拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

引き裂かれる男

2008-02-28 00:09:07 | 音楽
人気華流俳優エディソン・チャンのプライベート写真流出問題で大荒れの香港芸能界。エディソン本人は勿論、彼とのアワワな写真が流出してしまい、芸能界引退に追い込まれる人気女性タレントが多数。かわいそうに。エディソンは「まだまだ旬だったタレントたちをあっという間に使い物にならない存在へと変えてしまった戦犯」としてマフィアに命を狙われてるそうで。やっぱどこの国も、芸能界を牛耳ってるのはヤバい人たちなのね…。流出の原因はエディソンが修理に出したパソコンから、とのこと。これを聞いて思い出したのが、数年前の「平井堅、空き巣にパソコンを盗まれる事件」。パソコン盗られるって本当に大変だ。まして平井さんのパソコン……まぁ良い。
前置きが長くなったが、今日は去年の秋、平井堅が「fake star」をリリースしたころにmixiの方に書いた日記を唐突にそのまんま転載してみる。3月にリリースされるアルバム、なんとタイトルが『fakin' pop』ということで。このアルバムタイトルにぴったりの日記だと思うのでこのタイミングで転載。


平井堅は、日本を代表する男性歌手の一人である。2000年1月に発売したシングル「楽園」のヒットでその名を広く知られるようになり、日本に男性R&Bブームを巻き起こした彼であるが、童謡「大きな古時計」をカバーしたり、大ヒット映画『世界の中心で、愛をさけぶ』のテーマ曲としてバラード「瞳をとじて」を提供するなど、R&Bにとらわれず、様々なジャンルの音楽に挑戦している。彼がデビューした1995年から2005年までの10年間にリリースされたシングルを収録したベストアルバム『Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカ』は、売り上げ200万枚を突破(2007年現在 オリコン調べ)。名実共にトップアーティストと呼べる存在である。
このベストアルバムの最後には、「POP STAR」という曲が収録されている。一度聴けばすぐに口ずさめるような親しみやすいメロディーや、CG処理によって「沢山の平井堅」が登場するユニークなプロモーションビデオなどが相成ってこちらも大ヒットを記録した。これまでは柔らかく深みのある歌声を生かしたバラード曲の印象が強かった平井だが、アップテンポな「POP STAR」のヒットによって人気をさらに広げることに成功したといえよう。歌番組やプロモーションビデオで楽しそうに「♪I wanna be a pop star」と歌う平井は、「ポップスターになりたい」と口にせずとも既にポップスターの佇まいをしていた。
そんな、歌手として順風満帆に活動をし続けている平井堅が2007年9月にリリースしたシングルが、「fake star」である。「POP STAR」を想起させる曲名であり、本人も「『POP STAR』と対になっている」と公言しているため、この二曲を対比させてみると、双方の関連が浮き彫りになってくる。まずは歌詞。「fake star」にも、「POP STAR」に登場した「wanna be a pop star」というフレーズが登場する。しかしその後に続くフレーズは、「but he's a fake star」である。「ポップスターになりたい」「しかし彼はフェイクスター」。ここでのポップスターが「理想の自分」だとすると、フェイクスターというのは、「理想に近づこうと模索する自分」と言えるだろう。ここで注目したいのがCDのジャケット。「POP STAR」は、平井とラクダの2ショット写真が使われている。「fake star」も平井とラクダの2ショットだが、こちらはモノクロ写真であり、平井は仮面舞踏会で身につけるようなマスクを手にしている。。「fake star」の歌詞の前半部分では、素顔を隠しながら生活せねばならないスターの苦悩が描かれている。そしてマスクというのは素顔を隠すもの。フェイクスターというのはつまり、「素顔を隠し苦悩しながらも、理想とするポップスターになりたいと願う自分」である。
この曲の最後のフレーズは「who is a fake star? that's me」。沢山のヒット曲に恵まれながらも満足せず、自らを「フェイクスター」だと言い切ってしまった平井堅。しかし世間のイメージから見れば彼は紛れもなく「キラキラのポップスター」。まさに平井は、フェイクスターとポップスターの間で引き裂かれまいともがいていると言えよう。


『セカンドモーニング』/モーニング娘。

2008-02-23 21:58:40 | アルバムレビュー
『セカンドモーニング』/モーニング娘。


1. NIGHT OF TOKYO CITY ★★☆
下品でイケイケなシンセと素っ頓狂なラップで幕開け。一人暮らしで孤独を感じる若い娘の心情を託したリアルなライムが笑いを誘う。アイドル版シャ乱Qとでも形容したくなる、切なく濡れた一曲。

2. 真夏の光線(Vacation Mix) ★★★★★
終始グルーヴィーにランニングする、躍動感溢れるベースラインと、フィリーソウル調の爽やかなホーンとシンセ、そして「LOVEマシーン」で大フィーチャーされていた「フッフゥー」という軽薄なコーラスの絡み合いが絶妙な傑作サマーチューン。後半のブレイク部分以降のベースラインは冷や汗モノの名演。それぞれ声質の違う7人のボーカルがテンポよくスムーズに切り替わっており、「LOVEマシーン」とはまた別のベクトルで、大人数グループの強みを示した。真心ブラザーズの名曲「エンドレスサマーヌード」と併せて聴くと面白いかもしれない。

