思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『銀河の片隅で科学夜話』楽しい!物理エッセイ

2022-04-21 15:44:20 | 日記
『銀河の片隅で科学夜話
―物理学者が語る、すばらしく不思議で美しい この世界の小さな驚異―』
全卓樹(ぜん・たくじゅ)

理論物理学者(というのはどういう分野だろうか。想像もつかない…)
である作者による、22篇のエッセイ集。
宇宙、原子世界、人間社会、倫理、生命の
5つのカテゴリーに分かれています。

どれも読みやすくておもしろいです。
うんちくたっぷりで、飲み会で話したくなる笑

私が印象的だったのは、

「宇宙」の流れ星は「星が落ちるもの」という素朴な感覚が、
古代、アリストテレスには「大気圏内の現象で天体は無関係」と
バッサリ否定されたというのが面白かった。
プリミティブな庶民感覚であってたじゃん〜、と。

あと、言語学のエピソードも興味深かった。
厚紙製の箱と「似たのはどっち?」という質問に対して、
英語話者は「形の似ているプラスティック製の箱」を選び、
マヤ後話者は「質感の似ている厚紙の板」を選ぶと。
どういった言語感覚でモノを認識しているかの違いだとか。

英語には「匹」や「枚」「本」みたいな、
物に対する数え方(「助数詞」というらしい)がないというのも
なかなか興味深い。
ちなみにマヤ語にはあるんだって。
ほう。

トロッコ問題に対する、国別の傾向も印象深いですね。
東洋クラスタは「救える人数を優先する傾向」、
南洋クラスタは「地位の高い人と女子供を優先する傾向」、
そして欧州クラスタは、強いて言えば「成り行きを見る、
できるだけ介入しない傾向」だそうです。
ほほほう。

読みやすい文章で、意外と深い話しもされていたり。
手元に置いて、ちょっとずつ味わうと良いと思う。

ちなみに装丁と挿絵もすごく良い。とっても良い。
本棚に納めたい一冊!!
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『沈黙の森』アメリカっぽいヒーロー主人公

2022-04-20 11:53:16 | 日記
『沈黙の森』
J・C・ボックス
野口百合子:訳

ワイオミング州猟区管理官が主人公の
<ジョー・ピケット>シリーズ第1作。

ついでに作者のデビュー作にしてアメリカの新人賞4冠。
すごいな。
この作品が2001年で、現在までに17作が刊行されています。
執筆ペースもすごい笑

ワイオミング州ってどこ?と思ったのですが、
西部山岳地方の自然豊かな州らしいです。

物語は、猟区管理官ですから、
大自然の中で事件が起きて、ピケットががんばるというお話し。
今回は絶滅種と思われていた生き物を巡る打算や陰謀に
真っ向勝負するピケット。
アメリカンヒーロー的である。

ストーリーはわかりやすくストレート。
そして主人公のピケットは、安心して読み進められるレベルの
ドストレート主人公思考です笑
ほろ酔いで読んでも楽しめます、良い意味で。

物語の舞台は、現代の割にいまだに開拓時代っぽいというか、
旧態依然とした社会システムが残ってるなあ〜という印象。
本当にこんな感じなのかな?
プロのガイドがふつーに密猟してたり、
管理官も警察も役人もみんな持ちつ持たれつで役職恩恵ごっつあん、
みたいな。

エンタメ小説として、お酒のお供に良いと思う。
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【読書メモ】2016年3月 ①アーチャー!!!!

2022-04-18 15:06:02 | 【読書メモ】2016年
<読書メモ 2016年3月 ①>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。
当時の私、アーチャーをいたく気に入り、立て続けに読み始めた笑

『百万ドルを取り返せ!』ジェフリー・アーチャー
これがデビュー作だと!?というくらい良い出来。
面白い!!
イギリスの貴族文化って、本当に現代?みたいな感じで面白いよね。
こういう人種と風俗文化がまだ残っているんだなー。
日本に比べて王室もオープン(悪く言うと世俗的)なイメージもある。
いや、詳しくは知らないけど。
ジェイムズは良いヤツなんですが、
最後の作戦をうやむやにしたのはイマイチではなかろうか。
アンの作戦も、単純にパパにご祝儀もらうってだけでいいのか?
でも、やっぱり面白い。

(これはアーチャーを一躍有名にしたデビュー作ですね。
 主人公4人は、架空の石油開発の投資話に騙され、すっからかんに。
 で、詐欺の首謀者から「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」
 お金を取り戻すために知恵と努力とラッキーでがんばる話。
 スカッと爽快!
 楽しい!!
 ちなみに、導入は作者の実情にだいぶ近いらしい。
 石油開発の詐欺ですっからかんになり、
 一発逆転を目指して作家デビューです。かっこいいな笑)


