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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

書籍「すみれ/青山七恵著」著者の自伝的小説

2012-07-30 10:11:04 | 読書の時間
書籍「すみれ/青山七恵著」★★★☆
青山七恵著 ,
文藝春秋、2012/6/9
( 174ページ , 1,260 円)





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「処女作の『街の灯』からのファン、
さあ、凄いもの書いてやるぞといった
気負いが全く感じられないのに
読み終えると
何かとんでもないものの
片鱗に触れたような作品を書く作家で
全部読んでいる、
新作が出たのでさっそくネットで注文した」



好きな作家の本でも
主人公が15歳の少女となると
ちょっと苦手だ。



彼女の家にやってきた
両親の大学時代の友人の37歳のレミちゃんと
暮らした短くも濃密な時間を描いている、
年は離れていても
女性同士という微妙な距離感と
15歳と言う年齢の精一杯が伝わる。


ラストまで来て
これは著者の自伝的な作品なんだと気付いた、

彼女は書くことで多くの人に語りかけつつ
少女時代に触れ合ったレミちゃんに
彼女の言葉のいくつが届くといいなぁと
書き続けているようだ、
その切ない気分は伝わる。



自分達は感情むき出しの子供時代を経て
自分の気持ちをコントロールし
社会に順応していくのだが
そんなものはたぶん全部
他人の目を意識した行為だ、
だからそれが時々抑制できず
ドバーッっと溢れて来てしまうことがある。


それは多くの場合
小さな場所でごくわずかの時間だけ
解放され
すぐに何も無かったように
たとえば「どうかしてた、ごめん」とか
そんなふうに解決していくが

主人公の出会ったレミちゃんは
少し前に自殺未遂をしてしまい
友人である両親がしばらく引き取って
様子を見ているという状況で
自分の子供ほどに年の離れた「私」にも
容赦なく感情をぶつける。


こういう自分勝手とも思える行動は
ほとんどの人は意識して閉じ込めるが
そんなふうにして
一体何を得るのだろう、
不特定多数じゃなく
目の前のただひとりにさえ届けば
自分の言葉はそれだけで
生かされ
それだけで安心して眠れるのだ。



2時間もかからずに読み切れる作品
自分の好みの作品ではないが
やはり「何か」は感じた。


★100点満点で70点


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青山七恵作品一覧
『窓の灯』2005年、河出書房新社
『ひとり日和』(2007年、河出書房新社)のち文庫 
『やさしいため息』(2008年、河出書房新社)のち文庫 
『かけら』(2009年、新潮社)のち文庫 
『魔法使いクラブ』幻冬舎、2009 のち文庫  
『お別れの音』文藝春秋、2010 
『わたしの彼氏』講談社、2011 
『あかりの湖畔』中央公論新社、2011 
『花嫁』幻冬舎、2012 
『すみれ』文藝春秋、2012 

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映画「崖っぷちの男」落ちそうで時々、下半身がヒューってする

2012-07-29 18:08:29 | ミニシアター系映画
「崖っぷちの男」★★★★
サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、
エド・ハリス、ジェイミー・ベル出演

アスガー・レス監督、
102分、2012年7月7日公開
2012,アメリカ,ディズニー
(原題/原作:Man on a Ledge)






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「久し振りのサム・ワーシントン、
『アバター』の印象が強すぎて
最近は精彩を欠いていたように感じたが
この作品は良かった!
大作でもないし、
かといって演技に目を見張るってわけでもないが
こういう楽しませてくれる作品こそ
いい作品だと思うんだよね」



まさに崖っぷちの男、
実際は高級ホテルの21階の窓の外、
僅かなステップに足を乗せて
やってきた警官に「飛び降りる」と宣言、
止めさせたければと
交渉人としてリディア・マーサー刑事を指名、
これからどうなんるんだ?
あまり情報を与えてくれないのでこっちも必死。