3. Memory 青春の光 ★★★
メンバーが沢山居たわりにはコーラスワークが大したことなかった全盛期とは逆で、ほぼ全編にわたってハモリのパートが組み込まれている、R&B風のマイナー歌謡。ぎこちなくハモりあうサビを聴いてると、実力派コーラスグループではなく、アイドルグループによるR&Bを聴く醍醐味みたいなものを味わえる。当時つんくはR&Bにハマっており、モー娘にもそういう路線の曲を沢山歌わせようとしていたが、宇多田ヒカルが出てきた瞬間「この子にはかなわない」と思ってやめさせた、というのを少年マガジンの「モーニング娘物語」で読んだ記憶がある。

4. 好きで×5(かけるファイヴ) ★★★☆
恋に思い悩む心情を綴った歌詞にジャズアレンジが上手くハマったミディアム曲。これもモー娘ならではの「ぎこちなくもそこそこ綺麗なコーラス」が楽しめる。ジャズアレンジで、じっと耳を傾けると結構良い音が聞こえてくるのだが(主張しすぎないベース、ムーディーなビブラフォーンなど)、歌に重きが置かれているので平凡なスピーカーだとよく聞こえない。

5. ふるさと ★★★
浪花節の泣きのメロディーにクールで少々オリエンタルな落ち着いたアレンジを施しアイドル仕様に作り上げたバラード。シャ乱Qでこれをやられたらきっと暑苦しくなりそうだが、大人数を生かしたコーラスが武器のアイドルグループが歌うと切ない名曲に仕上がる。歌詞は人によっては涙腺直撃必死。

6. 抱いてHOLD ON ME!(N.Y.Mix) ★★★
水商売っぽい、キャバクラっぽさ満点の突き抜けたダンスチューン。シンセヒットやら歌詞やらがとにかく下世話な曲だが、バスドラも効いてるし踊るには最適。クライマックスの「ハァーーーーーーン」という困ったコーラスも最高だ。

7. パパに似ている彼 ★★★☆
フルートメインのフィリー調のアレンジに、バリバリのアイドル歌謡曲メロディーが乗った、爽やかで優雅でまろやかな曲。4曲目とメロディーラインが微妙に似ている。流れるような演奏と瑞々しくも甘酸っぱいコーラスが上手に混ざり合う。主旋律を殆ど歌わず、ひたすら高音パートを担当してハモり続ける矢口の何気ない健闘が光る。

8. せんこう花火 ★
安倍なつみがメインボーカルをとった曲。ソツがなくクセも無いプレーンな歌唱を披露。ピッチが危うい箇所もあるが、その危うさが人気の秘密なのだろうか。

9. 恋の始発列車★★★★
ロマンチックなメロディーと「この幸せがずっと続くかはわからないけど、とりあえず前向きに」というような、切なくも明るい歌詞。絶妙なタイミングで入れ替わったり重なったりする7人のボーカルが良い。曲が進むにつれて多幸感を増していき、クライマックスの全員でのユニゾン部分で最高潮に。澄んだ高音でハモる矢口と、安定感のある低音の保田でメインボーカルたちを支える。

10. 乙女の心理学 ★★★★☆
保田・市井をメインに据えた曲。この二人に後藤真希を加えたユニット・プッチモニの曲のような、クセのある弾けたポップチューン。隙間に妙なセリフがちょこちょこと挟まっていたりする点が「LOVEマシーン」以降のモーニング娘の音楽性の布石になっているような気がする。低音が効いていて、知らず知らずのうちに体が動いてしまう。

11. Never Forget(Large Vocal Mix) ★☆
卒業したメンバーがメインボーカルをとり、他のメンバーがみんなでコーラスを担当する、友情を感じさせる一曲。モー娘自体に深い思い入れのあるファンにはメモリアルな一曲だが、そうでなければZARD風の卒業ソングにしか聴こえない。

12. ダディドゥデドダディ! ★★★
全員でユニゾンで合唱。アルバムのしめくくりにふさわしい曲。何度も繰り返される「一回きりの青春 Oh Yeah!」というフレーズが実に切ない。「モーニング娘でこんな名盤が作れるのは一回きり、これで最後ですよ」みたいな。「一度黄金期が過ぎたら、もう二度と戻らないですよ」みたいな。

総評★★★★
「LOVEマシーン」リリース以前、トップアイドルにのし上がる以前にリリースされた、ハロプロ史、いや、アイドルポップス史に残るかもしれないモー娘最初で最後(?)の傑作。このアルバムのリリース後に訪れたモー娘全盛期の、「好きな人が優しかった 嬉しい出来事が増えました」というフレーズを4分割して交代で歌わせるような、パズルのピースの組み合わせのようなせわしないボーカルスイッチングではなく、各メンバーにまとまったフレーズを歌わせ、少しずつ楽曲のテンションを上げていくスタイルが懐かしい。どの曲からもつんく及びアレンジャー陣営の丁寧な仕事ぶりが伝わってきて、それこそ「大人数アイドルグループのアルバムの最高峰を極めよう」ぐらいの気合いを感じる。
シャ乱Qのボーカリスト/ソングライターだったつんくが作る曲は当然ベタベタの歌謡曲テイスト。そんな楽曲群にアレンジを施し、彼女たちのボーカルを乗せると、キラキラのポップスに生まれ変わる。下世話さや可愛らしさなど、モー娘の魅力を多角的に引き出す前嶋康明(1.3.6.7)、極上のサウンドと遊び心で魅せる河野伸(2.10)、生音主体で聴かせる鈴木俊介(4.12)、若きアイドル最大の武器である爽やかさを押し出す小西貴雄(5.9.11)など、各アレンジャーの仕事はどれも魅力的。彼らの名前を頼りにハロプロの楽曲を漁るのも面白い。





