雑誌「公園緑地」feb.2024に掲載されていた『街路樹管理と技術者の育成』(仙台市建設局百年の杜推進部公園管理課 高柳主任著)を読んで。
ここでは仙台市の街路樹管理の取り組みが紹介されている。
仙台市では
平成6年度に「公園樹街路樹管理マニュアル」を作成し樹木の維持管理基準を定め、
平成9年度には「仙台市街路樹等植栽基準」を作成し樹木の移植等整備基準を定めた。
平成22年にはこの2つを統合する形で「仙台市街路樹マニュアル」を作成し、整備から管理まで統一した考えのもとに行っている。
https://www.city.sendai.jp/shisetsukanri/kurashi/shizen/midori/mesho/documents/2.pdf
※他の地方公共団体もこのような取り組みが行われると街路空間も豊かになるだろう。
マニュアルでは街路樹の望ましい姿として、並木としての統一美を表現することとし、
「①並木の管理」と「②樹木の管理」の2つの視点で以下の具体的評価項目により管理の適正を評価している。
①並木の管理
◎統一性が表現されているか
・樹形が統一されているか(同形か)
・樹高、枝張り、枝下高が統一されているか
・枝葉密度のボリュームが統一されているか
②樹木の管理
◎樹幹のバランスが良く、美性(形態美)が表現されているか
・樹種のもつ個性(特徴、らしさ)が発揮されているか
・樹種のもつ個性に応じた剪定手法が取られているか
◎剪定の基本が守られているか
・瘤がないか
・切り残さずに切り返されているか
・頂部優性が意識されているか
もう一つ、素晴らしいのは技術者の育成についてである。
仙台市では昭和50年代から宮城県造園建設業協会と協同で、街路樹や公園樹等公共施設の樹木剪定技術の向上と継承を目的とした講習会を年2回開催している。
本講習会では学科、実地による講習が行われ、学科で学んだ内容を実地講習で実践することで講義の内容が深められるようになっている。
毎回約50名の造園会社の担当職員が参加しており、市のベテラン職員が講師を務め、若手造園職員が造園職以外の職種(土木職等)の職員も受講者として参加するなど、受発注者ともに技術の向上と継承に努めている。
このような講習会を継続的に実施することにより、、受発注者間で街路樹の剪定技術や維持管理の考え方の共通認識を持つことができ、適正な維持管理を行い、仙台市が誇る美しい街路空間が生み出されていくものと考えている。
なるほど、
このようなことが継続的に実施されていることにより、青葉通や定禅寺通りのケヤキ並木等に代表される素晴らしい並木景観が形成・維持され、杜の都につながっているわけなんですね。