拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

嘘にこそ、真実がある―実写版『DEATH NOTE』について

2006-07-18 21:45:24 | 映画
今日は先々週観た映画『DEATH NOTE』について思ったことでも書こうか。微妙にネタバレあります。

名前を書くことで、書かれた人間を殺すことができる殺人道具「デスノート」を拾った名門大学の法学部に通う大学生・夜神月(ヤガミライト)。凶悪犯罪が続発する一方で、事件の未解決・犯罪者の不起訴処分が増加するという現実にうんざりし、法による正義に限界を感じていた彼は、「デスノート」を使って自らの手で犯罪者をどんどん裁き、犯罪の無い平和な世界を作ることを決意するが…
原作では天才高校生という設定だった月が、映画化にあたって法学部の大学生にチェンジされている。物語をわかりやすく運ぶために、「法律に限界を感じてデスノートを使った」という要素がプラスされているのだ。この設定変更の他にも原作とは違う部分は多々あるので、「原作と比べて映画ではこうだから映画はつまんない!」という指摘は野暮だろう。映画と漫画は別モノとして考えるべきだ。あの情報量の多すぎる原作をそのまま映画にしたら、原作未読の観客が混乱するのはだれでもわかるし。…あまりにも何にも考えずに、ポカーンとしててもわかる映画もどうかと思うけどね。
まぁ、別モノと言ってもデスノートの使い方のルールは全く同じだし、月の起こした「犯罪者大量殺人事件」を追う天才探偵・Lの不健康そうなルックスや異常な甘党ぶりなど、『DEATH NOTE』のを形成する「核」のようなものはそのままなので、原作ファンへの配慮みたいなのはひしひしと感じられるが。というか「核」さえ原作どおりならあとは何をやったってよさそうな気もする。映画は第一弾と第二弾に分けて公開ということで、原作を読んだ人にとっては「え、こんなところで終わりっすか!?」という場面で「つづく」になってしまう。既に完結した漫画とはいえ、映画版を観て原作も読み終えた人ならば、映画版が原作と同じように展開してラストを迎えるとは考え難いと思うだろう。原作は全12巻なのに対して映画第一弾は原作3巻分程度しか進んでいないのだ。こうなったら第二弾は原作とは一味も二味も違ったものを見せて欲しいものだ。大丈夫、実写版Lが異常に糖分を摂取し続けるかぎり、そしてリュークがリンゴを食べ続ける限り、たとえ原作とは展開が違っても満足してもらえるものができるはずだ(本当か?)。…よっぽどしょぼくしない限りね。
キャストについては特に不満も無い。あのダークな役を真正面から演じきれる若手は藤原竜也ぐらいしか思いつかないし、Lも結構いい。そういえばL役の松山ケンイチは漱石先生の名作・『夢十夜』実写版の第十夜に主演するらしいぞ。おぉ~…。ミサは見た目は可愛かったけど声がちょっと低すぎ?と思ったな。彼女はもっとキンキン声でもいいような。そういえば、原作で二番目にデスノートの被害者となる男ということで、チョイ役ながらも原作ファンには知名度の高いシブタクこと渋井丸拓男を演じてたのが劇団大人計画の顔田顔彦さんだったのにはびびったな。原作ではあっさり殺られるシブタクだが、映画では結構見せ場あって驚き。映画でのシブタクは月にデスノートでの殺人を遂行させるための重要キャラに昇格していた。おめでとう。同じ劇団大人計画メンバーでは、バスジャック犯役で皆川猿時も出てたな。
あ、最後に。先ほど「原作と映画は別モノとして考えるべき」と書いてしまったが、「さよならレイ・ペンバー」とか「キラだから」は言って欲しかったなぁ、映画版の月にも…。で、第二弾ではニタ~っと笑みを浮かべながらの「計画通り!!」を言って欲しいなぁ…。

※画像は『DEATH NOTE』9巻の表紙。この表紙の絵が一番好きだ。ブルーで綺麗。


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