拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

ダウンロードに対抗するために

2007-07-29 07:39:09 | 音楽
ここ1~2年で、CDだけの通常版と、CDにDVDが付いてる通常版より高価な豪華版をリリースするアーティストがかなり増えている。DVDには殆どの場合PVが収録されている。で、3000円のアルバムにDVDつけて4000円ぐらいで売ったり。驚いたのは、1000円のシングルCDにDVD付けて2000円近い値段で売るというパターン。なんてバカバカしい。しかもそのようなDVDつきの高価なバージョンの方が通常より売れるのだ。考えられない。2000円もあったら余裕で輸入盤のアルバム買えるし…。エンターテイメントの方向性とか享受のされ方が今と昔、いや昔というか1~2年前とかなり変わったみたいだ。 まあ、この先音楽はCDではなくダウンロードして買うものという考えがどんどん広まっていきそうだし、DVDという、ダウンロードには無い付加価値を付けてCDを買わせるという考えになるのも当然だけど。
私の好きなラルクも過去にそういったDVDつきのCDを二枚出している。そのうちの一枚は、DVDの収録内容が当時タイアップしていたアニメ映画のプロモーション映像だったため、「そんなの興味ねーー!」と思い通常版を買った。でももう一枚の方は持っている。『SMILE』というアルバムの初回限定版に付いていたDVDである。DVD付きCDなのに3200円という割安さがエイ○ックスとの違いである。 そして肝心のDVDの内容が、これがまた凄くて。なんとアルバム『SMILE』のレコーディング風景を撮影した映像+貴重なライブ映像である。特にレコーディング風景。これはファン必見。まさか曲作りの様子が見られるとは。「まだ正式な歌詞のついてない曲に適当な歌詞をつけて歌うメンバー」「楽譜見ながらメロディーを覚えつつ発声練習するhyde」「アルバムタイトル決定会議」「レコーディング終了後の乾杯」などなど、貴重な映像がてんこもり。
一番面白いと思ったのが、シングルにもなった「READY STEADY GO」についてのやりとり。この曲は、ラルクの曲の中でも珍しい、つんのめるような速めのビートパンクなのだが、元になった曲はもっと遅いテンポで、ハネたリズムの軽めの曲だったようだ。それを「テンポをもっと上げよう」ということになり、ドラムパートが物凄い演奏が困難で大変なことになるかも、という流れになる。笑いながら「ズッタララララララ!ズッタラララララ!ってやんなきゃね~」と言うギターのkenと、実際それを叩くことになりそうで苦笑いするドラムのyukihiro。でも実際彼はこの曲で見事なまでに華麗なドラミングを披露するんだなこれが。
このように、曲作りの過程が垣間見れるDVDがアルバムについてくるというのはかなり面白くて気が利いてる試みだと思う。間違ってもPVを収録しないのがラルクらしい。ラルクは過去に、傑作PV集を二枚リリースしているから、CDのおまけに付けよう、という安易な案には至らないのだろう。いつか至るかもしんないけどねえ(笑)。ちなみにその傑作PV集『CHRONICLE』は凄いよ。芸術と笑いを融合させ、見事に昇華した、98~00年当時のラルクを象徴するような作品集ですよ。
かつてホリエモンは、「CDは近いうちになくなる。ダウンロードが主流になる」と自信を持って言った。「そんなの絶対イヤ!」と思ってはいるものの、いつか本当にそうなってしまうんだろうなぁ、という予想は私にもつく。でもね、音楽への深い理解なんて1μも無さそうな、音楽を完全にただの商品としか見てないような堀江にそんなこと言われたくないんですよ、CD好きとしては。

