拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

隠れてるか否か

2009-02-27 21:02:55 | 音楽
mixiの宇多田ヒカルコミュで「個人的に隠れた名曲だと思う曲を挙げよう」的なトピがあったので覗いてみた。案の定「どこからが隠れた名曲なのかわからない…」というようなコメントがちらほら。うんうん。普通、こういうのはアルバム収録曲やシングルのカップリングなどの中から世間があまり注目してないけど好きな曲を挙げればいいんだろうけど、宇多田の場合シングルのカップリング曲とかも全部アルバムに入ってるし、出たアルバムはたったの5枚だし、どのアルバムも最低100万枚売れてるから「隠れ」てはいないような気がしちゃうんだよな。特に800万枚売れた『First Love』収録曲なんてどれを挙げても「…隠れてなくね?」とつっこみたくなる。
うーん、こんな風に思うのはファンだからかしら。まぁあれかな、『ULTRA BLUE』収録曲とかは世間にはあまり知られてないのかな、きっと。磨り減るぐらい聴いたあの名盤。あの中から「隠れた名曲」を挙げるとしたら「WINGS」とかかな。初めて聴いた時「え、あの、私の事歌にしました?」とまで思ってしまった驚異の一曲。奔放過ぎる切ないメロディーが息つく間もなく襲い掛かってくる「BLUE」「Making Love」もたまらないし、病的に神経質なビートが何故か心地良い「日曜日の朝」は中毒性高くて大好きだし。あと「もう一度父と話したい/晩年のある男の願い」という、泉谷しげる級に渋い歌詞が乗る「海路」も感動的…ってほぼ全曲やん。あ、あと『Distance』に入ってる「Parody」って曲も隠れた名曲かな。スカビートに乗せて、集団から解放された瞬間の安堵感と孤独感を歌いつつ、孤独に負けそうな人の背中をさりげなく押してくれるミラクル曲。「タイムリミット」もちょっと存在感薄いけど無茶苦茶良い曲だよねぇ。「遅れずに来て/そして迷わずにいて/次の電車が通るまでに電話が来なかったら」というフレーズが、とんっでもないメロディーの上に乗ってる衝撃曲…って、キリが無いねぇ…。そしてやっぱり楽しいねぇ、名曲について語るのって。
じゃあラルクの「隠れた名曲」はなんだろう。宇多田よりもメジャー度が下がるので選びやすいな、ラルクは。やっぱインディーズ時代のアルバム『DUNE』に入ってる「As if in a dream」はハズせないなぁ。最近は「Floods of tears」もお気に入り。他はメジャー1stの『Tierra』収録の「風の行方」、『heavenly』収録の「ガラス玉」「C'est la vie」、『REAL』収録の「TIME SLIP」、「DIVE TO BLUE」カップリングの「Peeping Tom」とかが自分にとっての「隠れた名曲」かねぇ。まぁ、その時の気分によっても変わりそうだけど。
ちなみに2006年に12cmシングル化される以前は多くのラルヲタにとって『True』収録曲の「the Fourth Avenue Cafe」が「隠れた名曲」の定番だった。あと「metropolis」と「I'm so happy」も「隠れた名曲」の定番か。「metropolis」は「隠れた名曲」として激しく支持されまくってることがhydeに伝わったのか、2006年以降はライブの定番曲になりつつありますな。「I'm so happy」は「この曲を聴くとsakura(前ドラマー)って感じがする」というようなコメントをhydeがしてたので、今後ライブで演奏される可能性は低~い。

……「隠れた名曲」ってのは間違いなくコアなファンじゃなきゃ選べないんだけど、コア過ぎるとあらゆる曲を際限なく挙げまくって本当にキリがなくなるということが、よくわかったよー。 