冒頭で刑務所に同僚の刑事が来た事で
彼は元刑事でえん罪で服役しているらしい事が分かる、
そして父の葬儀の場から脱走して
今、彼は崖っぷちの男となった。


風なんか吹いてるとね
見てるこっちの足元もゾワ~ってなる
ホテルの壁だから掴まるとこなんか無いしね、
主人公が体を動かすたびに
展開より足元が気になって、気になって
このあたりはウマイね。



次第に色々分かってくると
巧いつくりだなぁと感心しつつ
でもこんなにうまく難攻不落っぽい
でかい金庫への侵入が出来るのかな、
それだったらもっと多発しそうなのに
刑務所に居ながら
実行可能性を高いと思えたのか
そのあたりの突っ込みどころはあるにしても
過ぎて行く時間
そしてえん罪は晴れるのか?



エド・ハリスが皺くちゃの顔で驚く、
ジェイミー・ベルは中途半端な役が多かったが
このところ主役は無くても
良い役を掴んでいて嬉しい、
そんなストーリーと無関係なことも感じつつ
ラストまで102分張りつめた緊張感で
突っ走ってくれて
とても楽しめた、面白かった。
アイデアの勝負だ。



★100点満点で80点


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ジェイミー・ベル出演映画
あの名作「リトル・ダンサー」主演のジェイミー・ベルも26歳
最近は主演は無いが、着実にキャリアを築いているように感じる。

リトリート・アイランド (2011)<未> 出演  
崖っぷちの男 (2011) 出演 ジョーイ・キャシディ
ジェーン・エア (2011) 出演 セント・ジョン・リバース
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 (2011)  声の出演 タンタン
第九軍団のワシ (2010) 出演 エスカ
ディファイアンス (2008) 出演 アザエル・ビエルスキ
ジャンパー (2008) 出演 グリフィン・オコナー
父親たちの星条旗 (2006) 出演 ラルフ・“イギー”・イグナトウスキー
キング・コング (2005) 出演 ジミー
DEAR WENDY ディア・ウェンディ (2005) 出演 ディック
アンダートウ 決死の逃亡 (2004)<未> 出演  
ディケンズのニコラス・ニックルビー (2002)<未> 出演  
デス・フロント (2002) 出演 チャーリー・シェイクスピア
リトル・ダンサー (2000) 出演 ビリー


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映画「ブラック・ブレッド」少年時代の濃密な時間

2012-07-27 11:16:22 | ミニシアター系映画
「ブラック・ブレッド」★★★☆
フランセスク・クルメ、マリナ・コマス、
ノラ・ナバス、セルジ・ロベス出演

アグスティー・ビジャロンガ監督、
113分、2012年6月23日公開
2010,スペイン、フランス,アルシネテラン
(原題/原作:Pa negre)





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「この映画の予告編が良かった、
見ていて内容は詳しくは分からなかったが
少年の視線や周囲の風景、
何かとんでもないことが起きそうな予感、
映画の本篇も興味深かったが
予告編には敵わなかった印象」



スペイン内戦後のカタルーニャ。
何者かに襲われた馬車は親子を乗せて
高い崖から森へと落下するシーンから
映画は始まる

11歳の少年アンドレウがすぐに駆け付け
血まみれになった親子の死体を発見する。


「余計なことをしてくれたね」
家族はなんだか迷惑そうだ
警察の事情聴取が行われ
主要な人物が登場すると
少年の父親に疑いがかけられ
フランスに逃亡することになり
少年もおばさんの家に預けられる。

一体何が起こっているのか
詳細な説明がないので
こちらはセリフの断片で想像するしかないが

内戦の後、同じ小さな町でも
勝ち組と負け組が存在し
息苦しいような疑心暗鬼な雰囲気に満ちて
子供はそんな空気を敏感に感じ取る。


「ただ元気で暮らせよ」
そんな言葉を残して姿を消した父親、
彼の言葉が重くのしかかる、
子供が子供らしく過ごすには
大人の作った環境は厳しすぎた

少年は無理やり大人の階段を登らせられ
大人へのそして父親への不信感を募らせていく。

子供っぽい無邪気な笑い声は
ひっそりした含み笑いへと変わり
交わす視線の先には常にヒソヒソ声で話す
大人たちの姿があった。


「誰が親子を殺したのか?」
ミステリーの手法をとりながらも
ここに描かれるのは
人間の営みそのもの

同じ民族、地域でも人々は争い
争いが終わった後でも
その事実は長く後を引いて
隣近所同士でもそこに微妙な空気が流れて
大人たちの多くは生活に疲弊し
心無い言葉が子供を傷つけている。