ご当地モノ

2007-07-27 21:17:51 | L'Arc-en-Ciel
まだやらなきゃならないレポート等があるのに、心はラルクのライブのことで一杯である。ライブの特設サイト見ながら「あぁ…ツアーグッズ何買おう??」とわくわくしたり。ラルクのライブのグッズは変なのばかりだ。過去「ラルク麺シエル」というカップ麺や、「ラルクリーム」というハンドクリームなど、ダジャレ系ばかり。今回も「ラルクリーム」がある。日焼け止めクリームらしいが、売れているのだろうか? 富士急ハイランドのライブは野外だから売れそうだけどね。
グッズ何を買おうか。やはり「ご当地シエルちゃん携帯ストラップ」だろうか。…「シエルちゃん」という、あまり可愛くないラルクのマスコットキャラクターがいるのです。で、シエルちゃんが、今年のツアーで訪れる全国36箇所の名産品にちなんだ携帯ストラップとなって各会場で売られるという。「ご当地キティちゃん」と同じ発想だね。
初めて見た時から「うーん、可愛くないキャラだなぁ」とずっと思っていたシエルちゃんだが、今回ファンクラブのライブ特設サイトで全国各地のライブの様子を逐一シエルちゃん(のぬいぐるみ)がレポートしてるのを見てると、その健気さになんとなく愛着が湧いて来る。「大きな会場だねぇ」とか、楽屋に侵入して「hydeさんがご飯食べてるよ!」みたいな情報をレポートしてるシエルちゃん。妙に可愛いのだ。シエルちゃんと彦根城築城400年記念のキャラ・「ひこにゃん」の共演はほほえましかった。ちなみにひこにゃんはガチで可愛いっす。ラルク内で静かなブームになったらしいっす。
一足先に、私が行く浜松のシエルちゃんをさっき見た。やはり浜松名物の「うなぎ」にちなんだシエルちゃんであった。シエルちゃんにうなぎがにゅるっと絡みついてる。ぶっちゃけうなぎの方がシエルちゃんより可愛いぞ。瞳がつぶらだもん。 基本的に各会場にちなんだシエルちゃんが売られるのだが、それとは別にガチャガチャ機が設置してあり、そっちではランダムで各地のシエルちゃんが手に入るという。金ピカのやつはシークレットらしい。
今回のツアーは地方中心。よって東京・大阪・名古屋はスルー。東海地方は浜松の他に長良川。長良川のシエルちゃんは未確認だが某情報によると「鵜飼い」らしい。見たい…シエルちゃんが鵜飼いをしているのか、シエルちゃんの口から魚が飛び出てんのか…謎。ていうか、長良川にラルクが来るってなんか凄い。想像できない。

下記のサイトで各地のご当地シエルちゃん及び「総大将」が見れます。
http://imepita.jp/20070717/072400

凄く凝ってるのもあれば、なんとなくなげやりなのもあり(なんとなく、ね。和歌山「梅干シエル」とか…)。函館の「寿司シエル」とか、結構凝った作り…。帯広の「牛マペットシエル」と長崎の「カステラシエル」が好きだなぁ。それにしてもうなぎの可愛さは異常。

恋しくて

2007-07-26 03:18:11 | L'Arc-en-Ciel
今夜は唐突にL'Arc-en-Ciel特集だー。 彼らの全アルバムを一挙紹介。分量の割にかなり短時間で書けたのは、思い入れの強さゆえであろうか…。

『DUNE』(1993.4.21)
インディーズでリリースされた記念すべきラルクの1st。1曲目「Shutting from the sky」のイントロの、流れ星のようなギターに心を掴まれたなら、そこから一気にめくるめくラルクの狂った世界へ…。ダークなんだけど超メロディアス、浮遊感に満ちてるけど地を這うようなベースラインも印象的、そんな初期ラルクの魅力がつまりまくり。8曲目「As if in a dream」に対し、GLAYのTAKUROは「こんな曲、俺のバンドでもやってみてぇー!」と感動したそうな(本人談)。

『Tierra』(1994.7.14)
メジャーデビュー直後にリリースされたアルバム。ラルクのダークな世界観が白日の下に晒され、妙な照れ笑いを浮かべているような…そんなアルバム(どんな)。「All Dead」で暗すぎる歌詞にひたったり、7分越えの大作「White feather」にうっとりしたり、楽しみ方多様。デビューシングル「Blurry eyes」のPVは必見。

『heavenly』(1995.9.1)
前作よりも格段にポップさが増したが当時はまだまだヴィジュアル系好きの一部の人にしか聴かれていなかった。しかしこの頃から現在のラルクにも通じて来そうな、いかにもヒットしそうなメロディーがちょろちょろと現われ始める。「C'est la vie」などはその典型。「ガラス玉」でhydeの表現力に、「Vivid colors」で美しきギターワークに、「Secret sign」でリズム隊の強度に、それぞれ酔いしれよう。

『True』(1996.12.12)
この時期にラルクを知った人はかなり多いのでは。アコギとハーモニカとサビのメロディーが切なすぎる「flower」と、超アッパーなストリングスが印象的な「Lies and Truth」という二つの名シングル曲が収録されているがこんなのは序の口。収録された10曲全てをシングルで切れそうなほど、名曲乱れ打ち。4つ打ちダンスビートにジプシー風スパニッシュギターが自然に絡む謎の名曲「Cress of Venus」が特に大好き。ベースのtetsuのバックコーラス魂が炸裂した「Dearest Love」も凄い。

『HEART』(1998.2.25)
これから!という時にメンバー不祥事で活動を休止してしまったラルクが放った、復帰第一作目。復活第一弾シングルで、ラルクを象徴するような名曲「虹」、どこまでも広がった世界が目に浮かぶような疾走感溢れる傑作ホーンポップ「winter fall」収録。全体の流れがとても良く、ファンの中でも人気が高い作品。「ラルク史でベスト3に入るほどベースが難しい」と言われる「fate」が好きだ。ベースうねりすぎ!

