拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『ど根性ガエル』-泣いて笑ってケンカして

2008-09-29 21:02:18 | テレビ
今日はスカパーのアニメ専門チャンネルで絶賛放映中、『キテレツ大百科』と共に今の私のツボにヒットしまくりのレトロ作品、少年ジャンプに連載されてた原作のアニメ化『ど根性ガエル』について書く。書くったら書くんでぃ!てやんでぇい!
…『ど根性』ガエルでまず印象的なのは、江戸っ子口調が醸し出すテンポの良さだろう。まぁ、わかりやすい江戸っ子節を喋るキャラは主に主人公のヒロシ、ヒロシのパートナーである「平面ガエル」のぴょん吉、そして寿司屋の梅さんぐらいだけど。彼らを中心に進む物語はとにかく全編猛スピード。十数分のエピソードを物凄い速さで駆け抜けるのだ。
私は最近初めて『ど根性ガエル』を腰を据えて見始めた。未だにCMキャラに使われてるし、遠い昔に再放送をチラ見した記憶があるので作品の存在は知ってたけど、改めて見てみると色々な発見があった。発見というか、見る前に自分が持ってたイメージが実は勘違いで驚いたというか。一番の驚きはぴょん吉の動きの自由度の高さ。ぴょん吉はヒロシのTシャツに張り付いて離れなくなったわけだから、四六時中ヒロシと行動を共にしなきゃならないと思ってたんだけど、ヒロシがTシャツを脱げば、Tシャツごとピョンピョン跳びはねて自在に動き回ったり出来るのね。あと、ヒロシとぴょん吉って何故か喧嘩ばかりしてるイメージがあって。「おいヒロシィ、何か美味いもん食わせろよぉ」「うるせぃ!俺今眠いんだよ」みたいな小競り合いを常にしてるような…。でもじっくりアニメ見てると、二人はかなり気が合うようだ。腹が減るタイミングとか同じだし、笑いや怒りのツボ、思考パターンも似てる。
それにしてもぴょん吉…見る前は困った自己中キャラなのかなとか思ってたけど、全然違った。完全にアニキキャラ。暴走しがちなヒロシや梅さんにクールに助言するし、基本的に人情深く、特に小さな子供などに対してはとても優しい。人情深いだけに意地の悪い奴を許すことは出来ず、時にヒロシそっちのけで憤慨することも。ぴょん吉が身を前に乗り出し、シャツを着てるヒロシを驚異的な馬力でぐいぐい引っ張りながら悪い奴を制裁しにいく様は、まさしく岡っ引。そんなぴょん吉の存在は周囲に完全に認められており、寿司屋の出前などは必ずぴょん吉の分も届く。『キテレツ大百科』もそうだけど、異質なものが普通に溶け込んでる世界が好きだな~。
パートナーのヒロシも江戸っ子らしく人情深いが、基本はお調子者でだらしない中学男子。しょっちゅうトラブルを起こし、親や先生、梅さんの店の旦那やぴょん吉に怒られまくり。まぁ、子供のうちに地域ぐるみで怒られたような奴は将来良い大人に育つよね。この「下町感」は凄く素敵。そんなヒロシには、京子ちゃんという「少年ジャンプ公認のガールフレンド」(ヒロシ談)が居る。学校一可愛いっぽい京子ちゃんに鼻の下伸ばしっぱなしでイチャイチャしたがるヒロシ。「も~嫌よ!」とか言いつつ満更でもなさそうな京子ちゃん。ちなみにヒロシは外出時は絶対ぴょん吉Tシャツ着てるので、二人っきりになることはありません。
忘れちゃいけないのが若手寿司職人の梅さん。ザ・江戸っ子で、「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」ようなナイスガイ。沸点の低い暴走機関車。悲しそうな子供を見つければ「あの子の家は貧乏で、愛や食う物に飢えていて…」と勝手に妄想を膨らます熱い奴。ただ、十中八九勘違いに終わるが…。そんな梅さんの人情深さは、孤児院育ちという自身の過去に由来する。親の顔を知らない孤児の自分に人々が情をかけてくれた分の恩返しをしたいのだ。特に、現在面倒見てもらってる寿司屋のおやじとの絆は深い。喧嘩も多いけど。
そんな梅さんは、ヒロシの学校の英語教師よし子先生に夢中。先生が好き過ぎて、父兄でもないのに授業参観に行ったり、授業中の教室を窓に梯子掛けて覗きに行ったりと、かなり危ない。よし子先生は梅さんのストーカーっぷりに呆れてはいるものの、時折見せる男気に感心してる様子。よし子先生は美人なのでライバルも多く、特によし子先生の同僚・南先生とのバトルは日常茶飯事。
それにしても今日の記事には「情」という字がかなり多いと思う。『ど根性ガエル』を漢字一字で表すと「情」だからな、やっぱ。こんなに人情味溢れた人々が集まる町は今時レア過ぎて、『ど根性ガエル』の世界はもはやユートピア…いや、シャングリラ?最後に大好きな『ど根性ガエル』テーマ曲の歌詞を引用。