堅はス・テ・キ

2008-02-20 00:47:37 | 音楽
衝撃映像だ。平井堅が出演するリプトンのCMのことである。リプトンレモンティーの色・黄金色で彩られたキラキラのステージで、ガールズバンドをバックに従えて、超ファンキーな曲を腰振ってノリノリで歌う平井堅………もう殆どカミングアウ…じゃなくて。やっぱこっちだよ!平井堅が真に輝くのはバラードじゃなくて、ノリノリの4つ打ちダンスチューン、もしくはこの新曲「君はス・テ・キ」のような踊れるファンクだよ!「君の好きなとこ♪」なんて素朴な曲歌ってる場合じゃないってやっぱり。「fake star」も最高だったけど、やっぱ平井堅にはビートの強い曲でどんどん攻めてもらわないと。
「自分が真に輝けるのはどんな曲か」。平井堅ほどのベテランかつ実力派ならばしっかり把握してると思う。サザンや岡村靖幸をリスペクトし、ヒット曲「POP STAR」について「(松浦)あややになった気分で歌いました」と語る平井堅。ファンキーな血がドクドク流れまくってる平井堅。そんな彼に似合うのは、やっぱりアップテンポな曲。しかしそれは世間の需要にはそぐわない。「fake star」、平井堅にしては全然売れてなかったしね(あんなにかっこいい曲なのに。そしてエリカ様のCMとも相性抜群だったのに)。新曲「君はス・テ・キ」はドラマ「ハチミツとクローバー」の主題歌との両A面シングルとしてリリースされるらしい。攻めまくりの「君はス・テ・キ」単体じゃ売れないと判断されて、無難な「ハチクロ」主題歌と合わせてのリリースなのだろう。困るなぁ。Mステとかではどちらを歌うんだろ。絶対「君はス・テ・キ」を歌って欲しい。そして夜8時台のお茶の間をドン引きさせて欲しい!傑作ぶっとびファンクチューン「Strawberry sex」の時みたいに…(これも名曲だったのに売れなかったな)。
ただ、アップテンポじゃない曲でも「エレジー」のようなドロッドロなバラードものは良いと思う。紅白歌合戦での「エレジー」熱唱は素晴らしかった。紅白では、男性ながら紅組で出場した中村中の直後に平井堅が登場した。性同一性障害を告白した歌手のすぐ後に平井堅という、あまりにも意味深過ぎる出場順にNHKの何らかの意図を勝手に感じ、視聴者として勝手にハラハラしてしまった。「エレジー」、「♪その手で私を汚して…」とか、中村中が歌いそうな歌詞だしさ。まさにカミングアウt……あの茶の間に似つかわしくない生々しさ、最高でしたよ堅さん!
2008年一発目の傑作チューン「君はス・テ・キ」は、「岡村ちゃんに負けないゾ」という気持ちで歌ったそうだ。歌詞も本人曰く岡村イズムを感じさせるものらしい。曲名のインパクトも岡村ちゃんに通じるものがある気がする。ぜひともその道を探究していって欲しいものである。最高に似合ってるもん。そしてバラードはしばらく封印で!


追記
ついにしょこたんが1stアルバムをリリースする。タイトルは『Big☆bang』…だからバラエティ番組とかで執拗に「ビッグバン」を連呼してたのかぁ。気になるけど宇多田のアルバムと同じ日に出るから、買うのは当分先か。でも春はラルクもいろいろ出すから(4月2日にDVDとシングルで9000円飛びます)レンタルで済ますかもな。
この前出たシングル「snow tears」は凡バラードでがっかりしてしまった。アイドルが歌うバラードってよっぽど曲が良いか、本人の声質が特徴的じゃないと印象に残らないけど、しょこたんバラードも個人的にはダメであった。平井堅のバラードすらあまり楽しめないからな、私。アルバム曲は珍妙でキュートななポップスが沢山入ってるといいなぁ。アイドル歌手のアルバムを聴く醍醐味を味わえるような、ね。
 

