拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

ギムナジウムには制服が無い、と知った時の衝撃…―『ポーの一族』

2008-05-31 03:00:03 | 漫画
小学6年の時、漫画『ガラスの仮面』がドラマ化された。ドラマを無駄に盛り上げまくるB'zの主題歌「Calling」も手伝い(?)人気を博し、作品の知名度を若い世代に一気に広げたテレビドラマ。私もドラマをきっかけに原作を読んだ。それまで少女漫画は『りぼん』掲載作品ぐらいしか読んだことがなかったため、70年代少女漫画の画風に初めは畏縮したが、気付けば作品の持つ強すぎる引力に導かれ、あっというまに既刊40巻(当時)を読破してしまった。引力…そう、あの時代の漫画が持つ、読み手を引き付けて止まない魅力は初体験だった。やがて『りぼん』の漫画では物足りなくなり、私は少女漫画クラシックスに手を出し始めた。その時出会った漫画で未だに印象深い作品、クラシック中のクラシックである、萩尾望都原作『ポーの一族』を、最近読み直した。
人の生き血とバラの花を好み、銀の十字架を恐れながら永久の時を生き続ける吸血鬼バンパネラ。彼らは気に入った人間に自身の血を送り込むことで、相手をバンパネラの仲間に加えることが出来る。基本的に不老不死だから、バンパネラになった時点でその人間の「時間」は止まる。主人公エドガーと、その妹メリーベルは、14歳で仲間に加えられ、永遠にその姿のまま生きることを余儀なくされたバンパネラだ。バンパネラは不老不死の怪物だが、銀製の杭を心臓に打ち込まれると砂になって消える。ナイフで切られても銃で撃たれても平気だが、ナイフや銃弾が銀製ならアウト。『ポーの一族』は、主人公たちがバンパネラとしての生をスタートさせた1700年代中盤から1976年までの200年余りの期間に起きた出来事の物語である。物語は時系列に並んでおらず、エピソードごとに時代を行ったり来たりする。一見、繋がりが薄いように思えるエピソード同士が、終盤で一気にまとまっていくのが圧巻。何度読んでも凄い構成だと思う。
19世紀末。ある事件がきっかけで愛する妹メリーベルを失ったエドガーは、同い年の少年・アランをバンパネラの仲間に加える。同い年と言っても、アランは普通の14歳だがエドガーは14歳の姿のまま100年以上も生きている。人間同士ならば出会うはずのない関係だ。『ポーの一族』は、こうした出会うはずのない関係がてんこもり。不老不死のエドガーたちの時間は止まっているが、彼らと関わる周囲の人々は普通に年をとって普通に死んでいくのだ。同じ場所に長く留まれば周囲に怪しまれるため、エドガーとアランは時に国境を越えて街を転々とする。いつか悲しい別れが来る事は明らかだから、人間と深く関わることは殆どしない。生き血に飢えたり、十字架を見て震えあがったりする度に、自分がアウトローな存在であること実感しながら、永久に生きていくバンパネラ…。
「明日もあさってもしあわせな 今日の日の続きだと信じていた」というエドガーのモノローグは、不老不死である彼の悲哀をストレートに表している。妖しくも儚げなルックスも相成って、多くの場面で悲壮感を漂わせるエドガー。しかし私はエドガーの生き様を少し羨ましくも思うのだ。200年以上も生き続けてきたエドガーは、常に普通の人間より数段高い所に居て、飄々とした態度で接する。接する相手が大人でも、生きてきた年数はエドガーの方が圧倒的に長いから、易々と手玉に取ってしまう。作中にいくつか登場する、若き日にエドガー達と関わった人間が数十年後、当時と変わらぬ姿の彼らと再会…みたいなエピソードは、アウトローな存在であるが故の悲哀と自由さが同時に感じられ、何度読んでも胸を打つ(バンパネラハンターの老人との再会シーン大好き)。また、作品の舞台となる18世紀中盤~20世紀のヨーロッパが辿った激動の時代も、不老不死というヘヴィな運命を背負ったエドガーにとってはどこ吹く風。「西ドイツ…西ねぇ…まえにきた時は東西にわかれてなかったのにな。ま…いいさ、これからどう変わるかも神のみぞ知る」なんて余裕発言、一度でいいから言ってみたいぞ。
そんな飄々とした、悟りの境地に達したようなエドガーに対し、バンパネラ歴の短い相棒のアランはいつまでたっても子供のまま。「短い」と言っても19世紀から生きてるわけだから少しくらい大人になっても良さそうな気がするが、エドガーにお守りされてるせいか、ドイツのギムナジウム(日本だと中学・高校にあたるのかな)に潜入したエピソードでは、同級生達とつまらん事でトラブルを起こしまくるという無邪気っぷりを発揮する。うん、こんな無邪気な相棒を連れて、送ってみたいぜバンパネラな人生…………うーん、やっぱどうかな?
 