ピョコン、ペタン、ピッタンコ
とのさまガエル アマガエル カエルにいろいろあるけれど
この世に一匹! 平面ガエルのぴょん吉さまは
ケロケロケロ とは鳴かないで
根性根性ど根性 泣いて笑ってケンカして
にくいよーっ!このォど根性ガエル!
ドッコイ生きてる シャツの中

「魅せてくれるぜ神さん!」―『スラムダンク』

2008-09-23 18:21:01 | 漫画
『アメトーーク』の特番で放送された『スラムダンク芸人』を見た。時々挿入されるアニメの動きのカクカクっぷりに失笑。でも、作者が監修した『BUZZER BEATER』ではバスケの動きを再現すべく結構頑張ってたから、今の技術でリメイクしたら良いアニメになりそうだよね。ゲスト(準レギュラー?)のケンコバが陵南7番のユニフォーム着て、さらに「負けん気の強い越野」についてさらっとふれてたので、陵南のカリスマ・ディフェンスに定評のある池上を讃えたりしてくれたりすんのかな?と思ったが…仕方ないか、ゴールデンだし。まぁ、深夜だったとしてもディープにはならんだろうけどね、『エヴァ芸人』や『ジョジョ芸人』なんかを見る限りでは。この手のシリーズで面白かったのって『ガンダム芸人VS越中詩郎芸人』だけだった気がするなー。明らかに周りの芸人と「好き」のレベルが違うガンダム芸人・土田と、虚言を交えながら越中を祭り上げるケンコバのバトルは『アメトーーク』屈指の名場面だ。
さて、この番組がきっかけで再び『スラムダンク』を読み返してみて、感想の記事でも書こうと思ったのだが、「あれ、スラダン関連の記事って昔書いたかも?」と検索してみたら、やっぱり2006年3月20日の記事で既に書いてた。しかもそこに書いてあることと今回書こうと思った事が大して変わらなかった。その記事で「好きなメンバー」として挙げてるキャラも一緒。やっぱ海南だよ海南。「中から」牧と「外から」神、そして「ルーキセンセーション」清田の3人が「好きなキャラベスト3」だなー相変わらず。…良い奴だよね、清田。山王戦では必死で湘北を応援してたし。
ただ、キャラに関しては、幼少の頃から現在までで好みがコロコロ変わってきている。私が初めて『スラダン』を読んだのは確か小1だった92年頃、従兄弟にジャンプを借りたのがきっかけだが、その時好きになったのは、やはり一番華のある流川。まぁ、従兄弟が「流川カッケー!!」を連発してたので、流川を好きになるよう刷り込まれた可能性もある。小2の頃、アニメが始まっていよいよ教室中にスラダンブームが巻き起こった時には三井に心変わり。この頃は少女漫画を色々と読み始めた時期でもあったので、ルサンチマン的なものを抱えた「挫折体験のある男」に魅力を感じたのだろう。しばらくミッチー好きは続くが、小学校高学年頃になると突然「選手兼監督」の翔陽・藤真に衣替え。ベンチとコート上とでキリっと変わる表情に惹かれたというのもあるし、主人公チームに負かされる立場のキャラにも深いドラマが作りこまれていることに注目し始める時期でもあったのだと思う。試合終了のブザーが鳴った瞬間の、藤真のやるせない表情…。
高校1年、あの豪華本『スラムダンク』完全版が刊行され、ブームが再燃した頃は、とにかく細部まで『スラムダンク』を読み込むようになり(クラスもそういう雰囲気だったのです、男女問わず)、脇役にどんどん注目。陵南の池上や海南の武藤の地味なる活躍をつつきあいながら爆笑する、という光景が教室のあちこちで見られた。あのクラス最高だったなぁ…。完全版が発売されるたびに「おぉ!12巻のノブナガ超カッケー!」とか「ちょ、田岡かよwwww」とか言いながらみんなで盛り上がってたな。お金に余裕が無かった私は美麗な完全版に憧れつつも、「完全版には話と話を繋ぐおまけイラストが無いし」と意地を張っていた(でも実際、単行本で集めた方が絶対良いよな?)。で、まぁこの時期に今まで重要視してなかった海南VS陵南戦をじっくり読み込み、牧・神・清田の魅力に気づいて今に至る…という。