呪縛

2008-02-17 02:11:37 | 日記
家に居ない時、つまり外出中は、常に携帯をマナーモードにしている。電車やバスに乗る事が多いし、外出先でタンポポの「恋をしちゃいました!」の着メロが流れたら、と思うと恥ずかしいし。バイブ機能はあんまり好きじゃないから基本的にはサイレント。故に知らないうちにメールや電話を貰っていることがしばしばある。こまめに携帯チェックしてるつもりだが、留守録にメッセージが3件ぐらい入ってるとドキっとしてしまう。今日も留守録に一件メッセージが入っていた。メモリーに入っていない、知らない番号からの電話。市外局番が052なので名古屋市内からなのは確か。聴いてみると、「チケットぴあ」からだった。「岡村靖幸コンサートの件についてお伝えしたいことがございますので、18時までに折り返しご連絡くださいませ」………またか…。
昨年の秋に行われた岡村ちゃんのツアー「告白」。私はこのツアー最終日の名古屋公演に足を運んだが、本人のケガのため公演は延期された。しかし発表された延期公演日、私には重要な用事が既に入っていたため、速やかにチケットを払い戻しした。昔、行くはずだったMr.Childrenのコンサートが、桜井さんの病気で中止→払い戻しとなった時はチケットぴあ店頭まで行ってお金を返してもらったが、今は近所のコンビニで払い戻し作業が出来る。便利な時代になったものだ。延期公演断念。せっかくの岡村ちゃんライブ初体験だったのに勿体ないなと思いつつも、数分だけ生の岡村ちゃんを無料で(ドリンク代は返ってこなかったけど)見れたから良かった、と自分に言い聞かせた。
払い戻しを完全に済ませた翌日、携帯の留守録にメッセージが入っていた。「岡村靖幸コンサートの件でお伝えしたいことが…」という内容だった。ん?追加公演のことも、名古屋のチケットを東京か大阪の追加公演のチケットに振り替えることができるのも知ってるけど?その上で払い戻し済ませたけど?そんな私に何を伝えようというのだ?…念のために払い戻しや追加公演の詳細を説明してくれるってことか?まぁ、ネット見ない人は追加公演の事を知る術無かったもしれないもんなぁ。ていうかコレ、チケット購入者全員に電話連絡してるのか?「ぴあ」の先行予約だと、電話番号を登録しないとチケットを購入出来ない事になってるけど、もしかして購入者全員の番号に連絡してんのかな。数百件ぐらい連絡しなきゃいけないね。とりこし苦労のような気がするけど…。
「お伝えしたいことがあるから折り返し電話を」とか言われても、私は何もかも知ってるわけで。面倒くさ過ぎるから電話なんかしなかった。するとその日以降、毎日16時頃に「ぴあ」から電話が来るようになった。毎日同じメッセージが録音されてるのだ。……粘り強い。スルーしてくれりゃあ良いのに、何日も電話出ない奴なんてさ。その翌日、たまたま家に居た時、着メロが鳴ったので「ぴあ」からの電話に出た。追加公演は行かないので払い戻しを済ませた事を手短に伝え、とっとと電話を切る。…これで「ぴあ」からの呪縛が解かれる……と思ったら翌日また同じ内容の電話が。効率の悪い仕事ぶり半ば呆れつつ、「その件はもう良いからこれ以上電話してこないでくれ」と言って、電話を切った。

それから三ヶ月弱……また「ぴあ」からの電話。18日のライブ中止及び払い戻しの件でしょ、どーせ。連絡してこなくてもわかってるし。本人逮捕されてんだし。「払い戻し済ませた人リスト」とか無いのかね…。無駄な努力、ご苦労様…。

『PSYENCE』/hide

2008-02-12 19:29:26 | アルバムレビュー
PSYENCE/hide

1.PSYENCE ★★★
缶ジュースのふたを開封する音で始まるインスト。スパイ映画のオープニングのようなゴージャスなホーンがワクワク感を煽る。隙間を埋める打ち込みのビートと揺れまくるピアノもカッコイイ。

2.ERASE ★★
打ち込みのループと生音の融合。「趣味悪い服着てハイソなレストランへ行こう」など、迷言多数。でもこのフレーズ、異端なhideを象徴するフレーズかもしれない。

3.限界破裂 ★★★
危険な妄想男による変態的な世界。この曲もそうだが、このアルバムの歌詞はエロいのばかりだ。作中で最もベースのフレーズがメロディアスで、かなり気持ち良いグルーヴを放っている。

4.DAMAGE ★★★
全編所謂「デス声」。ナインインチネイルズヲタであったhideの趣味世界が爆発。ボーカルや曲調の割りに歌詞が比較的聴き取りやすいので、この曲は歌詞にも注目すると面白い。ロックに堅苦しい四字熟語がすんなり乗っているのだ。割とポップだった「限界破裂」の次にこんなハードな曲を持ってくるとは…。

5.LEMONed I Scream(CHOCO-CHIP Version) ★★★★
全英語詞によるミディアムな小品。まるで白昼夢を見ているかのような浮遊感が漂う。炎天下の真昼間にこれ聴いてると確実に逝く。エフェクトのかかったhideの声が妙に可愛らしくて心地よい。ゆる~く踊れる。

6.Hi-Ho ★★★
サンバのリズムに乗ってエロエロな歌詞を陽気に歌う。まさかhideがサンバで踊るとは…。代表曲が「紅」であるバンドに所属しているhideだが、この曲はとにかくカラフル。鮮やかな電飾がテラテラ点滅している様子が浮かぶ。Xとは全くカラーの違うギターソロもたっぷり楽しめる。ライブではストリッパー従えてhide、ノリノリで熱唱。さらにMステでも…。

7.FLAME ★★★★★
名曲1。X JAPANの一員でもあるhideのパブリックイメージからすると全く想像できない物凄く優しい声で、優しい言葉を丁寧に歌う。とことんメロウで切ないメロディーだが、バックではおもいっきりディストーションかかったギターがギュオーっと鳴りまくっている。ポップとハードを見事に合体させた、hide屈指の名曲。

8.BEAUTY & STUPID ★★★★
卑猥な歌詞とポップなメロディーが息つく間も無く駆け抜ける、どこか昭和の香りも漂う歌謡ロック。前曲の切なさはどこへ…。最高に踊れる、聴いていてとにかく楽しいポップチューン。サドっぽい歌詞で始まるが、後半になるといつのまにかドM男な歌詞に変貌しているのが笑える。余談だがスカパラがリミックスしたバージョンもかなりの名曲である。