『ミスト』-「だーめだこりゃ…」な世界

2008-05-27 07:44:32 | 映画
映画『ミスト』観て来た。…凄かったー。エンドロール終わっても、しばらく座席から立ち上がれなかったし、内容についても話す気になれなかった。「…とりあえず子役の男の子、可愛かったね」ぐらい…。宣伝されている通り「衝撃のラスト15分」。大体こういう宣伝文句って観る側に過剰な期待させちゃって「別に衝撃ってほどでも無かった」みたいな事態になるが、今回の場合、事前の煽りは制作側の親切心なんじゃないかとさえ思ったりした。「ラストシーンが凄い」って予備知識無しで見たら、しばらく立ち直れないかもなー…。ネタバレ厳禁。観た人同士ならばラストの賛否含めていっくらでも語り合えるような映画だけど、観てない人に向けては何も言えない、ブログのネタにするには危険な映画である。ミステリーものみたいに「犯人当て」の要素は無いからネタバレしてもそれなりに楽しめるんだろうけど……やっぱあの衝撃を味わってもらいたいよね。

以下簡単なあらすじを。暴風雨の翌日、息子を連れて車でスーパーに買い出しに行った主人公の男。普通に店内をウロウロしてたら、突然、顔から血を流した男がスーパーに駆け込んで来た。彼の話では、霧の中に、危険な何かが居る、と。だから霧の中には入るな、店の外には出るな、と。気付けば、周囲は謎の霧ですっぽり覆われていた………。

「謎の物体が街を襲う!」という内容は『クローバーフィールド/HAKAISHA』と似ている。しかし、事前にyoutubeにバラまかれた『クローバーフィールド』の断片映像のインパクトに比べると、映画自体のインパクトは実はたいしたことなかった。いや、実際凄い映像なんだけど、特に自由の女神の映像は、周囲で写メ撮ってる人々含めて妙にリアリティある映像なんだけど、初めてyoutubeで映像見た時の衝撃を超えてないのだ。完全なる出オチ映画というか…。舞台となったニューヨークに住んでる人とかは『クローバーフィールド』見ると、911のテロを思い出して怖くなるらしいけど、あの映画には貿易センタービルに飛行機が突っ込む映像より衝撃的なもんは映ってないよ。……あれ、何が言いたかったんだっけ。とにかくネタがかぶってるけど、『クローバーフィールド』と『ミスト』は違うぜ、と(当たり前だ)。
話題の『ミスト』ラストシーンは原作の小説とは異なるらしい。監督のフランク・ダラボンが原作者スティーヴン・キングに「こんなラストで撮ろうと思うんですが」と連絡し、キングが「うわ、そのラスト最高…」と悔しがったという。人によっては「思い付いたからって普通やるか!?」とダラボン監督を問い詰めたくもなるだろう。しかし衝撃のラストを除けば『ミスト』は極めてオーソドックスかつ良質なパニック映画で、ハラハラな展開やリアルに怖い人物描写は見応え抜群。ラストに納得がいかない人も、「映画自体つまんなかった!」と怒る人は少ないだろう。本当、超オススメ映画です。賛否両論あるけど、観たら一生忘れられない映画になること間違いなし。話題が広まり、最近になって客足が伸びてきてるみたいだが、ぜひDVDでなく、満員の映画館で観て欲しい一作。ただしR15なのでグロ苦手な人は注意かな。

さようなら、エプシロン―『PLUTO』

2008-05-25 11:09:58 | 漫画
久々に浦沢直樹『PLUTO』の感想を。毎月「ビックコミックオリジナル」で20ページずつ淡々と連載されているこの漫画。情報量の多さ故、立ち読みでざっと読んでるだけだと「あ、あれ、つまりこれはどういうことだっけか?」と混乱することもしばしば。やっぱ浦沢漫画は単行本でまとめ読みするのがベストだよなぁ。でも単行本発売ペース遅すぎ&続きが気になって仕方ないので毎月本誌でチェック。『20世紀少年』の連載が終わり、『PLUTO』一本に全力を注いでいるだけあり(今のこの状況、常に連載を掛け持ちしてきた浦沢にとっては異例なことだろう…)、毎回濃厚だ。
『PLUTO』は言わずと知れた手塚治虫『鉄腕アトム』のエピソード「地上最大のロボット」のリメイク。ロボットと人間が当たり前のように共存する未来世界。世の中に溢れる様々な種類のロボットの中でも特別な存在…破格の大金を注ぎ込んで製造された特殊なロボット達が、謎のロボット「プルートゥ」によって次々と破壊される事件が発生。原作の手塚治虫版では特殊なロボットの中の一人であり、プルートゥに命を狙われる主人公のアトムを中心に物語が進むが、浦沢版では同じく特殊能力を仕込まれて造られたドイツの刑事ロボット「ゲジヒト」が事件の解決に挑む。原作ではあまり見せ場もなく、プルートゥにあっさり倒されてしまうゲジヒトだが、浦沢版では捜査官として大活躍。主人公の交代により、必要最低限の分量でテンポ良く話が進む原作とは全く違う魅力を放つ作品となっている。
主人公が変わってもストーリー展開は原作を踏襲している浦沢版。コミック第一巻と原作版を併せ売りした「豪華版」が売られていることからもわかるが、浦沢は『PLUTO』を完読する前にまず手塚治虫の原作を読み、ストーリーを頭に入れておく事を推奨している。アトムを含む強い強いロボット達がプルートゥと死闘を繰り広げ、破壊されていく…という展開を頭に入れてから読め、と。これはかなりつらい。原作ではサラッと、そして子供向け故にどこかコミカルに描かれていた各ロボット達の境遇や性格、生き様は、浦沢版ではおもいっきりドラマチックに脚色されている。誰からも愛される存在で、ロボットなのに情にもろく優しかったり、あるいは暗い過去を引きずりながら頑張ってたり(『PLUTO』の世界では高性能ロボット=大量破壊兵器でもあるのだ…)。そんなロボット達が次々に破壊され、散っていく。分かってはいるものの、いちいち切なく、悲しい。
原作とほぼ同じ順番で、『PLUTO』で破壊されていったロボットたち…モンブラン、ノース2号、ブランド、アトム、ヘラクレス、ゲジヒト…そして今月、遂に最後の一人、エプシロンの番になってしまった。兵器として最強の力を与えられながらも徴兵を拒否した平和主義者。そのことで世界中から批難を浴びながら、オーストラリアで戦災孤児の世話に励む、心優しいエプシロン。
平和な世の中なら、エプシロンの莫大なエネルギーは平和的に利用されるだろう。しかし戦争が起きれば真っ先に戦力と見なされる。「ロボットを争い事に巻きこんではならない」というお茶の水博士のような主張は少数派だ…。ロボットの心理描写があっさりしている原作でも、主人公のアトム、そして、エプシロンだけは特別だった。原作エプは、ある事件がきっかけで瀕死状態のプルートゥに出くわす。そのまま放置すれば大量破壊兵器プルートゥは死ぬ。子供たちを見守りながら平穏に暮らすことを望み、戦いを拒むエプシロンはプルートゥを見捨てようとするも、「目の前で苦しんでいる者を見殺しにしていいのか?」と自問自答した末、手を差し延べる…。この設定は浦沢版でもしっかり生かされており、エプシロンは常に苦悩しまくり。あぁ…エプシロンよ…「戦いを拒んだ破壊兵器」という矛盾した生き様が素敵だぜ…。そして最終的に…。
思えば浦沢版エプシロンは貴重なキャラだった。普段クールなシリアスキャラのくせに子供の前だと優しいお兄さんキャラに変貌。保育士という仕事が憎たらしい程ハマってた。長髪のイケメンというルックスは、渋いオッサンだらけの『PLUTO』に確実に華を添えていた。そもそもあの世界ではロボットのルックスをどう決めているのだろう。生みの親である博士に一任されるのか?アトムは生みの親である天馬博士の息子そっくりに造られた。プロレスラーとして造られたヘラクレスとブランドはルックスも見るからに強そう。しかし刑事ロボ・ゲジヒト…何故あんな、薄毛が気になる枯れたオヤジ風に造られちゃったんだ!?エプシロンはあんなにイケメンに造ってもらえてるのに…。兵器として造られたのに、平和主義者のエプシロン。戦争に行って戦ってくれないロボットなんて世間から見れば失敗作であろう。しかし自らの意志で人間の命令に背いているという意味では超進歩的なロボットとも言える。実際、「ロボットが仕事をサボるようなことがあれば、それは進化だ」という主旨のセリフも作品内にあるしね。


