拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

めくるめく浮世絵の世界

2006-11-30 21:08:04 | 日記
昨日、所属するゼミの皆様と、松坂屋栄本店で催されている浮世絵の展覧会「四大浮世絵師展」に行ってきた。美人画の頂点を極めた喜多川歌麿、幻の天才絵師東洲斎写楽、世界一有名な日本画家葛飾北斎、ゴッホも愛した風景絵師歌川広重。近世を代表する4者の作品群が一堂に会すという貴重な展覧会らしく、閉館間近にも関わらず沢山の人々が訪れていた。浮世絵、展覧会形式でじっくりと眺める機会は久々だったが、一瞬で魅了されてしまった。着物や髪の毛の先などを細部まで緻密に描きながらも豪快な構図は迫力満点だ。あまりにも美しい作品はその場からしばらく動けなくさせる…。
喜多川歌麿の描く、女性への憧れ、理想を詰め込んだ美人画。江戸時代と現代では美人の条件が違うので、初めこそ「これが美人…?」と多くの人が思うかもしれないが、何枚も見続けると描かれる女性たちがどんどん美しく見えてくるから不思議だ。遊女や江戸の評判の町娘の日常をとらえた美人画が特に印象的。バチっとキメた姿ではなく、ちょっとした隙を見せた瞬間を垣間見るようでドキドキする。馴染みの客を想って手紙を書く遊女の可愛らしさには息を飲んだ。頬を紅潮させながら筆を取る遊女。心地良い「酔い」を感じた。さすが遊女。また、鏡に向かい化粧をする女の絵に描かれた真剣な表情は、女性の真実を捕えているようで感心。風俗が違っても、今も昔も変わらないのだ、人間て。遊郭の一日を一時間毎に一枚ずつ描いたという作品は全部展示して欲しかったな。こういう美人画って、今でいう水着のグラビアみたいな感覚で楽しまれていたのだろうか…。
突如江戸の町に現れ、当代の人気歌舞伎スター達の浮世絵を大量に描き残し、わずか10ヵ月で姿を消したという謎だらけの絵師・東洲斎写楽。身元不詳の天才(著名な絵師の変名か?という説もある)の作品に描かれた俳優たちは皆、迫力のある凛々しさとコミカルな親しみやすさを持ち合わせた不思議な魅力を放っていた。歌舞伎ファン向けにブロマイドとして売られた一連の作品。写真の無い時代なのでその分絵を本人に似せてリアルに描いた結果、俳優たちから「かっこよくない部分まで実物そっくりに書かないでくれ」と囁かれたとか。そういえば江戸時代には既に追っ掛けが存在したらしく、芝居小屋の楽屋付近には歌舞伎スター目当ての女子たちが溢れていたようだ。思わず憧れの役者に求婚する娘もいたとか。いつの時代も芸能人はモテモテだ。そして熱を上げる女子パワーは不変。また、写楽は俳優の他に当時の人気力士たちの絵も描いていた。江戸っ子達に親しまれた、7歳にして体重70キロオーバーの超肥満児力士の絵には衝撃を受けたね…マジに実在したのか…?
ゴッホやモネなど、19世紀ヨーロッパの所謂「印象派」の画家たちに多大な影響を与えた葛飾北斎。西洋人達の注目を浴びた大胆な構図と鮮烈な色彩が特徴の彼の作品で一番有名なのはやはり、日本各所から見える富士山の様子を描いた「富嶽三十六景」だろう。作品群を眺めていると絵の中に吸い込まれそうになるような気にさせる、どこまでも深く綺麗な藍色が素晴らしい。見ていて鳥肌が立ったり、涙が出そうになった作品もあった。荒れた海と背景にそえられた美しい富士が有名な「神奈川沖浪裏」(画像)は、間近で見てると渦巻く高波にのまれるかと思ったぐらいだ。北斎の目が捕らえた高波の姿、写真にでも写したかのようなリアルさ。そんなリアルなものが、浮世絵という超アナログな媒体に表現されているのだ…感動。そんな感動作とは対象的に、なんとも滑稽な漫画風の作品も展示してあって驚いた。男の変顔が羅列してるだけの絵、とか。
江戸・日本橋から京都・三条大橋を結んだ東海道の各宿場を描いた「東海道五十三次絵」で有名な歌川広重。彼の絵は、ゴッホによって模写されている。浮世絵の構図や色使いの手法を取り入れた作品を数点残したゴッホは広重の絵を通して、遥か彼方の江戸の地に思いを馳せたのだろう。広重といえば「東海道~」なので風景画のイメージが強かったが、この人は美人画を描かせても凄いようだ。今回の浮世絵展で最も心を奪われた作品は、広重の「東都名所・両国夕すずみ」という作品。江戸・両国橋のそばで夕涼みをしている三人の女性を描いた絵である。ただ涼んでいるだけではなく、まるでファッションショーのようにポーズをとる女性たち。季節は夏なのかかなり薄着で、着物がはだけて生肌がチラりと見えるその姿は勿論色っぽい。そんな女性達の背景には、やはり風景画の名手ということで何とも味のある色合いの江戸の町が描かれている。川は沢山の屋形船で賑わっており、川の対岸では料亭の明かりが輝いている。そして漆黒の夜空…。江戸っ子たちはこんな風にして夏の夜の江戸の町を楽しんでいたのだな…と思うとワクワクしてくる。
実際両国辺りは江戸時代の人々の遊び場だったりデートスポットだったりしたそうだ。「もしもタイムスリップできたら江戸で遊びたいなぁ…」という私の叶わぬ願望を刺激しまくった鮮烈な作品だった。川沿いの料亭で屋形船を眺めながらのんびりお酒飲んだりしたーい…もしかしたらゴッホもそんなような事、思ったかも。そう、両国といえば江戸東京博物館である。これまで二度ほど訪れたが、展示物があまりにも私好みな素敵な博物館だったな…日本橋や中村座の複製とか。また行きたい。今すぐ。イメージキャラクターの「えどまる」はまだ健在だろうか…。
展覧会を見た後はもちろん飲み会である。ゼミのみんなでぞろぞろと居酒屋に入り、お酒を飲みまくりながら教育実習の思い出やら今後のことやらくだらない世間話やらをダラダラ語って終了。やっぱ明太子ポテトは美味しかった。生牡蠣を食べた先輩は今朝嘔吐しまくったらしい。…これからの宴会シーズン、牡蠣に気をつけよう。
書き忘れたが「四大浮世絵師展」、かなりおすすめである。松坂屋栄本店の南館で12月3日まで。


