拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

我が家のTKサウンド

2008-11-22 23:25:05 | 音楽
小室逮捕以来、CD棚から過去の小室プロデュース作品を引っ張り出してきてちょろちょろ聴いている。小室ファミリーで好きだったのは安室ぐらいだからリアルタイムで、新品で買ったCDは安室のばっかりだが、ブックオフの中古盤まとめ買いセールやハードオフの叩き売りワゴンで手に入れたアルバムが何枚かあるのだ。我が家にあった小室プロデュース作品は以下のもの。※が付いてるのは中古で買ったやつ。

■安室奈美恵
『SWEET 19 BLUES』
『Concentration 20』
『GENIUS 2000』※
『break the rules』
■華原朋美
『LOVE BRACE』※
『storytelling』※
『nine cubes』※
■globe
『FACES PLACES』※
『Love again』※
『Relation』※

こんなもんか。これは多いのか少ないのか。安室の『SWEET~』は初めて買ったCDなので思い出深いな。買ってから12年経ったのか。干支一周!『Concentration 20』収録曲は、人生初ライブだった名古屋ドームでのライブでたくさん歌われてたな。いまだに色々覚えてる。『GENIUS 2000』は…すっかりラルヲタになってた頃に出たアルバムだな。リアルタイムでは出たことすら気づかなかったかも。ラルクだと「NEO UNIVERS」とかがヒットしてた頃に出たアルバムだからね。忘れた頃にブックオフでさりげなくゲット。『break the rules』は、当時の最新シングル「PLEASE SMILE AGAIN」が好みだったので普通に買った、2000年末に出たアルバム。小室プロデュース最後の作品でもある。「小室哲哉最後の輝き」とでも評したくなるほど良曲揃いなのでいつかレビューしたいなぁ。華原朋美のアルバムは叩き売りされてたやつをゲット。朋ちゃん…リアルタイムでは、歌番組などで見せる鼻持ちならない態度に、子どもながらにイライラさせられたりしたが、「I'm proud」とかは普通に好きだったな。あれ、小室作品でベスト3に入るでしょ、出来の良さでは。『LOVE BRACE』は今田・東野にどつかれつつも悪態ついてたパンキッシュアイドルから歌手・華原朋美への華麗なる転身と成功の物語をまとめた、ドラマチックなコンセプトアルバム。「あー、ラブラブだったんだっけね、当時…」と非常に感慨深くなる。で、続く『storytelling』で暗雲がたちこめ(「Hate tell a lie」など)、『nine cubes』でぶっ壊れる、と。『nine cubes』は迷盤・珍盤・怪盤・奇盤として一部(J-POP収集家)で有名ですな。クオリティ低いなんてもんじゃない。ボーカリスト・華原朋美の長所をスルーし、短所だけを煮詰めてつくったような怪曲が並んでいらっしゃる。超久々に聴いてみて改めてびっくりしたぜ。小室が逮捕された時、朋ちゃんのファンは「『nine cubes』なんて駄盤を作った天罰だ!」と思ったに違いない。これもアルバムレビューできたらいいな。globeのアルバムは……何分もあるインストや、やたらイントロ長い曲がたくさん入ってるので、TKサウンドが好きな人なら聴いててかなり楽しめるのだろうが、まぁ…思い入れないからな、私。今となっては「あほだなぁ~」にしか聴こえない曲があるなぁ。
最近はカラオケに行くと「やっぱTKっしょ」という流れになり、回顧タイムが始まったりもする。友人が歌う「I'm proud」を聴いて涙したり(キー高いから私には歌えない)、trfの能天気なパーティーチューンに爆笑したり、全盛期安室の曲のオケのド派手さに恐れ慄いたり。globeの曲で出てくる本人映像をしみじみ見たり。今20代~30代ぐらいの人がカラオケ行くと、大体こういう流れになるんじゃない?デンモクで履歴とか見ても結構小室系の曲入ってるしさぁ。

追記
そういえばライムスター宇多丸師匠のラジオで、逮捕後に組まれたTKサウンド分析特集で(岡村ちゃん特集といい、本当えらいよこの番組…)、「日本のヒップホップは、小室さんが全盛期にエイベックスにもたらした利益の恩恵を確実に受けている」と語っていた。昔から、バリッバリの商業主義な面と、商業的には厳しいけどスタッフが個人的に好きなものを推す音楽至上主義な面を両立してきたエイベックス(社長・MAX松浦イチオシのユニット、ガール・ネクスト・ドアはスベり気味)エイベックスがパトロン的役割をしたおかげでクラブミュージックが盛り上がったというのは事実だよなぁ。あの会社のバイオグラフィー凄く面白い。トラブルだらけ。

