社会空間研究所 建築・まちづくり通信

社会空間研究所の所員が建築・まちづくりに関する情報等を気ままに綴ったブログです。
2007年6月からスタートしました。

宮前区農家巡りウォーキング

2021-07-27 19:44:24 | かわさきのこと

先日の6月22日に、弊社が支援している宮前区まちづくり協議会主催で「農家巡りウォーキング」が開催され、そこに参加してきました。

「農家巡りウォーキング」とは宮前区の魅力である農地(生産緑地)をもっと多くの区民に知ってもらい、減少する農地に歯止めがかかれば、という思いで始まったイベントです。今回で20回目を迎えました。

今回のコースは初山・平地区の農家を巡りました。まだまだ緑が多く残る地域です。



まず訪れたのは①松井農園さん。

こちらでは今はトマトやキュウリをつくっていましたが、今回僕の目についたのは、馬糞から堆肥をつくり周辺の農家に配っているということでした。

馬糞自体は、近くの明治大学の馬術部からもらっているそうです。

大学から馬糞をもらい堆肥にして、周辺の農家で使うという循環型のしくみができています。



続いては、②矢澤水耕農園さん。

こちらはハウスで水耕栽培でとまとを栽培しているのですが写真のようになっているので、そらとぶとまとと命名したそうです。

この育て方の方が、収穫量も多いそうです。

ハウスのなかの気温や湿度をAIで管理されているということで、最新技術をいち早く取り入れた農家さんでした。

続いては、③矢澤野菜直売所。「そらとぶとまと」の矢澤水耕農園さんとは別の農家さんです。

こちらは、最近、直売所を建て替えてさらに買いに来るお客さんが増えたということでした。

きれいな直売所は、景観的にもまちの価値を上げますね。



続いては、④山田花園さん。

こちらはご自宅の庭先で花の直売所をやっています。

直売所の名前は「花の停留所」。ほっとするネーミングですね。


最後は、⑤トカイナカヴィレッジ松本傳左衛門農園。

地主の方がもともと持っていた里山を体験農場としてオープンしたそうです。単なる体験農場だけでなく、地主の松本さんが村長で体験農場の参加する人は村民ということで、みんなと共にこの村で楽しく過ごします。

また、体験農業だけでなく、農家飯が食べられたり、農に関するさまざまなイベントが開催されたりで、農を通じた交流ができるようです。
最近ではテレビなどで紹介されていて僕も何度か観たことあるのですが、訪れたのは、はじめてでした。



川崎の北部にはまだまだ緑豊かな農地や魅力的な里山が残っています。

これらが将来にも残されていくことを祈るばかりです。

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子ども食堂の役割について

2021-07-21 17:56:56 | 制度・しくみ

新聞広告記事に出ていた認定NPO法人「全国こども食堂支援センター むすびえ」理事長の湯浅誠さんのお話を紹介します。

わたしは、この記事を読むまで恥ずかしい話ですが、こども食堂は単純にいろいろな事情を抱える子供たちに食事を提供する場所だと思っていました。もちろん、食事を提供する中でそこから派生していくものはあるでしょうが・・・・・。

子ども食堂という場・活動を通して、地域社会において人と人とのつながり、相互扶助のような関係性を再構築しようとしているんですね~~。

ある意味、子ども食堂はサードプレイスなわけだ。

以下こども食堂の役割について語った湯浅さんのお話。

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貧困には経済的貧困と関係性貧困があります。

経済的貧困の解決は政府ではないので正直できませんが、お金以上に人にダメージを与える関係性やつながりの貧困については民間の方が得意です。

子ども食堂は貧困の子供だけを対象としているのではなく、0~100歳までの方が来ることができる「地域の多世代交流拠点」、約8割の施設がお年寄りや保護者を受け入れています。

その良さを生かしながら、経済的に大変な子や家庭に関わっていくのが基本的なスタンスで、誰でも気軽に行ける場所であることが重要。

私たちは各地でこども食堂が運営しやすくなるよう、地域のネットワーク団体を支援しつつ、企業や団体と協働して、物資やプログラムなどを届けいています。

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川崎のフラッグフットボール

2021-07-20 13:33:36 | かわさきのこと

川崎市では、アメリカンフットボールが盛んです。富士通スタジアム川崎(旧川崎球場という方がなじみ深いでしょうか)は、関東のメイン会場となっており、毎年数多くの試合が開催されています。