暗転した青春―『リアル』6巻

2006-11-28 20:22:54 | 漫画
井上雄彦原作『リアル』の新刊が出ていたので購入。一年に一度、秋から冬に移り変わる今の時期に新刊が出るこの漫画も今年でやっと6巻目。物凄くゆったりな発売ペースだが、「続きが気になってしょうがない!」とウズウスしてしまうようなタイプの漫画でもないのでもう慣れた。忘れた頃に新刊が出る漫画として親しんでいる。季節の風物詩みたいなもんで、本屋で『リアル』の新刊を見つける=「もう冬かぁ…」という感じだ。
『スラムダンク』で一大バスケブームを巻き起こし、『バガボンド』で新境地を開拓している最中の井上が放った作品『リアル』。ここでは再び井上が大好きなバスケを題材に扱っている。主人公は三人の男たち。ナンパした女の子を交通事故に巻き込んでしまい、下半身不随の障害を負わせ、通っていた高校も中退した野宮。中学生時代に負った怪我で足を切断、車椅子生活をするようになった戸川。成績優秀でスポーツ万能だったが、突然の交通事故で重傷を負い、下半身不随となってしまった高橋。登場する三人の主要人物達が、それぞれのやり方でバスケに接している。野宮と高橋は元は同じ高校に通う同級生で、バスケ部のチームメイト同士。高橋はキャプテンで野宮もそれなりの実力者だが、互いの性格上、仲は険悪。戸川は車椅子バスケのチームに所属し活躍している。
この漫画の一巻が出た2001年の春。本屋で『リアル』を手に取り、一巻を読み終わった時は心が躍った。また井上雄彦のバスケ漫画が読めるんだ、と。さすがにこの時は続きが気になって、新刊発売を心待ちにしたが、二巻が出たのが翌年の秋。一年半も待たされた末に二巻を読み、物語が殆ど展開していない事にびっくりしてからやっと気付いた。この漫画はバスケを扱っていても、『スラムダンク』とは全く違う種類のものなんだということに。『スラムダンク』は荒っぽいヤンキーだった桜木花道が、猛練習の末バスケットマンに成長する物語だった。バスケに関してはド素人だった桜木が、インターハイで活躍するという劇的な成長にかかった時間は高校入学からその年の夏休みという、かなりの短期間である。少年ジャンプ連載の漫画だけあって、桜木の成長は実にダイナミックに描かれている。対して『リアル』の登場人物達は、そんな劇的な成長をしておらず、巻数が進んでもなんとなくくすぶったままだ。
しかし、そもそも人はそんな急には変われないのだ。特に一度屈折したり挫折したりした人間は、何か嬉しい事が起きた時に「前向きに生きてみようか」などと思ったとしても、次の日に嫌な事が起きればまたやさぐれる。それの繰り返しだ。もちろん細かな心の変化は少しずつ描かれている。彼らが直面した出来事や人との交流によって、ゆっくりではあるが成長している。その成長速度こそが「リアル」なのかもしれない。
ほんの少しずつではあるが成長していく登場人物たち。コワモテだが熱血男・野宮は、なんとか障害を負わせた相手と向き合えつつある。クールなイケメン・戸川は仲違いしていた車椅子バスケのチームメイトとちょっとずつ和解しつつある。しかし残る一人、ひねくれ優等生・高橋は、一生車椅子生活を送ることになったという重い事実を受け入れられず、いまだに屈折したままである。元々、漫画の中で一番のひねくれキャラであった高橋。『リアル』最新巻では、そんな高橋にスポットを当て、彼の闇に迫る。
人は簡単には成長できないということを如実に示すような高橋。幼い頃から勉強もスポーツ得意な彼が小学生時代に打ち込んでいたのはバスケだった。父親にバスケの上達ぶりを見て欲しくて毎日猛練習していた高橋だが、両親の離婚、父との別れによって彼から熱意が消えていく。過去の猛練習のおかげで、いつの間にか、それほど練習しなくてもキャプテンになれるような実力を身につけていた高橋。テストの成績も、頑張らなくても上位だった。何かに一生懸命になることを忘れた高橋は、頑張っても自分の位置まで昇ってこれない人間をひそかに見下すようになった。
成長することを止めた高橋を象徴するようなセリフが一巻にある。高校を辞めた野宮と久々に再会し、バスケで対決するシーンでの、高橋のプレイを凝視しながらの野宮のモノローグ。「レッグスルーからジャンプシュート。変わってねぇな、得意技は」。この得意技こそ、父親に見せたくて猛練習したにもかかわらず、とうとう見せられなかったものである。そして下半身不随の現在の高橋にはもう永遠にできない技でもある。技を読んだ野宮は高橋のシュートをブロックし、負かした。小学生時代から変わることのできない高橋が今後どうなるのか、それがこの漫画で一番楽しみなポイントである。