3周年

2009-02-22 22:19:54 | 日記
早いものでブログ「拝啓夏目漱石先生」は開設3周年を迎えた。開設したのは2月10日だから既に何日も経っちゃってるけど、完全にスルーだった去年より、少しはマシだろう。昔から人の誕生日とか記念日ガンガン忘れるタイプっす…。しかしこれではいけない。L'Arc-en-Cielのリーダーtetsuも、バンド結成15周年ライブの時「10周年の時はスルーだったから盛大にお祝いしてあげないとラルクが可哀相」なんて言っていたし、今回は書きますよ、3周年について色々と…とか言いつつ何書いていいかわからんな。15周年ライブの演出を完璧にプロデュースしたhydeは凄いなぁ。とりあえず「3」という数字は気持ち良いね、ナベアツじゃないけど。まぁ、記事を読んで改めて思うのは、ブログ名と内容が全く一致してないなって事だな。初めの方は記事タイトルの冒頭が「先生、」だったりして、漱石先生へのリスペクトを込めた痕跡が辛うじて残ってるし、クドカン脚本の昼ドラ『吾輩は主婦である』の感想を書いてた頃(2006年5月~7月)もそれなりに漱石色があったが、それ以降はもう無関係。まぁ、別に気にしちゃいませんが。今更ね。
昔の記事を読み返していると、記事には書けなかった色んな思い出がよみがえってくるから面白い。「呑気な事書いてるけど、この時はこんな面倒な事に悩まされてたなぁ」とか、「この時はあんな嬉しい事があったのにそれが文面には出てないなぁ」とか…記事には書いてないけど私にだけ読み解けるものが確かに存在してるのよ。とか言いつつラルク絡みの嬉しかった事はガンガン書いてるけどね、ライブ感動したぜ!とか。あと、4月からの就職先が決まった時も割と素直に書いたかなぁ。でもそんな記事さえも行間に何かが隠蔽されてる。つまり自分自身の事を赤裸々に綴ってあるものじゃなくても、私にとってこのブログは赤裸々日記として充分機能しているのだ。mixiの日記よりもそれなりに気合い入れて書いてるし、思い入れは強いよー。
4月から社会人になるので記事の更新がどれだけできるか皆目見当もつかないけど、たまには「生きてますよ~」の意味も込めて何か記事書かないとな。今のうちに沢山記事書いて保存しとこっかな。書きたい事は山ほどあるんだ…真田広之の事、VAMPSの事、萩尾望都の事、ジャルジャルの事、ヒルトンのケーキバイキングの事などなど…。

発売日は13日の金曜日

2009-02-20 18:38:24 | 音楽
VAMPSの新曲「I GOTTA KICK START NOW」とカップリングの「TROUBLE」がラジオで解禁されたので、即ipodに入れて聴きまくっているが…「TROUBLE」最っっ高。先月、「VAMPSがシャンプーの「TROUBLE」をカバーする」というニュースを知っただけで舞い上がり、まだVAMPS版を聴いてもいないのに勝手に盛り上がってブログに記事を書いてしまったが、実際に曲を聴いてテンションさらに上がった!なんでこれがカップリングなんだよ、A面にしよーよ。そんでMステとかで歌うの。オレンジレンジを従えて。ていうか原曲を知らない人には(15年前の曲だし居て当然)「へぇ、hydeが『ロコローション』を英語でカバーしてるよ」とか思われるかも?さすがにそれはないか…まぁとにかく、すっごいカッコいいっす。ライブで踊りまくりてぇ!でもZepp Nagoyaには来ねぇ!
A面の「I GOTTA~」の方は、80年代アメリカのハードロック+J-POPメロディという、お得意の絶妙な折衷技の効いた曲。ざっくりヘヴィーな音が鳴りつつカラッと乾いた風が吹き抜ける、どこまでも抜けの良い曲ですな。スカーっと晴れた日にドライブしながら聴くのがハマりそう。よく聴くとメロディラインはかなり脳天気だが、荒っぽく声を張り上げる部分と低めのキーをねっとりセクシーに歌う部分のコントラストが効いててもう超素敵。欲を言えば突き抜けるような爽やかファルセットもあればなぁ…なんて。それはラルクでしか聞けないんすかね。
で、B面の「TROUBLE」。バンドサウンドを押し出してカバーするのかと思ったけど、意外なことに打ち込みだった。ラルクの「SEVENTH HEAVEN」をさらに毒々しくアッパーにした感じ?「あぁ、これが本当のディスコパンクかぁ」みたいな。初めて「SEVENTH HEAVEN」聴いた時は「ラルク冒険したなぁ…」と興奮したが、あの曲が行儀良く思えるよ、今は。とにかくテンションの高い過激な名曲。問答無用で体が動く。4つ打ちビートと切れ味鋭いギターをバックに(「ディスコパンク」って本当に便利かつ的確な言葉だな~)、HYDEがぶっきらぼうに歌い叫ぶぜ!くねくねバキバキ歌い踊るあの人が目に浮かぶぜ!畳み掛けるようにラップ調の歌詞をまくしたてるあの人の歌声を聴いてると沸き上がってくる快楽…もうどうすりゃいいんだYO!…落ち着け。
「遊び過ぎて終電無くなったから車泥棒して帰っちゃえ」という果てしなく軽薄な歌詞に合わせ、終盤ではガラスの割れる音やらパトカーのサイレンやらがバカバカしく鳴りまくる「TROUBLE」。この曲と「I GOTTA~」は今のJ-POPに一番足りない部分を鳴らしてるような気がする。なんか、「軽薄だけどカッコいい」みたいなのが足りないよね?まぁ軽薄なおバカソングは羞恥心がヒットさせたけど、あれはいくらなんでも音がダサ過ぎるし、大体プロデューサーは戦略練りまくってるだろうし…なによりバカソングを歌ってる本人達、根は真面目そうだ。とにかく、真面目で真摯な想いを綴ったヒット曲が多すぎる気がするな。もちろん真面目なのは良い事だけど、あんまりそんなのばかりが溢れると綺麗事にしか聞こえないっすよ。スペースシャワーとか見てると本当ウンザリっすよ。皆なんであんなに純朴なんだ!VAMPSみたいにシレーっとぶっきらぼうな曲を出すようなミュージシャンが増えると良いな。