『ark』(1999.7.1)
衝撃のアルバム二枚同時発売の片割れ。「HEAVEN'S DRIVE」「Drivers High」「Piecese」「forbidden lover」など、ライブでも愛される、大量リリースされたラルクの代表曲がずらりと収録されているにも関わらず、アルバム全体の流れの良くなさから、ファンにあまり愛されていない、やや不憫なアルバム。自分もあんまり聴かないや、これ。

『ray』(1999.7.1)
あまり愛されていない『ark』とは反対に、ファンが「一番好きな作品」に挙げたり、ラルク初心者にも無理なく聴かせたりできる、多くの人に愛される全盛期の名盤。4人全員作曲が出来るバンド、という特性を活かし、とにかく名曲連発。最大のヒット曲「HONEY」、なぜシングルだったか今となってはわからない「花葬」「浸食」、場末のバーみたいな所で生演奏しているように聞こえるジャジーな「sell my soul」、ラルクファンで「嫌い」という人はまずいない「いばらの涙」収録。

『REAL』(2000.8.30)
明らかに本人達が疲れを見せていた時期にリリースされた、ラルク史で一番シリアスでハードな名盤。食虫植物の名を冠した鬼のようにアグレッシブな「THE NEPENTHES」、後光差しまくりのミレニアムにぴったりな「NEO UNIVERSE」、tetsu作詞による、綺麗なメロディーと痛々しすぎて笑える歌詞が印象的な「bravery」、切なすぎる「LOVE FLIES」。映画『リング0』のテーマ曲で、「貞子」をイメージしてかかれた「finale」、PVで踊りまくるラルクが衝撃だった「STAY AWAY」、などなど…とにかくネタ満載。あからさまに倦怠感に溢れた「TIME SLIP」の歌詞は興味深い。当時はLUNA SEAやブランキーなど、ベテランバンドがどんどん解散していった時期だったし、もしかしたら彼らにもその選択がチラついていたのかもしれない。

『SMILE』(2004.3.31)
約3年の活動休止をブチ破り、久々にラルクが放ったアルバム。疾走感溢れるロック、ブルージーなギターが印象的な曲、変なストリングスの入れ方してるけどギリギリでポップな曲、サイバーパンクみたいな曲、ラルクならではの泣きの名バラードなどなど…長いキャリアの中で彼らが獲得してきた、ラルクらしさに溢れた様々なタイプの曲を惜しげもなく披露。まるで、「活動休止してたからすっかり忘れてたけど、ラルクってこういう曲をやるバンドだったよね」と本人達が確認しながら作られた、という印象。故にファンの間では「ラルクを再開するためのリハビリアルバム」と位置づけられる。

『AWAKE』(2005.6.22)
前作で「リハビリ」を終え、完全復活をきめたラルク。これまで隠喩だらけの歌詞を書きまくり、明瞭なメッセージ性を打ち出してこなかったhydeが遂に覚醒。ズバリ「反戦」というテーマを掲げて歌いまくる。また、クールな印象が強かった彼らだが、今作ではまるで音を介して会話をしているような、妙な親密性が感じられる。その親密性の極地が名バラード「叙情詩」。PVも含め、完全に振り切ってしまった、美しくも狂ったラルクワールドにひたれる一曲。

僕の世界消えるまで

2007-07-23 15:36:43 | 音楽
宇多田ヒカルの新曲「Beautiful World」を聴いた。映画『新世紀ヱヴァンゲリヲン 序』のテーマ曲だけあって、歌詞、凄くエヴァっぽいぞー(笑)。でも「エヴァヲタに殴られてもかまわない」という宇多田の覚悟が詰まった(彼女のブログ参照)新曲「Beautiful World」、アニメっぽさと宇多田独特の憂いが上手く重なって、かなり素敵なことになってんじゃないだろうか。それにしてもコレといい「This is love」といい、意外に合うなぁ、宇多田とSFアニメ。
でも『エヴァンゲリオン』のテーマ曲というよりは、どこにでもある普通の日常と世界滅亡(?)の間をフラフラと行き来するような、非常に不安定なあの作品の世界、「第三新東京市」で流行ってる曲、という印象かな、なんとなく。第三新東京市のコンビニとかで流れてそうな、シンジがウォークマンで聴いてそうな、そんな感じ? 既に発表されたこの新曲のジャケットも、なんとなくあのエヴァの世界の街角って感じがするし。ていうかあのジャケ!ぶっちゃけ一番好きかも。
以下、歌詞を部分的に引用。

