拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

西へ…(2)

2009-01-29 16:27:40 | ライブ
今更ですが、スピッツライブの日の話。今回は一緒に行った友人の提案で、初めて、近鉄特急で大阪に行ってみた。ラルクの時はJRを乗り継いで2時間半ぐらいかけてダラダラ行ったが、今回は2時間強ぐらい。あんまり変わんないが、近鉄特急ということで、ガヤガヤ騒がしい在来線よりもまったり行けて良かった。金券ショップで安く乗車券買えたしね。JRは岐阜~滋賀~京都を通って大阪に行くが、近鉄は三重~奈良~大阪。このルートは新鮮な感じがしたな。三重と奈良を経て大阪に入ると、一気に風景が変わってびっくりでした。「ぬおぉ、気付いたら都会じゃん?」みたいな。
近鉄特急の終点が難波だったので、しばらくここで時間を潰すことに。しかしこの日は雪がちらつくほど寒く、外を歩くのは若干気が引けたのでまずは地下街をウロウロし、何故か湯葉とモッツァレラチーズのパスタを食した(美味だった)。その後、意を決して地上へ。案の定すっげー寒かったが街は活気づきまくっていた。映像でしか見たことなかったけど、本っ当に派手な街ですねぇ。「あ、この店テレビで見たことあるー」とか軽薄な事を言いつつあっちこっちをブラブラしてたら「なんばグランド花月」に辿り着き、「おぉ…これがあのNGKか…」とプチ感激。色んなお店がひしめく通りで、一番騒がしかったのは多分ここでしょう、きっと。私の住んでる地域では土曜正午から吉本新喜劇が放送されてて(もちろん今も)、小学生の頃は学校から帰ってすぐ、吉本見ながら昼ご飯食べるのが定番だった。その後大体友達と遊びに行くのだが、まず最初に話題にのぼるのは新喜劇ネタで…………という回想が、なんばグランド花月の前で一瞬のうちに脳内を駆け抜けて行った。完全に刷り込まれてるもん、小学校時代の土曜昼→新喜劇って。あれを放送してた地域ってどれぐらいあるんだろ。初めてゴールデンタイムの全国ネットの番組で、新喜劇の人気者だった藤井隆や山田花子を見た時は感慨深かったな。大阪に住んでる人がM-1グランプリを見る時の気分と似てるんじゃないのかなぁ。
しばらく難波をフラついた後、地下鉄で大阪城公園に移動。特に城好きというわけでもないが、せっかくなので散策。公園には梅の木が沢山あったが、まだ殆ど咲いてないのばかりだった。あいにく大阪城の文化的価値などが私の頭には入っていないため、城を見ても「へぇ、ここに秀吉とか淀殿とか居たのかなぁ…」ぐらいにしか思えない自分が切ないが、一応写真を撮った。公園内をウロウロしてる若者達、ひょっとして仲間だったかな?スピッツファンはラルヲタと違って一目で判別出来ない。ラルクのライブの日だと、城周辺はラルヲタでごった返すのだろうか。超見てぇ…。
そういえば私が大阪行った翌日、大阪国際女子マラソンがあったみたいだね。大阪城公園もコースに組み込まれてた。スピッツのライブのチケット、この日のやつを取ってればマラソン見れたかな。でも人集まり過ぎで、まったり公園散策なんて出来ないだろうな。
そうこうしてるうちに開場時間が過ぎていた。会場周辺にはダフ屋のオッサンが。大阪のダフ屋は名古屋より微妙に怖いね。ルックスと言葉使いのインパクト大。あと屋台がポツポツ出てたが、その中にスピッツの海賊版グッズを売る店があって失笑。ジャニーズ系コンサートとかならともかくスピッツのライブで……。写真入りポスターとかうちわとか、需要無いだろ。私が見た時は客誰も居なかったよ。
以上、大阪プチ見物終わり。結局何を見たのかよくわからない日記になっちまいましたとさ。