2007年には、川崎市でアメリカンフットボールワールドカップの開催され、注目を集めました。

アメリカンフットボールから派生したスポーツで、フラッグフットボールと言うスポーツがあります。

これは、アメリカンフットボールの危険な部分を取り除き、魅力をそのまま残したスポーツです。これも川崎市では盛んに取り組まれています。

川崎市では小学校の授業でも取り組まれており、小学生をはじめ市民にとって身近なスポーツになりつつあります。


※フラッグフットボールとは

そして、このフラッグフットボールが2028年のロサンゼルスオリンピックの種目の候補になっています。

このため日本での機運を盛り上げようということから、今回初めての試みとして先日の6月26日(土)に富士通スタジアム川崎で大学のアメリカンフットボール部対抗のフラッグフットボール大会が開催されました。弊社の社員もプライベートの活動ではありますが、この大会の開催に関わっています。

今回出場したのが、慶応義塾大学、早稲田大学、法政大学、立教大学、中央大学、東京大学、杏林大学。

今回初めての試みということもあり、参加チーム数はあまり多くありませんでしたが、参加した大学生たちは楽しそうにしていたのが印象的でした。

今回参加した選手は、1、2年生が中心らしいのですが、オリンピックは7年後なので、この選手たちが日本代表選手になっているかもしれません。

アメリカンフットボールやフラッグフットボールは、日本ではまだまだマイナーなスポーツですが、このような取組を続けることによって、2028年までには盛り上がるように感じられました。

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行きたくなる避難所

2021-07-12 15:55:36 | 気になった記事

数日前の朝日新聞の夕刊に“”快適「行きたくなる避難所」“”という記事が出ていた。

なるほど、残念なことに自分にはそんな発想は全然なかった。これはいいアイデアだ!!

広島県熊野町では3年前の西日本豪雨で家などにいた12人が亡くなった。

その熊野町に新しい避難所「熊野東防災交流センター」が完成した。

目指したのは誰もが「行きたくなる避難所」。

2階建ての建物で、床やテーブルは木のにおいがし、授乳室、シャワー室、子供用トイレ、そして図書コーナーもある。さらには犬や猫など30匹を収容できるペット専用部屋まである。

どんな避難所だったら避難したいと思うのか、住民との6回のワークショップを開催し、避難所のあり方が検討された。

センター長は「行きなれていない場所に避難しようとは思わない。誰もが行きたくなる避難所にしていきたい」と話している。

普段はグループの集まりや子ども達の遊び場として開放され、今後はソフト面からも行きたくなる場所づくりが進められる。

熊野東防災センターについてもう少し知りたい方は ↓

https://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/contents/1625136065811/index.html

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三田~元麻布~笄町界隈を歩く

2021-07-09 19:04:21 | まち歩き(東京)