 言いたいこと言えない 根性なしかもしれない

 新聞なんかいらない 肝心なことが載っていない

 最近調子どうだい 元気にしてるなら 別にいいけど

 Beautiful world 儚く過ぎていく日々の中で
 Beautiful boy 気分のムラは仕方ないね

この部分、特にエヴァっぽい感じがする。このような言葉が、アップテンポながらもものすごーく切ないメロディーに載せて歌われるんだよ…またまた素敵な音楽が生まれちゃったねー。コアなエヴァヲタの人にとっては宇多田ヒカルが主題歌を歌うことについてかなり不本意に思っていて、この名曲を聴いても「フン!エヴァには合わねーよ!」とますます態度を膠着させてしまうかもしれないけど(そういう人って多分高橋洋子以外の誰が歌っても文句言うんだろうけど)… 私はこんな曲がエンディングテーマとして流れてくる映画ならぜひ観に行きたいなぁ…と、そう思います。「残酷な天使のテーゼ」好きだけど、ぶっちゃけ「Beautiful World」には全く及ばないっす(「残酷~」はホーンのアレンジがなーんかイマイチ)。きっとエヴァより宇多田が好きだからこう思うんだろうけどね(笑)。
ところで今調べたけど、その例のエヴァの新作映画、アニメの第壱話~第六話のリメイクらしいじゃないですか。ちょうど「笑えばいいと思うよ」「(にこっ)」の辺りまで。ていうことはアスカは登場せず、メインは殆ど綾波レイ…なんてこったい。そりゃぁ、知らない人でも「エヴァ」と聞けば誰もが思い浮かべるであろう、誰よりも作品を象徴するであろうキャラ・綾波をフィーチャーするのはわかるが…元気なアスカを観れるのは、まだ先のようですな。つまんなーい。代わりに何故か最初っからカヲル君が出るらしい。なんか、凄い活躍するっぽい。うーん…カヲル君いらねー。最後にちょろっと出るだけでええやんかー。
 

新世紀…

2007-07-21 19:06:20 | 音楽
これ去年の9月ごろに書いたやつだな。X JAPAN inエヴァンゲリオン。あまりにもバカバカしいのでブログには載せなかったがまぁ一応…。エヴァもXもよく知らない方はウィキペディアかなんかを、見ながら以下どーぞ!一時期こういうの作るのハマったなぁ。ドラマ『華麗なる一族』版と漫画『PLUTO』版はいつぞやこのブログにも載せた気がする。ラルク版は途中で挫折したけどつい最近LUNA SEA版は完成した。何やってんだ俺…。


第壱話 YOSHIKI、襲来
第弐話 見知らぬ、食堂
第参話 鳴らない、ドラム
第四話 レコーディング、逃げ出した後
第伍話 PATA、心のむこうに
第六話 決戦、東京ドーム
第七話 HIDEの造りし人気
第八話 YOSHIKI、帰国
第九話 瞬間、リフ、重ねて
第拾話  エクスタシーレーベル
第拾壱話 気絶したライブの中で
第拾弐話 ヒースの価値は
第拾参話 東海林のりこ、侵入
第拾四話 hide、ソロ活動の座
第拾伍話 金と沈黙
第拾六話 死に至る腰、そして
第拾七話 四度目の延期
第拾八話 アルバムの選曲を
第拾九話 林の戦い
第弐拾話 ピアノのかたち ドラムのかたち
第弐拾壱話 ホームオブハート、誕生
第弐拾弐話 せめて、リーダーらしく
第弐拾参話 顎
第弐拾四話 最後の会見
第弐拾伍話 終わるライブ
最終話 ドームの中心で永遠のアイを叫んだTOSHI

劇場版
第25話 Art
第26話 解散を、君に


『Eclectic』/小沢健二

2007-07-17 15:52:27 | アルバムレビュー
せっかく書いたのでブログに載せておこっと。

『Eclectic』小沢健二(2002.2.27)


1「ギターを弾く女」★★★
そっと吹かれるフルートと軽快なコンガに、静かで重いビートが絡み、ひっそりと始まる。そして1分5秒頃、「これ本人!??」と衝撃を受けるであろう、「ラブリー」とか絶対歌わなそうな小沢の、囁きのような声が…。消えそうな程か細い小沢の声に、幻聴のように絡むコーラスが悩ましい。無敵なまでにポップなメロディーを歌うかつての小沢はここにいない。ちなみに「ギター」は女体の比喩らしい。

