拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

夏だ、雨月だ、梅児誉美だ

2006-07-19 22:32:46 | 活字全般
先日ゼミの先生に「夏休み中に近世(江戸時代)関連の本・論文を数十冊読み、卒論のテーマの方向性について考えrこと」という課題を出されてしまい一瞬呆然としてしまったが、他のゼミの人達もきっと先生に大変な課題を出されているハズさ、と思えばあまり苦にならない。でも今日、「夏休みの中盤に読書の状況を手紙で知らせること」という課題をさらに出された。「きちんとした形式の手紙を書くというのは社会人として常識なのでこれを機に『手紙の書き方』的な本を一冊買い、その本を参考にしながら課題の中間報告を手紙で知らせろ」と。うーむ。「きちんとした手紙を書く」というのもかなり面倒くさいが中間報告…いや、まぁ、これぐらいやんないと…。もちろんメールでの報告じゃいけません。パソコン使わず手書きです。味気ないもん!
というわけでとりあえず読む本を探しに行く。先日行われた先生との面談でうっかり「『雨月物語』と『春色梅児誉美』に非常に関心があります」と言ってしまった私。『雨月物語』はまだ講談社学術文庫から出てるやつの上巻しか持ってないのでとりあえず下巻を購入。『春色梅児誉美』はまだ半分も読まないうちに図書館の貸し出し期限が来てしまい、返却してしまった。また借りるか。せめてこの二作は読破して、論文も集めて…なんだ、結構楽しそうじゃねーか。忘れてた。好きな事について行動するのってどんな場合でも楽しいものだ。数十冊といわず三桁越えて読んでやるぜ(読み過ぎ)。
本屋で夏休み読む用の本をいろいろと探しているうちに、江戸時代の庶民の文化関連の本に目がいくようになる。近世文学をテーマに卒論書くなら時代背景を細々と知っといてもいいだろう。入門ということで、軽めの本を一冊購入。庶民の暮らしぶりを記述した杉浦日向子著『一日江戸人』。江戸っ子の住宅事情や恋愛事情から正月・夏のすごし方までが面白おかしく紹介されていてサクサク読める。新潮文庫というのもポイント高い一冊。これを足がかりに江戸っ子像にどんどん迫ってみようじゃないか。江戸っ子の間でベストセラーになった『春色梅児誉美』を研究しようとするならなおさらね。
また、先生に「こんなの読んでみたら」と言われて紹介されたのが小林信彦著『ちはやふる奥の細道』(新潮文庫)。これはアメリカ人の日本文化研究者ウィリアム・C・フラナガンという人が、「『奥の細道』の作者松尾芭蕉の人間像に迫る」をテーマに書いたエッセイを著者が翻訳したもの。アメリカ人ならではのとてつもない誤解とこじつけ、そして日本文化への愛が読者の笑いを誘う。近世の研究に役立つかどうかはわからないが、読んでて楽しすぎる一冊。最後まで読んだら記事でまた詳しく紹介しよっかな。

※画像は江戸時代の浮世絵師・菱川師宣の『見返り美人図』。後ろをチラ見するという構図は西洋の印象派の画家たちに影響を与えたと言われている。


【今日の数字】
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嘘にこそ、真実がある―実写版『DEATH NOTE』について