9.OEDO COWBOYS ★★★
ドリフのコントで使われてそうなドタバタしていてコミカルなインスト。タイトル通り、江戸の町をカーボウイが馬で疾走しているような、逆に西部劇に出てくるような街を岡っ引きが駆け抜けているような、異文化交流を感じる曲。

10.BACTERIA ★★
デス声で熱唱。歌詞カード見ないと何言ってるか全く聞き取れない(歌詞結構面白い)。「めっちゃくちゃやってやりました」的なハードな曲だが、キャッチーなコーラスもちゃんとあるため「BEAUTY & STUPID」が好きな人でも置いてきぼりにならない。はず。

11.GOOD BYE ★★★★
ビートルズ風のサイケなバラード。前曲との曲調の落差が凄い。夕焼け空が不穏に変色していくような雰囲気。いけない薬を摂取したらこういう景色が見れるのだろうか。アグレッシブな曲が多いこのアルバムでやたら異彩を放つとともに、hideの才能の幅広さも見せる。ハマると一日中聴けそう。

12.Cafe Le Psyence ★★
バーのBGMみたいなインスト。ムーディーなピアノをフィーチャー。

13.LASSIE(demo master version) ★★
タイトル通り、デモ音源をそのまま収録したらしい。よって荒削りなミックス。歌詞は飼い犬の反抗について。人による「アォー-ン!」という遠吠えが笑える。転調して以降の盛り上がりぶりが楽しい。

14.POSE ★★★★★
名曲2。卓球のラリーのような音が聴こえてきたと思ったら機械的なリフがガーっと響き、野太いリズム隊が絡む、ヘヴィーなインダストリアル曲。作中で最もハードな曲にも思えるが、シリアスなキーボードが突然ふわっと入ってくる箇所があり、ハードなのが苦手な人でも結構聴きやすいのでは。ていうかキーボードはキモだ。絶妙すぎる。

15.MISERY(remix version) ★★★★
抜けるような青空を思わせる、超爽快なポップチューン。7曲目「FLAME」と双子のような関係にあるらしく、同じ歌詞・フレーズが登場する。しかし曲調は全く違うのでなかなか気づきにくい。ハードな曲もしっかり作りつつ、J-POP好きも大喜びな超ポップな曲も作れるhide、凄い。「これでもか!」と言うほど快感のツボを押しながらポップに上り詰めていくメロディーに、とにかくポジティブな歌詞が乗っていて、油断してると涙腺が…。

16.ATOMIC M・O・M★
エピローグのインスト。笑い声が不気味。1曲目のインストのホーンがサンプリングされている。無くてもアルバム完結しそう。

総評★★★★
hideの名曲と言えば晩年の「ピンクスパイダー」だが、それ以前に制作されたこの2ndソロアルバムも良い。リーダー・YOSHIKIの異常なまでの完璧主義ぶりのせいでなかなか新曲が完成しなかったX JAPANと対照的に、まだ黎明期だったハードディスクレコーディングを駆使して曲を作りまくっていた当時のhide。そんな彼の実験と遊びの記録がこのアルバムである。一曲一曲の方向性が見事なまでにバラバラで、「好き放題しまくりました」という感じ。ハードな曲の完成度は晩年のアルバム『Ja,Zoo』にはかなわないが、「ハードな曲を日本のヒットチャートに送り込んでやる」という明確な意思のあった晩年には無い、フットワークの軽さと楽曲パターンの幅広さ、ラフさがここにはある。音楽性が幅広いため初めは自分の好みに合ったタイプの曲にしか惹かれないかもしれないが(ポップなのが好きなら「MISERY」「Hi-Ho」、ハードなのが好きなら「POSE」など)、通して聴いているうちにどの曲にもハードな面とポップな面が共存していることに気付く。全16曲の曲順は聴きやすさを徹底的に無視。凄く唐突。メロウな曲の次に超ハードな曲を持ってきたり、アグレッシブに盛り上る曲の次に、熱を一気に冷却させるかのようなバラードを持ってきたり。多分ランダム再生モードにしても全く変わらぬ印象で聴けるだろう。

 

罪を憎んで曲を憎まず(人は憎んで良し?)