2「愛について」★★★
ピアノが不穏なメロディを奏でる、ねっとりした楽曲。かなりセクシーな歌詞だが、このアルバムではこれくらい当たり前。「愛 火遊び ゆっくり 燃やしてみたい」と囁かれるフレーズが耳に焼き付く。

3「麝香」★★★★★
アルバム中最もキャッチー。シンセの鳴り方が耳に気持ち良い。小沢の声の変化への違和感も、この曲辺りから無くなってくるのでは。「愛の火の煌めき 踊る月夜の前に~」の部分は小沢史に残る名フレーズ。情景が浮かび上がりまくる…。歌詞と曲とのハマり具合は半端じゃない。まさに小沢マジック。ちなみに某所では当時サビの「動く動く」が「うんこっこうんこっこ」に聴こえる、と話題に。

4「あらし」★★
遠くの方で他人事のように鳴ってるようなピアノが印象的。「あらし」というタイトルだが荒々しい感じは無く、スローテンポ。遠く離れた場所から嵐の様子をこっそり眺めてるみたいな感じ。

5「1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」★★
雨上がりの爽やかさを感じる可愛らしい曲。曲調的にはかつての小沢に一番近いか。なんとなく『球体の奏でる音楽』や「夢が夢なら」辺りの頃の小沢を彷彿とさせる。歌詞も爽やか。大人っぽすぎる歌詞が続いたのでここで小休止という感じか。

6「∞(infinity)」★★★★
タイトルは歌詞の「向かい合わせの鏡 向かい合わせの広がり」からだろう。小沢の声に、合わせ鏡のように女性コーラスがそっと絡む。外国人女性による日本語コーラスなので発音が変だがこれがまた良い。歌詞のシチュエーション的にこの曲が一番エロだろうか。何しろ「美しい革の匂い」「悩ましく重い痛み」…SMである。重いビートとスリリングな旋律に乗って、小沢何処へ行く。

7「欲望」★★★
これまたセクシーな音と歌詞。赤裸々に欲望が歌われる。ギターとシンセが何ともムーディー。まぁ、結構ありがちな音色だと思うけど。

8「今夜はブギーバック/あの大きな心」★★★★
スチャダラ抜きであの名曲をリメイク。ラップ部分は当然無く、部分的に歌詞が差し替えられ、新たなフレーズが加えられている。「ダンスフロアーに華やかな光」→「今夜フロアーに華やかな光」。とにかく歌声が当時と全く違うので、全くの新曲だと思っても構わないだろう。この曲、意外と現在の邦楽チャートにも収まりそうな気がする。ていうかこういうの流行って欲しい。

9「bassline」★★
「愛について」のリプライズ。タイトル通りベースラインを強調させ、約7分の原曲を3分弱に短縮再生。原曲の魅力を効率的に、さらに濃厚に抽出したような曲である。まぁ、構成が違うだけだが…。

10「風と光があなたに恵むように」★
「1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」のリプライズ。原曲で印象的だった「パパラッパ パパラッパ…」という微かなコーラスをフィーチャーしたインスト。「愛について」はアルバム内で重要な曲なのでリプライズされるのはまだ解るが、なぜこの曲まで…曲数稼ぎか?まあ、これが無いと物凄く閉塞感に満ちたアルバムになってしまうだろうけど。

11「甘い旋律」★★
鋭いシンセとスパニッシュなギター、か細い小沢の声と絡み付いてくるような女性コーラスで構成。このアルバムの歌詞のテーマは「浮気」だろうか。物凄く親密で濃密な、秘密の関係を歌った曲が多いがこの曲はそれの極地。

12「踊る月夜の前に」★★★
「麝香」のリプライズ。「また曲数稼ぎ…」とつっこみたい所だが「麝香」自体名曲なのであまり気にならない。夢からフっと目覚めるような、濃密な小沢ワールドからフワっと帰還してくるようなエンディング。



総評★★★★
前作から5年半のインターバルを置き小沢が放った、2002年に発売された4th。ここにはかつての王子キャラの面影は無い。何よりも歌唱方が激変。平井堅や小田和正の声を、か弱くした感じだろうか。とにかく声量が無いが、それを緻密に作られた音でカバーしている感じ。
元相方の小山田とは正反対で、曲よりも圧倒的に詞の良さを評価されてきた「言葉の人」小沢。今作でもその魅力は健在。谷崎潤一郎みたく、淫靡で文学的な世界を堂々披露。しかし今作では、他人のメロディーをパクりまくってきた過去の作品とは違い、自分のメロディーをしっかり確立させた感がある。「小山田に対抗したのか!?」と思わせる緻密なサウンドは緊迫感と中毒性がバリバリあるが、「麝香」などは意外とDAMなどのカラオケ機器でもかなり忠実に再現されていたりする。
アルバムを出す度に作風をガラっと変えて来た人ではあるが、今回ほど激変したことはかつて無かった。しかし小沢のアイドル性に惹かれたのではなく、彼の音楽を本気で愛聴してきた人なら受け入れられるだろう。根本は何も変わってない。ある意味「裏『LIFE』」。ジャンル的にはR&Bに属するのだろうが、声量が全く無いので、R&B好きの耳を満足させることはないと思われる。
この4年後彼はインストアルバムに走ってしまい、最大の武器だったはずの言葉を捨て去ってしまったため、小沢の歌詞を楽しめる現時点では最後のアルバム。