oh♪oh♪

清水へ…

2009-02-12 22:41:33 | 漫画
12日、may99ちゃんと一緒に『ちびまる子ちゃん』の舞台である静岡県・清水に行ってきた。初めて読んだ漫画が『まる子』であり、ハードコア『まる子』ヲタを自認する私にとって念願の清水散策。清水市(今は静岡市清水区)は昔から憧れの地だったけど、結構遠いのでなかなか行けなかったんだよなぁ。静岡は愛知県と隣接してるけど、名古屋から在来線を乗り継いで行こうと思うと3時間ぐらいかかるのよ(3時間あったら大阪まで余裕で行けるはず…)。新幹線「こだま」乗れば速く行けるけど、大金払って「こだま」なんぞに乗りたくない!…「こだま」ファンの皆さん申し訳ありません。学生には「こだま」に金払う余裕無いんです。
横に長~い静岡県をJRの鈍行でノンビリ横断。浜松でちょっとテンション上がりました。ラルクのライブ思い出して。静岡駅を過ぎた辺りから「そういえば富士山見えるじゃん!」とさらにテンションが上がり。新幹線だとピューっと通り過ぎちゃうけど鈍行だとじっくり見られるね。富士山…初めはあまりにも大きい存在感にビビったが、天気が良かった事もあって凄く綺麗に見えて感動。静岡の人はこんな素敵なものを毎日、当たり前のように見てるのかなぁ…。清水駅に降りた後も、まずは富士山鑑賞&写真撮影。素敵だなぁ、あんなに綺麗に富士山が見える駅なんて。つーか富士山がこんなに感動的なものだなんて知らなかった、恥ずかしながら……。
清水に着いて、まず行ったのは「エスパルスドリームプラザ」という商業施設。ここに「ちびまる子ちゃんランド」というミュージアム的なスポットが入ってるので。地元サッカーチーム清水エスパルスのキャラがお出迎えするドリームプラザは、清水港に面した、眺めの良い小綺麗なショッピングモール。普段、海とは全く馴染みの無い生活を送っているのでここでもテンション上がった。羨ましいぞ、港のある生活!
肝心の「ちびまる子ちゃんランド」は、平日ということもあってかガラガラ。入口でスタンプラリー用のカードを受け取り中に入ると、「お茶の間」「台所」「子供部屋」(写真参照)など、まる子の家の内部が再現されてるゾーンで、さくら家の人々がお出迎え。前を通るとちょっとした小芝居が繰り広げられる。時々ジリリンと鳴る黒電話を取ると、まる子のクラスメイト達から遊びの誘いが…。家を出ると次は学校。ズラっと並んだクラスメイト達の下駄箱の中の何処かに入ってるスタンプを捜すために一つひとつ開けまくる。箱の中にちゃんと名前入りのシューズが入ってたのが素敵。次は教室。黒板の前の教壇に立ち記念撮影し、教卓の中に仕込まれたスタンプを押す。ちなみに机の中には古めかしい教科書が入ってた。また教室内にはテレビが設置してあり、アニメが放送されてた(まる子が文通する話だった。最高)。
一番興味深かったのはさくらももこミュージアム的な要素を持つ図書室。さくらももこの著書がズラっと並んでいた他、生原稿や絵入りサイン色紙、アニメの絵コンテ、原画などの資料が展示されていた。あと、さくらももこが旅先で買った珍品コレクションとか…(マトリョーシカなど)。また、『ちびまる子ちゃん』の舞台である1970年代を紹介するコーナーも。万博関連グッズや初期の人生ゲーム、漫画にも登場したローラースルーゴーゴーなど、レトロなおもちゃに興奮。また、1974年の流行語「ストリーキング」に失笑…。個人的にはこのミュージアムコーナーが『ちびまる子ちゃんランド』のメインコンテンツでもよかったような気がするが、それじゃあちびっ子が集まらないよなー。