2006-07-18 21:45:24 | 映画
今日は先々週観た映画『DEATH NOTE』について思ったことでも書こうか。微妙にネタバレあります。

名前を書くことで、書かれた人間を殺すことができる殺人道具「デスノート」を拾った名門大学の法学部に通う大学生・夜神月(ヤガミライト)。凶悪犯罪が続発する一方で、事件の未解決・犯罪者の不起訴処分が増加するという現実にうんざりし、法による正義に限界を感じていた彼は、「デスノート」を使って自らの手で犯罪者をどんどん裁き、犯罪の無い平和な世界を作ることを決意するが…
原作では天才高校生という設定だった月が、映画化にあたって法学部の大学生にチェンジされている。物語をわかりやすく運ぶために、「法律に限界を感じてデスノートを使った」という要素がプラスされているのだ。この設定変更の他にも原作とは違う部分は多々あるので、「原作と比べて映画ではこうだから映画はつまんない!」という指摘は野暮だろう。映画と漫画は別モノとして考えるべきだ。あの情報量の多すぎる原作をそのまま映画にしたら、原作未読の観客が混乱するのはだれでもわかるし。…あまりにも何にも考えずに、ポカーンとしててもわかる映画もどうかと思うけどね。
まぁ、別モノと言ってもデスノートの使い方のルールは全く同じだし、月の起こした「犯罪者大量殺人事件」を追う天才探偵・Lの不健康そうなルックスや異常な甘党ぶりなど、『DEATH NOTE』のを形成する「核」のようなものはそのままなので、原作ファンへの配慮みたいなのはひしひしと感じられるが。というか「核」さえ原作どおりならあとは何をやったってよさそうな気もする。映画は第一弾と第二弾に分けて公開ということで、原作を読んだ人にとっては「え、こんなところで終わりっすか!?」という場面で「つづく」になってしまう。既に完結した漫画とはいえ、映画版を観て原作も読み終えた人ならば、映画版が原作と同じように展開してラストを迎えるとは考え難いと思うだろう。原作は全12巻なのに対して映画第一弾は原作3巻分程度しか進んでいないのだ。こうなったら第二弾は原作とは一味も二味も違ったものを見せて欲しいものだ。大丈夫、実写版Lが異常に糖分を摂取し続けるかぎり、そしてリュークがリンゴを食べ続ける限り、たとえ原作とは展開が違っても満足してもらえるものができるはずだ(本当か?)。…よっぽどしょぼくしない限りね。
キャストについては特に不満も無い。あのダークな役を真正面から演じきれる若手は藤原竜也ぐらいしか思いつかないし、Lも結構いい。そういえばL役の松山ケンイチは漱石先生の名作・『夢十夜』実写版の第十夜に主演するらしいぞ。おぉ~…。ミサは見た目は可愛かったけど声がちょっと低すぎ?と思ったな。彼女はもっとキンキン声でもいいような。そういえば、原作で二番目にデスノートの被害者となる男ということで、チョイ役ながらも原作ファンには知名度の高いシブタクこと渋井丸拓男を演じてたのが劇団大人計画の顔田顔彦さんだったのにはびびったな。原作ではあっさり殺られるシブタクだが、映画では結構見せ場あって驚き。映画でのシブタクは月にデスノートでの殺人を遂行させるための重要キャラに昇格していた。おめでとう。同じ劇団大人計画メンバーでは、バスジャック犯役で皆川猿時も出てたな。
あ、最後に。先ほど「原作と映画は別モノとして考えるべき」と書いてしまったが、「さよならレイ・ペンバー」とか「キラだから」は言って欲しかったなぁ、映画版の月にも…。で、第二弾ではニタ~っと笑みを浮かべながらの「計画通り!!」を言って欲しいなぁ…。

※画像は『DEATH NOTE』9巻の表紙。この表紙の絵が一番好きだ。ブルーで綺麗。


【今日の数字】
28654
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70140
 


夢の残り香―『吾輩~』についてちょろちょろとな

2006-07-17 22:08:13 | テレビ
「鉄は熱いうちに打て」。というわけで今日は、『吾輩は主婦である』熱が上がりまくりの今だからこそ記事にできることを書く。ドラマを見ていて日々思っていた、取るに足らない些細なことをダーっと羅列。

●このドラマを見てから、本屋に行くととても楽しい気持ちになる。本屋で『女性セブン』を見て『女性タブン』を、『文藝春秋』を見て『文藝多分』を、『インストール』を見て『キャミソール』を、『ダヴィンチ』を見て『レオナルド』を、『月刊カドカワ』を見て『月刊カドワカ』を、『東京タワー』を見て『京都タワー』を連想してしまうのだ。とにかくしつこいくらい出版界をパロったネタが出てくる『吾輩は主婦である』。こういうパロディーはクドカンドラマでは定番だが、一つのジャンルをここまで集中的にネタにしたのは珍しいかも。

●劇団「大人計画」の女優さんで、クドカンドラマにもよく出ている池津祥子さん。彼女はこのドラマで、矢名家の向かいの家でクリーニング屋を営む元ヤン主婦・やすこさんを演じている。やすこはみどりの夫・たかしの幼なじみという設定。幼なじみ役ということで物凄くなれなれしく「たかしー!」と呼びかける池津さんを見ていると、6年前の、同じく彼女が出演したクドカン脚本ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』を連想してしまう。ここで池津さんは、窪塚洋介演じる「池袋のキング」の最愛の恋人・ジェシー役を怪演していた。金パツで物凄い厚化粧。一度見たら忘れられない強烈な風貌の謎の女ジェシー。で、窪塚君演じるキングの本名は「タカシ」なので、ジェシーはいつも彼の事を「タカシちゃん」と呼ぶ。…キャラは全然違うはずなんだけどなんとなくダブって見えるんだ、やすこさんとジェシー。未見の方は見比べてみると面白いかもしれません。『吾輩は主婦である』と『池袋~』の池津さんと「たかし」の関係を…。