追記
hydeさん誕生日おめでとうございます。遂に40代に突入ですね。

Trouble

2009-01-27 18:58:27 | 音楽
スピッツのライブの前に大阪プチ見物した時のこと書こうとしたけど、ちょっと驚いたことがあったので全く別の話題を。いやー、驚いた。VAMPSが3月に出す2枚目のシングル「I GOTTA KICK START NOW」のカップリング曲「Trouble」が、まさかまさか、あの、Shampooのヒット曲のカバーだなんて。この情報、既に1月上旬頃に発表されてたみたいだけど、私はさっき本屋で「Monthly VAMPS」立ち読みして気づいた(買えよ)。何年かに一度、まるで熱病のように日本に訪れては塵のように消えていく、ユーロ出身ガールズユニットの筆頭、Shampoo。彼女たちの代表曲「Trouble」は、オレンジレンジの「ロコローション」の主要元ネタの一つでもありますな。2009年現在、ShampooのCD持ってる人ってどれぐらい居るんだろ…ってウチにもあったぞ(笑)。数年前従兄弟にもらったやつが。もらうなよ、自分(苦笑)。オレンジレンジが「Trouble」を引用したのは「俺らってどーせ徒花ユニットみたいに思われてんだろ、Shampooみたいな」という的確な自己批評に基づいていたのか、それともただの悪ふざけなのかは定かではない…いや、多分両方だな。そいえば2003年にロシアのt.A.T.uが流行りまくった時「どーせSampooみたいにすぐ消えるよ」と囁かれていたっけ。実際、流行ってたのが嘘みたいに、泡のように消えてったが、オレンジレンジはまだまだ頑張ってるね。「不滅の徒花」という、矛盾しまくりの存在として走り抜いて欲しいと思います。
とにかく楽しみ、VAMPSの「Trouble」。原曲でループしてるギターのリフ、KAZが弾くとめちゃくちゃカッコよくなるよね、きっと。歌はサビ以外ラップ…というか叫び。絶対ハマるよね、HYDEにね。ぶっきらぼうにワイルドに歌い叫ぶ彼が目に浮かぶよ。音はゴリゴリのハードロック、でもリズムは超ルーズ…みたいな「Trouble」を希望。「何故今Shampoo?大丈夫?凄い意外な所突いてくるなー…超変化球だなー…」とか思ってたけど、想像すればする程名曲になりそうな予感が沸々と。超~~~久々に「Trouble」を聴きながら、さらに妄想を膨らませております。うん、絶対カッコよくなるに違いないぞ!
シングル出るのは3月13日。う~ん、早く聴きたいけど、まだ3月になんてなって欲しくない(笑)。とりあえず2月4日に出るライブDVDが早く欲しいですわ、うん。ライブと言えば春からのツアーも決まったようで。また一箇所のライブハウスで6公演とかやるみたいです。この無茶苦茶なスケジュールを見ても、全く驚かなくないね、さすがに。名古屋と大阪のZeppには来ないみたいだけど、多分アリーナで追加公演やるね、3年前みたいに。

いっそPVもカバーしちゃえばいいのに、HYDEとKAZで。
Shampoo - Trouble



西へ…(1)

