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読書と旅行と柴犬のブログ
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ヤプログから引っ越してきました。

黒牢城★★☆米澤 穂信 (著)戦国時代の心理戦

2022-01-20 12:43:36 | 読書の時間
黒牢城★★☆米澤 穂信 (著)
 KADOKAWA (2021/6/2) ‎ 448ページ
第166回直木賞受賞!
HPあらすじ
「本能寺の変より四年前、天正六年の冬。
織田信長に叛旗を翻して
有岡城に立て籠った荒木村重は、
城内で起きる難事件に翻弄される。」

『塞翁の盾』もそうだったが、
448ページという
本を持った時の重みも
本を読む前の、こちらの
気持ちを動かしてくれる。

時代も織田信長など
こっちもまあまあ、知ってる
歴史上の人物の活躍したころで、
イメージがしやすい、
ただ、有岡城も荒木村重という名も
この本で初めて知った。

でもそういった前情報は
特に必要なく
ある城を守る戦略にたけた
殿様の話として読んだ。

この城に黒田官兵衛が現れ
敵方のため土牢に幽閉され
主人公の村重は
考えが煮詰まると
官兵衛のもとを訪れ
彼の知恵を拝借
官兵衛が登場すると常に
岡田准一くんの顔に。

イメージって怖いものだ。

派手な戦闘シーンがあるわけでなく
心理戦が展開され、
その行くへを楽しんだ。

戦国の世はイメージしやすく
そしてたいがいのことは
リアルを求めないので
小説の舞台にはアリなんだなあと
改めて感じた。

心躍る読書の時間とまでは
いかないが
本の重みを楽しみつつ
まったく別の場所へ
ひととき連れて行ってくれた。

「高瀬庄左衛門御留書」砂原 浩太朗 (著)傑作!

2021-12-11 11:24:51 | 読書の時間
「高瀬庄左衛門御留書」砂原 浩太朗  (著)
出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2021/1/20)
338ページ

◎第165回直木賞候補作◎
◎「本の雑誌」2021年上半期ベスト10で第1位!!◎
@あらすじ@(HPより)
美しく生きるとは、
誇りを持ち続けるとは何かを問う、
正統派時代小説。
神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。
50歳を前にして妻を亡くし、
さらに息子をも事故で失い、
ただ倹しく老いてゆく身。
残された嫁の志穂とともに、
手慰みに絵を描きながら、
寂寥と悔恨の中に生きていた。
しかしゆっくりと確実に、
藩の政争の嵐が庄左衛門を襲う。(HPより)

最近、時代劇って見ないなと
思いながら、主人公の住む屋敷を
想像しながら読んだ。
「爪に火をともす」って言葉を
思い浮かべたり、
静かな日常を描いているのに
周囲のあれこれを自然と想像し、
目の前に情景が幾度も現れた。

登場人物たちの目配せや
息遣いまでも感じられ、
なんか、新鮮な読書体験だった。

いつの世も、生きていくということ
他者と関わること
ものの見方はさまざまであること
登場人物の心情は細かく書かれず、
その分、行間まで濃密に感じる。

この作者の作品を初めて読んだが
次が待ち遠しいね。

書籍「心淋し川」誰の心にも淀みはある

2021-03-14 11:22:56 | 読書の時間
書籍「心淋し川」西條奈加 著
集英社 (2020/9/4)単行本 : 248ページ

【第164回直木賞受賞作】
今回の直木賞受賞作ということで、
読んでみた。
時代小説は、あまり読まないが、
情景描写が簡潔で
妙な言い回しや比喩も少ないので
自分なりの物語の舞台に
すんなり入ることができた。

それだけでも、すごくいい。

6つの短編からなり
舞台は江戸の千駄木町の一角、
そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と
呼ばれる小さく淀んだ川が流れている。

なんか、どぶ川の匂いがしそうだが、
それもこの物語の背景を
こちらにやんわりと教えている。

「誰の心にも淀みはある。でも、
それが人ってもんでね」

そんな言葉が読んでいる間中
何度も思い出される。

少し面白かったり
じんわりきたり
いい読書の時間だった。

他の本も読んでみたい。

書籍「化け物心中」読み物として新鮮で面白い!

2021-01-10 13:15:05 | 読書の時間

書籍「化け者心中 」 – 2020/10/30発売

蝉谷 めぐ実  (著) 単行本 : 288ページ

時は文政、所は江戸。
当代一の人気を誇る中村座の座元から、
鬼探しの依頼を受け、
鳥屋の藤九郎は、
元女形・魚之助とともに
真相解明に乗り出す。

読むのは現代ものが
ほとんどなので、
最初は語り口などが
独特で違和感があったが、
細かい描写や描かれる風俗が
すんなりと自分の頭にも
映像を結ぶのは
やはり作者の語りの力だ。

鳥を愛でる風習があったということや、
歌舞伎の人気ぶり
当時の風俗が生き生きと描かれ
勝手に自分も頭の中で
登場人物が動き出すのを
同時に楽しんだ。

「鬼はどこにいる?」
人間の心の中には
誰しも鬼の一匹や二匹・・・・。

認められたいだとか、
かつて出来たものが
今では出来ないことを
誰かのせいにして
なんとか生きていくこととか

とりたてて大きな事件など
起きなくても
心をざわつかせることは多い。

鬼とまではいかなくても、
いつもならこんなことで
腹を立てたりしないことも
虫の居所が悪いのか
思わぬ方向に感情が
流されていくこともある。

穏やかにいきたいねぇ

作者はこれがデビュー作とある、
次も読みたい。

犬の散歩で今日も神社へ、
人は多くないが
それでもおみくじを結ぶところには
沢山のおみくじが、
「大吉」なのに
失せもの 出ず
旅行運 良い方角無し
とか、なんなんだろうね。


書籍「破局」この言葉の響きよりずっと軽い。【第163回 芥川賞受賞作】

2020-12-24 10:57:29 | 読書の時間
書籍「破局」遠野遥  (著)
出版社 : 河出書房新社 (2020/7/4)
【第163回 芥川賞受賞作】

芥川賞と直木賞受賞作品は
一応読もうと思っているので
読んだ。

物語はとても静かに進行する、
主人公は大学4年生、
政治家を目指す彼女の麻衣子と、
お笑いライブで出会った灯(あかり)と
付き合っているが、
それで深く悩むとか
大きな心の揺れは感じられない。

自分の行動や心の動きを
客観視している。

だから物語を読んだ時の
登場人物に感情移入・・・とか
そういうものは、無い。

それでも、心がザワザワする。

誰もがどこかで、冷静な自分が
いることを分かっているからかもしれない。

確かに破局を迎えるが
ご飯を食べるとか、
服を着替えるだとか
なんか日常の延長にあるみたいだ。

ほかの作品も読んでみたい。