…あぁ、読み返す度にあふれ出す「スラダン愛」。過去の記憶もセットであふれ出しちゃうね。全31巻読破してもまだ足りん。押入れから「あれから10日後」のポストカードセット引っ張り出してこよっと。

とにかく『ダークナイト』

2008-09-21 00:15:48 | 映画
映画『ダークナイト』。地元の映画館では既に公開が終わってる所が多い。他の地域でもそんなもんなのかな?あんなに面白いのに。全米では『スターウォーズ』(エピソード4)抜いて興行収入歴代2位だってのに。「『タイタニック』に何処まで迫れるか」なんて言われてたぐらい大ヒットした映画なのに。まあ、今年の夏休みは『ポニョ』一色だったもんな、日本は。私なんて『ダークナイト』結局3回も見たぜ?劇場で。劇場公開中に同じ映画を3回観に行くなんて初めてだったが、とにかくヒース・レジャーの怪演…彼のジョーカーを観たくて観たくてたまらなくなって。昔、『時計じかけのオレンジ』のアレックスにハマって何度も何度もレンタルビデオを見直した時の事を思い出すなぁ。ちなみに今『ダークナイト』のサントラをヘビロテ中。とにかくあの雰囲気を味わい続けたい。
クッシャクシャの髪、白塗りの顔、白の塗料がベットリ付着した指先、ザックリ裂けた口、他人の神経を激しく逆撫でする素っ頓狂な声…強奪した金で買ったオシャレなスーツを羽織り、ゴッサムシティを混乱に陥れる狂人・ジョーカー。バットマンが鉄拳制裁をくらわせるも「暴力なんかじゃ俺をねじふせられないよ~ん」と言わんばかりに「ヒャーッハッハッハッハ」と笑い狂うジョーカーのハッスルぶりは最早演技というレベルではなく、完全に何かが憑依してるとしか思えない。ヒース・レジャー、『ブロークバックマウンテン』に出てた人と同一人物とは思えん…。声とか全っ然違うもんなぁ。『恋のからさわぎ』という映画(ちょっと前までGyaoで観れた)では、素敵な声(?)で「君の瞳に恋してる」を歌ってたこともあるよ。


とは言っても、ホモじゃないのにうっかり同性愛に目覚めてしまうカーボーイを演じた『ブロークバックマウンテン』の時も、カーボーイならではのガニマタ歩き、無骨でモゴモゴとした喋り方を完全に再現した演技を見せて評論家をうならせたらしい。特に、取材などを通して彼を知っている人は「普段はフツーの気さくな若者なのに!」と驚愕したとか。私はカーボーイの生態に詳しくないから「うぉー、アグレッシブなキスシーンですなぁ」みたいなことしか思わなかったなぁ…。
以下に、『ダークナイト』で特に心を鷲掴みにされたシーンをいくつか挙げる。観た人なら共感してもらえるだろう。

■ジョーカーのマジックショー
■最狂!「Why so serious?」と煽るジョーカー
■ジョーカーin取調室
■ある計画を成し遂げた直後、パトカーをハコ乗りして風を浴びてるジョーカー(一瞬)
■強奪した金を山のように積み、頂上からシュルルーっと滑り落ちてくるジョーカー
■起爆装置をいじりながら病院から出てくるナース・ジョーカー(ネームプレートは娘の名前!)

ジョーカーin取調室


そうそう、関係ないけど忘れちゃいけないのがエディソン・チャン。今年の冬、大量のプライベート写真流出でアジアを震撼させ、芸能界引退に追い込まれたMr.ハメ撮り王エディソン・チャン。数々の人気女優をスキャンダルに巻き込み、「香港芸能界を牛耳るマフィアに命を狙われるのでは?」と危惧されたエディソン・チャン。初見ではエディソンに気付けなかったが、「香港のシーンの最初の方でモーガン・フリーマンを迎えてるのがエディソン」という情報をネット得て、注意深く観てたら、ちゃんと居た。モブキャラの中に一人だけ居るイケメン、まさしくエディソン・チャン。しかし彼の出番はモーガン・フリーマンを社内へ連れて行った所で終わってしまったのだった…。
あとあれね、子役、見覚えあるなと思ったら『ミスト』に出てたあの超可愛い子だった。ネイサン・ギャンブル君、10歳。続編でのロビン候補か!?いやまさかな…