2009-01-25 23:14:37 | ライブ
1月24日、スピッツのライブを観に、大阪まで遠征した。「スピッツ、ついに初のアリーナ公演!」ということで話題になったこのライブ。一度でいいからライブを観てみたいバンドだったけど、なかなか地元のホールのチケットは取れなかった。でも、アリーナでやるんだったら取れるかも!ということで、少々面倒だったが、行ってしまいましたよ、大阪城ホールまで。初スピッツ、そして初城ホール。まさかラルク以外のバンドのために遠征することになるとは…でも、行って本当に良かった。良いライブでしたぜー。最新アルバム『さざなみCD』収録曲を中心に、「チェリー」「ロビンソン」「渚」などヒット曲を交えながら約2時間半、極太のグルーヴと清らかで伸びやか過ぎる声に酔いしれてきました。席は「ステージサイド席」。本当にステージの真横で、ずっとスピッツメンバーの横顔を見てる感じ。スクリーンは角度的に殆ど観られず(苦笑)。でもスクリーンなんて観なくても、本物が目と鼻の先にいるからね。一回だけタンブリン片手に元気に歌うマサムネさんが、超~近くまで来てビビったぜ。ステージは私が見たアリーナライブ史上最もシンプルなもので、ステージ袖のスタッフも丸見え。さすがNブロック(向かって左端のブロック)。ラルクのライブでこの席だと、スクリーンを使っての映像演出が観られなくてかなり辛いものがあるだろうけどスピッツは全然大丈夫でした。
スピッツファン歴は多分4年弱ぐらい、ひょんなことからアルバム『三日月ロック』を聴いてスピッツにハマった私だが、実は未だに全部のアルバムを聴いてなかったりする。『三日月ロック』の次作『スーベニア』を聴いた後、過去に遡る形でアルバムを聴いていったのだが、95年リリースの『ハチミツ』で何故か止まってしまったのだ(多分それ以降のアルバムは中古で手ごろな値段で買えるやつを見つけられなかったんだろーな)。だから「ライブで知らない曲ばっかりやられたらどーしよー…」と漠然と思ってたけど、稀有だった。なんかもう、私の好きな曲ばっかり次々と演奏されてくんだよな。『さざなみCD』自体が非常に好きなアルバムなので、その中の曲を全曲(だよね?多分…)やってくれた時点で個人的には最強のセットリストなわけだが、「夜を駆ける」「けもの道」「8823」「楓」などが聴けたのは本当に嬉しかった。予想外だったから。特に「夜を駆ける」!あの冷たいピアノのイントロが聴こえたとき大興奮したね。「これやるんだ!キャー!」的な。好きになったきっかけの曲だし、多分何度も何度も書いてるけど曲の盛り上がり方が初期ラルクっぽいし。泣きそうになったよ。あ、「漣」でちょっと涙出ちゃったのは内緒な。
それにしてもマサムネさん歌上手かったなぁ。素直に聴き惚れまくり。本人も気持ち良~~く伸びやかに歌いすぎて歌詞が飛ぶ、というハプニングが起きたぐらいだ。凄いなぁ、全盛期と全く声変わってないんだろうなぁ。それとあと、ベースが本当にカッコよかったなぁ。超気持ちよく横ノリで聴けた。声が伸びやかで演奏気持ちよくて曲良くて……書いてて思ったけど、ラルクのライブに行ったときと似たような感想書いてる気がする(笑)。まぁ、両者は個人的にかなり似た要素を持ってるバンドだと思ってるからな。強靭なリズム隊と起伏に富んだ美しいメロディーを伸びやかに歌い上げる声、ついでにボーカルの年齢不詳っぷりも似てる。マサムネさん全然変わんねーな、見た目。テレビに出始めた95年頃から、ずーっと変わってないんじゃないか?若々しい…。hydeも今年40歳になるとは思えない程若々しい容姿をしているが、髪型やら服装やらの特徴は頻繁に変わってる。でもマサムネさんは本当に何も変わっていないのでは…もしやバンパネラか。だって、「あれ、時が経ってるハズなのに、彼は何一つ変わってない!」みたいなこの状況は『ポーの一族』と同様の世界だぜ。エドガーの仲間なのか、マサムネさんは。
ライブ始まる前の大阪プチ見物について書こうと思ったが、長くなりそうなので一旦ここで切ろう…。 

私も未来人

2009-01-20 18:17:23 | 日記
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」で先日、「雑誌・トゥ・ザ・フューチャー!俺たち未来人!!」という特集が放送された。「2009年から80年代にタイムスリップしてしまった未来人」という設定の小芝居を宇多丸が演じながら、彼が思春期を過ごした80年代に出たあらゆるジャンルの古雑誌に、現代の視点からツッコミを入れまくる、という、単純ながらも味わい深すぎる内容。若き日の無名の映画監督ジェームス・キャメロンに「お前、16年後に世界一売れる映画撮るぜ(もちろん『タイタニック』)!」と、未来人を気取りながら「予言」を繰り返したり、雑誌が提示する「未来予想」に「全っ然違うよ!」と突っ込んだりする宇多丸師匠のハシャギっぷりが素敵だった。
今の視点で全盛期の『宝島』などを読み、80年代の愉快なサブカルチャーに触れて「あぁ、あの頃は楽しかったなぁ」「それに比べて今は…」と失望したりするのではなく、ぶっ飛んだ記事や著名人の発言にガンガンツッコミを入れ、2009年を生きる未来人としての優越感を満喫しよう…というコンセプトに基づいたこの企画。宇多丸曰く「これは金のかからない遊び!」。「タイムスリップしてる感」を高めるために古びた喫茶店などにわざわざ足を運んで古雑誌を読み耽り、その後にスターバックスに直行してコーヒーを飲み「あぁ、帰ってきた、現代に…」とホッと一息…みたいに、今居る環境を変えつつ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』気分を徹底的に味わう…というのが宇多丸流の本気のタイムスリップ遊びらしい。…これ絶対楽しいよね。
この放送を聞いて、自分も部屋にある古雑誌を漁ってみた。私が捨てずにわざわざ保存してる雑誌って音楽誌が殆どだな。私が中2~高3頃の『ロッキングオンジャパン』はほぼ完全にライブラリー化されてたりする。大量にある割にはラルクが載ってる号以外は今更読み返すことなど皆無。しかし保存に耐えうるそこそこ良い紙質なので捨てられないんだ…。99年あたりの『ジャパン』をパラパラ読んでみて、現在も活躍してるアーティストの多さに驚く。バンドは無くなっててもソロとして頑張ってたりとかね。「未来人」として彼らに言葉をかけるとすれば、「あんた達10年後も頑張ってるよ!」みたいな?「大口叩いてるけど、あんた2009年にはとっくに消えてるよ!」な人も居るけど、割合としてそれほど多くない。これが80年代だと、サバイブしてない人・バンドだらけだったりするんだろうね。とりあえず、99年当時のくるり・岸田には「あんたのバンド、2009年にはメンバー激変してるよ!」と、未来人として告げたい。
『ロッキングオンジャパン』じゃタイムスリップをあんまり楽しめないなぁ…と思って他を探したら、結構面白そうなものを見つけた。『Fool's mate』1997年3月号。ヴィジュアル系バンドが沢山載ってる雑誌ですね。近日、この雑誌を片手に時間旅行の旅に出掛けてみることにする…。

