思惟石

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『一人称単数』8本ぜんぶ良い短編!

2022-04-25 15:59:01 | 日記
『一人称単数』村上春樹

『文學界』で発表された短編を一冊にしたもの。
2020年7月に刊行。
って、コロナになってから出版された作品だったのか。
もうちょい前、『騎士団長殺し』と同じ頃に出たイメージが
あったんだけどな。
しかもまだ文庫にはなってないみたいですね。

個人的な嗜好で申し訳ないが、
単行本の表紙がとてもとても気に入らなくて。
(メタファーを描こうとすんじゃないよ!!!おらぁっ!!!と思ってる)
文庫で表紙が変わりますように、と祈りながら待っていたのだけど
結局、単行本で読んでしまった。

収録作は8作。
「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
「謝肉祭(Carnaval)」「品川猿の告白」「一人称単数」

どれもこれも良い〜!
初出順に収録されているのだけれど、
最初の2作は比較的つくりこんだ短編で
3作目あたりから、作者本人に近しい設定になる感じがある。
神戸とか、1960年代の思春期エピソードとか
(ビートルズが来日したり学生運動の機運があったり)、
作家としての描写とか。
肩の力が抜け始めたのか、
設定を設定するのがめんどくさくなってきたのか。
いずれにせよ、良い感じである。

『ヤクルト・スワローズ詩集』に至っては、
もはやエッセイですよね笑
村上ラヂオっぽい、好きなトーン。
とはいえ作中の詩集の存在は創作っぽいですね。
思わず調べてしまった笑。
「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」の
伏線回収と言えなくもない。

品川猿の登場も、往年の短編っぽさがあって良かった!
なんで猿が?と言いつつ、受け入れるの早いんだよ笑

象徴的に音楽が登場するのも多くて、
ピアノクラシックが聴きたくなりました。
シューマンのCD買おうかな。
コメント
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