2008-02-10 03:57:48 | 音楽
先日、覚せい剤所持でまたまた逮捕されてしまった岡村靖幸。予定されていたツアー、紙ジャケのリリースは中止、ファンクラブも解散と、全てのアーティスト活動は当然停止となってしまった。こういう事態になると、ラジオでの楽曲のオンエアなども自粛されたりするもの。しかしTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」は違った。
ヒップホップグループ・ライムスターの宇多丸がパーソナリティーをつとめるこの番組では、毎回番組後半に音楽、または映画について、あるテーマを決めて宇多丸がノンストップで語りまくるコーナーがある。宇多丸が大好きなアイドルソング特集、本職のヒップホップ特集、イチオシの映画特集、さらには彼が寵愛する今を時めくPerfumeをゲストに招いたり、しょこたんとヒップホップ最強のアニヲタ、MC仁義を招いてアニメトークしたり、K DUB SHINEと「第三会議室ラジオエディション」みたいなのやったり、酷い映画を数十分かけてねちねち酷評したり(小栗旬主演『キサラギ』)…まぁ、毎回聞きごたえのある楽しいコーナーである。彼は自分の好きな音楽や映画についての魅力を、誰にでも伝わるようにわかりやすくかみ砕いて語る。さすがライター経験もあり、言葉を自在に操るラッパー。彼のトークに乗せられて、私のハロプロ熱が高まったのは言うまでもない…。
で、2月9日のこのコーナーで、「岡村靖幸特集」が放送されたのである。先週放送分で「次週は岡村ちゃん特集をやります!」と宣言した数日後に岡村ちゃんが逮捕後されてしまったため、宇多丸本人は勿論、多くの番組リスナーは驚愕した。な、なんつータイミング…!!!特集どうなるんだろ…。岡村ちゃんの曲、やっぱりしばらく放送自粛でしょ?じゃあやっぱ特集も中止?…しかし特集は予定通り放送された。「楽曲に罪は無い」という己のスタンスを貫いたわけだ。さすがぁ。
肝心の特集の中身。基本的にこのコーナーは「特集するアーティストについてリスナーはよく知らない」という前提で進められるため、岡村ちゃんマニアにとっては「基本です」(カルトQ)というような内容。岡村ちゃんの音楽的先進性、ラッパーである宇多丸を驚かせた「本来ならラッパーが到達すべき、リアリズムを極めたリリック」について語る。さらに、「この天才変態ミュージシャンである彼の遺伝子を受け継ぐ男」として某タレントを挙げ盛り上げる。正直この「某タレント」については、先週あれだけ「かなり意外性がある!!」と煽ってた割には普通だったが、岡村ちゃんの魅力をAMラジオで伝える特集としては充実の内容だったかと思う。岡村ファン的には物足りないだろうが、だからといって宇多丸を叩くのは野暮だ。さっきも書いたけど岡村ちゃんを紹介する特集だし。そして時間は25分弱しかないわけだし。むしろ感謝してやって欲しいぐらいだ。この期に及んで岡村ちゃん特集なんて暴挙をやった宇多丸とTBSに。「宇多丸は岡村ちゃんのこと何もわかっていない」だって?たった一週分のラジオ聴いただけでそんな簡単に結論付けなくても。選曲が「カルアミルク」じゃ物足りないだって?聴きやすいバラード流すしかないじゃん時間が限られてるんだから。「青年14歳」なんてかけたら知らない人ドン引きでしょ。
この特集はTBSラジオのポッドキャストで聞ける。さらにラジオ全体は、親切な誰かさんによって毎週月曜ごろ、ニコニコ動画にアップされる。ポッドキャストではカットされているオンエア楽曲やBGMも聞けるため、ニコ動利用が番組を楽しむには断然オススメではある。しかし「ウィークエンドシャッフル」は、異様なまでに充実しているポッドキャストも魅力である。2時間の放送内容の殆どをアップしており(ポッドキャストで聞けないのは曲をかけまくるDJMIXコーナーぐらい)、さらには「放課後ポッドキャスト」として、毎週一時間近く宇多丸と、パートナーのしまおまほ(ボンクラ漫画家)との雑談も公開している。多分、TBSラジオで最も充実しているポッドキャストを持つ番組であることは間違いない。

TOGASHI IS BACK/3rd IMPACT

2008-02-06 17:25:09 | 日記
●ここ数日、すっかりラルク熱に浮かされていたが、もちろん「あのこと」は知ってますよ。『HUNTER×HUNETR』連載再開の件。これ知ったのはラルクのライブ当日、31日の午後。日本ガイシホールに向かう途中、友人がメールで知らせてくれた。動揺したさ。あと数時間後に、自分にとって最大級のドキドキワクワクイベントが待ってるという時に、別ジャンルの衝撃情報が入って来るんだもん…。すぐに真偽を知りたくて、とりあえず携帯でmixiを見てみると、既に冨樫関連コミュは再開についての話題で大盛り上がり。しかも単行本の新刊まで出るらしく、この盛り上がりにすぐにでも乗りたいという、そういう気分になってしまった。そしてとてつもない幸福感に包まれた。「あと数時間でラルクのライブ観れて、しかも『HUNTER×HUNTER』連載再開が決まって…どうしよう!楽しみが止まらん!!」みたいな。単純だろ?でもね、一番好きなミュージシャン・ラルクと一番好きな漫画『HUNTER×HUNTER』の組み合わせはそれほど強烈なのだ。まぁ、その十数分後、一緒にライブに行く友人と合流した後はラルクの事しか考えてなかったけども。
ラルクのライブが終わって数日後。ネットでジャンプ誌面の画像を見て、連載再開、そして単行本発売決定が真実であると知った。しかも3月3日。もうすぐじゃん…もうすぐ続きが読めるんだね…。1年ぐらいの休載を覚悟してたけど、冨樫は三ヶ月弱で連載に復帰した。また10ヶ月連続掲載→休載みたいなスタイルなのかな?私はそれでも良いような気がする。冨樫が休まず毎週掲載するなんて不可能。だからといって、2週描いて休んで、1週描いて休んで、みたいなスタイルで描かれたら本当にストレスが溜まるだろう。ついこの間、10週連続で、途切れずに富樫の漫画を読める楽しみと喜びを覚えてしまったからさぁ…長期休載をはさんででも良いから連続で漫画を読みたい。頼むよ冨樫。
連載再開も嬉しいが同時に単行本が出るってのも最高だな。新刊に載るのは当然秋の10週連続掲載の部分だろう。好きなシーンだらけっすよ、本当に。きっと、あっという間に読み終わるんだろうな。大ゴマがめちゃくちゃ多かったから。文字も少なめだったしねぇ。