国会王子

2008-05-21 18:16:41 | テレビ
「えっ?キムタクが総理大臣に?」なドラマ『CHANGE』。二話まで放送が終わったが、これ結構面白い。「キムタク総理が日本を変えるゾ」ってことでタイトルが「CHANGE」なのだろうが、普段のキムタクドラマとは何か違うのである。まぁ、相変わらずキムタクは何をやっても「キムタク」で、もはやそのスタイルのブレなさ加減は名人芸の域に達している気がする(?)。でもいつもとは何かが違うのだ。多くのキムタクドラマでの彼は、強気でリーダーシップあって大胆で…という、文字通り「HERO」なキャラばかり演じている。しかし今回は、どうもそうはいかない。
『CHANGE』で彼が演じるのは、大物国会議員である父親が事故で急死したことにより、補欠選挙の候補者として祭上げられ、なんだかんだで当選してしまった元小学校教師の新人議員・朝倉。父親の汚職疑惑をそばで見ていたこともあり、政治の世界とは距離を置き、父の後を継ぐことなく別の道を選んだのに、結局あれよあれよという間に議員になってしまう青年だ。見事に当選したものの、政治に疎い新人議員の朝倉は慣れない環境に戸惑い、人に言われるがまま、あたふたと仕事をこなしていく。「周囲に翻弄されるキムタク」、これはかなり新鮮だ。「ちょ、待てよっ!」なんて言わないよ。「ちょっと待ってくださいよ!」だよ。
あんまり強気じゃなく、翻弄されるキムタク。普段のキムタクドラマとは少しチェンジした顔を見せる今回の役柄は、1993年の大ヒットドラマ『あすなろ白書』で彼が演じた、黒ブチ眼鏡をかけ、男女5人組の中で一人余ってしまうという「第三の男」、取手君を思わせる。実際議員になる前の小学校教師時代はモサい黒ブチ眼鏡かけてて「取手君だー」と思ったさ。『あすなろ白書』でキムタクに「第三の男」的ポジションの役が与えられたのは画期的だったし、そんな贅沢なキャスティング(キムタクがフラれ役、なんて企画通らないよな、まず)をするドラマは『あすなろ』以降無かったわけだが、『CHANGE』は久々にその領域に足を踏み入れたドラマになるかもしれない。まぁ、この先総理大臣に選ばれて、仕事をこなすうちに垢抜けていつものかっこいいキムタクに戻るかもしれないけど…。
『CHANGE』は月9ドラマということで、頭のスイッチをオフにして気軽に楽しめる作品に仕上がっているが、第一話の選挙シーンを見てちょっとあれこれ考えてしまった。朝倉の父は福岡を拠点とする大物議員で、道路や病院を作って地元を潤し、大規模な後援会に支えられる有力者。そんな父に代わって出馬する息子は、政治に全く興味を持たないド素人。そんなド素人を、党本部や後援会の人々は「絶対に選挙に勝ちましょう!!」と持ち上げまくるのだ。うーん…テキトーだなぁ。また、演じてるのはキムタクなので、そのルックスを利用して女性人気の獲得を最優先したり、「元教員だから公約は教育関連で。しかし詳しく語る必要無し!おおざっぱに、大きな声で!」という姿勢で演説させたり、選挙戦略は力技。とりあえず選挙期間中に顔と名前をアピールしまくればOK。これが現実なんだよな。「ドラマだから誇張も混じってるでしょ」とかじゃなくて、これこそまさに「美しい国・日本」の民主主義の姿。くっだらないぜぃ。
第二話のラスト。衆議院総選挙を三ヶ月後に控え、支持率低下が止まらない党の悪いイメージを一掃させるため、当選早々「国会王子」として注目を集めるキムタク議員を総裁選に出馬させよう、という意見が、大物議員から飛び出す。あまりにも前代未聞過ぎる提案だが、「どうせ裏で牛耳るのは我々だし、とりあえず選挙までは外面だけでもよくしとこう」みたいな方針なのだろう。さてさて、これからどうなることやら…。