●矢名家の長女・まゆみの彼氏・コウジ役を演じた坂巻恵介君という人は、このドラマがデビュー作らしい。彼は映画『木更津キャッツアイ』の新作で野球シーンの指導をしに現場を訪れた際、同映画のプロデューサー・磯山晶氏の目にとまり、俳優デビューが決まってしまったというシンデレラボーイだという。磯山氏は『池袋ウエストゲートパーク』からのクドカンドラマの常連プロデューサーで、彼女の目にとまりクドカンドラマに出た俳優はほぼもれなく人気が出るというジンクスがある。妻夫木君とか坂口憲二とか佐藤隆太とか塚本高史とか成宮寛貴とか…彼らは皆、磯山氏の目にとまりクドカンドラマに出て、その後人気物になっていった人達。坂巻恵介君が彼らに続けるかどうか、見ものですよ。

【今日の数字】
28645
28454
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70138 

「恭子さんが『うん』って言ってくれた事が嬉しくて、旦那さんのことスッコーンって頭から抜けてたー…」

2006-07-16 21:47:33 | テレビ
2000年の1~3月期に放送されたドラマ『お見合い結婚』の再放送を見た。人妻に恋してしまう若き商社マン役を演じる窪塚洋介を見て、たった6年が気の遠くなる程の長さの時間のように思えた。ちょうどこの頃だ、彼に熱をあげていたのは。中学時代、ラルクと窪塚君は私の中での二大スターだった。99年春、野島伸司脚本の『リップスティック』という、月9とは思えない重苦しい内容のドラマを見てからすぐに彼のファンになってしまったなぁ。あの頃から2001年の映画『GO』までが所謂全盛期かな…こういう言い方は凄く良くないけど客観的にみたら誰でもそう思う。あの映画の後、髪形をスキンヘッドにしてからが波乱の始まりだったね…。いや、出演作はちゃんと見たけど。『凶気の桜』もね。
『お見合い結婚』の主演は松たか子とユースケサンタマリア。本放送は確かフジテレビの火曜9時。このドラマのような、ストーリーからキャスト、放送時間までザ・お茶の間なドラマに窪塚君が出演するのはこれが多分最初で最後ではないだろうか。どこかエキセントリックなキャラや、ぶっとんだ設定の作品に出ることの多かった窪塚君が、キャスト・放送時間・ストーリー展開、どれをとっても全てが保守的・コンサバなドラマに普通に溶け込む姿はかなり貴重だ。このドラマの直後に出演した『池袋ウエストゲートパーク』で物凄くぶっとんだキャラを演じた彼もかなり素敵だったが、『お見合い結婚』のような普通のコメディーに出てるのもなかなか良い。現在の彼を見ていると、サラリーマン役でドラマに出るなんて想像できないし実際そんな機会も無いだろうし。次回作は太平洋戦争時の特攻隊員の役らしいぞ…。会社のオフィスやレストラン等、普通の連ドラではごくごく当たり前に出てくる風景に窪塚君が普通に溶け込んでいるあのドラマを見ると、ちょっとだけあの頃が恋しくなるよ。
紆余曲折ありながらも現在は新作映画を撮影中であろうはずの窪塚君。9階から落下したのになぜ相変わらずあの、整形手術では生成不可能なナチュラルボーンで完璧な風貌でいられるのかとても疑問な窪塚君。いいよ、連ドラに出なくたって生きていてくれて、それでなんらかの作品に出てくれたらそれで充分だよ。そんな彼がこれまで出演したドラマで一番好きだったのが2001年冬~春のドラマ『ストロベリーオンザショートケーキ』という作品。『池袋~』でのキング役も捨てがたいが、一番はやはりこれだ。脚本は野島伸司。『リップスティック』で余程彼を気に入ったのだろうか。このドラマで窪塚君は主演のタッキーを差し置いて、やたらと見せ場の多いキャラを演じている。「永遠の片想い」を主なテーマにしたこのドラマ、はっきりいって野島伸司の最後の傑作(この後のドラマはもうダメなものばかり。『高校教師』の続編とか…)。そして、その傑作を支えたのが、場面を彩りつつストーリーを盛り立てるきれいな色使いと、窪塚君の演技だと私は思っているよ。何度このドラマを見ても彼の輝きっぷりは色褪せていなくて眩暈がする。…眩暈は言いすぎだな。

うー、長いなぁ今日のタイトル。『お見合い結婚』で窪塚君が放った印象的なセリフです。


【今日の数字】
28634
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L'Arc~en~Ciel 、過去のシングルを再発―「四番街喫茶」も出るよ!