●さて…今日とんでもないニュースが飛び込んできてしまいましたね。岡村靖幸、三度目の逮捕…覚せい剤で。今月中旬から始まる、秋のツアーの振り替え公演は当然延期です。私は所用で振り替え公演には行けないからチケットは払い戻し済みだけど、所用がなくても結局はライブに行けない運命だったんだな…。まぁ良いんだ。私はラルクのライブの余韻で生きていけるから。ただ、本当に本当に振り替えライブを楽しみにしていた人の事を、そして岡村ちゃんの音楽を心の支えとして生きている人たちのことを思うと胸が痛いね。もう「待ってるから」なんて簡単にいえないもんね、三度目だと。
ところで、私が毎週聴いている(ニコ動で)ラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」で、「岡村靖幸とその遺伝子を受け継ぐ者たち」という特集を来週やる予定らしいんだけど、これはどうなるんだろう?宇多丸のキャラを考えると逮捕くらいで特集をやめるとは思えないけど、一応ラジオ番組だからな…。


悲しみに終わりは無い

2008-02-03 23:58:18 | 映画
先日このブログの「カテゴリー」をいじった。ていうか「L'Arc-en-Ciel」というカテゴリーを追加しただけだが。で、いじってて気づいたのだが、このブログ、一応「映画」というカテゴリー作ってあったんだね。忘れてた。ということで今日は久々に映画について。この前DVDで観た映画の感想でも書こう。一応ネタバレ無しです。

『ブラックブック』
2007年公開のオランダ映画。監督は『ロボコップ』『ショーガール』などで知られるポール・バーホーベン。『ショーガール』撮った人と同じとは思えないほど、重厚なドラマが描かれている。オランダでは映画賞を総なめしたとか。
舞台はナチス統治下のオランダ。ヒロインはオランダで身を潜めながら生きるユダヤ人女性。この設定から察しがつくと思うが、反吐が出そうなほど嫌~な人間が山ほど出てくる映画である。でもこの嫌~な人間はナチ側の人間ばかりではない。出てくるナチスの軍人たちは当然悪人だらけ。しかしドイツが降伏した後、ナチスを糾弾する市民もそれはそれは下劣で非情。戦前ナチスと関わったオランダ人を「売国奴」として晒し上げ、笑いながら糞尿をぶっかける有様はナチスに負けずとも劣らず。逆にナチスの中にもハト派が居たりする。色んな人間が居るんだからハト派が居て当たり前だけど、こういう人物にはスポットが当たらないよね、なかなか。作中最も悪人として描かれる奴も、任務から離れるとピアノが得意で陽気な人間だったり。「音楽好きに悪い人は居ない!」なんてバカな事言う人に対する、「ナチだって音楽が好きだったんだよ」という優しいツッコミである。
冒頭でナチスに家族を銃殺され、レジスタンスに身を投じるも誤解が元で仲間からも命を狙われ…とことん悲惨な目に遭い続ける、「さまよえるユダヤ人」を地で行くヒロイン。途中、ヒロインと知り合い、友人となるオランダ人女性が登場するのだが、この女性はヒロインとは対照的に、とても上手に立ち回る。ナチス統治下ではナチ軍人の愛人となり、全てがひっくり返った時にはカナダ軍の軍人に気に入られる。状況に流されるがまま軽薄に生きる友人は幸せを掴み、抗い続けるヒロインは激動の日々を送る。何とも皮肉なものである。 そう、皮肉。この映画は皮肉が効いた場面がてんこ盛りだ。件の糞尿シーンも友人女性の生き様と同様、「人間は強者/弱者という線引きがなされると途端に野蛮な人間に変貌してしまう、流されやすい存在だ」ということを訴えてくる。
物語は1956年、イスラエルに移住し、夫や子供とともに平穏な日々を送るヒロインが、激動の過去を振り返る、という形で始まる。しかしこのヒロインが幸せに暮らしてる1956年といえば、「スエズ危機」の直前。ユダヤ人であるヒロインに安息は訪れず、彼女はこの先も辛い運命を辿るであることが暗示されているのだ。ちなみにヒロインの友人はカナダ人と結婚して幸せに暮らしてます。うーん、切ない。
なんかこう書くと、凄く後味の悪い映画なんじゃないかと思われるが、二時間半という長さを忘れるぐらいスリリングだし、謎解きも面白いし、納得のいく決着も一応つく。観て損はないかと。ですよ。

THEATER of KISS@日本ガイシホール二日目

2008-02-01 19:06:07 | ライブ
…足腰が痛い。あと二の腕も。ラルクのライブで二日間踊り続けたせいである。アリーナ10列目という、今までで一番ステージに近い席で観た「THEATER of KISS」二日目。近かったよ。あのラルクがマジで目の前に居た。子どもの頃から大好きで、いつもはテレビで、ライブでも遠めの席から観ていたラルクが目の前に。スクリーンなんて見なくても、肉眼で全員の表情が読み取れる距離。hydeのオーラはもう…視線を外せなかったよ、ずーっと。元々美形なのにさらに化粧をばっちりしてるから、異様に綺麗だった。なんだよあれ。