森の懐に抱かれたような
いかにものんびりとした田舎の生活が
外からの見た目とは全然違い
重苦しい雰囲気で
そんな中、謎解きが始まるわけで
結果、その事実よりも
やはり子供たちには何が必要なのかとか
色々考えさせられる内容になっている。


「ブラック・ブレッド」が労働者の象徴なら
少年はラストに「ホワイト・ブレッド」を
食べる生活を選択する、
それは大人になった瞬間でもあるが

彼の心に何が交差したのか
そして見てる自分にも
何が正しく、何が間違ってるなんて
そう簡単には言えないのだと
苦々しい思いが残った。

映画の出来としては
完成度も高く
カタルーニャ地方の風景も楽しめるが
見終えて爽快な感じは無く
何か虚しい気持ちを抱えることになる。


★100点満点で75点


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最新映画ランキング(7/23)
①(①)BRAVE HEARTS 海猿
②(初)おおかみこどもの雨と雪
③(②)劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ
④(④)ヘルタースケルター
⑤(初)メリダとおそろしの森
⑥(③)アメイジング・スパイダーマン
⑦(⑤)魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's
⑧(⑦)それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島
⑨(⑧)臨場 劇場版
⑩(⑨)崖っぷちの男

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映画「ヘルタースケルター」美のサイボーグが行く

2012-07-25 07:29:31 | 邦画
「ヘルタースケルター」★★★☆
沢尻エリカ、桃井かおり、大森南朋、
寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、
新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、
窪塚洋介、原田美枝子出演

蜷川実花監督、
127分、2012年7月14日公開
2012,日本,アスミック・エース
(原題/原作:ヘルタースケルター)






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「色んな意味で日本のセレブの沢尻エリカの
久々の主演で話題の映画を観た、
『クローズド・ノート 』から5年も出演作が無くても
お騒がせ方面でずっと出ずっぱりだったので
久々という感じもしない
この映画では存在感を示していたが
演じているというより沢尻エリカそのものに思え
今後の活動はさらにキツくなった気もした」



まさに全編『沢尻エリカ』
極彩色でキラキラした画面の中で
サイボーグ沢尻エリカが
様々な表情を見せてくれるが
作り物感が勝り
圧倒的な生々しささえ
CGのようにも感じ
奇妙な絵空事という独特な映画に仕上がっていた。



田舎の少女が東京へ行き
全身整形で完璧な美しさを手に入れ
トップモデルに登りつめたりりこ(沢尻エリカ)、
そんなとき若いモデルが現れ
彼女の座を脅かし始めると
彼女の精神のバランスが崩れ始める。


美しくさえあれば
自分の完璧な世界で居られると信じているのに

それだけではトップが守れないと分かった時
そのあたりの不安と絶望、
次第に現れる顔の痣、
彼女の悲痛な叫びが極彩色な画面の中で
それさえひとつの色に過ぎなくなる、
絵空事にひとつの色が付け加わっただけ。


過剰に生々しい人間の欲望が描かれているのに
ちっとも心に刺さらないのは
サイボーグがどれだけ心をさらけ出そうと
それでも人間になれないよと
思えてしまうからだろう、

でも監督の狙ったのもこのあたりなのかと思うと
ホント奇妙な映画が
ちゃんと成立してるのだ。

で、沢尻エリカの見方が変わったかといえば
この映画の中でも彼女は
彼女自身だった

その意味ではこの映画は失敗だ、
でもこの映画の主役を考えると
彼女以外考えられないとさえ思わせたのは
やはり彼女の存在感なので
その意味では成功してもいる
次にどんな映画に出るのか分からいないが
同じような役なら興味は無い
別の顔を見せてくれるなら・・・、
なにはともあれ沢尻エリカの映画だった。