エスパルスドリームプラザに入ってたカプリチョーザでパスタ食べてから、いよいよさくらももこが生まれ育った町にしてまる子の原風景、入江町へ。清水駅のそばのアーケード街(お店が沢山連なってたけど、人通りがまばらで静かだった。不景気だから……?)を抜け、漫画やアニメに何度も出てきた巴川に架かる橋を渡る。あぁ、ここで花火大会が開かれたりしたのかなー。そしてレトロな感じの商店街を抜けると、これまた何度も作中に出てきた神社(白髭神社)を発見。ここでラジオ体操とかしたのかなー。さらに街をうろうろさまよい歩き、ついにまる子の母校、入江小学校を発見。ここでの思い出が『ちびまる子ちゃん』に昇華されたんだなー…感動。最後は生家。「今はもうとっくに閉店していて、その面影は残っていない」という事前情報は仕入れていたものの「建物自体は残ってるんじゃね?」という希望を胸に、かつて入江町商店街の中にあったというさくらももこの生家である八百屋さん(の跡)を探すが、それらしきものはなかなか見当たらず。そこでmay99ちゃんが商店街の中にあるスーパー、そして薬屋の店員さんに突撃取材(?)。そして、今はもう建物自体が無くなり、駐車場になっているという情報を得る。『ちびまる子ちゃん』のアニメスタートが1990年。あの大ブームから、既に20年ぐらいの年月が経っている。その当時はまだ『ちびまる子ちゃん』の時代、1970年代の面影が商店街にもあったものの、今では様変わりしてしまったという。さくら家跡である駐車場まで薬屋さんに案内してもらい、感慨にふける。
生家は見られなかったけど、子どもの頃から大好きだった漫画が生まれた町を歩く、というのは本当に不思議で素敵な気分だった。なんか、ちょっと羨ましくなるぐらい素敵な所だったなぁ。清水駅がすぐそばという便利な立地、連なるレトロな商店街、さらに港もすぐ近くにあって、おまけに富士山が綺麗に見えて…。久しぶりに漫画を読み直そう。あと、さくらももこの中学~高校時代の思い出を漫画にした、『ちびまる子ちゃん』のいわば後日談のような作品『ひとりずもう』も。清水の町の描写が結構具体的に描かれてるので(成長して行動範囲が広がったせいかな?)、こっちも改めて読み直そう。

「evergreen」展

2009-02-10 15:03:32 | 音楽
2001年にリリースされたHYDEのソロデビューシングル「evergreen」。アコースティックサウンドが奏でる静寂の世界が広がる名曲で、彼がこれまでラルクで表現してきたものとは一味も二味も違う音楽だが、何故か「うーわ、HYDEワールド全開だな」と瞬時に感じさせてしまう不思議な曲だった。当時、ラジオからMDに録音したものを繰り返し、何度も聴いた。勿論CDも擦り切れるぐらい聴き倒した。とにかく常にあの曲を聴いていたくて。あの曲が耳に入ってこない状態が嫌で仕方がなくて。もう完全に「evergreen」中毒だった。HYDEの音楽性のコアな部分を封じ込めた劇薬のような曲だと思う。