二日目のセットリストは初日と殆ど変わらなかった。「and she said」の代わりに「fate」、「Bye Bye」の代わりに「SHINE」、そして「THE BLACK ROSE」が一曲目。二匹のウサギがピアノを「ポーン」と鳴らすと、その一音だけで一曲目が黒薔薇だとほぼ全員の観客が気付き、場内が一気に沸く…そして狂乱の時間が始まった。特に「この曲が凄かった!」とか無いな。全部凄かったもんな。あ、でも、「砂時計」と「MY HEART DRAWS A DREAM」の時、目を閉じなくても夢が見れた。…あれだ、早い話が宗教と全く一緒だ。教祖だよ、あの存在感は(笑)。
演奏中はオーラをビシバシ放ちながら歌うものの、MCになると爺さんのように淡々と語るhyde。kenも超ゆるい。二人共、2000年頃の冷たそうな感じから随分変わったものだ。年齢のせいかな。kenは今回のツアーの演出でフィーチャーされてるウサギ(中の人はジャイアンとスネオ)についてトーク。このウサギを見る度、小学校時代の「ウサギ当番」を思い出すらしい。「ウサギの可愛いさが全くわからなかった。鳴かないし、犬とかと違って淡々と餌食べるし。ウンコする時も、犬だと『おぉ、頑張ってウンコしてるなぁ!』ってのがわかるけど、ウサギは淡々と、コロコロのウンコするし…可愛いくない。でも君達は『ウザギ可愛い!』って思うんでしょ?」とのこと。とにかく「ウンコ」を連発していた。
kenと言えば、パートチェンジバンド「パンクアンシエル」で失態が。パンク史上最速、高速バスドラが飛び出すスラッシュメタルな「夏の憂鬱[SEA IN BLOOD2007]」で、kenのドラム、失速。序盤は「うわ!こんな速い曲を一生懸命叩いてる!」と間近で観ててかなりテンション上がったのだが、途中からバスドラの音が小さくなり、さらにテンポが遅くなり、次第に演奏がずれて行き、tetsuの歌も合わなくなり……という、まるで学園祭バンドのような事態に…(笑)。まさかラルクのライブでこんなのが見れるとは。これぞパートチェンジバンドの醍醐味。苦笑しながらグダグダの演奏をするkenと、彼のドラムに必死に合わせようとするtetsuを見ながら爆笑してしまった。演奏終了後、tetsuがkenに駆け寄り「…大丈夫?」と声をかけ、ken、さらに苦笑…。仕方ないよ、本当はギタリストだもん(笑)。

最後は再びゆるいノリでMCするhyde。
「雪国に行きたい…雪好きでねぇ」
観客から「ユッキー!(yukihiro)」コール。
「いや、ユッキーじゃなくて雪。ややこしいな。や、ユッキーも好きだけどさ…でもこの二人(kenとtetsu)は雪が嫌いなんですよ」
「だって車が通った後の雪道って凄く汚いやん」とtetsu。
「まぁね…。雪国行って、温泉入って雪見しながら酒飲んで…でもずっとそれだと飽きる。南の島も好きなんで。でも南の島も二週間ぐらいで飽きる。やっぱ四季が好きなんです。春は花見しながら酒飲んで…夏は南の島で水着のお姉ちゃんを…最近水着でライブ来てくれる人少なくてさみしいんですけど(笑)それで秋が来て……早くクリスマスにならないかなぁ!」
そして間髪入れずに「Hurry Xmas」に突入。「いつまで季節トークが続くんだろう…」と思ってたらいきなり曲に行ってしまった。
二日目はライブ終了後、エンヤの曲が流れる中、2008年の活動予定がスクリーンで発表された。過去にはツアー最終日や、15周年ライブなど、節目のライブで新情報が発表され、会場大興奮!みたいな瞬間があったようだけど、まさか最終日でもなんでもない名古屋でこんな発表があるなんて!まず、新曲「DRINK IT DOWN」を4月2日にリリース。同時に夏のツアー「Are you ready? 2007 またハートに火をつけろ!」のDVDも。これは沖縄公演と、全国各地での名場面を収録したものの二枚組らしい。
さらに、また新しいツアーの告知。今度は規模がワールドワイドになっていた。上海、ソウル、香港、台湾、そしてパリ。空に掛かる橋、つまり虹のことを「L'Arc-en-Ciel」と呼ぶ国に、ついに上陸するらしい!日本は東京ドーム3days&大阪の京セラドーム2days…ナゴヤドーム来ない…。そうだ、MCでhyde言ってたよ、「しばらく名古屋には来れない」って。うーん。 

それにしても。浜松とか長良川とか彦根とか旭川とか、全国各地で動員たったの2000人弱の小さいホールを細かく回るツアーやって、すぐ後にアリーナツアーやって、次は世界に行っちゃうなんて。1年間にここまで幅広くライブする人たち、他に居るだろうか?バンプとかも小さいライブハウスからアリーナまで色々行くけど、東京ドーム3daysなんてやらない。ミスチルやB'zは全国各地で数万人規模のライブやりまくってるけど、世界ツアーには行かない。浜崎あゆみはアジアツアーやってたけど、長良川国際会議場なんて絶対来ない。…やっぱラルク凄いよ。何かが変だよあの人たち。