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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「眼と太陽」2千年前と同じ光を浴びている

2009-07-31 00:09:04 | 読書の時間
「眼と太陽」★★★☆
磯崎憲一郎著、2008/8/30初版



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この作品は磯崎憲一郎の「肝心の子供」に次ぐ2作目、
早くも芥川賞候補となった。
著者は4作目の「終の住処」で芥川賞を受賞した。


「ブッダの次はアメリカ中西部で暮らす
日本人商社マンが主人公、
仕事仲間との付き合いや、
出合った女性と過ごす時間を描いている」



不思議な小説だ、
仕事上の上司との話を書いているかと思うと
突然別の短い話が「挿入」され、
どこかへ行き着くわけでもなく、
また別の話へと脈絡無く続いていく。

深読みというわけじゃないけど、
自分達の毎日もこんなものかもしれない、
もちろん自分自身はひとつの時間軸で
過ごしているけれど、
誰かと話しているとき、自分の話も
相手の話も別の時間をどんどん取り込んでいくわけだし、
でもこんなふうに小説のなかに
突然現れると、どうしても関係性について
考えてしまい、そのあたりが作者の意図なのかどうか、
不思議と感じる部分だ。


印象に残ったのは
いつもいく日本食堂で上司から
「気をつけろよ」と眼もあわせずに言われたことに
驚き、不愉快になって立ち去るというシーン、
これは出会った女性がバツイチの子持ちで
そういう深みにはまるなよということだと思うが、
自分でも整理できていない関係を、
簡単に知ったようなこと言われたくなかっただろうな、
特に事情を知っていると思ってる人には。

タイトルの太陽の描写も印象的だ、
2千年前と同じ太陽の光を浴び、
その光の中では全てが混ざり合い、
眼で見た瞬間、それらの区別が曖昧になる、
太陽を背にしたシルエットをイメージすると
その輪郭だけで表情の見えない映像が
サッと広がる、誰にでも経験があるが
それほど気にもしていない一瞬だ。

でもこの小説は一体何を言おうとしているのかは
1作目同様、簡単に文章から見つけることが出来ない、
だからだろう、この小説に感激して
涙が出るとか心が震えるということは無い、
でもなんか気になる作品だ。

きっとこの書かない部分をどう読むかが
今度は読み手の作業なのだろうが、
最近は答えまで書いてくれる本が多いので、
解答がどこかにないだろうかと、
どうしても求めてしまう、
本読みの快楽とも言えるけれど、
もっと胸のここらへんをグラングラン揺り動かすものは
まだここにも見つけられない。



さて、ラストにこの小説が好きかどうかと聞かれたら
答えるだろう、「特に好きじゃない」と。

★100点満点で70点★


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「肝心の子供」「眼と太陽」「世紀の発見」三冊が届いて、作者の一作目から読み始めた。
これが2冊目、そして「終の住処」は昨日注文した。


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「ハリー・ポッターと謎のプリンス 」2時間半の前菜が始まった、メインは来年

2009-07-30 00:09:39 | 大作映画ハリウッド系
「ハリー・ポッターと謎のプリンス 」★★★☆
ダニエル・ラドクリフ 、ルパート・グリント 、エマ・ワトソン 主演
デヴィッド・イェーツ 監督、2009年、155分、アメリカ


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7/17公開の週末は全米では1億5千万ドルで首位初登場、
日本も同時公開、22億でこちらも首位発進し
最終的には今年最高の100億円が当面の目標となったようだ。
果たして155分も子供が我慢できるのか?


「シリーズもいよいよ6作目、ハリー・ポッターも
悪の帝王ヴォルデモートとの最終決戦を控え
大人になる一歩手前、
そして様々な秘密が明らかにされるラストへの期待、
ラストへの導入編という出来で、
クライマックスが無く、これだけを考えると物足りない」



新作が出るたびに話題となるあの厚い本を
2時間にまとめるのは至難のワザだ、
だんだんこのシリーズの1本の上映時間が
長くなってきているのが気になる。
原作のファンにも納得してもらうように作るか、
それとも映画的な解釈をするか
これは迷うところだ、でもどこかバサッと
思い切ることも必要な気がする。