『BACCANO!』―愉快な人生の送り方

2008-11-20 23:15:00 | テレビ
いやぁ~…『BACCANO!』(バッカーノ)おもろすぎ。食い入るように観ちゃったぜ。最近のアニメってこんなにオモローなモノなのか?それとも『BACCANO!』が特別なのか?詳しくないからわからん(スカパーで『妖怪人間ベム』『キテレツ』等レトロ作品観るぐらいだ)まぁ、いい。とにかく今日はこのアニメについて書くぜ。
『BACCANO!』は、2007年の夏~秋ごろWOWOWのノンスクランブル放送枠で放送されていたアニメ。1930年代、禁酒法時代のアメリカ(主にニューヨーク)を舞台に、マフィアや強盗、不良少年軍団、さらに錬金術師などが大暴れする群像劇で、ライトノベルが原作。去年は「なんか深夜に騒がしいアニメやってんなぁ…」と、なんとなく存在を感じるぐらいだった作品だが、今年の春にスカパーで放送されてるのを観て(確か3話ぐらい)「あれ、なんかこの雰囲気…マズいぞ、好きかもしれん」と胸騒ぎ。禁酒法時代のNYという、国産作品ではあまり見かけない時代設定(他あったら教えて欲しー)や、わらわら出てくる渋いマフィア、ダラダラ流れる血、テンションの高いキャラ達、作中で流れまくるジャズがベースの愉快なブラスロックなどなど、惹かれる要素だらけだった。でも、肝心のストーリーがよくわからず、youtubeで慌てて全話視聴(全13話)。当然ハマりまくる。さらに、先月「DVD限定の追加エピソードがさらに3話ある」と小耳に挟み、DVDをレンタルし、「ぬお!これが真の完結か!」と歓喜(これも某所でアップされたが)。ネットでは「アニメでハマった人は、ぜひ原作も!」とか書いてあったが、原作はなんか沢山出てるし、絵も音も無いので、とりあえずスルー。
スカパーで3話を観て、youtubeで第一話から観始めた時は驚いた。一話、全く意味不明で。詳しい人物紹介は無く、色んなシーンの断片映像がバンバン出てきて、「!???」の連続。しかも登場人物がやたらと多く、「これ、着いて行けるかしら…」と不安に。でも2話が面白かったので観続けた。後でわかるのだが一話はこの作品のプロローグだけどエピローグでもあり、ラストまで見た後でもう一回1話に戻ると完全に理解できる仕掛け。また2話以降も、ちょっと一筋縄ではいかない構成になっていて、「片手間で見る」とかそういうことが出来なかった。原作では独立したエピソードとして書かれていたらしい複数の事件が、アニメでは同時進行で描かれているのだ。
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『マグノリア』、『クラッシュ』、『スナッチ』などなどを参考にしたような群像劇。1話の中で1930年、1931年、1932年と、舞台となる年代や場所がコロコロ変わり、初めのうちは「あれ、今いつだっけ?」と混乱してしまった。エピソード毎に活躍する登場人物も違うため、「あ、こいつが出てるから今1930年だ」と確認(ただし重複して出てるキャラも居る)。さらに各エピソードは複数の視点で描かれるので、各キャラの立ち位置を見失わないように注意。大量の登場人物は公式HPの人物相関図を頼りに確認してたな、初めのうちは。黒服だらけのマフィア軍団の名前を覚えるのが一番大変だったなぁ。で、「えーと今1930年で…どこまでストーリー進んだっけ?」という混乱もありつつ。原作を読んでれば混乱しないだろうけど、アニメだけ見てると話を整理するのがちょっと大変だ。同時に描かれる3つの年代のエピソード自体は、後で整理してみればそれほど複雑な話ではない(1932年は原作が大幅に削ぎ落とされてるらしいが)。でもあのアニメの構成の仕方で見せられると、観てて無駄にワクワクしてくる。この、構成上手!故にヘタしたら「なんか面倒だなぁ」と1話で切られやすい作品でもあるだろうねぇ。

…長くなりそうだから内容については後日!…多分!