遠い未来

2008-05-19 10:47:55 | L'Arc-en-Ciel
先日、読売新聞に載ったラルク東京ドームライブの広告に記されていた「NEXT LIVE 2011 20th L'Aniversary live」という一文の真相を巡りラルヲタは今、気が気じゃない。「次のライブは2011?じゃ、それまで活動休止するの?」「ドームライブのチケット売るための脅し文句だろ。『今行かないとしばらくライブ無いかもよ?』みたいな」……本当、どーなるのかと、ファンの間では憶測が飛び交っている。そんな時、MUSICA編集長で、現在のラルクのアジア・パリツアーに同行してる鹿野が、自身のサイトでこんなことを告げた。以下、5月17日の記事を引用。

>僕が言うのもなんだが、L’Arc~en~Cielはこの東京から大阪へわたるドームツアーが終わると、L’Arc~en~Cielの活動を緩やかにしつつも、平行して各メンバーが自由な活動に踏み込んでいくという話だ。HYDEがK.A.Zと結成したユニット「VAMPS」の動きを見れば、おおよその想像はつくことと思う。となると必然的に次は2011年までライヴを行わないということなのだろう。

…またソロ活動中心になるのか。HYDEなんて早速全国のZepp46公演なんて無茶苦茶なツアーやるしね…。寂しいなぁ…。非ラルヲタの友人には「ラルクが休みでもHYDEのソロがあるからいいじゃん、似たようなもんだろ」なんて言われるが、ラルクとHYDEソロは似て非なるモノだよ、残念ながら。名古屋グランパスとFC刈谷ぐらい違う。……どっちがFC刈谷?と問われると困るのでグランパスとドラゴンズあたりにしとく。とにかく違うのよ。作品の方向性も受け手の心構えも私が費やせるお金の金額も!hydeの歌声には今も昔も大いに惹かれまくってるけど、彼が歌ってれば何でも良い、なんて単純なものでも無い。空の色が美しくも不穏に変化し続けるような幻想的な楽曲…強靭なリズム隊…ラルクならではの魅力が、またしばらくお預けになるのかよー…。
とりあえず新曲のリリースは決まってるわけだし、これからもたまには何か出して欲しい。2011年に行われるらしいライブまでには新しいアルバムも出てるといいよね。つーか2011年て…次回のサッカーW杯や、浅田真央が目指してるバンクーバ冬季五輪が終わってる年だ。地デジスタートの年でもある(ちなみに我が家は昨年から地デジ対応。カモン!ネクストウェーブ!)。遠い未来だな、私にとっては。「2011年にはライブやるぜ!」と宣言されてるから、宣言無しで休み続けた2001年~2003年春よりはマシだけど…やっぱ遠い。2011年の何月なのよ。1月と12月では大違いだぞ?岡村靖幸釈放とどっちが先かな。ハハハ。
来月の大阪・京セラドーム最終日に何かまた新たな発表があるといいなぁ…。行ってこの目に焼き付けてくる。しばらく見納めになるかもしれないラルクを…。初めに「東京ドーム+京セラドーム5公演!?いくらラルクでも、『無謀な夜』より無謀じゃん!チケット売れるの?」とか思ったけど、しばらく見納めになるならせめて大阪には行かなくちゃって気分になっちゃったよ、行かないつもりだったけど。次日本ガイシホール来てくれるのいつだろう

「日仏に虹架けた!」

2008-05-14 20:56:59 | L'Arc-en-Ciel
記事タイトルはネット版スポーツ報知の見出し。良いね、素晴らしいね。L'Arc-en-Cielが、先日、ついにパリでのライブを成功させてしまったよ。1月のライブでパリを含む世界ツアーのニュースが告知された時は「パリでライブやるの?人、集まるの…?」と思ったが、なんと5500人を動員したらしいね。会場のルゥ・ゼニットアリーナは5~6000人規模のキャパらしいから、大盛況といって良い客入りでしょう。日本円にして8~9000円ぐらいの金を、ラルクのライブ見るためだけに払った熱いファンがフランスにたくさんいたんだよ…。レディオヘッドやU2もライブをやった、ルゥ・ゼニットアリーナ。パリの屋内ライブ会場としては最大規模らしいぞ。「5~6000人で最大規模?少なくね?」と思ったが、東京とパリの人口を比べたらまぁ納得。東京でいう武道館とか、代々木第一みたいなもんかな、ルゥ・ゼニットアリーナ。
気になる。セットリストは新旧の名曲を織り交ぜたファン垂涎モノ。ここ最近のライブではアルバム『KISS』収録曲が沢山披露される一方、昔の名曲の影が薄くなってて気になってたのだが、今回の世界ツアーでは「get out from the shell」、「あなた」「My dear」「forbidden lover」などが披露されてるみたい!うわぁ超聴きてぇ…ということで、行かないつもりだったドーム公演、急遽行くことに決めましたよ。大阪なんて近いよ、うんうん。
ライブが終わった直後、youtubeに盗撮と思われるライブ映像が大量にアップされた。おいおいおい、撮られ放題やん…。でもダメだと思いつつちょっと見ちゃった。めちゃくちゃ盛り上がってますな。全編フランス語のMCは「こんにちはラルクアンシエルです。パリジェンヌに会いたかったです」ぐらいしかわかんなかったけど(多分な…)、なにやら笑いをとったりもした模様(あ、発音が変で笑われたのか?)。なんか、日本語がわからない海外ファンのもどかしさみたいなものがわかったよ…。あと、同じくyoutubeに上がってたフランス国営放送「Franch 2」でのラルクのライブのニュース映像、感動したなぁ。字幕ないから内容はやっぱり全然わかんなかったけど、開場待ちのファン達がラルクのデビュー曲「Blurry eyes」合唱してる映像とかあった。あと、「日本のロックバンドに詳しいジャーナリスト」みたいな人がコメントしてたり。何者だよ。
フランスでラルクの人気に火が点いたのは、2004年に主題歌を歌ったアニメ『GTO』、2005年に『鋼の錬金術師』が放送され、人気を博したのがきっかけ。…うーん…ファンタジー物である『鋼の~』が海外でウケるのは何となくわかるけど、『GTO』…。日本ではドラマや漫画が大ヒットしたけど、アニメ版『GTO』は不発だったような。海外でウケる要素も見当たらない。ファンタジーとかではなく、東京が舞台の学園モノだしなぁ。まぁ、主人公・鬼塚先生の無茶苦茶ぶりはある意味ファンタジーか?
パリライブのことは、数日経ってから日本のメディアで報じられた。めざましテレビとかで。めざましでは「READY STEADY GO」を歌う前のhydeの定番MC「Are you fuckin' ready?」の映像が流れたが、字幕が「Are you Rock'n'roll?」になってて吹いた。ロックンロールて…。「fuck」が引っ掛かったんだろうけど、ならわざわざその部分流さなくても…。