しかも今回はクライマックスといえるようなところは
ラスト部分だが、2時間30分くらい待たせて
あのくらいじゃあ、映画を見終わったときの
満足感は得られない。



でもこの映画のお楽しみ方は色々だろう、
2001年の「賢者の石」で10歳のハリーに会って
彼がホグワーツ魔法魔術学校に入学したのを見てから
この作品では彼は6年生となる、
この映画の中の時の流れは
見る観客側の自分の8年という時間も
考えさせずにはいられない。


自分の魔法の才能に戸惑いながら
覚悟する姿から、今回はホロ苦い恋心を知る姿など、
誰にも覚えがある様々な成長するにつれて
感じる心の変化を
スクリーンのハリーに重ねるとこだろう。

ダンブルドア校長が亡くなったのは
衝撃的だけど、考えてみればこの作品は
毎回誰かが死んでいくわけで、
子供の成長物語というメインのストーリーとは別に
様々な別れを経験するという
当たり前の成長過程を散りばめて、
どこかで鼻の奥がツンとするような
ツボは押さえているところはさすが。



@@
7作は来年冬と11年夏の二部構成とか、
ラストは今回分も含めた爆発的な
クライマックスを期待したい、
何かを守るということが、
大人になるということなら
それも悪くないじゃんと思えるような、
何かを「知る」喜びや強さを描いて欲しい。


★100点満点で75点

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まさに大河ドラマ的な
ゆったりとした時の流れのなかで
主人公ハリーもやっと自分のルーツを
知ることになるラストが楽しみだ。

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「モンスターVSエイリアン」初体験の3D映像、思わず手を伸ばしそうになる

2009-07-28 00:09:24 | 大作映画ハリウッド系
「モンスターVSエイリアン」★★★
声の出演 リース・ウィザースプーン 、ヒュー・ローリー
ロブ・レターマン 、コンラッド・ヴァーノン 監督、2009年、94分、アメリカ



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7/11公開の週末は7位初登場、
以後7/19付ー10位、最新の7/26付ー9位と
アメリカでは大ヒットのアニメも日本では苦戦中!


「教会での挙式直前のスーザンに
隕石が直撃し、彼女は15mに巨大化する。
悲嘆にくれる彼女だが地球の危機を知り、
地球侵略を目論むエイリアン・ロポットとの
戦いを決意する」



劇場に入場前に3Dメガネを渡される、
これのために700円を上乗せして映画を見るわけだが、
やはり立体に見える映像に驚きは大きい、
でも700円は高いんじゃないかな、
前売り券を買っても2.000円かかるからね。

とはいえ「どうなってるの?」と
途中何度もメガネを外して、ダブったような変な
画面を見てはメガネをかけなおして、
技術の進歩に改めて驚くと共に、
今にメガネなしでこういった映像がみられたいいなと

欲張った考えも。
ずっとメガネはなんかまだまだ違和感がある、
第一しっかりしたメガネなので慣れてないから重く感じる。


さてストーリーだけど、ヒロインのスーザンは
挙式直前と言うことで大人だ、
でこれだけでは子供にはキツイということか
他のモンスターは全部バカバカしいオンパレード、
これで地球を救えるのか?と思うが、
そこは作り物の映画だからね、
なんとか地球の危機を救い、
彼らは自分達の存在理由を見つけましたとさ
という破天荒な御伽噺でした。

ドリームワークス初の3Dアニメということで、
まずはこの思わず手を伸ばしたくなるような
飛び出た感じは合格点、
ストーリー自体はあまりにバカバカしくもうひとつ、

でもまあこんなものですか、
ただメガネを外して画面を見るとクリアな
青い空などが見えるので、グラスでの
薄暗い映像がなんとももったいない。
このあたりは次への課題点と思う。

見終わってこれは劇場で見る映画と感じたが、
好きか?と聞かれたら、
特に好きじゃないけど、見ても良いんじゃないかなという程度。


★100点満点で65点


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これからディズニーは全部3Dバージョンも製作するらしい、
技術の進歩は楽しみだけど、もっと気軽に楽しめたらと
わがままな気持ちも進化するようです。


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「太陽のかけら」メキシコの金持ち坊ちゃんのお気楽な悩み

2009-07-26 11:19:50 | ミニシアター系映画
「太陽のかけら」★★★
ガエル・ガルシア・ベルナル 、カミラ・ソディ 、ルス・シプリオータ主演
ガエル・ガルシア・ベルナル監督、2007年、80分