第一話。凄く味わい深いが、初見ならわからなくて当然。

スピリチュアル瀧

2008-11-18 22:33:54 | 音楽
宇多田ヒカルがこよなく愛しているという、誕生日プレゼントとして貰ったぬいぐるみ「くまちゃん」…あれ、電気グルーヴに於けるピエール瀧と似たような働きをしてるような気がしてならない。最近そんなことをぼんやり考えるようになった。
自らを「楽器が弾けず、歌も下手なミュージシャン」と称するピエール瀧。瀧はレコーディングスタジオで殆ど何もせず、作業を相方の石野卓球にまかせてダラダラしてるだけだという。つまり端から見れば、「電気グルーヴ」のレコーディングなのに石野卓球のソロプロジェクトとあまり変わらない状態。勿論、一応瀧も作詞に参加したり歌入れしたりもするのだが、アルバム制作の大部分は、やはり卓球主体で進められる。瀧の持ち味が発揮されるのは主にライブ。富士山やスペースインベーダーなどの妙なかぶりものを身に纏い、奇怪なダンスをしながら、比類無きカリスマ性で観客を煽るのだ。どんな仮装をしても、でかい図体とインパクトのある顔のお陰で瀧にしか見えない。上半身は裸で下半身は馬という「ケンタウロス」スタイルをしても(ちなみに手には何故かチェーンソー。この姿でドイツでのライブを決行した際、彼はドイツの地方新聞の一面を飾った)、結局は瀧の存在感が奇妙な仮装のインパクトを凌駕する。これは驚異的なことではないだろうか。
とにかくステージ栄えする瀧。その存在感はあらゆる分野のクリエーター魂を刺激し、彼はここ10数年、テレビのバラエティーやドラマや映画、CMに引っ張りだこ。特に映画への進出はめざましく、マイナーな映画から『ALWAYS 三丁目の夕日』や『東京タワー』といった大ヒット作にも脇役で出演し、可憐な花を添えている。
ミュージシャンにもかかわらず、音楽以外の分野で活発に働く瀧。瀧という人は、何もせずスタジオに、ただ居るだけで、卓球のモチベーションをグッと上げるらしいのだ。卓球は「瀧がスタジオに来ると来ないとでは何かが違う。『瀧が来る!』みたいな(笑)」と語り、瀧は「スピリチュアル的な存在(笑)」と加え、さらに卓球が「ビーチボーイズは海の雰囲気を出したくてスタジオに砂を撒いてたって言うじゃない?それと一緒。普通のバンドとかが気分転換にお香焚いたりするのと一緒」と「瀧の効能」を語る。
何もせず、ただ居るだけでクリエイティブ魂に影響を与える…これは宇多田ヒカルにとってのくまちゃんと全く同じではないか。「ぼくはくま」はくまちゃんの存在が無ければ生まれなかった曲だし、インタビューでの発言を見る限り彼女はくまちゃんに甘えたり話し掛けたりすることで心の安らぎを得ている。心理学の世界では「くま=母親の象徴」らしく、「子供の頃母親に甘えたり出来なかったことの反動かも」と自己分析していた宇多田。くまちゃんによってもたらされた心の安定はアルバム『HEART STATION』にも顕れている。『ULTRA BLUE』作ったのが嘘みたいに思える程、軽やかなのだ。
……なんだかよくわからなくなってきたが、とりあえず、ピエール瀧とくまちゃんの存在感と存在意義は似てるのだ。ルックスも似てるし。思わず抱きつきたくなる、腹に安心感か何かが詰め込まれているかのような適度にふくよかな図体…。まぁ、くまちゃんは「歩けないけど踊れるよ」「しゃべれないけど歌えるよ」で、瀧は歩けて踊れて喋れて歌えるのだが…。

追っかけ

2008-11-12 01:46:01 | 漫画
子供の頃は週刊、月刊誌で連載漫画を読みまくるのが普通だった。自分で買ってたりぼん、家族が購入してるマガジン・サンデー・ヤンマガ・モーニング、従兄弟や友達に借りてたジャンプ・なかよし・少女コミック…。掲載されてる漫画を毎回全部読んでたわけではないし、特にモーニングは『OL進化論』ぐらいしか読まない時期すらあったが、ジャンルを問わず(いや、偏ってるかな?)色々な漫画に手を出していた。でも、年齢を重ねる毎に読む雑誌が減っていった。読む暇が減ったとか、楽しめる漫画が減ったとか、単行本まで待てないぐらい続きが気になる漫画が無いとか、理由は色々とあるだろう。少女漫画雑誌は割と早く読まなくなり、ジャンプなどは借りることなく立ち読みで。家に常備してあるマガジン等もサラっと。とにかく、連載漫画を雑誌で追っ掛ける機会は極端に少なくなった。今日は、そんな私が今、連載でチェックしてる数少ない漫画をチラっと紹介。紹介っつっても有名な作品ばっかだが。