2006-07-15 23:13:22 | L'Arc-en-Ciel
ラルク アン シエル結成15周年企画として、過去に8cmシングル(画像のような細長い形のやつです。懐かしい!)で発売された15枚のシングルが、12cmシングルになって再リリースされるらしい。PVの見れるカラオケで歌えば誰もが爆笑する衝撃映像が見れる(必見)ラルク記念すべきデビュー曲「Blurry Eyes 」から、8cmシングルとしては最後の「forbidden lover」までの全15曲が、8月30日に一挙リリース。こういう再リリース企画、B'zやサザンもやってましたね。音源は多分そのままだから熱心なファン以外の人は興味のない企画だろう。私もこの企画を知った当初は「音源全部持ってるし。お金もったいないし買わなーい」と思ってた。最初はね。でもリリースされるシングルのラインナップを見て驚いたね。「あー!「the Forth Avenue Café」も出るんだ!やったぁ!」と…。
「the Forth Avenue Café」は、アルバム『True』に収録されている、東京スカパラダイスオーケストラをフィーチャーした傑作ホーンポップである。1996年12月に出たアルバムからのシングルカットとして、翌年の春にリリース予定だった。しかしアルバム発売後、当時のドラマー・sakuraの覚せい剤使用が発覚し、ラルクは活動休止に追い込まれ、「the Forth Avenue Café」のリリースも立ち消えになってしまったのだ。まさに幻のシングル。ついでにこの曲はアニメ『るろうに剣心』のテーマ曲でもあったのだが、事件発覚で即別の曲に差し替え。当時、本当に「なんてこった…」と呆然とした。アルバム『True』がじわじわと売れてチャートで一位を取り、しかもそのアルバムの曲が、当時「このアニメのテーマ曲はもれなく売れる」と言われた「るろ剣」のテーマ曲としてシングルカットされる。ラルク的にも「今まで売れなかった分、売りまくるぜ、ここから!」って時にクスリ事件で全てがストップ。なんちゅータイミングやねん、と。そんな因縁のシングルがこの夏遂にリリースされるのだ。正確に言えばこの曲だけ「再リリース」ではないけども。
ファンにとって重要なのはカップリングだ。ラルクのメンバーが各々の楽器パートを入れ替えて結成したバンド「D’ARK~EN~CIEL」の音源が収録されているのだ。シングル発売中止でまさに「幻」となったこの音源が約9年越しに蘇るのだ。うー、絶対聴きたい、絶対買う。もちろん「the Forth Avenue Café」自体もかなりの名曲だから、これがちゃんとシングルとしてリリースされるというのはめでたいことだ。「わかっていても気づかないフリして/溺れていたよいつでも/誰かのこと想ってる横顔でも素敵だったから」という歌詞が印象的な失恋ホーンポップ。売れるといいよねー。
「るろうに剣心」、あんなに流行ってたのに一頁も読んだことがなく、もちろんアニメも見たことのない作品だ。でも「the Forth Avenue Café」と「虹」がテーマ曲だったのは知ってる。そういえば、新ブログの女王・しょこたんが「the Forth Avenue Café」を好きだとブログに書いていた。好んで聴く音楽といえばアニメソングと80年代アイドルとヒップホップユニットSoul'd Outの曲(なんでだ!)という彼女だが、「るろ剣」繋がりでこの曲を好きになったそうだ。ついでに「NEO UNIVERSE」も好きらしい。アニメ経由で好きになる人ってやっぱりいるんだねー。「鋼の錬金術師」のテーマ曲だった「READY STEADY GO」も好きらしいぞ。やっぱ売れるならアニメソングだな。じゃんじゃんラルクの曲をアニメで使ってもらってくれ(私は見ないけど)。……薬物使用以外でも、CDが売れないと活動止まっちゃうからね、バンドって。

※画像は「HONEY」のジャケ。8年前の今頃あらゆるところで流れまくってましたね。8年前、みなさん何してた?あの頃の未来に僕らは立っているのかな?