さて、この「evergreen」にはいくつかのバージョンが存在する。以下まとめると…

①2001年リリースの「evergreen」
②①のカップリングだった「evergreen english ensemble」
③①の英語詞バージョン
④「EVERGREEN [DIST]」
⑤④の日本語詞バージョン

という感じ。オリジナル版である①が一番有名だろうけど、他のバージョンもそれはそれは味わい深い。特に②。①の歌詞が英語詞に置き換えられたものだが、アレンジも①とは異なっている。アコースティックな音作りで、パッと聴いた印象は①と似ているものの、ピアノがメインで音数は少なめで①よりもさらに儚い、消え入りそうな程の静寂の世界が広がっている。最近の『HUNTER×HUNTER』のキルアみたいな。置き換えられた英語詞もまた良いんだよなぁ、切なくて。一番感情が揺さぶられる終盤のフレーズ「近づく終わりに言葉一つ言い出せない」が、英語版だと「The bells have rang,the time has come」になってるのよ…。



③は①のアレンジは変えず、歌詞だけを英語にしたバージョン。HYDEの1stソロアルバム『ROENTGEN』の海外盤に収録されている。HYDE本人は日本語版よりもコレがお気に入りらしい…ってなんか書いててややこしくなってきた。大丈夫か、今日の記事、読んでくれる人に伝わっているのか!?
④は、HYDEがソロでやる音楽をロックに転向させた後にリリースされたもの。2005年のシングル「COUNTDOWN」のカップリングで、原曲のテンポやキーは変えずにバンドサウンドにアレンジしたもの。音が一気に厚くなり、HYDEの声がエモくなってるのだが、原曲の儚い魅力は健在なのが凄い。KAZの男泣きディストーションギターもガーガー鳴り響くよ。歌詞は英語なので③の別アレンジ版ってことになるのかな。



で、最後の⑤はCD化はされていないが、先日発売されたDVD『VAMPS LIVE 2008』に収録されてた④の日本語詞版。去年私がVAMPSのライブで聴いたのも多分こっち。歌詞の意味がダイレクトに伝わってくる分、④よりもさらにエモく聴こえる。

ここまで色んなバージョンがあるわけだし、本人的にも余程の自信作、というかお気に入りなのでしょう。ソロデビュー曲だしね。あぁ…懐かしい。「evergreen」と、続くシングル「Angel's tale」そして「SHALLOW SLEEP」は、CDケースが棺桶型の特殊パッケージだったなぁ。棺桶を開けると、中に懐かしの…2001年の時点で既に時代錯誤だった8センチシングルが入ってんの。どんだけ吸血鬼好きやねん、と。