追記
新旧ヒース・レジャー動画を「ほらこんなに違うでしょ!」のつもりで載せたが、見比べてみると相通ずるものがあるような気もしてきた。髪型同じだし。


『キテレツ大百科』-藤子アニメのニューウェーブ

2008-09-20 21:29:54 | テレビ
スカパーのアニメ専門チャンネル「ANIMAX」は最高だ。24時間休むことなく新旧問わずあらゆる日本のアニメが垂れ流されていて、うっかり見始めたら止まらない。とはいっても比較的新しめの作品にはあまり心惹かれない。女子の声がキンキン耳に響くし、男子の声は皆同じに聞こえるし(さすがに言い過ぎ?でもなんか最近のアニメの男キャラって殆どクール+棒読みに思える…)。
じゃ、どんなアニメにハマってるのか。これは時期によって色々変わるけど、今は断然『キテレツ大百科』と『ど根性ガエル』。前者は子供の頃よく見てた作品、後者は最近ちゃんと見始めた作品だが、どちらも一話一話の完成度の高さに衝撃を受ける。ひたすらテンポ良く笑わせ続け、最後に残るのは「え、もう30分経ってらぁ!」みたいな幸福感…というわけで今回は『キテレツ』の感想を。
『キテレツ大百科』は、発明家を先祖に持つ物作り大好き少年・キテレツと、キテレツが先祖の遺した記録を元に作ったロボット・コロ助、そしてキテレツのクラスメイトらが巻き起こす珍騒動を描いたコメディ。この作品を見て思い出すのは、やはり同じ藤子アニメの『ドラえもん』。キャラの立ち位置が似まくりですし。メガネの主人公、二頭身くらいのロボット、ガキ大将、ガキ大将の連れ、そして憧れの女の子。しかしポジションは似てても細かな部分はそれぞれ違っており、個人的には『ドラえもん』キャラよりも魅力を感じる。特に、ジャイアン的ポジションに居る八百屋の息子・ブタゴリラのピュアハートには癒された。たまに横暴な所もあるけど、すぐに反省することができるブタゴリラは基本的にピュアな少年だ。大体「ブタゴリラ」って…ルックスから付けられたあだ名だろうけど、そんな酷い顔じゃなくね?また、スネオ的ポジションのトンガリも悪くない。彼の家もスネオ同様金持ちだが、必要以上にひけらかさないし、たまに金持ち自慢エピソードがあったとしても声が可愛いから全くムカつかない。愛されキャラ。
主人公キテレツも発明家の子孫だけあって、ヘタレの極みで見てるだけでイラっとくるのび太君とは根本が違う。珍アイテムを次々と作っちゃう奴だしな。ただしアイテムを使う時の要領の悪さはのび太に似ているが。そんなキテレツの想い人・みよちゃんは、しずかちゃんよりも利発的で言いたい事をビシバシ言うけど、女の子らしいおしとやかさが全く薄れない不思議キャラ。このみよちゃんとキテレツの関係はのび太としずかちゃんと比べるとかなり親密。キテレツがブタゴリラ似の女子に抱きつかれる、という珍現場を見てしまった時のみよちゃんのジェラシーっぷりは二人の仲の深さの証だ。仲が良いといえば、トンガリやブタゴリラにも彼女出来たりするんだよな。良いアニメです。
あと、コロ助。そのトボけたルックス(ブタゴリラの親父からは「ネギぼうず」と呼ばれている)から天然キャラに見えなくもないが、時に暴走するキテレツ達に「今はそんな事してる場合じゃないナリよ!」と一喝するなど、シメる時はきっちりシメる。さすが武士の魂をもつロボットだけある。
キャラ設定といい、『ドラえもん』に比べてレトロ(というか和風)なアイテムの名称といい、『キテレツ』は何もかもが私のツボにヒットする。というか、『ドラえもん』見ててモヤモヤする要素がことごとく改良されてる感じ。キャラの濃さや歴史はクラシックである『ドラえもん』に負けるけど、あっちがクラシックなら『キテレツ』はニューウェーブ。過去にサントラアルバムをレビューしたが主題歌も無駄に良いし、本当、大好きだ。