【今日の数字】
28626
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先生、さようなら。とても楽しかったです―『吾輩は主婦である』最終回

2006-07-14 21:07:34 | テレビ
『吾輩は主婦である』全四十話の放送が本日終了した。最終回はいつものように、沢山の笑いと温かさとちょっとの感傷、そして素敵な笑顔に満ちていた。全てが「ふりだし」に戻ったラスト、人によっては「物足りない」と思うかもしれないけど、私は大満足。「何気ない普通の日常に幸せを見出すなんてダメだ!」という、このご時勢ではいささか元気すぎる主張に裏付けられた上での「ふりだしに戻る」だもん。こっちまで元気になれそうな気がするよ。本当に素晴らしいドラマをありがとう…。これから先もう「吾輩」の活躍を見れないと思うとちょっと…いや、かなり寂しいな。見てる間中はずっと日々の辛いことを忘れさせてくれた、見てるだけで笑顔になれた最高のドラマでしたよ。「ドラマに出演したキャスト全員を好きになってしまう」というクドカンマジックも効きまくり。みどりもたかしもちよこさんもやすこもまゆみもじゅんもコウジ君もヤン様も朝野さんもダメAD中島も、あー…もうみんなみんな大好きだ。
このドラマで初めて斉藤由貴の演技をじっくりと拝見したのだが、もう、何度「すっごい演技するなぁこの人!」と感激したことか。ドラマ初期、まだ優しいお母さんだったころのみどりの頃は「可愛いなぁ…この人に夏目漱石が憑依なんてもったいねー!」とその魅力にメロメロになった。オープニングテーマ「家庭内デート」をミッチーとともに熱唱する映像は言わずもがな。そして漱石が乗り移った後で連発された名演技。主婦は決してみせないような不機嫌で怪訝そうな表情は、「♪ねぇ聞いて、お母さんね、好きな人がいるの。それは、それはね、お父さん」と歌ってる人と同一人物だということを幾度と無く忘れさせられた。文豪・漱石のペースを乱す周囲に対してドスの効いた怒声を浴びせる度に、みどりさんが女性だということすら忘れそうになる。ドラマにハマればハマるほど、斉藤由貴が漱石先生にしか見えなくなってくる。偉人・漱石として人生のアドバイスをする場面には貫禄が漂い、「私もこのみどりさんに悩みを相談してみたいなぁ…」と何度思ったことか。私はリアルタイムでの斉藤由貴の活躍を見ていないからよくわからないけど、いろいろ調べてみたら全盛期は物凄い可愛いアイドルスターだったようだ。そんな頃から見ていた往年のファンの人の目に「吾輩」を演じる彼女はどう映ったのだろうか。
もう一人の主演・みどりさんの夫のたかしを演じたミッチーは、完全にツッコミに徹していてこれまた新鮮。娘に対して真剣に「避妊しなきゃならないようなことをするなって言ってんだ!!」と怒る様がハマるとはねぇ…。またいつかやってください、お父さん役。最強に似合ってましたよ。
今、『吾輩は主婦である』全四十話の中で特にお気に入りのエピソードについてちょろちょろと書いている。近いうちに載せる予定です。

【今日の数字】
28616
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金魚運動器→ロデオボーイ―あなたの腹筋は大丈夫?