おっさん達は超元気―ラルクの2007年

2006-11-27 00:02:46 | L'Arc-en-Ciel
来年のラルク活動予定が発表されたのでここに記しておく。来年のラルクは動くぞ!でもどうせなら今年に動いて欲しかった…ライブとか絶対行く暇無いし…。

1. 2月14日に初期のPVを収録した『CHRONICLE 0』発売。ビデオシングルだったデビュー作「眠りによせて」から「Lies and Truth」までのシングルのPVを収録。『CHRONICLE』シリーズ恒例の面白おまけ映像も気になるところ。当時流れたCMもちゃんと収録されるのか?笑える編集で仕上げたメイキング映像は??単なるPV集にしないでくれよー!

2. 3月14日にこれまで未発表だったライブ5本を一挙に映像化したDVD-BOX発売。98年の『ハートに火をつけろ』の大阪ドーム、99年『GRAND CROSS TOUR』の東京ビッグサイト、99年→2000年のカウントダウンライブ『RESET >>>LIVE000』、2000年の『TOUR 2000 REAL』の東京ドームそして去年行われたアジアツアーから上海公演。これらのライブ映像を収録したDVD5本組!お値段29400円(笑)!アホか!高いわ!バラ売りしてくれよ…。完全限定生産だそうです。

3. 2007年春、新曲リリース。タイトル、発売日などは未定だが、tetsu作曲っぽい春らしくポップでせつなげな曲だとか。楽しみ楽しみ。

そして…

4. 2007年6月~8月、98年の『ハートに火をつけろ』以来の全国ホールツアー開催!30箇所34公演!ラルクがホールツアーだとよ!おっさん達元気だねぇ。ツアースケジュールを見たらなんと東名阪すっ飛ばし!首都圏は横須賀、市原、大宮のみ。関西は神戸、京都、彦根、そしてhydeの地元和歌山。東海地方は浜松と岐阜だけ。あくまでも地方を中心にまわるツアーのようだ。北海道なんて札幌、函館、帯広、旭川の4箇所も行くみたいだよ。函館に関してはラルクもグレイも両方好きなファン限定にしてあげればいいのに(ふ)。冷静に考えて東名阪でライブしないのは考えられないから後日追加公演のアリーナツアーか何かが発表されることでしょう。でも関係ないんだ、時期的にこの期間の私は絶対ライブどころじゃないから…。6月からツアーってことはきっとその前にアルバム出るはず…楽しみ楽しみ。

ふー。これだけのニュースが15周年記念ライブの後に発表されたそうです。こんなのライブ会場で見たら、ファンなら発狂しちゃうね。ただでさえラルクに飢えていた時期だしね。ラルクのメンバーはMCで「来年は16周年だ~」等と喋ってたようなので当分解散は無いでしょうね。もうラルク=空母みたいなもんだよ、多分。いくら各メンバーのソロ活動が活発になったとしても、それは空母―戻る場所があること前提の活動に思えてくる。
 

ラルク、15周年記念祭!(でも参加出来ず…)

2006-11-26 11:34:14 | L'Arc-en-Ciel
暇だ。せっかくの日曜日なのに風邪の悪化が心配で何処にも行けやしない。暇なのでブログを更新します。11月25・26日のラルクの15周年記念ライブ。以下、既に終了した11月25日のセットリストだそうだ。

1.the Fourth Avenue Cafe
2.Caress of Venus
3.Vivid Colors
4.Lies and Truth
5.夏の憂鬱
6.all dead
7.White Feathers
8.trick
9.honey
10.stayaway
11.metropolis
12.winter fall
13.Pieces
14.neo universe

15.ここからメドレー
HEAVEN'S DRIVE
DIVE TO BLUE
LOVE FLIES
花葬
finale
浸食
Anemone
flower
snow drop
HEAVEN'S DRIVE
ここまでメドレー

16.Driver's High
17.Shout at the Devil

~アンコール~
18.I'm in pain
19.dune
20.new world
21.自由への招待
22.瞳の住人
23.killing me
24.ready steady go
25.link
26.新曲 
27.虹