ポッドキャスト

追記
「ウィークエンドシャッフル」でメール読まれた!2回目だ。例によって、読まれた事よりも宇多丸にラジオネーム(shallow)を呼ばれた事の方が嬉しい。しかも今回、現金2000円が貰えちゃったりするの。

追記2
ラルクの「TIME SLIP」という曲、常時ベスト3に入るぐらい好き。

ちょっとした出会い

2009-01-15 22:28:29 | 音楽
ある夜、カーラジオから耳慣れない歌謡曲が流れてきた。「これFM AICHIだよな?珍しい曲がかかるなぁ…」と思ってるうちに、曲自体の良さにビビってしまい、気付けば本気で傾聴していた。ゆるいディスコビートに乗る、女性ボーカルによる色っぽい歌唱。このような曲がミックス形式で立て続けに3曲かかり、「うわっ良い!これも良い!やべぇ!」と車内大盛り上がり。完全に心をディスコ風歌謡曲に持っていかれてしまった。帰宅後、即FM AICHIのHPで流れた曲を検索し、YouTubeでそれらの曲と再会。昭和歌謡っぽいJ-POPってよくあるけど、ああいうの聴くよりは本当に昭和に流行った歌聴いてみた方が、自分にとっては有意義だと改めて思ったよ。
で、私が心を奪われた曲は、鹿取洋子「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ」、中原理恵「東京ららばい」、岩崎宏美「ファンタジー」の3曲。全部初耳だったけど、ある年代の人にとっては定番曲なのかな。特に「東京ららばい」なんて松本隆・筒美京平コンビだし。この3曲を即ipodに入れ、真夜中にしんみり聴くのがマイブーム。

ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ


東京ららばい


ファンタジー


さて、この3曲に出会ってから自分内で、にわかに「70年代を知りたいブーム」が起きている。まぁ、その当時の風俗を図書館で調べる程度なんだけどさ。あー、可愛いぜ、70年代ファッション。70年代といえば『anan』や『non-no』が創刊された頃なので、色々と花開いた時代なんだろうね。あとこの時代といえばやっぱ少女漫画ブームですか。昨年は70年代の漫画を再読したり、新たに開拓したりの一年だったな、ある意味。萩尾望都の文庫本、コンプリートまであと3冊という所に来るまで読み漁ってみて、実は『ポーの一族』が発表された70年代より、80年代以降の作品の方が断然自分好みだと発覚…。そういえば私の母親、70年代に青春を過ごしたくせに萩尾望都ノーマークだって聞いて呆れた。勿体ねぇ…。
70年代初頭に頭角を表した萩尾望都だが、彼女の作品からその時代の日本の風俗を読み取るのはほぼ不可能。舞台がヨーロッパばっかりだし、宇宙が舞台のSF漫画も多いし。萩尾望都の作品で、当時の日本の様子を窺い知る事ができるのは80年代末に描かれた『完全犯罪-フェアリー-』ぐらい?
70年代の日本を濃厚に感じられる漫画と言えば、一条ゆかりの『デザイナー』とかだろうか。1974年の東京を舞台に、プライドの高~い二人の女性デザイナーが繰り広げる愛憎劇及びファッション合戦(?)。作品を彩るクラシカルで古くさくも可愛いファッション、レトロな香り漂うレストランやバー、インテリア、ビル街、車、都内一等地に建っているはずであろう、バラの咲く豪邸……あぁ、むせ返る程華麗な世界。そんな世界に生きる主人公達-己の才能を武器に夢に向かって突き進む彼女達は、基本的に孤独。安息の場所など絶対に作れず、野望を実現させるために戦い続ける…。
つーか今気付いたけど1974年って『ちびまる子ちゃん』の舞台と同じだ!まる子も『デザイナー』読んでたんだろうなぁ…。