2006-07-13 22:23:39 | 日記
中学時代、私は一年半ほどバレーボール部に所属していた。引退までは頑張らず、中二の秋、部内で起きたいざこざから逃げるようにして退部してしまった私。後味の悪い退部の仕方だった。部活を辞めたからと言っても、バレー部のみんなと顔を合わせずに学校生活を送るなんて不可能(私の行ってた中学、一学年にたった5クラスしかなかったのだ)。それを思うと、いざこざから完全に脱走できたとは言い難かった。それでも険悪な人間関係の中でチームプレイをするという苦しき矛盾にまみれた所からは無縁の場所にいる。数ヶ月に渡って蓄積されてきた鉛のような物が少しずつ排出されていく感覚を覚え、「さぁ、これからは部活に縛られず好きなことだけをしまくるぜ」と開き直った。しかし精神面だけでなく肉体面にも問題があった。いきなり運動部をやめたら、いきなり太りだすんじゃないか?毎日の練習を終え、クタクタになった私は夕飯の後、当たり前のようにお菓子を食べていた。「ハードな部活だったので太る心配は無いだろう」という安心感からの習慣だった。習慣というものは恐ろしい。部活を辞めた後でも私は普通にお菓子をパリパリ食べていた。これはマズい、と思い、太らないように何か運動しなくては、ということで、一日60回の腹筋をすることを義務付けた。30回1セット×2。テレビのCMの間にこれをこなすのだ。余裕というか元気のある日は3セット以上行い、必死で肥満を阻止しようとした。初めのうちはあっさり筋肉痛などを起こし、バレー部で鍛えたはずの体があまりにもあっさりもろくなることに衝撃を受けた。しかしこれを続けていくうちに毎日の腹筋は完全に習慣付けられた。ハミガキをしない日は無い。それと同じように、腹筋をこなさない日も無くなった。中3の修学旅行の際も、宿泊先のホテルで腹筋をやった。同室の友人がお風呂に入っている間にささっと済ますのだ。見られるの恥ずかしいし。そのおかげでなんとか体重は維持された。しかしこの習慣は、高校入学後、気づけば無くなってしまった。止めた理由は覚えていないが、きっと「面倒くさがり」が発動しただけだろう。
現在私は片道20分強の距離を自転車でえっちらおっちら行っている。今のこの蒸し暑い季節は自転車通学に一番辛い時期だが、「きっと今物凄くカロリーを消費してるはずだわ!」と自分に言い聞かせて頑張っている。相変わらず間食するから、自転車通学を止めたら太りだすのは目に見えてるから…。それに加えて最近はまた腹筋を復活させている。今日は昨日腹筋をさぼったことを思い出し二日分やった。ムリしすぎただろうか。今でもお腹がプルプルピクピクしている。あぁ、しんどかった…。
最近は「ロデオボーイ」という、簡単に腹筋を鍛えられるスポーツ器具がブーム。あれがあれば苦しい腹筋トレーニングをしなくても本気でお腹の筋肉が引き締まるらしい。数年前の「金魚運動器」(正式名称「スイングスイム」)とは比べ物にならないほどの効果が期待できるようで。「金魚運動器」…キムタクが主演ドラマ『HERO』で通販好きの検事を演じ、「金魚運動器」も試していた。脚を乗せるところがとても狭く、「…もともと痩せてる人しか使えないんじゃね?」と購入者を懐疑的にさせたかもしれない「金魚運動器」。あれとは比べ物にならない効果が期待できるらしい「ロデオボーイ」。凄く欲しいけど、頑張って腹筋してる自分もちょっとだけ好きだったりするの。


【今日の数字】
28605
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70131

「然しこれからは日本も段々発展するでしょう」「亡びるね」

2006-07-12 19:18:31 | テレビ
『吾輩は主婦である』が今週で最終回を迎えてしまう。あぁ…寂しくなるねぇ…。今週の月曜日、漱石先生に憑依されてしまった主婦・みどりさんが、ドラマの主要キャラ達一人一人宛てに遺書のような形式の手紙を残して失踪してしまう、という展開からクライマックスに向けて物語が動き始めた。一人一人に宛てた手紙ということで、それら全てを合わせると大変な量になる。これをまとめるだけで一冊の本が出来てしまうぐらいの量だ。この大量の手紙を見て、みどりが「夏目みどり」の名で連載をもった際の担当編集者・小松は漱石先生の名作『こころ』の話をする。『こころ』は三つの部から成り立っていて、最終章にあたる第三部は全編「先生」から「私」に宛てられた超・長文の遺書となっている。夏目みどりが書いたこの大量の手紙は『こころ』の「先生」が自殺寸前に書いた遺書を彷彿とさせるのだった…。
このドラマではタイトルから想像できるように、ドラマのあちこちに夏目作品にまつわるネタが出てくる。今回は上記のように『こころ』の「先生と遺書」のネタが出てきた。さらに「夏目みどり」が「三四郎文学賞」なる賞にノミネートされたり。編集者の小松によると、「三四郎文学賞」は「芥川賞」ほどの知名度は無いものの、「夏目漱石の後継者」にふさわしい作家に与えられるかなり名誉な賞らしい。「漱石の後継者」っつーか本人ですが(笑)。他に登場した「漱石ネタ」は…

・みどりは夫を「赤シャツ」ならぬ「赤パジャマ」と呼ぶ
・みどりが夜に見た夢を語る前に「こんな夢を見た」と『夢十夜』の書き出しを呟く
・小松「『三四郎』『それから』『門』」 みどり「……まだ二作しか言ってませんよね?」
・木曜日になると近所に人々がみどりの周りに集い、それが「木曜会」と呼ばれるようになる
……などなど。