さてさてそんなラルクだが、夏に、現在レガシィのCMでオンエアされてる(2年連続!もちろん三浦カズ出演さ)新曲「Nexus4」、そして待望の人気曲「SHINE」を遂にリリースするらしい。両A面かな?今年はhydeソロが再スタートするからもうラルク休むかと思ったけど、CDだけは出る模様。

タコ閃いた!!

2008-05-12 17:08:43 | 漫画
あっという間に「HUNTER×HUNTER」10週連続掲載が終わってしまった。これでまた月曜日のお楽しみは無しか。今回も衝撃シーン多数だったが、相変わらずストーリーはあまり進まず。フラストレーションが溜まるぜイェーイ!というわけで前のように、キャラクターごとに10週の動きを振り返ってみる。

ゴン→今回は主人公らしく大暴れ。待ってました!のネフェルピトーとの対峙シーンは今回の10週連続掲載の目玉だろう。気迫でピトーを圧倒するシーン、何度読んでも胸が熱くなる。前も書いたが、覚醒した『ドラゴンボール』の悟飯みたいだ。結局二人のやりとりは気になる所でプツリと途切れてしまったが、実際の所、ゴンの力はピトーに何処まで通用するのだろうか。

キルア→出番は少なかったが、「それはどっちの?」というモノローグで論争を巻き起こしたキルア。「HUNTER×HUNTER」はこんなにも行間を読む力を要する漫画だったっけ…。ネット上に挙がってるあらゆる解釈は個人的にどれも100%納得出来るものでは無かったが、かといって自分の解釈にも自信は無い。まぁ、様子見。でも、ゴンに「関係ないから」とか言われちゃった時のあの消えそうな表情がヒントになりそうだよね。あ、あと、最後の最後で約5年ぶりの「落雷(ナルカミ)」出てきたね。嬉しかった。

ネフェルピトー→元々超人気キャラだったが、今回さらに人気者になった感のあるピトー。オーラ全開のゴン相手にうろたえる姿は、初登場時の不気味さや普段の飄々とした表情からは全く想像出来ず、「デフレ」とまで言われた。少年漫画は「主人公や敵の強さがインフレしていく」と揶喩されたりするものだが、「デフレ」は珍しい(あ、デスノートの最後の方の月はデフレ気味かな?)。私は飄々としたピトーが好きだったから、うろたえるピトーには複雑な思いがあるが、相手が主人公のゴンだってのがせめてもの救いだ。あれ、相手がウェルフィンとかの場合でも土下座したりしてたのかなぁ…。

モラウ→スモーキージェイルでシャウアプフを監禁したモラウ。本人も言ってたが、本っっっ当に応用が効きます、あの能力。蟻編では要所要所で敵を煙に巻いて来たモラウ。ノブの「マンション」と共に「なんて都合の良い能力なんだ!!」と思ったりもしたが、元を辿れば「蟻殲滅に最も有効な能力を持つハンター」としてネテロに連れてこられたわけだから活躍して当たり前か。でもどーやらプフ相手だと一筋縄ではいかないようで…。

ナックル→「メレオロンと組み、相手に気付かれずポットクリンをくっつける」という作戦。彼の能力を思えば完璧だが、彼の性格には全く合っていなかったようだ。姿を消して、相手に気付かれない状態。自分だけそんな安全な場所に居て、黙って仲間達を見ていられる程冷静な奴じゃないもんな。

シュート→瀕死!でも死ななそうだよね、なんとなく。「あーんシュート様が死んだ!美形薄命!」的なことにならないことを祈るよ。

モントゥトゥユピー→「無我故の強さ」を持ってるはずが、実は結構色々考えてたユピー。しかも結構策士で。ただの暴れ者だと思ってたけど、やっぱ護衛軍だけあるわね。ユピーの心の動き、かなり丁寧に描かれていてビビったぜ。

シャウアプフ→「スピリチュアルメッセージ」でモラウの心を読むプフ。モラウの強靭な精神力を、プフを使って読者に解説するという展開は気が効いている。ていうか何を企んでいるのだ、プフよ。