追記
萩尾望都の『ポーの一族』全話レビューなるものを何故か書き始めてみたものの、当然なかなか進まず。好きすぎてまとまらない。

おいでよ、「シュロッターベッツ学院」に

2008-09-17 00:33:23 | 漫画
男性が本屋の少女漫画コーナーに立ち入るということは、かなりの抵抗感が伴うらしい。少年・青年漫画コーナーに女の子が居るというのはよく見る光景だが、逆は殆ど見掛けない。あの華やか過ぎる領域に立ち入るのは尻込みするもんなんだろう。というか少女漫画を楽しめる男性自体が少数派なのだろう。線の細い画風、キラキラの瞳、読む順番すら曖昧な流れるようなコマ運び。男性読者を突っぱねる少女漫画の三大ハードル。評論家・夏目房之介はこれらの要素を「少女漫画の文法」と呼び、少女漫画に幼い頃からなれ親しんだ者ならば自然に身につけているが、そうでなければ習得は難しいものであるとしている。少女漫画に目を通す機会があってもコマを読む順番がわからなきゃ読めないもんな。で、距離を置くようになり、少女漫画コーナーに立ち入る事すら嫌になる…。ただ、近年の少女漫画のヒット作は、男でも気軽に読める物が増えている。『NANA』『のだめカンタービレ』などはコマ運びも絵柄も大人しいから、自分で買うのには抵抗があっても友達や彼女などを経由して読んでる人は多い。私も貸した事あるし。
でも男の子に本当に読ませたい漫画って『NANA』とかじゃないのだ。まるで華やかなハリウッド映画に対するカウンターとして生まれた映画、1960年代末~70年代に次々と作られ、映画史を塗り替えた「アメリカンニューシネマ」のように日本の漫画史を塗り替えた1970年代の少女漫画たちを読ませたいのだ。でも読んでくれないのだ。2~3ページで「も、もうダメ…」とリタイヤされる。腑抜けめ…いやいや、仕方ないんだ。私だって小学生の頃は70年代少女漫画クラシックスを読むのに抵抗あったし、特に『ベルばら』のコマ運びにはかなり翻弄された。『りぼん』で鍛えてたつもりだったのに。でも、気付いたら時間を忘れて読んでたけど。
ただ、萩尾望都や竹宮惠子など、所謂「24年組」の作家の作品が、70年代80年代の男性達にとっての少女漫画の入口であったことはマンガ史上の事実である。手塚治虫や石ノ森章太郎の漫画に馴れ親しみ、それらのテイストを彼女達が少女漫画の世界に巧みに持ち込んだめ、当時の男性読者を一気に虜にした、とのことで、彼女達の作品を読んで少女漫画の文法を受け入れられるようになった、と。
岡田‘レコーディングダイエット’斗司夫が高校時代、同級生の女子に無理やり萩尾望都の『ポーの一族』を読まされたのがきっかけで少女漫画リテラシーを鍛えた(『トーマの心臓』を渡されたときはさすがに絶望したらしい)、とか、‘喋る時限爆弾’勝谷誠彦が同じく高校時代に竹宮惠子にどっぷりハマり、竹宮惠子のファンクラブの会員No.1をゲットし、早稲田大学少女漫画研究会を創設して少女漫画に狂ったりだとか(この人の口から「『変奏曲』最高ですよ!」って言葉が出てくるのが面白すぎる)、男性著名人と少女漫画に関するエピソードは興味深いものが多い。だからまぁ…何が言いたいかというと…「若者よ、少女漫画クラシックス読んでみようよ」ってことか?大体「有名だから」とかいっていきなりコッテコテの『ベルばら』とか読むから挫折するんですよ。『ポーの一族』か竹宮惠子の『地球へ…』とかにしとこーよ。
 