下水処理班

2009-01-11 18:55:38 | テレビ
昔から、それこそ小学校時代から好きだってことは変わらないのだが、やはり年末年始の特番シーズンを過ぎた直後は普段よりもWコージ、特に東野幸治への敬愛が増す。あぁ…若手芸人がどんなくだらないギャグでスベっても、必死に良い感じに盛り立てる「下水処理班」(千原ジュニア談)のような仕事を、あっちこっちの年末年始番組でガンガンこなす今田・東野を見てると多幸感につつまれるぜ。若手とのくだらない掛け合いも面白いが、今田もしくは東野のどちらかががキレた(ふりをする)時に片一方が必死でフォローしてるのを見てると本当に幸せ気分。「知らんがな!」「関係あらへん!」と若手を冷たくあしらう東野、「怒らんといてーな東のり~」となだめる今田…要は二人の掛け合い見てるのが一番好きさ。今田・東野がそれぞれ単独で司会してる時は「あぁ、ここに相方が居れば…」といつも思う。それにしても…東野良いよなー。若手をフォローする優しさと、若手に全く無関心な冷たさのギャップがたまらん。
Wコージと、私の住む東海地区は関係が深い。もう、かれこれ20年近くずっと、彼らは東海ローカルの深夜番組のレギュラーを持ち続けている(今はCBCテレビの『ノブナガ』。他に兄弟番組として『ヒデヨシ』『ミツヒデ』などがあった)。本人達にとっても名古屋は特別な場所のはず。東野が元奥さんと知り合ったのは名古屋ローカルの番組がキッカケだし、『ノブナガ』での今田は『爆笑レッドカーペット』でのハキハキした司会ぶりとは一味違うし。Wコージに愛着の無い名古屋市民なんているのかしら?…というのは明らかに言い過ぎか。でも土曜深夜、『やりすぎコージー』に比べればかなりユルいテンションで司会する二人を、お茶をすすりながらボーっと見るのは、この上ない喜びだったりする。
さて、私が東野を好きになったきっかけはもちろん『ごっつええ感じ』。今田より2年程も遅れてレギュラー入りした東野だが、数々の名作コントや珍企画に体当たりで挑む彼は、見る者に強烈なインパクトを絶えず与え続けた。今では若手のフォロー役、下水処理役が板についた東野だが、『ごっつ』メンバーの中では完全にイジられキャラ、つまり下水。素敵でした。でも私が「これぞベストオブ東野!」と思うコントは『ごっつ』のやつじゃなくて、『ごっつ』終了後に松本人志がビデオでリリースした傑作コント集『VISUALBUM』収録の「ゲッタマン」(Vol.「バナナ」に収録)。コレでしょやっぱ。このコントで東野は、映画『ロボコップ』にも影響を与えた「東映メタルヒーローシリーズ」のような特撮ヒーロー「ゲッタマン」に扮する俳優役を演じている。
鋼鉄で出来たスーツを身につけ「ゲッタマン」の撮影に挑む東野。しかし松本人志演じる「ゲッタマン」原作者の気まぐれのようなアイデアにより、東野のメタルスーツのパーツがどんどん剥ぎ取られ、敵役の「毒アゲハ人間」にそのパーツを奪われるハメに。「…これ、明らかにおかしい事になってるんじゃ…」という東野の訴えは原作者や撮影スタッフ(今田など)に無視され、しまいには「口出しすんな!」「黙っとけ!」「つーかお前ごときにこんなパーツ勿体ない」と理不尽に罵倒され……結局、主役にも関わらず、東野は何故か身ぐるみを剥がされ無惨な姿に…(笑)。「ひらめいた!これ外しちゃいましょう!」と松本に言われ、今田達に「そーですね!」と同調される度にパーツを奪われ全裸に近づいていく東野の、悲壮感と周囲への不信感、猜疑心の塊のような表情は、完全に演技の域を超えている。芸人・東野幸治の心の闇や、イジられ芸人の苦悩が露になってしまった禍々しき怪作。このコントを観た東野の娘は「ダディ(と呼ばれてるらしい)いじめられてる…」と泣いたそうだ。ちなみに東野本人も「コントだと分かっていても、演じてて辛かった」と後にコメントしている(DVD-BOXの出演者インタビューより)。

