soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「善き人のためのソナタ」自由を阻む壁は本当に無くなったのか

2007-09-28 20:29:38 | ミニシアター系映画
「善き人のためのソナタ」★★★☆DVDで鑑賞
ウルリッヒ・ミューエ 、 マルティナ・ゲデック主演
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督、ドイツ、2006年、138分



まだドイツに壁が存在し
かつての一つの国が分かれ
全く異なった環境に置かれていた。

自由な思想は危険分子と見なされ、
人々の多くは政府の監視下にあった。

盗聴するものと、されるもの、
お互いは言葉を交わすこともないが、
盗聴をして行くうちに、
彼らが犯罪者とは思えなくなり、
ついには政府に背中を向けてしまう。

今のこの自由な世の中では、
想像すら難しい、そんな感じかなと思っても、
きっと実際には程遠いだろう。

好きな音楽を聞き、
読みたい本を読み、
自由に外出し旅行もできる。
今、この当たり前に享受している自由を
政府が国民から奪った時代。

国家保安省局員でありながら
盗聴の標的である劇作家と舞台女優に好感を持ち、
ついには逮捕の手からなんとか逃れさせたいと
自分の身を捨てる男。

なんとなく分かるな、
自分が持てなかったその自由な雰囲気、
あこがれ
いくら高い壁に阻まれようとも
自由な精神は翼を持っている。

まるで映画全体が盗聴にあっているように、
静かに静かに物語が進んで行く。

時代が変われば滑稽なことに映る
国家の横暴はなんだか大きな時の流れのなかに
無防備な格好で落とされた人間のよう。

今、このシリアスな映画を少し滑稽に感じながら
見ることができるのは幸せなことだ。
映画の緊張感はアカデミー賞外国語映画賞も獲得、
1984年を描いた作品、たった20数年前のこと、
人間は何をしているんだろうと考えさせられる。

★100点満点で75点くらい、
派手な演出は一切無く硬派な映画★

★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン

1989年にベルリンの壁が崩壊した、
そして自由はやってきたのか、まだまだ本当のことは分からない。

★映画ランキングはこちら



チュ・ジンモ 主演「愛」首位登場!最新韓国映画興行成績9/23付

2007-09-27 20:34:04 | 韓国映画・アジア映画
チュ・ジンモ 主演「愛」首位登場!最新韓国映画興行成績9/23付

先週はマット・デイモンの「ボーン・アルティメイタム」が首位、
今週は韓国映画「愛」が初登場首位と
めまぐるしく入れ替わっている。

それだけ大ヒットがないということも言えそう。
上位5作品のうち4作品が韓国映画と
相変わらずの強さを見せている。

① 「愛」
チュ・ジンモ、パク・シヨン、チュ・ヒョン主演
クァク・ギョンテク 監督

17歳のときの初恋を大切に守り、親を大切にしながらも
大切なものを守るためヤクザの親分と対決することになる。

どうしても映画に出てくるヤクザ屋さん、
そんなに身近な存在なのか、
日本でもヤクザを扱ったものはあるけど、
これほど多くは無いからな。


②「ボーン・アルティメイタム」
日本の公開はもう少し先。
ハリウッド作品の多くは韓国のほうが公開が早い。


③「クォン・スンブン女史拉致事件」
ナ・ムンヒ、カン・ソンジン、ユ・ヘジン、ユゴン主演
キム・サンジン監督

冴えない男3人組はどうしてもお金が必要になり、
大財閥の会長の誘拐を計画するが、
彼らのこと、そんなうまく行くわけない。
かなりバカバカしい笑いの映画。



④「上司父一体:頭師父一体3」
イ・ソンジェ、キム・ソンミン、パク・サンミョン主演
シム・スンボ 監督

大学卒のエリートヤクザは、果たして大企業で活躍し、
そのノウハウをヤクザ稼業に生かせるのか。
ドタバタコメディーのシリーズもの登場


⑤「楽しい人生」
チョン・ジニョン、キム・ユンソク、キム・サンホ主演
イ・ジュンイク 監督
学生時代に熱中したロックバンド、
40代になった男3人が再びバンドを組んで
ひとはな咲かせようと目論むが。



今週10位の「D-War」は長くチャートインし、昨年の
「グエムル」にどれだけ迫れるか、そして
日本での公開はあるのか。
最近日本での拡大公開がショボイ結果になり
なかなか公開も少なくなっているため
どうなるのか期待して見守りたい。


★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン

韓流シネマフェスティバルでは12本くらいは
見る予定、でもまだまだ足りない。

★映画ランキングはこちら


「長江哀歌」大河は流れる、人は変わっていくのか

2007-09-26 22:20:04 | 韓国映画・アジア映画
「長江哀歌」★★★☆
チャオ・タオ 、 ハン・サンミン 主演
ジャ・ジャンクー監督、2006年、中国




この映画はイメージする中国映画の叙情的なものや
人間の心情を丁寧に描いた映画とは違い
見るものに明確な「何か」は呈示しない。
受身でみると期待を裏切られることになる。