ドラマが最終回を迎えたら、全四十話の中から特に好きな回を数話リストアップしたり、いくつかの名ゼリフを引用したりしてこのブログでさらにいろいろと語ろうと思う。2003年の『マンハッタンラブストーリー』以来、久々に超ハマってしまったドラマだもの。いくら語っても語りつくせないほどの魅力を秘めまくってる。そういえば先週『吾輩は主婦である』のDVD-BOX発売決定が告知された。前半二十話を収めた「みどり」版と、後半二十話を収めた「たかし」版の二つに分けて秋頃にリリースらしい。各セット15000円、計3万円也。でもアマゾンだと両方合わせて22000円ほどで買えるようだ。…買うよ、当たり前じゃん。ドラマをじっくり見たいのはもちろん、特典映像もかなり魅力的なのだ。劇中の韓流スター、ペ・ヤングンのプロモーションビデオがフルで見られるんだよ!他に、舞台裏とかもバンバン見れるらしい。全『吾輩』ファン必携のDVD-BOXですよー!

画像はもちろん漱石先生の名作『三四郎』の新潮文庫版の表紙。漱石作品の中で一番好きな作品である。だから『吾輩は主婦である』に「三四郎文学賞」というワードが出てきたことがとても嬉しいのですよ。未読の方は是非読んで、明治時代の東京を旅しよう。

【今日の数字】
28599
28422
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70127

今年もこの季節がやってきた/電池切れちゃやーよ

2006-07-11 21:35:03 | 活字全般
●夏になると、各出版社が主に夏休みを迎えた学生向けに「文庫本フェア」を催す。私の家の近所の本屋の一番目立つ場所には新潮社の「新潮文庫の100冊」の特設コーナーがどーんと設けられ、新潮社が「この夏ぜひぜひお読みなさい(つーかどれでもいいから買いなさい)」と推す文庫本100種類がずらりと並ぶ。全100冊のリストが載っている小冊子も平積みされている。この小冊子を手に取ることで「あぁ、夏が来たんだなぁ…」としみじみする。「読書の秋」とよく言うけれど、本が集中的に売れまくる&読まれまくる時期って今の時期だよな、はっきり言って。ちなみにこの2006年版の小冊子で一番最初のページに紹介されている本、それは我らが夏目漱石先生の『こころ』と『坊ちゃん』である。この冊子、『吾輩は主婦である』の主人公・みどりさんに見せてあげたいねー。新潮社は夏限定で、帯についているマークを二枚集めるとパンダグッズが貰えるというお手軽なキャンペーンを実施する。今年はパンダのマスコット人形らしい。貰うぜ、絶対。キャラクター物はあまり好まないタイプの私だが、新潮のパンダはどうやら特別らしい。
現在「新潮文庫の100冊」の特設サイトが催されていて、そこでは100冊全ての紹介文のほか、過去の「新潮文庫の100冊」リストを1976年まで遡って掲載している。これ結構面白いぞ。漱石先生の『こころ』は当たり前のように毎年リストアップされているが、年によっては『三四郎』や『吾輩は猫である』や『それから』も併せてリストに挙がっている。今年は『坊ちゃん』が選ばれたわけだが、せっかく『吾輩は主婦である』という昼ドラが放送されているんだから今年は『猫』をリストに入れればよかったのにニャー。
新潮社の文庫フェアコーナーの隣には、やや小さいスペースで集英社の夏の文庫フェア「ナツコミ」のコーナーがあった。毎年イメージキャラクターに若手の俳優を使う集英社。今年は蒼井優だった。イメージキャラといえば数年前に窪塚洋介が選ばれていたとき、彼の写真が沢山載った小冊子を即ゲットしたなぁ…懐かしいっす。
集英社文庫と新潮文庫がずらーっと並んでいるのを見て思ったのだが、漱石先生の作品の本のカバー絵のセンスは圧倒的に新潮社のものが良いと思う。いつか書店に行ったら見比べてほしい。その作品の素晴らしさをより引き立てるように思うのだ。新潮文庫の『吾輩は猫である』のカバー絵なんて最高ではないか。あのロイヤルな雰囲気の猫。小説の中の「猫」はあんなイメージじゃないけどさ。