何度見ても凄い。まず曲数多すぎ。さすが15周年記念。最近では全くライブでやらなくなった曲をかなりやってる。衝撃なのは「DUNE」「All Dead」「I'm in pain」「夏の憂鬱」「Vivid Colors」「White Feathers」あたりだろうか。「I'm in pain」なんて音源化すらされてないインディーズ時代の曲だぜ!実を言うと私もつい最近まで聴いたことすらなかった曲だ(最近やっとyoutubeで見れた)。隠れ名曲「metropolis」もやってる…。あとは15曲目のメドレー部分、全盛期の代表曲殆ど網羅してるじゃないか。なんって贅沢なメドレーなんだ。あー、なんで私昨日東京ドームに居なかったんだろう。こんなプレミアムすぎるライブを見逃すなんて…不覚だー。「15周年記念ライブ…東京ドームだけかぁ。行くの無理だー」ぐらいな感じで普通にスルーだったよ。マジにDVD出してくれ…。地方在住のラルクファンを軽視しないで(笑)。12月にWOWOWで放映されるライブ映像も絶対チェックだな。でも放送時間たったの2時間だから大幅カットされてそー。どうせなら生中継してくれてもいいのに。9年前の活動休止明け初東京ドームライブのときは生中継されたから見れたのに。まぁ、MCが下ネタだらけだから生中継無理なんだろうな。他にも事情はあるでしょうけど。
こんな豪華なライブをやられて、必ずチラつくのが「解散説」なのが悲しいラルク。もう何度も何度も何度も耳にしたことのある言葉だけど、なんとなく今回は大丈夫な気がしてる。新曲発表してるし、MCでhydeが「15周年もやってると周りのバンドが皆いなくなってしまった」という趣旨の発言をしたそうだし。これ、「ラルクは引き続き頑張るよ」宣言だよね?うーん…。でも考えてみると、ラルクとほぼ同世代で10年以上活動し続けてるメジャーバンドって本当に少ないな。それこそGLAY、ミスチル、スピッツぐらいしか思い浮かばない。流行の移り変わりの激しい日本で長年活動し続けることがどんなに大変かは、主に90年代後期に全盛期を迎え、2000年前後に解散していった沢山のバンドたちを見ればわかるだろう(X、ジュディマリ、イエモン、ルナシー、ブランキー、ミッシェル…メジャーなバンドだとこんぐらいかな)。B'zやサザンとかはもう特例ですな。現在最前線で活動している若手バンドたちはいつまでもつかな…。
で、本日26日のセットリストは一体どんなことになるんだろう。気になるけど気にしててもしょうがないので『雨月物語』読んでよっと。

病床パブリック

2006-11-25 08:52:05 | 日記
流行中の胃腸風邪になってしまった。胃腸に風邪ウイルスが入って機能しなくなっちゃうやつ。食べたものは全部逆流し、今は胃の中からっぽだと思われる。こういう時はひたすら安静が一番ですな…。食欲が見事に消失して、食べ物なら何を見ても嫌になるという状況。熱は下がって欲しいけどこの食欲不振は続いて欲しいな。逆流したときまず思ったのが「あ、痩せれる」だったし……あぁ何言ってんだ。
しかし風邪ひいて動けなくなるなんていつぶりだろうか。久しく体調を崩していないから病床の過ごし方がわからない。…いや、大人しく寝てろって話だが、ずーっと寝てたら眠気も覚めるしね。暇だ。体だるいくせに暇過ぎて何か活動したい気分。仕方なくhideのDVDを流し、それを寝ながらぼんやりと見つつ過ごしている。
見ているのは『UGRY PINK MACHINE Vol.2』というDVDで、内容は、hideの全国ツアーの模様を楽屋裏風景を中心に追い掛けたもの。移動中や楽屋でのhideとバックバンドのメンバー、そしてスタッフ達の数々の奇行を収録した、なかなか過激な映像作品である。打ち上げでの激しい飲み会の様子やホテルで起こした珍騒動などを見てると、楽しいながらも胃が痛くなってくるようなならないような…。でも基本的にhideのDVDだから元気は出てきそう。好きな音楽の力って本当に凄い。

まだまだ突っ込み足りない『吾輩』ワールド

2006-11-22 19:45:20 | テレビ
5月~7月に放送された2006年を代表する昼ドラ『吾輩は主婦である』のDVD-BOXの下巻が届いた!上巻に続き、またもや豪華特典満載。あぁ、幸せだ。早速上巻の特典として付いていた、ブックケース風の渋いボックスに上下巻を揃えて収納。見よ、この高級感…。まさに文豪・夏目漱石先生の名著を借りた作品なだけある。こんな普通の大学生の部屋なんかじゃなくて、書斎とか、上流階級の人の家のリビングルームの戸棚なんかに並べておきたいものだ。全クドカン作品の中で最も凝った装丁のDVD-BOXだと思うな。ケースの手触りもとてもロイヤル。
で、特典。上巻には斉藤由貴演じる主人公・みどりさんが書いたポエム集が付いていたが、今回は劇中でミッチー演じる旦那さん・たかしが書いたミュージカルの曲の歌詞及び楽譜が付いている。ドラマを盛り上げた数々の名・珍曲たち…「Drops are my tears」「その日暮らしの貴婦人」「魚は目を開けて眠る」「つぼみの花が咲く時」「その男 マドロス」…これらが手書きで記してある楽譜集だ。乱雑な字で音符や歌詞が殴り書きしてあり、曲に対するたかしの妙な熱意がひしひしと感じられる。もちろんコード進行も記載してあるので楽器やってる人はコピってみてはどうだろうか。私も家にあるオルガンで弾いてみようかな。
この作品集を見てるだけでも笑えるが、さらに強力な特典が。吾輩の処女小説が連載された思い出の雑誌、女性タブン(出版社は「森と泉社」)の形のメモ帳である。もちろん女性セブンのパロディーであるこの女性誌。表紙はもちろん劇中のNo.1韓流スター、ペ・ヤングン。表紙に踊っているいかにも女性誌な見出しがいちいち笑えるのでここで紹介してみようと思う。
・「ヤン様カツラ疑惑!?で韓国大パニック!!」
こーれは大スクープ。しかしヤン様表紙の雑誌にこんな記事載せるなよ!
・「ダイブドア代表取締役 涙のテイクアチャンス」
「テイクアチャンス」ってやっぱ株取引用語でしょうか。ホワイトナイトとかTOBとかいろいろあったね。
・「山本直樹カツラ疑惑の真相!」
このタレント、31歳らしいです。お気の毒に。
・「首相官邸あきれたお色気深夜残業」
いかにも週刊誌っぽい「あきれた」という語句がポイント。
・「『オレオレ詐欺』『ダレダレ詐欺』から『ピヨピヨ詐欺』まで新手口で500万円!」
知りたい!ぜひ手口知りたいっす。いつ「ピヨピヨ詐欺」にひっかかるかわかんないもん。
・「カニちゃん『ライバルは双子の妹』初告白48時間!」
きっと売れっ子モデルなんでしょうね。
・「浅野真央『タンザニア留学』母が命じた’焼肉ざんまい’」
スケート選手でしょうか。タンザニアに何しにいくの…
・「坂井紀子 高山真由美 40歳ママ同じ「公立小」の選択」
あえてお受験を選択しなかった芸能人ママ。気になりますね。
・「民自党党員のあきれたサイドビジネス 歌舞伎町風俗店「オッパイ議事堂」の売り上げが選挙資金に!」
「週刊ポスト」とか「プレイボーイ」とかその辺の見出しだろコレ(笑)。
・「切って使える「あなたに似合う色」シート パーソナルカラー実践編」
女性誌に欠かせない占いコーナー。「耳の裏の色で判定!不幸を呼ぶコスメ&ルネッサンス」だそうです。
あと、巻頭のグラフ&ルポ。やっぱりずらり韓流スターが並ぶ。
「ドン・チャンゴン『SEXYボランティア』」
「ビョ・インホン『ゴキゲンダイナマイトボディー』」
「ジェ・チュウ『激写!銀座豪遊録』」
ふー。盛りだくさんでしょ。たった一冊の小さなメモ帳にネタ満載でしょ。ドラマに出てくる個性強すぎの奥様方が、この雑誌を暇つぶしに読んでるんだろーなー、と考えると微笑ましい。ヤン様のカツラ疑惑に「こんなのガセネタよ!」なんて言いつつも、首相官邸での「お色気深夜残業」の記事は信じて「嫌よねこういうの~」なんてグチったり。ドン・チャンゴンのセクシーボランティアにときめいたりしてんだろうな。
ちなみにこのドラマに出て来た雑誌・書籍は他に、吾輩の小説が連載された『文藝多分』(『文藝春秋』)、『月刊カドワカ』(『月刊カドカワ』)、100万部突破のベストセラー小説『キャミソール』(『インストール』)、『京都タワー』(『東京タワー』)、「この雑誌でベストワンに選ばれた本は必ず売れる」と言われている『レオナルド』(『ダヴィンチ』)。徹底的に出版界をパロってます。
 