■『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博、週刊少年ジャンプ)
まぁ、基本ですな。悔しいが夢中で読んでいる(立ち読みで)。休載だらけのこの漫画が載ってないジャンプには用が無いが、『DEATH NOTE』が載ってた頃は毎週月曜日が待ち遠しかったりもしたな。今回の10号連続掲載は、前半はイカルゴVSプロヴータという魚介類対決が二週も続いて困ってしまったが、今週やっとゴンとピトーが出て来て、気になる展開に。キルアの「それはどっちの?」問題の真相も見えてきたか?

■『NANA』(矢沢あい、クッキー)
なんだかんだで高校時代からずーっと立ち読みでチェックしてるな。いつ終わるんだマジで。作品内のカレンダーは今の所2002年3月だが、それこそその頃から読んでたなぁ。今、過去最高に物語の雰囲気が沈んでいる。ほら、ついにあいつが死んじゃって…。

■『PLUTO』(浦沢直樹、ビックコミックオリジナル)
クライマックス間近。単行本だと8巻ぐらいで終わるのかも(ちなみに今既刊6巻)。11月5日発売号では、アトムが一連の事件の真相をバンバン語っている。事件の真相というか、おさらいみたいな感じ?これまで断片的に描かれて来たことを、ご丁寧にアトムが整理して説明してくれている。トラキア合衆国のDr.ルーズベルトの企みについては説明されてないけど、まぁ、想像はつく。

■『BILLY BAT』(浦沢直樹、モーニング)
「以前体を壊した浦沢が、再び週刊連載!?」と驚愕してしまったが、結局週刊じゃなかった。定期的に休載する冨樫スタイル(いや、『バガボンド』スタイル?ちなみに『バガボンド』は吉岡が死んで以降読んでへん)。既に12月25日発売号での再開が決まってるだけ冨樫よりマシかな。まだ4話なので先が読めませーん。気を失い、目が覚めたら人を殺していた(?)ケヴィン。『20世紀少年』のケンヂみたく濡れ衣スタイル?それとも『MONSTES』のグリマーみたく「超人シュタイナー」スタイル?

■『アラタカンガタリ』(渡瀬悠宇、週刊少年サンデー)
『ふしぎ遊戯』『妖しのセレス』そして最近ドラマ化された『絶対彼氏』などをヒットさせた少女漫画界のベテラン作家・渡瀬悠宇が少年サンデーに登場。この人の漫画は基本的にハズレが無いですな。どれもそれなりに完成度高くて。「うわっ!超面白い!神漫画!」ってのは無いんだけど、駄作も特に無く、どれを手に取っても楽しめる。本っ当に小学館的な作家だよなぁ。初の少年誌での連載も堅実な作りで安心して読めるが、男性読者的にはどうなんだろ。萌えキャラらしきのも出てるが…。この漫画についてはいずれ記事に書く予定。

■『お茶にごす』(西森博之、週刊少年サンデー)
『今日から俺は!』『天使な小生意気』の人の新作ですね。『コナン』とか『犬夜叉』とかは気付いたら読まなくなってたけど、この人の漫画は小学生の頃から継続的にチェックしてるなぁ…何気にかなり長い付き合い。相変わらず少しヒネったヤンキー漫画描いてるよー。今回はヤンキーin茶道部だよー。