ウェルフィン→懐疑主義者だということが明らかになったウェルフィン。女王の命令にいち早く背いたのも、きっとコイツだったんだろうな。コイツの能力「卵男」、ちょっと強すぎやしないだろうか。あれ、今のピトーなら倒せるんじゃ…。

プロヴータ→通称えびボクサー。間の抜けたルックスだが、フラッタの不自然さをあっさり見破る洞察力は持ってたみたいね。

ヂートゥ→お調子者キャラの最期はあまりにも呆気なかった。確かにウザい時もあったが、愛嬌のあるキャラだったじゃないか。初登場時、身勝手な師団長たちを纏めようと必死のコルトに「大変だな。体壊すなよ」と呑気なコメントを残してたのが印象的だった。それなのに…圧死(苦笑)。2chに「ヂートゥがこの先生きのこるには」というスレがあったのを思い出しました。死んじゃったよ…。

メレオロン→ナックルと分離し、急遽キルアと組むことになったメレオロン。「完全に存在を消す」という能力のせいか?あまり印象に残らず…。

イカルゴ→ジャンプ編集部による煽り予告文「タコ閃いた!!」があまりにも最高だったイカルゴ。イカルゴ可愛いよイカルゴ。

ゼノ→ターゲットは100%仕留める、という信条を抱いているはずのゼノ。逆に、ターゲットじゃない者には絶対手を出さない、みたいな鉄の掟を定めていたりもするだろう。今回ターゲットではない人間を殺めてしまったかもしれないゼノ、ちょっと落ちてましたね。

シルバ→久々に出てきたと思ったらヂートゥを圧死させたキルアの父。ゼノからキルアの変化を聞いた彼は何を思ったのだろうか。ポーカーフェイス過ぎて読み取れん。「自分より強そうな奴には手を出さず逃げる」という呪縛から解かれたキルア。暗殺者としてはマズいだろうが、「計画通り!!」(By夜神月)の可能性も…。呪縛から解かれて数段強くなったわけだしね。念を知らない=無防備で危な過ぎる状態のキルアが家を出るのを許したシルバの思惑、そして「絶対帰ってくる。あいつは俺の息子だからな」の真意は長らく謎だったけど、あの針に何か関係はあったのか…。ていうか改めて思う。この漫画、伏線多すぎ!!回収する気あんのかね。


さて、次の再開はいつでしょうか。今回の再開は予想よりあまりにも早かったから次も早期復活を期待してしまうけど、そうするときっと痛い目見るよな(笑)。

『Big☆Bang!!!』/中川翔子

2008-05-10 12:06:10 | アルバムレビュー
遅まきながら中川翔子の1stアルバムの感想を。シングル4枚、ミニアルバム2枚、ライブDVD1枚と、振り返れば2年弱の間に、かなりハイペースでリリースしまくってきたしょこたん。待望のフルアルバムは、アニソンをひたむきに愛してきた彼女らしいものだった。収録曲はアイドル歌謡、ロック、テクノポップとバリエーションに富んだ曲調ながら、どれもアニソンとして通用しそうな、わかりやすくキャッチーなメロディラインを持っている。作家陣は実際にアニソン界で活躍してる人が多めだが、エイベックスやソニーミュージック人脈の作家が作った曲もアニソンテイストバリバリだ。また、Perfumeプロデューサーの中田ヤスタカ…の友人がテビュー曲「Brilliant Dream」をダフトパンクっぽく…つまりPerfumeっぽくリミックスしたものも収録されていて、時代の空気が適度に読まれている(コレだけ浮いてる気もするけど…)。
いかにもオープニングっぽい勢い一発頭カラッポの「We can do it」の次、いきなり紅白出場曲「空色デイズ」が登場。アニメ『天元突破グレンラガン』のストーリーに忠実に書かれた力強い歌詞が曲にハマりまくりのロックチューン。無駄に手数が多くて派手なドラムがちょっと笑えるぜ。この曲の歌詞、個人的には『グレンラガン』と同時期にやってたアニメ『地球(テラ)へ…』にぴったりじゃねー?と思ったりもする。『地球へ…』は原作しか読んだことないけどさ。「空色デイズ」聴いてると、ソルジャー・ブルーの遺志を胸に地球を目指すジョミーや、ミュウ根絶を目指すキースなど、強固な意志を持つ『地球へ…』の主人公たちを思い出しちゃうぜ(いつか『地球へ…』の記事も書かなきゃな)。
続く「恋の記憶」「snow tears」は、しっとりした失恋ソング。サビメロにかなりの既聴感が漂うのが気になるが、コスプレでもするかのように曲の主人公になりきるしょこたんの妙な歌唱スタイルでカバー。「恋の記憶」なんてかなり可愛いぞ。ブリッコ的な可愛いさではなく。「snow~」はポップス工房・エイベックスって感じー。良質なのは確かだがサラッと流れていっちゃう…。
「Brilliant Dream」を挟み、「フルーツポンチ」「ストロベリmelody」「pretty please chocolate on top」と、アイドル歌謡三連発。「フルーツポンチ」は80年代の少年向けラブコメアニメのエンディングテーマっぽいレトロなギターソロがイカす曲。「気まぐれオレンジロード」とか「THE かぼちゃワイン」とかその辺のアニメに合いそう。あと、これまた80's作品『TO-Y』って漫画に出てくる売れっ子アイドル・園子に歌わせたいなぁ。「pretty~」は戦隊モノと魔法少女アニメテイストが絡まりあったノリノリ曲。なんか凄くイキイキしてるぞ、しょこたん。
「calling location」「happily ever after」でロック二連発。あの……二曲とも「空色デイズ」と似過ぎ…(苦笑)。二番三番煎じ…。しょこたんにロックが意外とハマるのはわかるが、似たようなのがアルバム内に三つもあってもなぁ…という感じ。でも本人が「空色デイズ」と合わせて「ロック三部作」と呼んでるし、思い入れタップリなんでしょうね。「calling~」は曲名が良いね(なんだそれ)。「happily~」はBメロが飛び抜けて良いが、サビの歌詞「幸せはいつだって失ってはじめて幸せと気付く小さな不幸」というフレーズが「もーちょいどーにかならんかったかなー…」という感じ。伝えたいことはわかるけど説明的過ぎるなー。
「starry pink」は本人作詞のバラード。おそらくライブでファンの人達が振ってくれたピンク色のサイリウムの事を思いながら書いたのだろう…結構普通の歌詞。でもまぁ感動的だよね。歌手デビューの夢が叶って、渋公で…いや、CCレモンホールでライブ出来たんだもんね…。
ラストはスカシカシパン愛好家第一人者の山田吾郎が作詞作曲を手掛けた「スカシカシパンすこし変?」。ギター弾き語りの童謡風ネタソングだが、思わず声に出したくなる言葉遊び満載の歌詞と、「歌のおねえさん」になりきったしょこたんの歌が良い味出してます。「まぁ…よくないっ!」
と、まぁ、こんな感じの愉快なアルバム。流しとくと適当に元気もらえるよ。これからも彼女の歌手活動は続くみたいだけど、ここまで彼女の好きな世界観を表現しきった1stアルバム出しちゃったら、次は一体どうすんだろ、って気もする。