色男/日曜日の朝/スルーし続けるのも限界か

2007-07-13 15:59:34 | テレビ
●ケンコバが着々と女性からの支持を集めつつある気がする。マニアック過ぎる芸風から完全に男にしかウケないような芸人だと思っていたが、「声が素敵」やら「発言全てが面白い」やら「あの顔も結構嫌いじゃない」やら…。顔だけで芸人になれそうな面白い顔面をしてると思うんだけど、「かっこいい」と女子に人気。3年程前、「劇場の出口にファンの女の子が待ってたりするじゃないですか、出待ちって言うんですか?まぁ、その中に僕のファンはいないわけですが…」と、当たり前のようにさらっと語っていた彼だが、今はモテモテなのだろう。ケンコバ、アイドルとの熱愛をスクープされる日は近いかもしれないよ…。我らがケンコバが、数多の芸人と同じような道を辿るのはつまんないけど。

●日曜の朝といえば『天元突破グレンラガン』。まったく、日曜日にアニメ見るために早起きするなんて小学校以来だ…多分『ママレード・ボーイ』以来か?もう大人なのに…チキショー、『グレンラガン』結構面白いじゃねーか!「ガイナックスはエヴァで終わった」と言われてたけど…始まってるよ。あれだな、可愛すぎるよな、ヨーコ。
「世代交代」がテーマらしく、メインキャラが序盤で死んだり、強敵と思われたキャラがストーリー中盤で抹殺されてしまったり、人間関係がせせこましく変化するのがこの作品の特徴か。一つのエピソードをダラダラと引っ張らない所にかなり好感が持てる。良いよ、このテンポ感。引き延ばし上等の少年ジャンプ系作品にはマネできない芸当だな。強くて逞しくて、主人公の存在感を完全に薄くしていた「アニキ」が戦死し、主人公は一時エヴァのシンジ並に落ち込むも、わりとあっさり復活し、アニキを苦しめた敵キャラは早々と追い詰められる。辛くても、いつまでもうじうじ落ち込んでいられる程生温い世界じゃないってことだろう。我々が生きているこの時代も、立ち止まっていたらあっという間に一人取り残される程のスピードで動いている。「人が死ぬ」という事は、それだけで文学作品が書けるような重大事件だが、今の時代、ゆっくり感傷に浸る時間は無い。文学してる場合じゃない。目まぐるしく変化する環境に対応していかなければならない。展開の速さに驚いたけど、今の時代にはこのスピードがちょうどいいのかもしれないなぁ。
で、やっぱり最終的にはヴィラルとの一騎打ちなのか?

●『グレンラガン』見た後は流れで『ゲゲゲの鬼太郎』を見てしまう。2007年版の鬼太郎の声は「名探偵コナン」。落ち着いていて、微妙にけだるくもある声がかなり素敵だ。癒されるぜ。でも久々に鬼太郎を見て、私は何よりも目玉親父の愛らしさにシビれてしまった。甲高い声とか、小さい体を精一杯使ってのコミュニケーションとか、常に的確な指示とか…可愛い~。茶碗の風呂に入る際、鬼太郎に「湯じゃなくて酒を入れてくれ」とねだる親父なんて最っっっっ高だったぜ(SUGIZO風)。鬼太郎に自転車を買ってあげるために無謀にもアルバイトに励む親父にも心打たれたな。全く…この歳で目玉親父にハマるなんて…。