小室逮捕に思うこと

2008-11-04 17:55:42 | 日記
小室哲哉逮捕かー。90年代に思春期の一部分を過ごした者としては感慨深いなぁ。全盛期の彼のバブリーっぷりを知ってるからねぇ。一時期は納税額10億超えてたような人が、お金に困って詐欺で逮捕。んー…時代を感じますなぁ。小室逮捕に関する記事を読んでいて驚いたのが、離婚した元妻への慰謝料が数億円だということ。おそらく金に困る前に離婚したんだろうから、「この程度は支払えるだろう」という事で億単位の慰謝料支払いを命じられたのだろうが、それにしても凄い額…。そんな凄い額を養育費として受けとる元妻は、KABAちゃんが居た事で有名な小室プロデュースのユニット・dosのASAMI。この元妻、そして今の妻KEIKO、そして華原朋美。小室が、自身がプロデュースした歌手と次々に関係を持ったというのは有名な話だが、おおっぴらになってるこの3人以外にも、多分色々と手を出しているのだろう。全盛期には沢山の女の子が、小室にプロデュースされてデビューした…。
そんな小室に岡村靖幸が、小室が司会を務める音楽番組に出た時「クラブで踊ってる女の子を見て『OK!あの子デビュー!』とかやってるんですか?『君、僕の部屋においで!OK君デビュー』とかやってるんですか?」と、誰もが気になってたけど聞けなかった裏事情についてガンガン質問し、小室を困らせたのは一部で有名な話(普通本人に聞くか~?)。岡村ちゃんに問い詰められた小室は「いや…まぁ、そんな風に思う人が居るのは仕方ないよね」とごまかしたが…みんな思ってたよ!少なくとも朋ちゃんはそうでしょ。見初めたのはクラブで、じゃなくて、今田・東野司会の深夜バラエティ番組で、だけど。朋ちゃん…今何してるのかな。かつて小室と共に散々贅沢三昧したはずだが、彼女は逮捕のニュースを見て何を思うのか。
さてさて。小室ファミリー出身者の中で、自信を持って「今も最前線で頑張ってます」と言える数少ない人物が、篠原涼子と安室奈美恵であることに異論は無いだろう。「愛しさと切なさと心強さと」という冗談みたいなタイトルの曲でヒットを飛ばした篠原は演技派女優としてブレイクしたが、安室は相変わらず歌とダンス一筋。小室プロデュースを離れて以降の楽曲を集めたベスト盤のヒットも記憶に新しい。あのベスト盤のタイトルは『BEST FICTION』。小室プロデュース時代とは違い、楽曲制作時に安室の趣味や希望などを取り入れた、セルフプロデュースとも言える曲たちを集めたベスト盤に「FICTION」と名付けてしまうのが面白かった。あのアルバムには、世間がイメージするオシャレだったりカッコよかったりする安室の姿が詰まっており、それは「素顔の安室」とは別物・フィクションである、ということなのだろう。安室自身も「最近の曲の歌詞は、自分が理想とする素敵な女性が主人公」と語っている。
じゃあ、昔の曲の歌詞は?それこそ小室プロデュース時代は?安室の意志など全く反映されていないはずの昔の楽曲には、不思議と「素の安室」を感じさせるものが多い。やっとヒットに恵まれ、「一気にスターダムに昇りつめるぜ」という時にリリースされた「Chase the Chance」、前向きで可愛い安室に何故かチラつく暗い影のようなもの(…上手く説明できん。でもなんとなくわかるっしょ?)を切り取ったような「Don't wanna cry」「SWEET 19 BLUES」、SAMとの電撃結婚を予知したかのような「Can you celeblate?」、愛する人に巡り逢えた喜びを綴ったような曲が多く収録されているアルバム『GENIUS2000』、故郷・沖縄への思いが詰まった「NEVER END」…挙げればキリが無いが、小室は常に安室の心を読み取り、歌詞に組み入れていた。今となっては、作曲の才能より、若い女性の気持ちを詞にする才能に秀でていたような気がしないでもない。
しかし、女性歌手が自分で作詞を手掛けることが全く珍しくなくなった今、小室の居場所は無い。ついでに、小室の詞とシンクロ率の高かった安室は、素の自分よりも「BEST FICTION」をパフォーマンスする道で成功してるので、やっぱり小室の出る幕じゃない。さぁ、どうなる小室!
………正直どーなろーと知ったこっちゃ無いっすよねぇ。

追記
小室逮捕によって小室が作った曲は放送自粛の方向へ向かうだろう。小室の曲をライブで歌うアーティストも居なくなる。てことは、安室もツアーで小室の曲を歌うこともなくなるだろう。ネット上の多くの安室ファンは寂しがっていたが、「小室曲の代わりにスーパーモンキーズ時代の曲歌うってのはアリじゃない?」と盛り上がっているところもあって、笑えた。…うん、「パラダイストレイン」とか、アレンジを今っぽくして歌ったら名曲になりそうだもんねぇ。