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ガエル・ガルシア・ベルナル出演&初監督作品


「別荘に集まった友人とのパーティー、
将来に不安を覚えながらも
その場の楽しさに流されてしまう毎日、
子供の頃からその別荘で働く幼馴染の使用人に
軽い嫉妬をしてみたり、
何かを言おうと詰め込んだけれど
どれも中途半端になった出来だ」



『アモーレス・ペロス』で強烈なデビューをした
ガエル・ガルシア・ベルナルの初監督作品、
彼の出演のハリウッド作品を別にして
ミニシアター系映画の全ては彼の存在感で
成立しているようなものだ、
この作品は自分の主演、監督というものだが、
仕事してない自分のプライベートな時間を
気ままに撮影したような出来上がりとなっている。

きっと「モーターサイクル・ダイアリーズ」で
若い医者の卵が見た現実を
今のメキシコの格差と
経済的には恵まれていながら
漠然とした将来への不安からくる
焦燥感を出そうとしたのだろうけど、
どこかに焦点を絞りきれず散漫な印象となった。


メキシコ映画なんてめったに見られない、
主演も良い、
だとしたらもうちょっと見せ場と言うか、
知られていない部分とかも見せて欲しかった、
もちろんそんな独特な部分でなくても
主人公の心理に深く切り込むセリフや行動でもいい、
何か観るべきところを少しでも感じられたら
印象派全然違ったろう。

ガエル・ガルシア・ベルナル主演、監督でなかったら
公開されなかっただろうレベルでした。

★100点満点で55点


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「失われた肌」と入れ替え二本立て上映中、こちらの感想も近日書きます。


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「扉をたたく人」孤独というやっかいな隣人

2009-07-25 00:09:21 | ミニシアター系映画
「扉をたたく人」★★★☆
リチャード・ジェンキンス 、ヒアム・アッバス 、ハーズ・スレイマン主演
トーマス・マッカーシー 監督、2007年、107分

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「今は私は何も重要なことなんてしてないんだ、
仕事だって忙しいフリをしているだけだ、
会ったばかりの人に自分の心情を吐露するシーンは
痛々しくも心を揺さぶる、
どうして人は他人には良く見せたいだとか、
幸せそうなフリをしなくてはいられないんだろう」



コネチカットの大学教授の主人公は、
妻と死別して以来本を書く事にも、教える事にも
情熱を燃やせない日々を送っていた。
ある日、出張でニューヨークを訪れた彼は、
マンハッタンの自分のアパートで
若いカップルが暮らしていることに驚く。

不法移民の2人は、ジャンベという太鼓をたたく
ミュージシャンとアクセサリーを作るアーティストだった、
夜にアパートから放り出すには忍びなく、
それがなんとなく住むことを許可するまでになり、
何度ならってもうまくならなかったピアノに変わって
彼はシリアから来た男からジャンベの演奏方法を習い
街角でセッションに参加するまでになる。

その音楽に触れることで
灰色のような色の無い生活が
躍動し楽しそうな明るい色に変わっていく、

彼の表情が変わる、
融通が利かなそうに見えた彼も実は
そうしか生きられないだけだった。

ピアニストだった妻の面影は
主人公の今の生活にも影響を与え
何をしても張り合いの無い生活に
「孤独」を抱えていた主人公は、
わずかな触れあいの時間を過ごした異国の友人の為に
自分の全ての時間を費やすことになる、
そんなことありえるかなとも思う。

でもホントは誰だって出来るなら
そんなふうに生きたいハズ、
しかし自分の幸福の足枷に阻まれて
動けなくなってしまうのだ。


「9.11」以降のアメリカの移民政策への
批判がわずかに見え隠れするが、
それは日本も同じこと、自分達の国が
アジア近隣諸国の人たちにものすごく厳しいことは
あまり広くは知られていない。

だからこの映画を何かを批判するような映画とは
捉えたくない、
それより人は変われる、
そして人は自分が思ったより寛容でもあるのだと
そんなふうに思いたい。

でもたとえば長い旅行から帰ってきたら
知らない人が自分のアパートに居たら
主人公のように「まあ、今夜は泊まっていけよ」
なんて決して言わないだろうな。

あくまで物語りとして
そして心の問題として。


★100点満点で70点


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この作品のトーマス・マッカーシー という監督は、
「オール・ザ・キングスメン」「ミート・ザ・ペアレンツ」で俳優として出演、
今回は自分で脚本、監督をこなしている。


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