2021年7月6日、火曜日、曇り時々雨

この日は、田町駅からスタートし三田~元麻布~笄町界隈を散策した。

ちなみに「笄」はこうがいと読みます。

緑のラインがこの日の散策ルート。

歩行距離は7.9km。もはや散策の距離ではないかもしれない。

田町駅から桜田通りに出て慶應大学をちょっと過ぎたあたりを左に入った。

道はゆるい坂になっていた。左前方に鬱蒼とした緑と立派な門が見えた。

イタリア大使館の正門だった。

イタリア大使館の敷地は、もともとは松平隠岐守の中屋敷跡で、その後、華族の松方邸となった。

一つの街区が全てイタリア大使館の敷地になっている。とにかく広い。

ブラタモリでやっていたが敷地内には江戸回遊式の美しい庭園が残っているらしい。中は見えない。

イタリア大使館の前にあるお店「蕎麦切 砥喜和(ときわ)」という和食屋さんがちょっと気になった。

三井倶楽部に突き当たる手前から見たイタリア大使館。

長く続く塀が綱町三井倶楽部。ちなみに30年以上前にここで結婚式をあげたが、もう少し庭をちゃんと見ておけばよかった。

綱坂。格調高い雰囲気のあるいい坂である。

綱坂沿いに建つイタリア大使館職員住宅

三井倶楽部の南側に建つ高級マンション「三田綱町パーク」。

三井倶楽部西側の道路沿い。三井倶楽部の鬱蒼とした緑が見える。

こちらは「パークマンション三田綱町フォレスト」のエントランス。ちょっと成金趣味的なデザイン。

写真を撮り忘れたがこの坂を登ったところの左側にオーストラリア大使館がある。

日向坂を挟んで三井倶楽部の反対側にあった三田台郵便局、東京簡易保険事務センターは知らない間に取り壊され、現在「(仮称)港区三田一丁目計画(共同住宅棟・大学棟)」が進められていた。

三井不動産と三菱地所の大型マンションと慶應大学の施設もできるようだ。

※下の写真はブログ「ぼくの近代建築コレクション」の写真を無断掲載しました。ごめんなさい。

また、このブログによると、2017年1月30 日に日本建築学会から、かんぽ生命保険・日本郵政・都知事・港区長宛に「「旧東京簡易保険支局およびその敷地」の保存活用に関する要望書」が出されたようだが・・・・・。

三田の台地は環境が一変しそうだ。

こんな環境の良いところに黄緑色の柵はいただけない。景観に配慮するという意識はないのだろうか。

最近、工事現場の囲いは角の部分が安全性向上の観点から、透明のアクリル板が使われるようになっている。

ここから神明坂を下る。

古そうな神社が見えてきた。「元神明宮 天祖神社」。

天祖神社の石垣、なんか崩れそうでこわい。

キルギス共和国大使館。格調高いイタリア大使館もいいがこういう庶民的な大使館もいい。

住友不動産のオフィスビル?

神明坂を降り切ったところを左折したら、気になる建物が目についた。

「東京さぬき倶楽部」とある、が門が閉まっていた。

泉麻人さんのエッセイ「三田小山町歩き、のススメ」やウィキペディアによると

東京さぬき倶楽部はもともと「讃岐会館」という香川県人会の宿泊施設だったところで、

香川県生協によって建てられたが香川県人会に経営が譲渡され「東京さぬき倶楽部」に改名された。

その昔は武家屋敷→真珠王・御木本さん等いろいろ歴史を辿ってきた土地らしい。

12階建ての本館は大江宏さんの設計(昭和47年に建てられた)で、別館は明治時代につくられた木造建築で御木本さんの別邸だった。

当敷地は「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」の事業区域に含まれており、昨年2020年4月末に閉館している。

この建物の隣接地では既に「三田小山町地区」と「三田小山町東地区」の再開発事業が完了している。

再開発事業区域

三田小山町について、陣内先生の「東京の空間人類学」では次のように記載されている。

古川沿いの低地にある三田小山町は明治中期から早くも、水運と結びついた周辺での工場建設に伴い、小資本家たちによって路地と町屋・長屋を組み合わせた職工・商人のための地区がつくられ、近世的な雰囲気の庶民の生活空間を生み出した。

三田小山町の風景

あとで知ったのだが、泉麻人さんのエッセイによると、この辺りにある鳥塚クリーニング店はワイルドワンズの鳥塚さんのご実家らしい。

古川沿いの街並み

市街地再開発事業が計画されている三田小山町地区

市街地再開発事業の計画。2027年にはこんな姿に。

古川沿いに建つツイン一の橋。建物と周りの環境が香港にいるような錯覚を覚えた。

二之橋から見た日向坂。この先にオーストラリア大使館、三井倶楽部がある。

ここから仙台坂に入る。雰囲気のあるお寺「福泉寺」

韓国大使館。韓国大使館はここにあったのか。

森ビルが開発した高級マンション「元麻布ヒルズ」。設計は内井昭蔵氏

https://www.mori.co.jp/projects/motoazabuhills/

マンションの足元には大きなお寺「善福寺」があり、そのまわりにも寺が多い。

麻布山善福寺HP  ↓

https://azabu-san.or.jp/index2.html

古い住宅地図で確認したが、写真手前の駐車場は長い間駐車場のままだ。森ビルが所有か?