追記
姫ちゃんのリボンオープニングテーマ(youtube)
笑顔のゲンキ/SMAP。懐かしい!

「時には味方、時には敵。恋人だったこともあったかな?」

2006-11-21 19:29:00 | 映画
今日の記事は今年の3月ごろに書いたもの。いくらなんでも放置しすぎなのでこの辺で投稿することにする。

数年ぶりに『ルパン三世 カリオストロの城』を見た。宮崎駿監督作品及びジブリ作品に疎く、『となりのトトロ』さえまともに見たことの無い私だが、ルパン三世は大好きなので『カリオストロ』は何度も見ている。初めから終わりまで一切弛まず颯爽と走って行くストーリー展開には突っ込み所がまるで無く、ラストの有名な銭形のセリフには何度もじーんとさせられる、正真正銘の名作映画。アニメの技術的にも、「アニメで一番表現するのが難しい」と言われている「水の描写」を見事に描いていて、とても30年近く前に作られた作品とは思えない。金曜ロードショーで再放送されるたびに新しいファンをつけてこの先もどんどん人気が拡がるであろう、日本映画界の宝。
しかし、よく言われているのが「あれは真のルパンじゃない」という指摘。原作の漫画及びハードボイルドな作風の初期のアニメのルパンを好む人にとって宮崎駿が生んだ『カリオストロ』のルパンは優しすぎる、と。原作のルパンだったらクラリスの額にキスするだけじゃ済まないぞ、と。祖父であるところの怪盗・アルセーヌ・ルパンとは違い、決して義賊ではなく、自らの欲望のままに行動し、お宝を手に入れたり女に手を出したりするのが原作のルパン。原作者モンキー・パンチ氏も、『カリオストロの城』の魅力を存分に評価しながらも、この作品のおかげで自分の「ルパン三世」を描きにくくなった、という旨の発言をしている。作品自体の完成度とは別の次元で『カリオストロ』は賛否両論のようだ。
アニメの『ルパン三世』は三期に分けられて放映された。第一期のハードな作風のルパンは青色のジャケットを着ているが、第二期、三期のアニメでは赤のジャケットを着ている。多分世間に浸透しているのは赤ジャケを着た新しめのルパンだろう。私も初めて見たのは赤ジャケのルパンだ。夏休みなどに再放送されたアニメや、年に一度制作される二時間スペシャル版に登場する赤ジャケのルパン。それらを見てルパンのファンになったのだ。そんな私が第一期の青ジャケのルパンを見たのはほんの数年前。WOWOWで深夜に放映されていたものだった。
『ルパン三世』は青年誌「アクション」に連載されていた大人向けの漫画なので、アニメ化の際にも原作を踏襲したハードなものになった。このアニメを見たモンキー・パンチ氏は「今までに見たことのないようなアニメ」と絶賛したが、視聴率が芳しくなかったため子供向けに作風をシフトチェンジした挙句、結局は打ち切りに。この第一期をWOWOWで見た時、かなり驚いた。まず主題歌がめちゃめちゃ渋い男の声で歌われてるし、ルパンはワルな匂いがプンプンしてるし、銭形がかなり優秀だし、五ェ門は初めはルパンたちの敵だし、不二子はスケベな拷問を受けてたりと終始アダルトだし、そんな世界に次元は当然ハマりまくってるしで、とにかくそれまで持っていたルパンのイメージとは違ったのだ。でもこういう渋くアダルトな世界観がルパンには一番合ってるのかなーなんて思ったりして。この第一期ルパンの人気に火がついたのは再放送された時だったそうだ。その人気を受けて、ハードボイルド色が陰を潜め、家族みんなで楽しめるようなコミカルな第二期シリーズが制作され、さらにブレイク。ルパンは国民的アニメに成長した。
『カリオストロの城』はそんな第二期放映中に公開された映画だ。赤ジャケを着たルパンが定着した時期の作品であるにもかかわらず、『カリオストロ』でのルパンは青ジャケを着ている。その理由は監督の宮崎駿が、コミカルな第二期よりも大人向けの第一期の作風を好んでいたためである。思い返してみれば、『カリオストロ』でのルパンは原作とはかけ離れた優しさをもっていながらも、特にコミカルな演出がされていたわけではない。酸いも甘いも味わいつくしたような渋さを漂わせている。過去にカリオストロ城に侵入した頃のことを「とにかく名を上げようとバカやってた」と回想してたり、不二子との掛け合いがどこかクールだったり(「ふ~じこちゃ~ん!」が殆ど出てこない)。やんちゃな時期をとっくに過ぎた、おじさまルパンなのだ、カリオストロのルパンは。カリオストロ城に隠されていたお宝は、これまでルパンが関わってきたどんな宝物よりもスケールも価値も高かったはずだし、時系列的に『カリオストロ』が全てのルパンシリーズのラストに位置すると考えた方が無難だしおもしろい。
『カリオストロの城』、とにかく大好きな映画だが、峰不二子好きの自分としてはドライなルパンと不二子の関係がちょっと寂しかったりする。ここでの不二子はルパンを迷わす魔性の女ではなく、ルパン、そしてクラリスを助ける優しいお姉さん、という感じの扱い。いや、この話の中で不二子がルパンを誘惑してたらクラリスの立場が無くなるから仕方が無いといえばそうなのだが、不二子ファンには物足りない。「原作よりも優しいルパン」より「善人不二子」の方が個人的には大問題だ。本当の本当のラスト、「ルパン見て、あたしの獲物!」と不二子がルパンに声を掛けるシーンがあるのが救いだ…。 


