社会空間研究所 建築・まちづくり通信

社会空間研究所の所員が建築・まちづくりに関する情報等を気ままに綴ったブログです。
2007年6月からスタートしました。

船、山にのぼる

2008-04-13 10:16:31 | デザイン


広島県三次市の灰塚地域(旧三良坂・吉舎・総領町にまたがる地域)に建設された灰塚ダムを巡る「船をつくる話」を題材にしたドキュメンタリー映画を観てきた。

ダム湖の建設により沈んでしまう村の営みを後世に伝えるように、森の引っ越しをしようというのがこの「船をつくる話」の主旨。
恥ずかしながら、知らなかったのだが、各地の脱ダム宣言などの影響で大きく報道されていなかったようにも思う。

ダム建設に伴い伐採されてしまうダム法面の木を使って長さ60mの船をダム湖の底になる予定の場所で組み立て、湛水試験で100年に1度の洪水時のレベルまで水位を上げたときに引っ越し場所となる山の上に移す。そして、通常の水位まで水位を下げると、船が山の上に乗るというしかけ。
構想から12年、船をつくりだしてから7年、2006年に船が山にのぼった。

国交省との約束では解体撤去が原則らしいが、水没した村の人たちとともに山にのぼった船、過去の思い出を少しでも長くとっておいてほしい。

ちなみに、村の集落にあった樹齢400年といわれる「えみきの木」は、移植費用の高さや生存率の低さから移植が断念されそうになったが、村の人たちの募金などにより水没予定地住民のための生活再建地に移されることになった。その後、新たな場所でちゃんと芽吹いたらしい。
新たな生活を始めた水没集落の人たちと、ときには昔を思い出しながら、新しい歴史を紡いでいくことになるのでしょうね。

「船、山のぼる」公式ホームページ
渋谷ユ-ロスペースで4/25まで。当日1700円/前売1400円。4/19日にはトークイベントあり。

中国地方整備局灰塚ダムホームページ

(oba)
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