『チェルシー・テラスへの道』ジェフリー・アーチャー
これはちょっとどうしたのかな?という感想。
一人称と三人称を交互に入れる意味あるのかしら。
あと、手紙の部分を手書きの文字にする意味もあるのかしら。
読みづらいだけのような…。
試行錯誤してるのかな、という印象だった。
とはいえチャーリーの人生と、その周辺の人々の物語は
とても興味深くて面白い。
ガイはさっさと死んだくせに、本当に迷惑なヤツだ。

(1991年の長編作品。
 アーチャーの得意分野のひとつである、
 「或る人物の物語」サーガです。
 ロンドンの下町の大道商人の息子に生まれたチャーリーが
 高級百貨店を築き上げるまでのサクセスストーリー。
 斜体とか、手書き風とか、小説に手法が入るのを好まないのは
 私の頭の固さ故かと思います。
 内容は、ちゃんとアーチャーで、ちゃんと面白い!)
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【読書メモ】2016年2月 ④ 村上春樹

2022-04-13 18:44:12 | 【読書メモ】2016年
<読書メモ 2016年2月 ④>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹
久しぶりに文庫を買って読んだ。
やっぱりいいですよね春樹!
読んでいる間に沸き上る幸福感。小確幸。

結局、沙羅とはどうなるのだろうか。
ちょっと気になる。
つくるには幸せになっていただきたい。

高校時代の4人の友人は再登場すると思ってなかった
というか、人生が詳細に描かれるタイプと思っていなかったし、
前半ではこれっぽっちも期待していなかった。
読み進めるにつれて、それぞれがそれぞれに
いろんなものを失って抱えて大人になってしまったんだな、
という事実がしみじみと沁みた。

(『1Q84』の次、2013年刊行された、村上春樹13冊目の長編作品。
 え?意外と少なくない?
 まあでも、短編集とかルポとかあるから、妥当なのかな。
 初版30万部、発売後7日で100万部突破というモンスターです。
 私は通勤読書人なので、文庫で買いましたが。

 高校時代の友人4人は、名前に「色」が入っていて
 自分だけ「色」がない疎外感。
 ある日突然、理由もわからず絶好されてしまう衝撃。
 それはさておき、「駅をつくる」という仕事への愛着。
 36歳にもなって恋愛が下手すぎるけれど(お約束!)、
 彼女の言葉を真摯に受け止めて過去へ会いに行く素直さ。
 いいよね!ハルキだよね!好き!!!)
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【読書メモ】2016年2月 ③ 邦訳ミステリ3冊

2022-04-12 18:37:28 | 日記
<読書メモ 2016年2月 ③>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『前夜』リー・チャイルド
作者はハードボイルド系の作家とのこと。
その情報がないと、なんだかぼーっとした主人公だな〜、と思う。
と言いつつ、おおむね、楽しめました。
どうもシリーズものらしいので、機会があれば読んでみようかと。
ハードボイルドと言いつつ、謎の部分はもうちょっとがんばってほしい。
とあるオッサンの愛人、女を探して見つからないなら男だろ。
と思ったらそうだったし、
とある人がゲートで目撃されなかったのが不自然なら、
トランクにでも隠れてたんだろ。と思ったらやはりそうだった。
めちゃくちゃ順当なツッコミをすると、すがすがしいくらい、その通り。
いいのか、それで。
でもまあ、おおむね、楽しめた。

(1900年代のアメリカ軍内で起きた将軍の不審死を巡るミステリ。
 ハードボイルドな<ジャック・リーチャー>シリーズの8作目。
 なんだかんだで、おもしろく読みました)


『汚れた翼』ジャン・バーク
新聞記者アイリーンのシリーズが有名らしいが、
これはアイリーンの夫ハリマン刑事が主人公。
事件のはじまり部分は必要だったのだろうか。
そこをバッサリ切って、
ルフェーヴルの人物像も謎解きの一部にした方が
良かったのではなかろうか。
だって真犯人に「知りたい!」と欲求するほどの
魅力が無いのだもの。
上下巻にするほどの話しだったろうか。と思う。

(古いセスナ機が山中で発見されたことから、
 10年前の事件の再捜査へと繋がり…という話。
 <新聞記者アイリーン・ケリー>シリーズの8作目で、
 スピンオフ的な作品)


『血の記憶』グレッグ・アイルズ
痛い女の痛い話しっぽいが、恐ろしく興味をそそられない。
だいぶ早い段階で、ギブアップしてしまった。

(途中でぶん投げた)
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