思惟石

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終戦のローレライ

2015-10-07 14:04:13 | 日記
所謂「積ん読」になっていた「終戦のローレライ」
読了しました。
文庫で4冊!
そりゃ手を出しかねるわ。

とはいえ前評判通り(?)ほぼ一気に読めました。
しかし徹夜するほどではないかな。

映画化が前提で書かれたという通り、
登場人物がそれぞれ魅力的でそれぞれ物語を抱えていて
見せ場もたくさんあって、
とてもとても映画的な小説でした。
ポジティブな意味です。

映画的な小説というネガティブな意味として
大まかな筋書きが見えてしまうってのはあるのですが、
終わり方はどうするのかな、というのは
わからなくて、ずっとあれこれ考えていました。


以下、ネタバレ的な感想書きますよ。



征人が、何者にもならなかったという終わらせ方は
私個人の感想としては、とてもよかったと思いました。
政治に影響を及ぼすような大人物になるとか、
一代で財を築いて一部に高名を馳せるとか、
なんらかの突出した技術を持って暗躍するとか革命するとか、
全っ然、そういうのじゃなくて、
工場通って働いてローン組んでこども育てて
「俺は一体なにをしたんだろ」
って泣きながらパウラに言っちゃう60歳。
これだけのページを割いて、物語を割いて、
たくさんのキャラの人生背負って、
何者にもならない征人。
なんか、すごいと思う。
そういうことだと思う。
それで良いと思う。

折笠征人、後の伝説の革命家である。
とかやらかしたら、もう、がっかりですものね。
ファンタジーの彼方の物語ですものね。

あと、細かいけど、パウラが
「本当にこの男で大丈夫だろうか
 早まっただろうか」
的なことを考えちゃうんだけど、
そういうのも、大事な気がしました。
そういう疑問を抱いた上で、
ちゃんと覚悟を決めてるパウラ。
良いと思います。


あとはホントどうでもいい感想ですが、
福井作品はどれも出だしが冗長だなと思います。
どんどんストーリーにスピード感が出てきて
リカバリするとはいえ。
映画的といえばそうなんだけど、
小説はもう少し初速を上げてもいいと思うのです。

あとオッサンかっこいい。

福井作品はこれで一通り読了で、
個人的なベストオブオッサンは
「Twelve Y.O.」のヘリコプターのオッサンで
ベスト作品は「亡国のイージス」ですが
一番記憶に残ったのは「Twelve Y.O.」あとがきの
大沢在昌の熱い想いが迸るコメントですw
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