VAMPSが街にやって来た

2008-09-13 16:51:52 | ライブ
VAMPSのライブ行った。場所は岡村ちゃん怪我でライブ中止事件が起きたZepp Nagoya。懐かしいぜ~。
会場に入ると、フロアがちょっと凄いことになっていた。壁には「SEX BLOOD ROCK'N'ROLL」とかスプレーで色々落書きされてたり、真っ赤なカーテンがビロ~ンと張り巡らされてたり、出入り口近くの照明がキャンドルになってたりと、雰囲気がガラっと変えられていたのだ。何、このこだわり!「あ、Zeppってこんなに改装とかしちゃっても良いんだ?」みたいな衝撃。怒涛のZepp10DAYS、二週間ぐらい連続でVAMPSが会場を占領するので、「せっかく長く滞在するんだからプチリフォームしてVAMPS仕様にしちゃおーぜ」みたいなノリでやったのだろう。その場に居るだけで飽きなかったよ。
開演時間押しまくった岡村ちゃんと違い、VAMPSは定刻通り19:06に始まった。スクリーンには現在時刻がバーンと表示されていて、「6:59:59」と出た次の瞬間「6:60:00」…これがやりたくてたまらんかったんだろうな(笑)。さすが邦楽界一「6」を愛するアーティストHYDE。そして6分後、6時66分が始まった。いきなり「LOVE ADDICT」のイントロが流れて来て、幕が上がると、舞台上にはシャンデリアがぶら下がってて、やっぱりキャンドルが沢山並んでて、とにかくゴスな雰囲気。「あ、ライブハウスにシャンデリアとか持ち込んで良いんだ…」みたいな。さすがHYDE、ラルク同様舞台セットに抜かり無し。アジアツアーの時ドームに海賊船を持ち込んで、それをそのままステージにしちゃったのもたまげたが、VAMPSのツアーもヤバイぞ。
さて、今回初VAMPS、初HYDEソロライブだったわけだが、ハードロック曲中心でワイルドにガンガン歌い上げるHYDEはL'Arc-en-Cielのボーカリストと同一人物とはとても思えなかった。ここまでスイッチをバキっと切り替えられるって凄い才能では?ワイルドな表情だけでなく、「Perfect moment」「I CAN FEEL」などのスローな曲では伸びやかにしっとりと歌ったり。前のソロツアーのDVDではスローな曲でもガラガラ声で歌ってたので驚いた。これはラルクのライブの成果だな…。タイトかつゲロンゲロンな演奏も最高で、特にKAZのギター聴いてると脳が溶けそうになるくらい気持ち良かった。あっれは病み付きになるな。あれ聴くためにもう一回行きたいぞ(笑)。MCでは名古屋を騒がす「9月13日大地震が来る説」にふれた。ライブの日が12日だったので「明日地震来るんでしょ?」と。そして「いいじゃん、一緒に死んじゃおうぜ~」……勿論無茶苦茶盛り上がりました。
「一箇所に長く滞在して街を堪能したい」という事で組まれた今回のツアー。名古屋のライブは24日までなので、少なくともそれまでは名古屋の街に居るってことだ、VAMPSが。俺達の街に、あのVAMPSが…!!超ワクワクするぜ!!期間中、無駄に外出とかてしまいそうだ(笑)。とりあえず19日に、しょこたんや羞恥心も来たアスナル金山でトークライブあるらしいから、時間あったら見に行ってみよっかな~。

忍者ハットリ君

2008-09-08 00:05:52 | 映画
映画『20世紀少年』を観た。原作は浦沢直樹、累計2000万部超えの大ヒット作。以下、感想。


1997年、世界各地で不気味なテロ事件が続発する。それらは全て、主人公ケンヂが小学生時代、仲間と共に考えて書いた「よげんの書」通りに起きていた。故に、テロの首謀者はケンヂの仲間内に居る…?そんな中、「ともだち」と呼ばれる謎の人物が開く新興宗教団体がジワジワと信者を増やしていた。その宗教がシンボルマークとして使っているのは、これまたケンヂ達が子供の頃に考えたイラスト。「ともだち」の正体は?そして、テロ事件との関係は?……映画『20世紀少年』は三部作らしく、今回の第一章は物語前半のヤマ場、「血のおおみそか事件」あたりまでを映像化。謎が謎を呼ぶ展開に誰もが夢中になる、最もエンターテイメント性の高い部分の映像化である。さて、どーなったか。
まぁ、「…必死で原作のイメージを守ろうとしたんだろうな…」という感じだろうか。監督が堤幸彦だと聞いて、彼の代表作『トリック』シリーズのような微妙なギャグ満載の『20世紀少年』になってたらどうしよう、と不安だったけど、堤カラーは極力抑えられていた(モンちゃんのドイツ語ぐらいか?)。でもねぇ…やっぱ微妙な映画だったね。まず、原作のストーリー本筋を必死に追う事に徹したせいで、本筋とは直接関係無いけど味わい深い、各キャラの魅力を引き立てる些細なシーンが軒並み削られていた。
例えばオッチョのタイでの活躍エピソード。オッチョがいかにして武闘派になったかを示す部分。トヨエツ演じるオッチョの佇まいが超カッケーだけに省略は勿体ない!あと、オッチョが十数年振りに少年サンデーを手に取って爆笑するシーンがあれば今回の映画のクライマックスが更に味わい深くなるのに…。また、ケンヂが「お茶の水工科大学」のソフトボール大会に飛び入り参加して、裸足でダッシュするシーンも無かった。少年時代いつも裸足&俊足だったドンキーにあやかって靴脱いでホームインしようとするも、脚力不足であっさりアウトになるケンヂの哀愁が漂う良い場面なのに。ドンキーと言えば鼻水タオルが繋いだ友情の話も無かったな。それから、マルオ&マルオの息子とケンヂがラーメン食べるシーン、酔っ払ったフクベエを家に送り届けるシーン…テロ阻止を決意したケンヂが仲間達に協力を求めようとするも、彼らには家庭があるため「彼らを大事件に巻き込んで良いのか」とケンヂは葛藤が、映画ではそういうの殆ど無し。あ、刑事チョーさんの捜査!あれで2章に繋がるのかな。
挙げたらキリが無いな。そりゃ、全部詰め込んでたら2時間半の上映時間に入りきらないだろう。でも、そんな些細なシーンが無いと各キャラクターの存在が超薄っぺらく感じられる。せっかく実力派俳優を集めてるのに勿体ない…。映画を見終わって「あぁ、あのシーンもこのシーンも無かったなぁ」と振り返ってみて改めて浦沢漫画の魅力は本筋を彩る枝葉のシーンにある、と再確認した。つーか『20世紀少年』は作者が「ミステリー物ではない」と公言してあのラストだから、本筋より枝葉エピソードの方が大事な漫画でしょ。それらを切り捨ててまで映画化したのは無謀だった。
や、でも良い所もあったぜ!キャラのルックス、多くは原作から抜け出て来たみたいでさ。以下、印象深かったキャラについてまとめてみた。