元祖「エロかわ」?『不思議なメルモ』

2006-11-20 21:12:08 | 漫画
手塚治虫の漫画『不思議なメルモ』の文庫版を見つけたので読んだ。以前の記事にちらっと書いた『奇子』とは違い、一般人にもよく知られている有名どころの部類に入るこの作品。大人や子供に変身できる魔法のキャンディーを手に入れた少女・メルモちゃんによるドタバタ魔法コメディーである。1970年代に描かれた古い作品だが、「♪メルモちゃん メルモちゃん メルモちゃんが持ってる 赤いキャンディー 青いキャンディー しってるかい」という主題歌に聞き覚えがある人は多いだろう。
突然交通事故に遭い、急逝してしまったメルモちゃんのお母さん。まだ幼いメルモちゃんと弟のトトオくんを二人だけ残してしまったのを心配したお母さんは、神様に頼んで、メルモちゃんに魔法のキャンディーを渡してもらう。赤いキャンディーを食べると10歳若返り、青いキャンディーを食べると逆に10歳年をとる。何か困ったことが起きたらこのキャンディーを使い、二人で頑張って生きるよう言われたメルモちゃん(とトトオ)。メルモちゃんは7歳なので、基本的に青いのを食べて大人に変身し、身の周りで起こる事件を解決したり逆にトラブルを巻き起こしたりすることが多いのだが……妙に色気がある。
メルモちゃんに限らず、手塚治虫の漫画に描かれる可愛い女の子や美しい女性たちが妙に色っぽいということは、彼の漫画を数冊読めば気づくことだろう。ただ、メルモちゃんの場合は色気の描写が割りと露骨だ。この漫画は完全に子供向け、しかも学年誌「小学1年生」に連載されてた低年齢向けの漫画で、ストーリーも子供用に単純明快で勧善懲悪ものが多い。ちょっといじわるな大人たちに、キャンディーで大人になったメルモちゃんが対抗するというのが主なストーリー展開である。で、メルモちゃんが青いキャンディーで10歳年上の女性に変身する際、大きくなるのは体だけで、着ている服は小さいまま。何が起こるか容易に想像がつくだろう。連載と同時期に放送されていたアニメでの変身シーンなど、思春期真っ只中の中学生男子が見たら…。小さな子供ならワクワクしながら、思春期の子供ならドキドキして、大人になったら「あぁ、こういうことだったのかぁ」と納得しながら楽しめる。『不思議なメルモ』はそんな漫画だ。
手塚治虫は「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」などで世間一般から「戦後漫画の創始者」「漫画の神様」という健全なイメージを持たれていたにもかかわらず、よりによって子供向け作品でこんなのを描いていた。もしかしたらそんなイメージを逆手にとっていたのかもしれない。彼は「手塚治虫」というブランドをオブラートとして、ちょっと過激な作品を包むのに利用していたはずだ。
もちろん『不思議なメルモ』はお色気的展開だけではない。メルモちゃんが魔法のキャンディーのあっと驚く使い方を次々と発案し、トラブルを乗り越えるシーンは痛快である。一般常識が足りない分、まだまだ頭の柔らかい7歳のメルモちゃん。キャンディーで体が大人に変身しても心は7歳のままというのは、実際大人になった私から見るとある意味脅威である。現代では、体はすっかり大人なのに精神的には大人になりきれない若者が増加し問題になっている。多分自分もそこに片足を突っ込んでいるだろうという自覚もある。「大人になりきれない」と「子供そのもの」は違う。中途半端で不安定な自分は、見た目は大人なのに中身は正真正銘の子供であるメルモちゃんには色んな意味で負けるかもしれないな…。子供の発想は、時に大人を越えるから…。
さて、『メルモ』とほぼ同時期に青年誌で『奇子』が連載されていたのだが、これはかなり興味深い。『奇子』は、数奇な運命を辿った山奥の旧家の末娘・奇子(あやこ)が主人公の物語である。とある事件がきっかけで土蔵に閉じ込められ、幼児期~20代前半という人間にとって精神的にも肉体的にも最も大切でかけがえの無い時期をその土蔵の中でひっそりと過ごした奇子。20年近くも外の世界を知らず、必要最低限の世話をしにくる母と兄が唯一の世界とのパイプだった彼女は、まさにキャンディーで大人になったメルモちゃんと同じように心が未発達な状態で成長を遂げてしまった。『奇子』はファンタジー漫画ではないから、赤いキャンディーで体を戻してやり直すことは出来ない。『不思議なメルモ』を読んで、益々『奇子』が持つ重苦しい物語性に気づかされた気分…。

