思惟石

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宮内悠介『スペース金融道』おもしろかった!

2018-06-17 13:50:39 | 日記
なんか、SF続きではありますが、
宮内悠介『スペース金融道』を読みました。

おもしろかった!

『ナニワ金融道』の宇宙版とでも言いましょうか、
”宇宙だろうと深海だろうと、核融合炉内だろうと零下190度の惑星だろうと取り立てる”
がモットーの新星金融の取り立て担当社員のお話しです。

新星金融の基本理念は、
”バクテリアだろうとエイリアンだろうと、返済さえしてくれるなら融資をする。
そのかわり高い利子をいただきます”
ということで、アンドロイドから、コンピューター内の知的生命体や、謎の植物まで
様々な連中から借金を取り立てる主人公「ぼく」と上司のユーセフ。

鬼畜上司やアンドロイド擁護派の女教授に振り回されて
常に酷い目に遭うのが「ぼく」の仕事でもあります。

主人公も優秀なプログラマなのですが、
不幸な目に遭うことに慣れきってる感があって
なんか、読みながらツッコミ入れつつ応援したくなります。
トラックに轢かれそうになって
”そっと目を閉じた”ところとか、電車の中で笑ってしまいました。
諦めるなよ!

全体的にコミカルなんですが、通貨や貨幣経済の概念や
人工知能のジレンマや暴走など、考えさせられる内容も満載です。

この宇宙では、ギャンブルにハマるのはアンドロイドが多いという
設定と理屈付けとか、なるほどなあと思います。
主人公もネットゲームをせっせとやってるけど。
どうでもいいですが、そのゲーム、中国が舞台で
レアアイテム「玉(ぎょく)」は白菜のかたちなのだそうです。
もう一つのレアアイテムは角煮ですね、きっと。

ちなみに鬼畜上司ユーセフの専攻である「金融工学」とやらは
架空の学問かと思いきや、普通に実在していた。
小説内の噛み砕いた会話ですら理解できなかった私は
投資とか本当に向いてないと、しみじみしました……。

この作家さんはコメディタッチな方なのかな?と思ったら、
直木賞候補になっている作品は、シリアスな作風のようです。
他の作品も読んでみようっと。
コメント
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