このあたりは大使館が多いのでお巡りさんも多い。

大井町から鮫洲に降りる坂も確か仙台坂だった。あそこも仙台藩の下屋敷があった。

大きな藩は下屋敷が複数あったんだ。

仙台坂を右に曲がってみた。アルゼンチン大使館の先にあった港区立元麻布保育園。ずいぶん立派な保育園だ。

港区七福神の毘沙門天

安藤記念教会会堂、大谷石造、建築年大正6年。エイジングな建物だ。

いい建物は時間の経過とともに味が出てくる。

中国大使館前にあったサウナ。なんか昭和の臭いを感じるようなサウナだ。周辺の環境とのアンバランス感が面白い。

このサウナ、気になってネットで調べたら「アダム&イヴ」という名前で、有名なサウナのようです。

https://kurotabe.tokyo/entry/sauna_adam_eve

中国大使館の塀には中国の観光スポットの写真が貼ってあった。

ここからがこの日の目的地「麻布笄町(こうがいちょう)」。

いまは笄町という町名はない。笄町は、江戸時代から1967年(昭和42年)まで存在した町名で、町域には現在の南青山6・7丁目から西麻布2・4丁目の一部が含まれる。

笄町を訪れた目的は、「近代日本の郊外住宅地」(片木篤+藤谷陽悦+角野幸博=編/鹿島出版会)で紹介されていた麻布笄町・桜田町分譲地の「いま」を確認するため。

下の写真は麻布桜田町分譲地です。ここは陸軍騎兵中尉西竹一の邸宅だったところ。

この西竹一は昭和7年のロサンゼルスオリンピックの馬術大障害でで優勝した人で、「バロン・ニシ」と呼ばれ欧米の社交界でも人気があったらしい。バロン・ニシってなんか聞いたことあるような、ないような~~。

高台の西邸を残して昭和6~18年にかけて三井信託が分譲した。

現在、この中心部には三井パークマンションが建ち、周辺もほとんどが低層の集合住宅となっているが一部戸建て住宅も見られる。

写真のとおり、都心の一等地に位置する緑豊かな閑静な高級住宅地である。

名門?笄小学校。

次は外苑西通りを渡って笄町分譲地へ。

この建物はなにかと思ったら、最近草刈正雄さん主演のCM「AFTER LIFE REDIDENSEの了聞」でした。

この堀田坂を登ったところに笄町分譲地がある。

左前方の森は「広尾ガーデンヒルズ」。日本赤十字病院の跡地に建てられた。

ここからが笄町分譲地。この分譲地は三井信託会社の分譲業務第一号として昭和元年から4年にかけた開発された。

もとは画家の黒田清輝と高木子爵の邸宅(高木子爵は良く知らない)の所有地を合わせた土地。黒田の遺言で美術界に貢献する事業に寄付す資金をねん出するために分譲したらしい。

下の写真の建物は分譲地内に建つ「コートヤードHIROO」

コートヤードHIROOは、築46年の旧厚生省公務員宿舎をフルリノベーション。集合住宅・商業の複合施設として再生された。住宅の他、オフィス、ヨガスタジオ、レストラン等が入っている。

興味のある方は https://cy-hiroo.jp/

この笄町分譲地も桜田町分譲地同様に、現在は低層の集合住宅が中心となっているがやはり戸建ても少し残っている。この両者のどちらを選ぶかと言われたら、緑の豊かさ・閑静さから、桜田町分譲地の方を選ぶ。

笄町分譲地のすぐ横は交通量の多い商店街だった。狭い道だが日赤もあるためか交通量が意外に多い。

以上、三田~元麻布~笄町界隈、約8kmの住宅地散策でした。このコースは歩いたことのないコースだったのでいろいろ目にするものが新しく、なかなかおもしろかった。

見落としたところも多いので時間があったらまた行ってみたい。

いろんな坂がいっぱいあったようだ。

【オマケ】

骨董通りに沿いに建つマンション。なんか大きな地震が来たら捻じれて倒れそうだ。

もちろん、建築確認がおりてますから大丈夫のはずです。

【参考文献】

・東京の空間人類学(陣内秀信著/ちくま学芸文庫)

・アースダイバー(中沢新一著/講談社)

・近代日本の郊外住宅地(片木篤+藤谷陽悦+角野幸博=編/鹿島出版会)

・三田小山町歩き、のススメ(泉麻人)

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