『不思議なメルモ』オープニングテーマ(youtube)
あまりにも有名。可愛い!

『不思議なメルモ』エンディングテーマ(youtube)
変身シーンあり

その、ようかんの食べ方に惚れました

2006-11-18 22:31:35 | 映画
映画『DEATH NOTE the Last name』を見てきた。この秋はたまたま「要チェックや!」な映画が短期間に重なっている。今月に入ってからもう二本。映画好きなら当たり前かもしれない本数だが、あまり映画館にまで足を運ばない私にとっては結構多い。映画館に足を運ばないので今回は劇場を間違えるというバカなミスを犯してしまい、遅刻しそうだった。いやぁ、名古屋駅前の映画館「ピカデリー」微妙に複雑じゃない?わかる人にはわかるだろうが、「ピカデリー」は6つの劇場から成る小規模のシネコンみたいなものなのだが、その6つが一カ所にまとまっていないのだ。二つのビルにわかれて所在しているのだ。ピカデリー1・2が豊田ビルにあって、3~6が三井ビルにある。事前にチェックしておかないと違う方に行ってしまうという事態に。そして私も連れも未チェックだったので間違えて豊田ビル行っちゃったよ、前編が豊田だったから…事前にチェックしろって話だよな。まぁ、春には10個ぐらいの映画館が一カ所にまとまってるシネコンが名駅にもできるらしいのでもう迷うことはないね。…なんだか前置きが長くなってしまったな。
以下、ネタバレ有りで感想を書くので見てない方は読まないように。原作を読んでない人も読まないように。



今回の映画の上映時間は140分。日本一文字量と情報量の多い少年漫画を、なんとかこの分数にまとめた作品だけあって、展開はスピーディー。「えぇぇ!そんなスーパー推理アリですか!??」と突っ込みたくなる箇所は前編よりもさらに増えたように感じたが、そんなにいちいちじっくり推理していたら一本の映画に収まらないしテンポも悪くなるからしょうがないのかなぁ…と思ったりもしたが、やっぱりちょっと違和感が。原作と比べて、というのは置いておくとして、原作を読んでいない人にとっても、第2・第3のキラに辿りつくまでの展開は「強引すぎる」と感じたのでは?特に第3のキラ。「ジェンダー関連の犯罪者を裁いた件数が多いからキラは女性」という推理はいかがなものか。フェミ男かもしれないじゃないか!つーかジェンダー絡みの犯罪って…婦女暴行とか痴漢とか?うーん…。そして「さくらTVで報道された犯罪者が多いからさくらTV関係者」って…もう突っ込みどころが多すぎる推理だぞ月!…でもあのタイミングで高田アナにたどり着かなきゃ話が転がらないのでしょうがないが…やっぱ推理ヌルいよー。
とはいえ見所もたくさん。注目はなんといっても主人公・月を演じる藤原竜也の怪演だろう。デスノートを使用することによってどんどん人の心を失っていく月。彼が「キラは正義であり、世界を平和にするために絶対に必要な存在」という持論をLや警察関係者の前で展開するシーンを見て、「若手でこの役やれるの藤原しかいない…」と再々々々確認した。完全に舞台仕様の演技になってたなぁ、あの部分。なんだあのスクリーンを占拠した、狂気が服を着たような男は。リュークによってデスノートに名前を書かれ、心臓を押さえ、涙しながら悶絶するシーンは、絶句。名演技でしたね…。舞台を中心に活躍する俳優がたまにTVドラマに出ると、「芸達者すぎて浮く」という場面に遭遇するが、今回の藤原竜也にもそういう雰囲気をなんとなく感じた。
Lも頑張っていた。前編ではドーナツやケーキなど、洋菓子を中心に食していた彼だが、今回は和菓子中心。団子や餅やようかんを…ようかん…ようかんのシーン最高だったねー。あれ、もしかしてういろうだったかも?まぁいいか。言葉を区切る位置が変すぎる独特の口調も奇妙さを増し、さらにLらしくなった感じ。それだけに自ら死を選ぶラストは悲しかった。デスノートによって所有者・キラの意のままに自分の生死を操られない方法。それは自ら前もってデスノートに名前を書いておき、死亡日時も添えておくこと。デスノートでは死亡する日時も、23日以内ならば操ることができる。それを利用し自らの名前をノートに書き、キラの都合によって殺されることを阻止したL。自分がキラによってデスノートに名前を書かれることを前提にしての、文字通り捨て身の作戦で、Lは月に勝利した。…やっぱり人情を持つ死神・レムが地上に降り立った以上、そしてミサがキラである以上、Lの死はどうやっても避けて通ることができない、ということだな。どんなに策を張り巡らせてミサを追い詰めたとしても、彼女に危機が及べば無条件でLは殺される。レムはL側にとって驚異の反則キャラだった。あーでも殺されるのと自ら死を選ぶのとはやっぱわけが違うよ。合掌。予想外の展開だったが寂しかったですよー。 