DRINK IT DOWN/Dune2008

2008-05-07 02:53:06 | L'Arc-en-Ciel
今更だがラルクのシングル「DRINK IT DOWN」の感想を。
「DRINK IT DOWN」はPS3ソフト『DEVIL MAY CRY4』テーマ曲。tetsu以外のメンバーは元々このゲームのファンで、中でも特にゲームに入れ込んでいたyukihiroが作曲を担当した。ラルクの場合、基本的に作曲者がプロデューサーとなって主導権を握り、曲のアレンジをどうするかなどを決めるらしいが、今回の「DRINK IT DOWN」は、yukihiroがゲームのために作ってきた曲を叩き台にし、4人全員でアレンジをどうするか決めていったとのこと。地の底からの叫びのようなAメロから超ハイトーンなサビへ飛翔するラルク節全開のメロディーライン、メロトロンによるゴスなイントロ、変拍子になる後半部分など、随所にフックが仕掛けられているが、これは共同アレンジの賜物だろう。yukihiro一人のセンスではこの曲は絶対生まれなかったはず。4人で好き勝手にアイデアを出し合いながら作った末に生まれた新たなる名曲の誕生…。
「DRINK IT DOWN」は、ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』内の人気コーナーで、毎週DJがテーマを設定し、そのテーマに合う雰囲気のJ-POPをミックスしていくDJミックスコーナー「申し訳ないとフロム赤坂」で選曲されていた。テーマは「新歓コンパ」…まぁ、「DRINK IT DOWN」だもんな。「飲めよ!」みたいな。DJ曰く、「この曲よく聞くと、朝起きたら知らない女がそこにいた、みたいな歌詞なんですよ」とのこと。
以下、「新歓コンパMIX」のセットリスト

1. LAST ANGEL / 倖田來未 Feat. 東方神起
2. Love to Live By [FPM eclectic electric mix] / m-flo loves Chara
3. 恋におちたら (kut Remix) / Crystal Kay
4. 恋の罠を仕掛けましょう / FUNK THE PEANUTS
5. LOVE IS BUBBLE / BONNIE PINK
6. Get Lady / Rhymescientist
7. LIL'ONE LOVE (FOR LADIES) / Boo Feat. Big-O
8. こよいキミに恋をして / AYUSE KOZUE
9. DRINK IT DOWN / L'Arc~en~Ciel
10. 肉体関係MASTERMIND(MASH UP MIX) / CKB&RHYMESTER&DJ-HASEBE
11. 19 Memories REMIX / 加藤ミリヤ

AYUSE KOZUE~ラルク~ライムスがスムーズに繋がっていくDJプレイは圧巻。ニコニコにあったけどもう消えちゃった…。

カップリングはパンクアンシエルで、今回は「DUNE2008」。原曲は1993年にインディーズで出したアルバム『DUNE』収録…って15年前かい!当時のメンバー誰も予想してなかっただろうね、15年後にまた「DUNE」を演奏するなんて、しかもパートをチェンジして。もしかするとバンドが続いてること自体予想出来なかった事かも。それにしても最近のパンクはhyde(ギター)とken(ドラム)のテク合戦になって来てるな。やり初めの頃…「milky way」とかは演奏するのに精一杯って感じだったけど、4年もやればみんな慣れてくるのね。「Feeling fine2007」ではkenによる原曲のギターソロをhydeが完コピ。「夏の憂鬱2007」ではkenがドコドコツーバスを解禁。で、「DUNE2008」ではまたもやhydeがkenのギターをコピー、そして過去最長のギターソロも披露…あんたボーカリストだろ(笑)。「ラルクの合間のお遊び」じゃなく、本格的にパンクアンシエルとしてリリースしたりツアーやったりしちゃえば良いのに。

そういえば昨年の「SEVENTH HEAVEN」以降、tetsu作曲のシングルが一枚も出ていない。「Driver's High」「Link」みたいな、パァーっと舞い上がっていくような、tetsu名物のポップな曲、そろそろ出そうよ。ていうか早く「SHINE」出せよ。

『TANPOPO1』/タンポポ

2008-05-03 12:56:17 | アルバムレビュー
TANPOPO1/タンポポ

1. ラストキッス★★★★
ストリングス隊に金原千恵子ストリングスを起用した、気合入りまくりのデビュー曲。身体から徐々に体温を奪っていくような冷気漂う切ないシンセと、容赦なく悲しみを煽るマイナー調のメロディーが絡みあう。メンバー3人のコーラスワークも情感たっぷり。