boy you’re one in a million

2009-01-10 01:22:43 | 音楽
いやーびっくりした。宇多田ヒカルが「UTADA」名義の2枚目のアルバムを3月4日に出すんだってさ。前作『HEART STATION』から1年足らずで、もう新しいアルバムが出るなんて。宇多田史上最速ですなぁ。「ここ最近は2年ごとにアルバムが出てたから、次作が出るのは早くて2010年かぁ…」なんて思ってたから、嬉しい誤算。で、先日新曲「COME BACK TO ME」がMy Spaceにてフルで試聴開始。新曲、かなり良い曲っすよ。かなり王道感漂う、Ne-Yo的なメロウなR&B曲。なんとなく『HEART STATION』収録の「Stay Gold」に近い、ピアノを基調としたフワフワとした甘いバラード。ただ「Stay Gold」はベース代わりに沈み込むような低音ピアノを使ったり、幻聴のような不穏なコーラスが聴き手を幻惑したりと不思議な仕掛けが満載だったけど、「COME BACK TO ME」の方はベースラインが久々にブラックミュージック全開で結構オーソドックスなアレンジに聴こえる。でも「え、この流れでそっち行くのか!」という驚きがありつつも何故かサラっと聴けるメロディーラインは健在。最高だぜ、この「凄いことしてるのに全然凄いように聴こえない」感!そうかー、2枚目は王道路線で行くのかー。
全米デビュー盤『EXODUS』は、宇多田ヒカルが本格的にアレンジの主導権を握るようになった初めてのアルバムだったこともあり、「とにかく尖った音を鳴らしまくってやるぞオラァ!」的な、力みまくりのアルバムだった。聴いてて刺激的で楽しいのは確かなんだけど、せっかくの唯一無二の歌声にエフェクトかかってたりしてなんとなく勿体無いような気がした。もちろん好きな曲一杯あるんだけどね。でも『Distance』『DEEP RIVER』『ULTRA BLUE』『HEART STATION』みたいに、恒常的に部屋で聴きたいとは思わないアルバムだった(数ヶ月に一度、たまーに聴きたくなるぐらい)。それに比べて今回の「COME BACK TO ME」の落ち着きぶりときたら。シングル「Flavor of Life」以降の流れを汲む、刺激的な音とかはどうでもよくて、無駄だと感じる音は一切排除して、とにかく歌を邪魔しない音、耳に気持ち良い音だけを確実に鳴らす手法。『EXODUS』は若気の至りというか、思春期的な作品だったってことですな。それにしても成長のスピードが速すぎる。あれだ、『スラムダンク』の桜木並みだ。アルバム毎に目覚しい進歩を見せ付ける宇多田ヒカルは、練習を重ねる度に異常なスピードで新しい技術を身に付けまくり、試合ごとに確実にその成果を刻んでいく桜木のようだ。
UTADA名義ということで歌詞はもちろん英語。mixiの宇多田コミュでは英語が堪能な方(つーかアメリカ人っぽい)が、聞き取った歌詞を即載せてくれていた。便利な時代ですなぁ。どうやら浮気をしてしまい彼氏に愛想をつかされた女の子が「反省してるから戻ってきて…」と願ってる歌のようで。プレイボーイではなく、宇多田が「I admit I cheated 」とか歌う。「I wish that that I could photoshop all our bad memories」って歌詞は、なんとなく宇多田らしい言い回しな気がする。「私たちの嫌な思い出を、フォトショで修正出来たなら…」って感じだよね(英語苦手)。初めは主語は「I」で、女の子の独白っぽい歌詞がずらーっと続くんだけど、途中から三人称になるのが洋楽ならでは。コミュでは「I wish that he would listen to her side of the story 」って部分も宇多田っぽいと話題になってたなー。

『MW』―しちゃうの?実写化しちゃうの?