少年マガジンの思い出

2006-11-17 21:13:46 | 漫画
少年ジャンプを立ち読みしだしたのは中学生頃だっただろうか。ジャンプ自体は物心ついたころから従兄弟が買ってたものなどを借りて読んでいたが、中学生になってからあまり従兄弟に会えなくなったので自分でコンビニで学校の行き帰りに立ち読みするように。元々連載されてる漫画を全部読む人間ではなかったから立ち読みで十分だった。今思えば、中学生の頃ジャンプで読んでたのは『HUNTER×HUNTER』だけだった気がする。その頃から現在までジャンプの看板を支えている漫画『ONE PIECE』は、ナミとベルメールさんの話まで読んでたが、「あ、こういう展開凄く嫌い」と思って止めてしまった。その頃の私はどちらかというと少年マガジンの方を熱心に読んでた。
ジャンプの失速が止まらず、発行部数でマガジンがジャンプを抜いたのがちょうど私が中学生の頃。小学校3年ぐらいからマガジンも平行して読んでいたが、確かに中学時代はジャンプよりマガジンの方が好きだった。『GTO』『金田一少年の事件簿』『はじめの一歩』『人間凶器カツオ』『無頼伝涯』『脳みそプルン!』…あとはたまに載る『MMR』などなどを読んでた気がする。急にジャンプの漫画が子供っぽいなと思えてくる瞬間が来たのだ。『無頼伝涯』なんて当時中学生の私には衝撃だったぜ。あれが福本伸行漫画初体験。でも今振り返ってみればマガジンだって普通に少年向けなんだけどね。それでも当時の体育教師とかはバリバリマガジン読者で、授業の合間によく『はじめの一歩』や『脳みそプルン!』の話で盛り上がったりしていた。…知ってる?『脳みそプルン!』。知る人ぞ知る脱力系4コマギャグ漫画。4コマと言っても構成は起承転結ではなく、初めの1コマ以外は全部オチみたいな感じ。オチの上にオチを重ねて読者の脳みそを揺さぶる。なぜか奇妙な仕掛け満載の公衆トイレに入ってしまう男の悲劇を描いた「トイレ」シリーズや、それとよく似ている「お店屋さん」シリーズなどが傑作だった。連載開始から数年は巻末に近いページで地味にひっそりと連載されていたが、有名漫画・アニメやドラマ、歴史上の人物をパロったシリーズものの4コマ漫画を増やしていくうちに少しずつ人気を集めていった漫画。「二代目一休さん」や「アルプス野郎廃次」、「戦国ハイスクールノブナガ」、「パパン」などが(地味ながらも)最盛期の人気シリーズだったが、これ覚えている人いるかなー…90年代末から2002年頃のマガジンを読んでた人なら知ってるはず。マガジンのギャグ漫画だったら今なら『魁!クロマティ高校』が有名だけど、その陰に隠れていた『脳プル』もまた傑作なのです…。
年に一回ぐらいの割合で掲載される戦争モノの漫画(『語り継がれる戦争の記憶シリーズ』みたいな名前)も『MMR』とともに楽しみなシリーズだった。第二次大戦中、人間魚雷にのった若者の悲劇や戦後シベリアに送られた捕虜の話、原爆のエピソードなどは幼い私の涙を誘うと共に「せ、戦争こえぇぇぇぇ!」と身震いさせた。その恐ろしい余韻から解放されたくて『脳プル』や『GTO』を読んで口直ししてたな(笑)。この戦争モノを描いていたのは三枝義浩という人だったんだけど、この人が描いた戦争モノ以外の作品もこれまた夢中で読んだ。覚えているのは一つだけ、「キムンカムイ」という漫画。中学生3人組がキャンプに行った山で人喰いヒグマが出没。諸々の災難が重なって、数人のキャンプ客とともに山に閉じ込められてしまった彼らがヒグマと対峙する…というサバイバルホラー漫画で、これまた震えた。マジに怖かったんだよ。登場人物たちが追い詰められていく様やヒグマの脅威の盛り上げ方が秀逸で。あー、なんで単行本持ってないんだろーと今更後悔。マガジンは立ち読みじゃなくて知り合いの人が読んだやつをそのまま貰ってたから単行本を買う気にならなかったんだよね(『GTO』以外)。
あ、あと結構笑ったのがGLAY結成から成功までのいきさつを漫画化したやつ。すっごく熱くて青くさくて笑ったよ。確かLUNA SEAもあったな。あれを読んで私は両バンドのメンバーの名前を覚えました。少年マガジン、『脳プル』と『GTO』が終わった頃から距離を置くようになり、最近は『さよなら絶望先生』の新刊が出てたら買う、ぐらいのつきあいだが、私が中学の頃は結構おもしろかったんだな。それが発行部数にもきっちり表れていたんだな、今思えば。