思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『その名にちなんで』ABCDという存在の物語

2022-04-22 15:44:18 | 日記
『その名にちなんで』
ジュンパ・ラヒリ
小川高義:訳

インド・カルカッタ出身のベンガル人夫婦がアメリカに渡り、
アメリカで生まれ育った息子の物語。

父が若い頃に出会った事故のエピソードにちなんで
「ゴーゴリ」という珍しすぎるファーストネームになったことが、
主人公の人生の複雑さのコアになる。

というか、異国の地で故郷を想いながら暮らしている両親を持つ
2世の悩みということだと思う。
その象徴としてゴーゴリという名前がある、というのが良い感じ。

ゴーゴリが主人公と言いつつ、ほぼ親子2世代の物語でもある。
母親アシマの苦労や悲しみの方が、人間臭くて、
ちょっとおろかしいところもあって、私は好きだ。

この本でABCD(American=born confused deshi:
アメリカ生まれで混乱したインド系の人間)という表現を
知ったけれど、
大人になってから異国の地で生活を築くのも、
異国の風習を大事にする両親に育てられる2世というのも、
どちらも混乱を抱えるものなのだろうな。

興味深く読んだし、ラストは胸に来た。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする