洋戦争の運命も変えた。

イーストウッドがアメリカ側から
この硫黄島の戦いを描いた本作は
12月公開の日本側から描いた
「硫黄島からの手紙」と対をなす作品だ。

アメリカ軍に姿を見せない日本軍は、
突然集中砲火を浴びせかける。
恐怖や絶望の中
撮影された一枚の写真は戦争の勝利を予感させ、
国の戦争への意識を高めることになる。

この映画はそこに写った6人のうちの
生き残りの三人の兵士が、本国に呼び戻され
国民から英雄として祭り上げられることへの
戸惑いを描くことで
戦争に於いて真のヒーローなど存在しないことを
強く印象づける。

戦争を経験したものは、
その体験を早く忘れようと、戦場で何が行われたかを
多くの人は語ろうとはしない。

でも知ることで未来への戒めとすることも
重要だ、一度起こったことは
二度と繰り返さないとは言えないからだ。

忘れようにも忘れられない悪夢は
主人公達のその後も支配し続けた、
一生消えない傷、
一体そのことで何に勝利したのか。

海の向こうでは今だにテロや殺し合いが
続いている。
日本も核保有について議論が必要と
総理大臣を目指した人が口に出している。

人間は生きている限り、
他者とを比べながら、他よりも有利な状態を
望み続けるのだ、
かつて地獄を体験しながらも
それでもその一歩を踏み出してしまう生き物なのだ。

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「天使と罪の街(上下」この上質な大人のミステリー

2006-10-19 21:25:42 | 読書の時間
「天使と罪の街(上下」★★★☆
マイクル・コナリー著

ハリー・ボッシュが主人公の
シリーズ最新作。

警官を退職し釣り舟業を始めた
元同僚が海の上で死んだ。
妻から真実が知りたいと、調査の依頼を受けた
主人公は、どちらかというと
勘を頼りに動くタイプだ。

少しずつ真相に近づいた時、
その真実への線は連続殺人犯と
交差する。

独特の雰囲気のある作品だ。
決してスマートな捜査方法でなく、
真実に向かってまっしぐらというものでもない。

自分自身も様々な問題を抱えつつ、
それでも動かなければならない
心の渇望や正義漢と言えなくもない
複雑な感情が絡み合う時
勝利無き戦いに挑んで行く。

全体を通して感じるのは
暗いトーンで貫かれた文章から受けるイメージの
強さだ。

前作で初めてハリー・ボッシュを知ったので
全体像はまだ見えていないが、
人物の人柄が好きだとか、そういうことでなく、
動かざるを得ない人間の行動の源のようなものが、
読んでいるうちに分かって、
危険な方へと向かって行く、主人公の行動が理解できる。

そうなると読みながら彼と行動を共にするしか
ないのだ。
ミステリーとしても読んで損のない出来。

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