●ロッキングオンが出している映画雑誌『Cut』に、ヴィジュアル系バンドDir en greyの人気の秘密に迫る、という趣旨の記事が載るらしい。世界を轟かす日本カルチャーについて特集するらしく、当然、現在欧米で盛り上がりまくってる日本のヴィジュアル系バンドにもスポットを当てるそうだ。映画雑誌といえど、ロッキングオン関連の雑誌にヴィジュアル系バンドが載るなんてかなり画期的なことではないだろうか。93年に市川哲史氏がロッキングオンを退社し、山崎洋一郎がロッキングオンジャパンの編集長に就任して以降、どんなに売れようが凄い作品を生み出そうが徹底的に誌面からヴィジュアル系バンドを排除し始めたロッキングオン。93年まではXもLUNA SEAも普通に載るような雑誌だったのに…。98年、本格的にソロ活動を始めたhideが久々にジャパンに載るまで、ヴィジュアル系バンドはあの雑誌では、はっきり言って「嘲笑の対象」だった。その後、GLAYやラルクが数回載ることはあったものの、ついに「骨の髄までV系」なDir en greyを特集するとは…地味に凄いことかもしれませんね。

一体感

2007-07-07 17:44:52 | 日記
いくら「他人は他人、自分は自分。だから好きなようにやらせてもらうぜ~」な個人主義が浸透しようとも、結局群れたがるのが日本人。放っといてくれよ!と突っぱねても本音ではかまって欲しかったり、人と一緒じゃないと不安になったり。結局まとまっていないと気が済まないのが日本人というものだ。邪険にしつつもやっぱり大事にするのだ、「一体感」というやつを。今日は私が見かけた「一体感」を感じさせる事物についてつらつらと書いてみたい。

●「レッツワイパー!」
朝起きてから準備して外出するまでの時間、ずーっとFM AICHIのラジオ番組をかけている。「モーニンググルーヴ」という朝番組。この番組で、DJの男がが何十分か毎に「レッツワイパー!」とリスナーに向けて声をかける。車に乗りながらラジオを聴いてるリスナーに向けたもので、「掛け声に合わせてワイパーを動かせ!」という合図だ。晴天にもかかわらず掛け声と同じタイミングでワイパーが動いた車=FM AICHIリスナーという印。運転しながらこの番組を聴いたことないから「レッツワイパー」未経験だが、遭遇してみたいぜ、ワイパーやってる車に。

●ライブでの「手扇子」
1999年、GLAYが行った幕張20万人ライブは、規模が規模なだけに割と大きめなニュースとして報じられた。音楽に興味が無くても、多くの人の心になんとな~く残っているであろう出来事だ。あの20万人ライブの映像、なかなか衝撃的なシロモノだ。全国から20万人のGLAYファンが大集結し、一斉に両手を挙げて手の平を前方に捧げるように振る「手扇子」、あれ、怖すぎるだろ!空撮で撮られたライブ映像には、珊瑚樵にも見えるファン達の無数の手が、GLAYに向かって捧げるように振られる様子が映っている。それをニュース番組で見た時の衝撃…。
ある種のバンドのライブではお馴染みの光景で、私の好きなラルクのライブでも何度も目撃したことはあるが、20万人がやってるのを客観的に見るのは圧巻。ファンによれば、あれは「一体感を出すため」にやるそうだ。確かに…みんなでやればもの凄い一体感味わえるよなぁ。他人に迷惑かけなければライブの楽しみ方なんて自由だから、手扇子に参加せず、座って見てるのもアリだと思うが、人と同じじゃなきゃ心細い日本人、20万人集まればほぼ20万人が同じ行動をとってしまうのだろう。
カラオケDAMやUGAでGLAYの「サバイバル」を歌うと、手扇子の大群の映像が拝めます。

●『ロンドンハーツ』の、「格付け・芸人編」
7月3日のロンハースペシャルで放送された格付けでは、千原ジュニア、ケンコバ、宮川大輔、チュートリアル徳井、ムーディー勝山などなど、若手から中堅までバランスよく選ばれた人気芸人大集合。このメンバーが集まり、それをロンブー淳が仕切るなら、つまらないはずがないだろ!!という素晴らしいメンツによる格付け。見てて思ったのは、「他の芸人を出し抜くだけじゃだめで、チームプレイも大事なのだな~」と言うこと。ムーディーが「右から左へ~」を披露した時、ジュニア以下格付け芸人達が「おぉぉ!!」「何がや!」と一斉にツッコミの嵐を浴びせる。芸歴2年の後輩に温かくつっこむ先輩達が醸し出す一体感が素敵であった。「さすがにもう飽きたかな」と思ってたムーディーソングで、久々に爆笑した。
余談だが、淳とジュニアが絡むなんて、数年前じゃ全く想像できなかったよなぁ。東京進出後10年弱くすぶり、近年やっとメジャーな番組でその才能を爆発させたジュニアと、素人いじり芸人から確かな仕切り技術を身につけた芸人に転身し、同世代の芸人からリードを奪った淳。タイプや辿って来た芸歴の全く異なる二人の絡みは、物凄く興味深かったぜ。