【激似!!】
・少年時代のオッチョ
びっくりした。漫画なのか実写なのかわかんないぐらい似てた。よくあんな子みつけてきたな。

・コンビニの支部長みたいな人
コンビニの雇われ店長であるケンヂに説教する支部長も激似。なんつーか…「浦沢顔」なのかね、あの俳優さん。

【とりあえずインパクト大】
・ピエール一文字
竹中直人が指パッチンを武器(?)に開いた変な宗教団体の教祖役で出演。一瞬だけだが予想通りの名演、ナイスな死に顔を披露。しかし彼が殺された理由は見事に切り捨てられてた。それで良いのかな。

・バンドのボーカル
「ともだち」主催のコンサートに出演するヴィジュアル系バンドのボーカル役で及川ミッチーが登場。しかも、ネオV系を代表するバンド・ナイトメアを率いて…。金髪・フルメイクで熱唱するミッチー、ハマり過ぎ(笑)。狂乱のステージを見て「こんなのロックじゃない!」とツッコむケンヂ…。

・政治コメンテーター
これは映画オリジナルキャラかな?「ともだち」が牛耳る政党「友民党」の躍進について語るコメンテーターとして宮崎哲弥が一瞬登場。正直ここが一番面白かった。

命懸けの怪演

2008-09-05 17:30:18 | 映画
バットマンシリーズ最新作『ダークナイト』観た。以下、感想。


評判通り、ヒース・レジャー演じるバットマンの敵・ジョーカー、かっこよすぎた。まさに悪の化身。「あ、役に魂を吹き込むってこういうことか…」みたいな名演技。ジョーカーが出てるシーンは、もう全て名場面。やること派手だし、言う事全て深いし面白いし、顔怖いし…でも悪事を成し遂げた直後に見せる笑顔は何故か可愛いし…ヤバイよ。もう夢中だ。バットマン映画なのにバットマンの存在感薄かったよ。
ジョーカーは中途半端な事を許さない。曲がったことが大嫌い。街を守るバットマンや警察に対し「おまえらの守ってるものってさ、本当に大事?心の底から守りたいって思ってないだろ?ならやめちまえよ~」と揺さぶりをかけたり、人々が当たり前のように信頼してる人間関係に水をさし、右往左往する様子を見て楽しみまくる。狂ってるけど、「嘘くさい大義名分・ヌルい信頼関係を許せない!」という信念だけは強すぎる。こんな敵に、「あぁ、ヒーローを辞めるべきか、続けるべきか」とかウジウジ悩んでるバットマンが勝てるわけないんだ、常識的に考えて。
ジョーカー役のヒース・レジャーは今年の冬、薬物大量摂取で28歳の若さで無くなった。『ダークナイト』での怪演が遺作になってしまって非常に残念。アメリカでは『スターウォーズ』の興行収入を抜き、『タイタニック』に次ぐ記録的大ヒットらしいけど、ヒース・レジャーの死という話題性も手伝ってのことだろう(勿論、空前絶後の宣伝費も)。あぁぁ…勿体無い。続編ではもう観れないんだね。つーか28歳って…あの存在感で?嘘でしょ?
ヒース・レジャーの突然の死の真相は『ダークナイト』出演がきっかけという説が、アメリカでは有力らしい。要はジョーカーというクレイジー過ぎるキャラに入り込みすぎて精神の安定が保てず、精神安定剤に頼る日々が続いた、と。で、プライベートでのゴタゴタも重なり、薬物過剰摂取に至った、と。これが本当なら、彼は映画に…ジョーカーに命を捧げたってことになる。『ブロークバックマウンテン』で「ブロークバック」される(する?)彼を見た時もその役者魂に関心したけど、本当、壮絶な人だ。
とにかくヒース・レジャーのかっこよさだけで満足だが、不満があるとすれば残酷描写のヌルさ。確かに暗い映画だけどこれはPG-13、条件によっては子供でも見られる映画。おかげでジョーカーのキャラは凶悪なのに残虐描写が少ないという、ねじれ現象が起きている…。ジョーカーが酷いことしてるのは確かなんだけど、それをハッキリ映像で見せてくれない。血が全然流れない。もしかして「残虐なシーンを敢えて見せないのがクール」とでも思ってんのかね、監督。クールというより薄味になってしまったような気がするよ。『20世紀少年』の方が血が沢山出てたぞ?人間以外のモノを破壊する描写とかは過激だったんだけどな。
「香港のシーン長いよ」とか「モーガン・フリーマンやジョーカーの計画無理ありすぎだよ」とかツッコミたくなるけど、それでも多分今年のベスト1クラスの映画『ダークナイト』。でも、R15ぐらいにして、ジョーカーによる殺戮をガンガン見せてたらもっと良い映画になってただろうね。だってこれ、いくら指定付いてなくて残酷描写も少なめからって実際に子供に見せたらちょっとマズいよ。最初から指定付けてガンガンやっちゃえばよかったんだ…。