●昔ある人に「携帯電話を充電すると電池の寿命を早めることになる」と忠告されたことがある。当時私はとりあえず電池の充電具合の表示が常に満タンになっていないと落ち着かず、家に帰ったら即充電していたのだが、そういう使い方はダメだと。だから最近は極力電池がカラッポになってから充電するようにしている。今朝携帯を見たら電池の残りがかなり少ないようだったが、「まぁ、一日なら…」と思いそのまま家を出た。そしたら午後、凄く微妙なタイミングで電池が切れた。もう…邪魔しないでよ電池のばかー。携帯の電池切れるとがっかりするよ。ちなみにipodの電池が切れたらがっかり通り越して動揺してしまうね。一人ぼっちの時は音楽が無いと私やばいもん。


【今日の数字】
28590
28412
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70124 

江戸の婦女子が好むもの

2006-07-10 20:43:55 | 活字全般
月曜日は共通テーマの日。今日のテーマは「ゼミ」。現在自分が大学で所属しているゼミについて思いつくままだらだらと書く。
私は近世、つまり江戸時代の文学を研究するゼミに所属している。江戸時代の文化について興味があったのでそのゼミを選んだ。大の酒好き&タモリ好きの先生の下で毎週一回近世の文学作品を読み、意見交換などをするという活動をしている。ゼミの先生は大学の授業では『奥の細道』や『雨月物語』など、近世を代表するメジャーな文学作品の演習を行っている。しかし少人数で行うゼミではマイナーなものを扱う。江戸の庶民の間で流行した俗っぽい読み物とか、下品で滑稽な笑い話などを読むのだ。後者のような作品を読む際、先生は「授業ではとても扱えない内容ですねぇ。でもこれこそゼミの醍醐味ですよ」みたいな事を言いながらニヤニヤしている。本当にね、ごくたまに下ネタすぎる挿絵の載ったお話を扱ったりするのですよ。そういう話は当時の江戸っ子たちのハートをがっちりつかんでたようです。
ゼミではたまに江戸の町並みの残る場所を尋ねたり、松尾芭蕉や井原西鶴の縁の地を訪ねたりする小旅行のようなものが催されるらしい。5月18日の日記にも書いたようなお散歩旅行(このときは名古屋市緑区・有松周辺の旧東海道をウロついた)。先生の解説つきで一通り散策した後は飲み会が待っている。大人数でにぎやかに酒を飲むのが好きなのだろうか。先生は酒に酔うと人格が変わる。一人称が「私」から「オレ」になる。我々ゼミ生の事は「あんた」又は「オマエ」と呼ぶようになる。そして個人的な話をいろいろとしてくれるようになる。娘の彼氏の話、『タモリ倶楽部』を毎週見ているという話、同僚の教員の様々な裏話…。最近は「娘は彼氏と別れたらしい」というどうでもいい話をしてくれた。でも同僚の教員の話は結構楽しい。○○先生は裏声で松田聖子を熱唱するとか、○○先生はエヴァマニアだとか…ね。そのようなくだけた会話が展開する。授業などで見せる普段の様子とは全く異なる雰囲気を醸し出す先生。
…なんだかゼミの話というよりは先生の話ばかりになってしまった。この記事を読まれる大多数の方には知ったこっちゃ無い話だ。この前のゼミの演習でのことでも書こうか。先日ゼミで『春色梅児誉美』という近世の恋愛小説を扱ったときの事。江戸の庶民・特に若い婦女子の間で大人気を博したこの作品。主人公・丹次郎が正妻と愛妾との間を行ったりきたりした挙句、最終的には正妻と妾双方を自宅に住まわせ三人仲良く暮らしてハッピーエンドという、強引に要約するとハッピーだかなんだかよくわからない物語である。この展開に対してある男の先輩が「このハーレム男の物語がなんで女子の間で人気だったのか?フラフラしまくりで女子的には腹立たないか?」という意見を出した。そしたらある女の子が「丹次郎はフラフラしててもかっこよく書かれてるから腹なんて立たない。江戸の女子も丹次郎のかっこよさに夢中になったのではないか」と。そして先生が「女性はかっこよくて女たらしな男性キャラが好きなんですよ。基本ですよ」「『源氏物語』も女性に大人気でしょ?私たまに卒論で『源氏』やるっていう女の子をからかうんですよ。『女遊びしまくりの源氏って女性から見てどうなのよ』って。でも大抵『かっこいいからいいんです!』って返ってくる」「私は男なんで、当然あまり理解できませんがねぇ、光源氏の魅力」と、色々と語った。すると先の男の先輩が「やっぱかっこよければ何でもいいんすねぇ、今も昔も」と言い、話はどんどん『春色梅児誉美』から恋愛の話へ脱線していった。
こんなゼミなのです。

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