けれどこの映画のもうひとりの主役は
桃井かおりだった、

この中でも桃井かおりは彼女自身そのものだったが
彼女は「女優・桃井かおり」を演じている
ただただそう感じた。


★100点満点で75点


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沢尻エリカ出演作品
問題のない私たち (2004年) - 新谷麻綺 役
パッチギ! (2005年、シネカノン) - ヒロイン・リ・キョンジャ 役
阿修羅城の瞳 (2005年4月、松竹) - 谷地 役
SHINOBI -忍- (2005年9月、松竹) - 蛍火 役
間宮兄弟 (2006年5月13日公開、アスミック・エース) - ヒロイン・本間直美 役
シュガー&スパイス 風味絶佳 (2006年9月16日公開、東宝) - 主演・渡辺乃里子 役
オトシモノ (2006年9月30日公開、松竹) - 主演・奈々 役
天使の卵 (2006年10月21日公開、松竹) - 斎藤夏姫 役
手紙 (2006年11月3日公開、ギャガ) - 主演・白石由美子 役
クローズド・ノート (2007年9月29日公開、東宝) - 主演・堀井香恵 役[18]
ヘルタースケルター (2012年7月14日公開) - 主演・りりこ 役


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書籍「無理(上・下)/奥田 英朗著」降り積もる雪に足を取られて一歩も進めない

2012-07-23 19:09:10 | 読書の時間
書籍「無理/奥田 英朗著」★★★☆
奥田 英朗著 ,
文藝春秋、2012/6/8
( 428ページ/ 358ページ , 各610 円)



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「ハードカバーが出たのは2009年
文庫になったので早速ネット注文し読み始めた、
人口12万の合併で出来た地方都市の“ゆめの”を舞台に
そこに貼り付けられたように住む
様々な年齢の男女5人を中心に
地方都市の抱える新旧様々な問題に切り込みつつ
エンタメとしても面白い」



最近話題になった「生活保護の不正受給」に始まり
給付を置ける側と給付を決めるお役所、
その周囲の人々、
議員と後援会を名乗る土建屋、
主婦売春等々
新聞でも時折取り上げられる話題をちりばめつつ
それらゆめのという小さい都市で起こる
いくつかの事件が
あるひとつの事件で偶然に繋がっていく。



終わりまで読んでも何の解決も示されない
けれど読後感は悪くない

だって、そんなこと解決できるはずないと
読者側も既に知っているからだ。


冬になれば雪に閉じ込められ
高校生も地元に未来を感じず
そこで働く人たちも
「ここではない何処か」を夢見つつも
その場に張り付き
一歩も動けない閉塞感に溺れてしまいそう。


読んでいて身につまされる部分もある
誰もがここに描かれた人達の何処かに
自分の放った言葉と同じ
若しくは似たような気持ちを感じたことがあるはず

だから誰でも良いから
少し上を見上げて
近く、遠くの未来を語れたらいいのに
誰もがうつむき加減で
足元に降り積もりつつある雪を
茫然と諦めの境地で見つめているようだ。


だからってじゃあどうしようもないのかと言うと
そんな中でもなんとか
自分らしくやっていくしかないのだろうなと
それは前向きな諦めというか
不思議な感覚だった、
読みやすいので上下巻でも5日くらいで読破、
他の作品も読みたい。



★100点満点で75点


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奥田 英朗の受賞・候補歴 [編集]
2001年 - 『邪魔』で第4回大藪春彦賞受賞、第125回直木三十五賞候補
2002年 - 『最悪』で第21回吉川英治文学新人賞候補、
『イン・ザ・プール』で第127回直木三十五賞候補、
『マドンナ』で第128回直木三十五賞候補
2004年 - 『空中ブランコ』で第131回直木三十五賞受賞
2006年 - 『サウスバウンド』が本屋大賞第2位にランキング
2007年 - 『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞
2009年 - 『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞受賞
「このミステリーがすごい!」入賞作品

2000年 - 『最悪』7位
2002年 - 『邪魔』2位


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