追記
今更気づいたんだけど、いつのまにか、かなり昔の「しょこたんぶろぐ」の記事が見られるようになってますね。2003年10月から。初期は今のような激しさ皆無。どの辺で狂ったのかしら…(笑)。

ピーヒャラピーヒャラ

2007-07-02 19:02:43 | テレビ
昔、「アニメ『ちびまる子ちゃん』の傑作エピソードをいくつか抜粋して記事で紹介しよう!」と思い立ち、第一期の作品から十数話を選りすぐって紹介コメントをちょろちょろと書いていたことがあった。で、実際いくつか記事を載せたものの、以降、どーにもこーにも記事を書くのがはかどらない!ああいうのは中断とかせずに、思い立ったら一晩ぐらいかけて一気に書きまくらなきゃだめだねぇ。ということで、中途半端ではあるが、昔書いた文をこのたび引っ張り出します。気になったらビデオ屋とかでレンタルしてみてくださいな。


第43話「まるちゃん実験をする」
この回の放送日は1990年10月28日。ちびまる子ブームの真っ只中だったこの年のこの放送は視聴率39.9%を記録(関東地区)。この数字は『ちびまる子ちゃん』史上最高だったのはもちろん、日本の連続アニメ番組史上最高視聴率という記録も持っている。ゆえに「名場面集」に挙げてみたが、別に特別面白いとは…。視聴率とは本当にただの「数字」だということがよくわかる。それでも全盛期のお話だけあってつまらないというわけでは全く無いけど。内容は、ルーペを使って日光を集め、集めた光で黒い紙を焼き焦がすという理科の実験でクラスのみんなが盛り上がる、というお話。ルーペで紙を焦がした後は、ルーペと同じ凸レンズの性質を持つ空き瓶で同じ実験に挑戦。クラスメイトが持って来たのは酒の空き瓶が多く、その家庭で飲んでいる酒のランクが露呈する、というリアルな面も描かれている。ハマジの持ってきた瓶と花輪クンが持ってきた瓶の差…。

第77話「まる子百恵ちゃんのコンサートに行く」(単行本7巻)
ハマジのはからいで運よく憧れの山口百恵のコンサートに行けることになったまる子。その感動のコンサート一部始終はもちろん、まる子が思いついた「百恵ちゃんに受け取って貰えるような高級品」のカニ缶をめぐるくだらないやりとりも見所である。コンサートシーンではヒット曲「横須賀ストーリー」が大々的に使用されているため著作権の問題があるのか、再放送やスカパー放映はされていない貴重なエピソード。百恵ちゃんがまる子に向かって「どうもありがとう」と声を掛けるシーンは、実写版でのお母さん役もハマっていた清水ミチコのモノマネで代用。テレビの世界でしか出会うことができなかった大好きな人を生で見ている、という感動が物凄くリアルに描写されている。まる子の気持ち、本当にわかるなぁ…。
そういえばこの回ではないが、まる子がモモエちゃんの「ひと夏の経験」を口ずさんでいたらお母さんに「コラ!そんな歌、歌っちゃダメって言ってるでしょ!」と叱られていたが、当時そういう情操教育がなされていたのだろうか。

第79話「まるちゃんの七夕映画会」
原作には無いテレビオリジナルのエピソードだが、かなり笑える作品。町内会主催の七夕映画会の上映係の当番が回ってきた父ヒロシ。広場に子供達が集まって夜空の下で映画を観るという、どうしようもなくワクワクしてしまうシチュエーション。わかるなぁ。私も子供の頃、小学校で催された「星空映画会」に何度か参加したものです。夕ご飯のお弁当もって…。そんなワクワクの中、まるちゃん達が参加した「七夕映画会」で上映された映画は、教育委員会制作っぽい、健全な青少年を育成するために作られた「シンナーはやめなよ」という映画。シンナー遊びでイカれてしまったリーゼントのヤンキー(確か「雄一」という名前だった)が大暴れして母親を大泣きさせるというなんとも陰気な映画である。上映中に突風が吹き荒れ、ビラッビラと風に煽られまくるスクリーン。そこに映った、「雄一~!改心しておくれ雄一~!」と泣き叫ぶヤンキーの母親の顔はスクリーンとともに捻じ曲がり、子供達の大爆笑を誘った。母親の真似をして「ユウイチー」と叫ぶ子供も続出し、場はメチャメチャに。これはもうアニメ見てる視聴者側もイヤでも爆笑しちゃうよ!反則!そんな様子を見て、裏方で脱力する父ヒロシだった。そういえば私は「星空映画会」で「はだしのゲン」の実写版を見たなぁ。あまりの怖さに途中場内が凍りついちゃってさ…。