truth

2008-09-02 19:26:51 | 音楽
嵐の新曲「truth」にハマっている。今日の記事は「truth」鬼プッシュで行くぜ!
「truth」は現在放送中のドラマ『魔王』の主題歌である。サスペンスものドラマということで、「火曜サスペンス劇場」を思わせる大袈裟なまでにスリリングでアゲアゲなストリングスがイントロで鳴り響く。そして、とことんトーンを落としたボーカルがふわっと入り込んで来る。バックでは「さぁ!裁きの時間だ!」という魔王の心境そのもののようなシリアスなピアノが鳴る。歌詞は徹底的にドラマに合わせて作られており、魔王・大野の復讐心を代弁。ビートは貪欲に4つ打ちを刻み、躍動感を叩き出す。一瞬の息つく暇も与えない怒涛の展開…。
こりゃヤバイ。病み付き。なんでこんなに好きになっちゃったのか考えてみたが、答えは単純、これラルクの曲に雰囲気似てるんだよな。低いキーで絞り出すようにAメロを歌い、サビで一気に爆発するドラマチックな展開やピアノのフレーズはThe Cureぽい気もするが、彼らの音楽性に歌謡曲の親しみやすさを掛け合わせたラルクの方が似てる。具体的に言うと「DAYBREAK'S BELL」に似てる。さすがにあの曲ほどメロディの起伏は激しくないけども、ピアノの重ね方とか…。
ドラマ『魔王』でこの曲を聴く度に「あぁ~良いなぁ~ラルクに似てるしなぁ」なんて思ってたのだが、なんと当の本人・嵐の大野も同じことを思ってたらしい。インタビューで大野は「まさにL'Arc-en-Cielみたいな楽曲。hydeさんが歌いそうなメロディですね」と発言している。これ、ネットで見た時ガセかと思ったけど、『Myojyo』最新号を立ち読みしたら(ちょっと恥ずかしかった)、確かに言ってた。…仲間?大野君も私の仲間?ラルク好きなん…?そんな、インタビューでわざわざラルクの話を出すなんて…仲間ですか(笑)?
さて。近年グループとしての人気や、リリースされる楽曲の評価が異様に高まっている嵐。多分ドラマ『花より男子2』及び主題歌だった「Love so sweet」がヒットした辺りから嵐人気が急激に上がってきたのだと思われ、自分の身の回りでも、「え、あんたアイドルとか全然興味無かったよね?」という人が次々と嵐に魅了されるという事態が多発。結成当時からのファン以外の、新規ファンが増殖中なのだ。最近の彼らのCDの売り上げも調べてみたけど、凄いね。この音楽不況のご時世で、出せば確実に40万枚売るという状態をキープしてる。まぁ、複数商法が凄いというのもあるけど、確かに楽曲のレベルは上がってるよ。全盛期のSMAPやキンキ並に気合い入れて作られてるはずだよ。しかし私にはその魅力がよくわからなかった。今年のシングル「Step&Go」も「One Love」も、凡ジャニーズポップスにしか聞こえなかったし。「最近の嵐はなんかオーラが違う!キラキラしてる!」と友人は言う。確かに、キラキラしてるのは私にもわかる。
…そんな私だが、遂にうっかり魅了されてしまった。「truth」、ジャニーズではKAT-TUNの「SIGNAL」以来のヒットですわ。

追記
お、おまえも仲間か!