2. わかってないじゃない ★★★
石黒彩ソロ。冒頭で耳に飛び込んでくるウッドベースがインパクト大なジャズ風マイナーチューン。間奏ではハロプロのアルバムであることを忘れそうになるようなプレイが聞ける。一度聴いたら耳にこびりつく「わかってないじゃない」というフレーズの繰り返しを軸に曲が構成されている。曲が進んでいく程にファンキーにトタトタと暴れるリズム隊、激しくなるアコギのカッティングが耳に気持ち良い。

3. センチメンタル南向き ★★★☆
矢口真里ソロ。フィリーソウル風の流麗なストリングス、フルートと彼女の伸びやかなファルセットがよく合う。声量が足りず、やや儚すぎる部分は他の二人のメンバーのコーラスとグルーヴィーなベースでサポート。中盤エンタテイメント性の低いコール&レスポンスが入ってくるのが謎だが、全体的に非常に爽やかな一曲。

4. Motto★★★☆
ディープなR&B。オケはNYレコーディングで、ベースにはウィル・リーを起用。
グルーヴィーなリズム隊とシンセの絡み、蜃気楼のように消え入りそうなストリングスサウンドが印象的だが、
メンバーのコーラスもなかなかのもの。普通のR&Bシンガーと比べれば当然クオリティは劣るだろうが、
アイドルならではのぎこちない雰囲気は、年上男にリードされる歌詞の主人公と妙にシンクロしている。
SMAPの「BEST FRIEND」と同様、拙さが功を奏しつつある曲。

5. 誕生日の朝★★★★
じわじわと盛り上がっていく曲とコーラスが美しいミディアム曲。温かいけど消え入りそうに儚くて…つんく良いメロディー作るなぁとただただ感心。メロディーを生かした音数少なめのシンプルなアレンジで、健気な願いが切々と歌われる。

6. 片想い ★★
飯田香織ソロ。アルバムでは珍しい、シンプルなギターロック調のミディアムバラード。美人だがなんだか怖い顔をしている飯田のキャラによく似合う、表面上クールなんだけど心の内に怨念を秘めているような、悩める女子の想いを描いた曲。

7. ONE STEP ★★★★★
このアルバムのハイライト。アーバンジャズ・ミーツ・ハロプロ。ハロプロのジャズナンバーの多くはボーカルを強調したミックスになっており、豪華なオケの存在感が薄まっているが、この曲(というかこのアルバム)は例外。ムーディに空間を自在に彩るサックス、そのサックスに対抗する、ヘナチョコとセクシーの間を横断するコーラス、一瞬だけポップになる部分Bメロからサビへの繋ぎ、キメフレーズ「ONE STEP GROWIN' UP」、救いのないつんく節全開の歌詞…。ハロプロ全盛期ならではの傑作ラブソング。

8. たんぽぽ ★★★
後にリカットされた曲。前曲のアダルトなムードから一転、春らしい軽やかなポップス。曲調も歌詞もポジティブなのに対し、ボーカルは儚げ。元気一杯に歌っていないのが逆に良い。「どこにだって咲く花だけど風が吹いても負けないのよ」というフレーズが、彼女たちの全てを言い表している。本当、どこにだっていそうな歌唱力の姉ちゃんたちだけど、良い歌にしようとして凄く頑張ってんだよな…。

9. スキ ★★★☆
ガットギターを軸に展開するスパニッシュ歌謡。ジプシーが悩ましく踊っているような図が浮かぶオケ。こういうの、本当に歌謡メロディーにハマるよなぁ。間奏にはアコーディオンソロまで登場。ギターとの絡みがこれまたヨーロピアン。
それにしてもこのアルバム、泣きそうな女の子の歌多いな…。

10. ラストキッス(アルバム・ヴァージョン) ★★☆
打ち込み主体だった一曲目のオケを、フルオーケストラに差し替えたバージョン。壮大な曲調は美しいが、冷たいシンセ主体の原曲の方が歌詞の世界観と合っていると思う。「とりあえずオケだけ差し替えて、曲数稼ぎしてみました」みたいな感じもするし…。

総評★★★☆
シャ乱Q時代、『シングルベッド』『ズルい女』などの女々しいヒット曲を生み出したつんくの歌謡センスと、ジャズ、R&B、スパニッシュなどを取り入れた渋めのアレンジが混ざり合う良盤。渋さ控えめのシンプルなアレンジの曲からはキャッチーを極めたつんくのメロディーセンスも味わえる。派手さは無く、製作段階から「知る人ぞ知るアイドルポップスの名盤」を目指していたかのよう。実際『セカンドモーニング』などと並び、アイドルソングヲタを魅了する作品になった…。歌詞は「優しくて魅力的だけど裏では何やってるかわからない男」に翻弄される女の子ばかりが出てきて、全体的にやや暗い。唯一幸せムードが漂う5曲目も、「どうせこの子も数ヵ月後フラれるんだろうな」と思えてしまう程の儚さが漂っている。こんな歌詞ばかりを書いたつんくの意図が気になるが、「素人より少し歌が上手い程度のアイドルが背伸びをしてクオリティの高いポップスを歌う」という状況に、歌詞の世界観は不思議な程ハマっている。
アレンジャーは小西貴雄(1.5.7.8.9.10)、鈴木俊介(2.6)、河野伸(3.4)。少人数精鋭。この三人が揃ってれば良い作品になるのは必然のようなものである。ハロプロのエース。売れ線ポップスからフリージャズの匂いが漂う楽曲まで幅広く手がける小西の活躍が特に光る。