つまらない人間

2009-02-04 15:33:33 | 映画
デカプー(レオナルド・ディカプリオ)主演『レボリューショナリーロード』を観た。世界一ヒットした化け物映画『タイタニック』以来11年振りにケイト・ウィンスレットと共演した話題作(の割には空いてたなぁ)。『タイタニック』のようなドラマチックなラブストーリーを期待して観に来た人達を徹底的に叩きのめす気マンマンの、あまりにも挑発的な映画であった。
1950年代、ニューヨーク郊外の新興住宅街に住む美しい夫婦。白く美しい家でイケメン夫(デカプー)と可愛い子供達と共に穏やかで幸せな日々を送る妻(ケイト)だったが、その穏やかさに、彼女は心の何処かで不満を持っていた。大きな夢を抱いて生きていた若い頃の私は何処へ行ったのかしら。夢を忘れて専業主婦として平凡な日々を送る私に、この先何が残るのかしら。そういえば夫は昔、パリに居たと聞いた。パリはニューヨークとは違い、芸術に溢れた刺激的で夢一杯の街だと彼に聞いた。そんな彼も今では平凡なサラリーマン。毎日毎日つまらなそうに出勤する彼。このままでいいのか。そうだ、パリへ行こう。家族みんなでパリに移住して、人生をやり直すのよ!……妻は、こんな壮大な計画を脳内で立ててしまった…。
「平凡な生活に不満を持つ主婦」という設定は日本のドラマなどでも頻繁に見かける。その場合、紆余曲折を経て最終的には、「やっぱ平凡な日々が一番幸せ。とりとめもない小さな幸せを大切にすれば、私は十分幸せに生きていけるわ」というある意味全うな結論に行き着くのが大半だろう。しかし『レボリューショナリーロード』は甘くない。大胆なパリ移住計画を巡り、デカプーとケイトは、ほぼホラーな泥沼の大喧嘩を繰り広げるのだった。「仕事辞めてパリに移住?んなバカな…」と思うデカプーだが、「パリで自由に夢を追う、生き生きしたあなたが見たい」みたいな感じでケイトに熱く熱く説得されて一度はその気になる。うん、ニューヨーク捨ててパリに行く俺、結構カッコいいかも。…でも、サラリーマン生活が染み付いたデカプーには今更叶えたい夢なんて特に浮かばなかった。大体、いくらつまらなくても、安定した収入の仕事を辞めるのには躊躇する。さらに、このタイミングで出世の話が。揺れるデカプーに対し、平凡な日々にうんざりしていたケイトには何の迷いもなかった。しかし、パリ行きが目前に迫って来た時、妻の妊娠が発覚する。専業主婦をやめてパリでバリバリ働く予定だったケイトは中絶するつもりだったが、デカプーは「パリ行き中止のチャンス」とばかりに大反対。結局夫婦は全ての計画を白紙に戻す。安堵のデカプーに対し、ケイトのイライラは頂点に達していた…。
「現状を変えたい」とボンヤリ思っていても一歩踏み出す事を躊躇しまくるデカプーに、私はあろうことか強く共感してしまった。パリ行き断念以降、『レボリューショナリーロード』はいよいよ怒涛の展開に、夫婦の激しい罵り合戦に突入する。この辺のシーンはカット割りまでなんだかホラー映画っぽくなっていて(「あぁ、その曲がり角が怖い!」的な)、異様なまでの緊迫感。そこでのデカプーは本当に観ていてムカつく上に情けないのだが(要はデカプーのダメ男演技がうますぎるという…)、私は常に彼の味方だった。
映画を観ていて、パリに執着するケイトを理解出来ない人は、きっと保守的でつまらない人間なのだろう(私も含む)。彼女のような人を「いい歳して夢を追うなんてアホらしいよな」なんて冷笑することで平常心を保つが、きっと心の奥底では誰よりもその行動力に憧れている、ただの小心者。銀幕に映し出される「つまらない自分」=デカプーに同族嫌悪しつつ共感。『レボリューショナリーロード』を観て、そんな冷や汗モノの映画体験をした。辛かった…。そしてラストをほぼハッピーエンドだと解釈する私は相当のろくでなしなのかなぁ、なんて。その人の性格や価値観や経験によって、解釈はバックリわかれるであろうこの映画。観た後の会話がこれほど盛り上がる作品って久しぶりだ。
この映画の舞台は1955年のアメリカ。デカプー夫妻には幼い子供が二人居るが、その子達が成長し、思春期青年期を迎える60年代後半~70年代は、アメリカの一大転機だった。国内では差別され抑圧されていた黒人達が各地で暴動を起こし、そんな黒人に味方して共に権力と戦おうとする白人が現れたり。国外では文字通り泥沼のベトナム戦争。世界中の活動家から非難されるアメリカ。国内でラブアンドピースを唱えるドラッグ中毒のヒッピー達…。前時代的な古きよきアメリカを守ろうとする大人達に抗うべく台頭した若者達が生まれ育った家は、『レボリューショナリーロード』みたいな状況だったのかもしれない。特にヒッピーなんて裕福な白人家庭を飛び出したような奴ばっかりだろうし、デカプーみたいなつまらない生き方をする父親に育てられ、反発したのかも。デカプー夫妻の子供たちは、映画では驚く程存在感が薄い。しかし十数年後、子供達はデカプーを激しく苦しめるだろう。デカプー夫妻は「レボリューショナリーロード」という名前の通り沿いの家に住んでいるが、まさにその家で、革命家(気取り?)を生み出してしまうのだ。子供達は親の言う事に全て反発し、新しい生き方を見つけるべく爆走するだろう。まるでかつての妻のように。


追記 
中古ショップでhideのシングル「Hi-Ho」を見つけたので即ゲット。嬉しいなー、ずっと欲しかったんだよなー。もちろん、このシングルに入ってる「Beauty&Stupid」のリミックスバージョン目当て。スカパラとhideの、最初で最後のコラボですよ!ハマりすぎ!カッコよすぎ!