三峡ダムの建設のため、水没していく運命にある町、
奉節にやってくる男と女

2人は長く会っていない人に会いに
この町に来て、変わりゆく町や自然の中で
沢山の人と出会い、すれ違い
そして去っていく。

100万人の生活を一変させる巨大プロジェクト
そしてそこでは町の建物をハンマーで壊す
夥しい労働者が、一日過酷な労働に従事し、
水没の町にしがみつくように
これまでの生活を続ける人々もいる。

流れているのかさえ曖昧な川
人間はその川沿いに町を造り、
今度はダムの為に町を壊している。

人の生活は大きく変わるが
本当に変わるものはなんだろうか、
そして果たして何かが変わったのだろうか。

ゆったりと流れる川面に
手にした石を放り投げる、
ポチャンと小さな音を立て川面を揺らすが
後には何も無かったように波紋も残さない

人はやって来て、去っていく
その繰り返し
川はそこに在り、いつまでもその姿を残している。

人はそれでも自分の存在を知らせたいのだ、
誰かに自分はここにいると教えたいのだ。
探していたものが見つかっても
寄り添うことが出来てなくも
そいれでも探して、側にいたいと知らせたいのだ。

★100点満点で70点くらい、
レンタルまで待ってもいいけど、気になるなら
劇場で★

★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン

わざとなのか、映像が古く感じたのは
演出上の配慮なのか、それがどこか懐かしい印象を受けた。

★映画ランキングはこちら


「インランド・エンパイア」リンチ監督が好き放題の3時間に耐える

2007-09-24 01:26:03 | ミニシアター系映画
「インランド・エンパイア」★★☆
ローラ・ダーン主演
デヴィッド・リンチ監督



長い、
それにしても長い。

人間が頭の中で空想する
訳の分からない、
本人にさえ説明のつかない事が
映像で延々3時間。

意味不明の映像から
現実へ、
現実かと思ったものは、虚構のものだったりと
映像酔い状態。

きっと熱心なリンチ監督ファンなら
ここに意味を見つけようとするな、
ただ映像を受け入れればいいと言うかもしれないが、
自分のような、
ただの熱心な映画ファンは
どうしても辻褄をあわせようと、
記憶のどこかに、今見ている映像が
繋がらないものかとやっきになるのだ。

「面白かった?」と聞かれたら、
何と答えよう。
「眠かった」「訳が分からんかった」
そして「面白くない」
そのどれかだな。

この3時間の映像体験は
お腹一杯だからもういいです!と懇願したいような、
物足りなさは全くないので
終わりと同時にきっぱりと映画館を出た。


外の空気は少し冷たく秋の気配、
夏から秋へ、どこかで明確な何かを感じるように、
この映画をみることで、不可解ながら
覗いてみたい好奇心を自分の中に
はっきりと確認することはできるのだ。

やはり「マルホランド・ドライブ」の
あの連続するカーブのような
少し捩れたくらいがいいかな。
ここまで好き放題やられると、
フツーの映画を見慣れている自分のようなものには
荷が重い映画だった。

蛇足ながら、裕木奈江が出ていたが
あれは何だったんだろう。
ハリウッド進出はすごい事だけれど、
プラスになったかは疑問。

★100点満点で60点、
どうしてもと言うなら止めないが、
ファン以外では楽しめないと思う★

★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン

しかしこの不可解さ、この分からない状態を
ニンマリと受け入れる事が出来る監督のファンはいいが、
ただの映画ファンにはこれで3時間というのはキツイ

★映画ランキングはこちら



「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」斬新だけど実験は失敗のようです

2007-09-21 00:36:46 | 邦画
「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」★★
伊藤英明、伊勢谷友介、桃井かおり主演
三池崇史監督、2007年



タランティーノの暑苦しい顔が登場し、
寸劇で始まる映画。

設定も時代も言葉すらも目茶苦茶な映画、
何で英語を話すんだ?
しかも無理があるから素人の英語の
発表会のような微妙な気恥ずかしさが漂う。

言葉を聞かなかったことにし、
ストーリーもないものとして、この映画を見ると
画面だけはかなり凄い。

馬が画面を横切る時の流れや、
近いものから遠景へと動く映像は
かなりカッコイイ、
室内で撃ち合いのシーンもよく計算されていて、
自然な流れで、これが良いのだ。

だめなのはストーリーだ、
いかんともしがたい状態で
美しい映像をメタメタに壊してしまう。

なんというか
最高のスタッフで作った素人映画という感じ。


で、映画を諦めた後半に、「おや!」と目を引くのは
桃井かおりが
拳銃の早撃ちを披露した時、
彼女のその一連の動作で、
これまでの退屈さは打ち砕かれた。


これを主題に撃って撃って撃ちまくる
映画にすればよかったのにと
捨てたものを拾い直した気分。

期待して行くと悲しい気分になるので
あくまでダメでもいい!という気持ちで行けば
どこかに好きなシーンや登場人物を
見つけることが出来るかもしれない。


★100点満点で40点くらい★

★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン

見所は桃井かおりだけの映画でした。1000円でももったいない!

★映画ランキングはこちら