2009-01-06 21:03:13 | 漫画
先日、手塚治虫の漫画『MW』(ムウ)が実写映画化されると知り、文庫を読み返した。「MW」と呼ばれる謎の猛毒ガスの行方を追う過程で次々と凶悪犯罪を犯す青年を主人公に据えたハードボイルド漫画。主人公は幼少時代にMWを吸い、脳がやられて極悪人に変貌したという設定で、とにかく悪の限りをつくす。主人公が吸ったのは微量だったので命に別状は無かったが、まともに吸えばあっという間に死に至るMW。「MWを世界にバラまいて、皆が苦しむ所を見てみた~い」という好奇心のみでガンガン人をハメたり殺したりする主人公は、極悪人というよりは狂人か。『ダークナイト』のジョーカーも人々が混乱してるのを見て楽しみまくってたが、あれと似てる。
表向きはデキる銀行マン、裏では犯罪を繰り返す狂人。主人公は二つの顔を使い分け、MWの行方を知る政府高官に近づいていく。彼の武器は悪事を次々と思い付く悪魔的頭脳だが、最大の武器は美貌。梨園出身、売れっ子歌舞伎役者の弟という設定なので美形、というか中性的で色っぽく、そのルックスを駆使して女は勿論、男をも軽々と手玉に取る。男をベッドに誘い込み、骨抜きにするシーンは、ある意味この漫画最大の見所だろう。手塚治虫の漫画は子供向けの作品であってもどこか色っぽいというか、エロな香りがほのかに漂っており、『鉄腕アトム』にも「ちょ、こんなんありかよ」みたいなシーンがよく出てくる(アトムはエネルギーを肛門からグサっと補給する…)。まして、子供向けでない『MW』はエロティシズム全開なのである。
聞く所によれば『MW』は1976年、竹宮恵子が『風と木の詩』をヒットさせたのを受けた手塚が「へぇ、今の少女漫画界は美少年モノが流行ってんだ?俺も描いてやる」と対抗して生まれた作品だという。息子(もちろん手塚眞)が自分の漫画に興味を持たず『ゲゲゲの鬼太郎』に夢中なのが悔しくて、「俺だって妖怪モノ描いてやる!」と発起して『どろろ』を描いたのは有名な話。生涯に渡り、ありとあらゆるジャンルの漫画に対抗・挑戦したと言われる手塚。「な、なにも『風木』に対抗せんでも…」という感じだが、「漫画界の大御所」という立場に胡座をかかず、「自分以外の漫画家は全員ライバル!」という姿勢で描き続けた証でもあるだろう。素敵じゃないか、『風と木の詩』に対抗して『MW』描く手塚治虫。「俺ならジルベールよりエロい美少年を描ける!」とか思ったのかな。
美貌の主人公は女装も得意。作中で何度も女に化けて周囲を欺く姿はいかにもマンガ的だが、まぁとにかく色っぽい。ドレッサーの前で化粧水を手に取る仕草とか…。『MW』というタイトルは、男(Man)と女(Woman)の顔を自在に使い分ける主人公自身から来ているわけだね。
肝心のストーリー自体は入り組んでいるようで至ってシンプル。主人公が順調に悪魔的計画を成功させていく様子は「そんなに何もかも上手いこと行くかぁ~?」とツッコミたくなる。また、主人公の犯罪を立証しようとする検察官の「行き過ぎた捜査」も興ざめ。「そんな捜査が許されるなら誰でも起訴出来るよ」みたいな。サスペンスものの割りにスリルが足りない。
だからまぁストーリー本筋より、美貌を武器にのし上がる主人公に注目するべきなのかもしれない。それなのに現在制作中の実写版『MW』は、同性愛描写がバッサリと切り捨てられているらしい。そ、そんなの『MW』じゃないって!規制等があって難しいんだろうけどさ、手塚治虫が『MW』で一番描きたかった事柄(??)を切り捨てるって酷くないか?そんな中途半端な形での映画化しか出来ないのなら、始めから『MW』なんて題材を選ばなければいい。『どろろ』の悲劇を繰り返してはいけない。断ち切らなければならない、実写化失敗の連鎖を(エプシロン)。