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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20161112今日の一手<その416>; 銀をさばいてよいか

2016-11-12 | 今日の一手

20161112今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は65銀1枚。68飛77角も数えてよさそうで、3枚に近いです。
後手の攻め駒は73桂1枚。

総合すれば先手がやや作戦勝ちです。

☆ 大局観として
先手は中央位取り中飛車から四間飛車に転回して、スムーズに左金を58に上がりました。その時点で先手が作戦勝ちです。後手は持久戦模様なのに玉が堅くできず、角を使いにくいので自分から攻められません。
6筋制圧を目指しさらに作戦勝ちを拡大しようとして、後手は右桂を使っての反撃です。ここでうまく手が作れれば先手の有利が確定します。

問題図では銀取りなので手は限られますね。どれが第一感でしたか?


△ 実戦では64銀とぶつけました。

64同銀同飛63歩68飛

これが得であるかどうか、という判断なのですが、先手は左銀を64に移動するまで5手かかっています。後手は3手で良いので、先手は2手損しています。それ以上の価値があるかどうか。しかしここで先手からのねらいがないのです。位を安定させていた銀が消えてしまったという結果です。
ここからは75歩66角64飛

この時に75角で飛車交換でよし、なら問題ないのですが、68飛成同金88飛78銀67銀

という感じで、後手が戦えそうなのです。攻めの桂馬の位置が違うので大さばきはやりにくい。

そこで実戦では75歩に45歩

65歩同桂45歩57銀

先手の65歩はお手伝いという感じですが、後手に強攻されてしまいます。57同角同桂成(不成で49桂成ねらいだったか)64飛同歩57金55角

と角をさばかれてしまいました。今は2枚換えでも99角成で香を取られますし、57の金も離れていて、後手がやや有利です。


△ おとなしく56銀と引き上げると

64歩78飛33角68角54歩同歩同銀右55歩63銀(65銀には67銀)75歩同歩同飛74歩76飛53金直

というのが先手の理想です。ここまで組めれば作戦勝ちは拡大しているのですが、後手もすぐにはつぶれません。(ここまで進むかどうかも問題ですが。)


○ 良さを求めるなら64歩です。

65桂63歩成77桂成52と68成桂42と同玉68金

全部取り合って3枚換えですが、大駒がなくなったので難しいかもしれません。

77桂成の時に同桂

のほうが良さそうですね。角と銀桂の2枚換えプラス と金です。

後手は64歩に72銀しかなく、66角94飛56銀

この場合は後手が95の位を取っているので94飛が可能、74銀と出られません。
63歩同歩成同銀77桂64歩

ここで86歩同歩88飛と回れますね。75歩が厄介ですが、86飛85歩89飛

として、76歩に85桂をみて(84飛がないタイミングで)先手よしです。


× 先に66角と手順を変えると

94飛64歩65桂63歩成同金

では歩切れで失敗です。77桂にも64金と使われてしまいます。

66角94飛に56銀

となると、後手は64歩と打ってもらえません。65歩57角54歩同歩45歩

となって失敗です。

☆ まとめ
棒銀の感覚だと銀交換で攻めが成功した、というのが普通なのですが、それは相居飛車で攻めの銀と守りの銀を交換したという事情があるためです。同じく銀を攻め駒に加えて、でも守っている方は玉の囲いが薄くなったということになるのです。この場合は攻めの銀の交換ですから対等です。現実には2手損で、交換したことによりそれ以上の成果がなければいけません。つまり継続して攻められるかどうかがカギです。交換しても使い道がないのならば、先手の56銀は要の位置、後手の63銀は中途半端な位置ですから、その交換は先手が損をしたということになります。

問題図では一目64歩と抑えます。これはほとんどの場合利かしが入るので、経験があれば形で覚えていることでしょう。64歩72銀として、何も手がなくて56銀と引き上げたとしても拠点が残るので、この利かしは得(最悪でも手損ではない)なのです。この場合は66角~77桂と使って、8筋突破を狙えます。

この中央位取り中飛車から66歩と突いて、(6筋の歩交換を拒否されて)73桂を強要してから石田流のように構える、までできれば振り飛車の理想形です。覚えておきましょう。

こういう図です。次のねらいは65歩で、65同桂は66歩、65同歩には57角81飛64歩同銀74飛。77桂は急いで跳ねないほうが良いです。


大山将棋研究(335); 三間飛車に持久戦

2016-11-11 | 大山将棋研究
昭和52年1月、二上達也先生と第9回早指し選手権決勝です。


大山先生の先手三間飛車で、二上先生は急戦のはずでしたが、なにか予定変更したのでしょう、でも仕掛けがありません。

仕方なく陣形整備ですが、もう固く囲えないので作戦負けです。金を移動して

玉を移動する。中住まいか右玉か、作戦負けの時のテクニックですね。

攻め味を見せて33桂が問題で、当然25桂とはさせてもらえません。

3筋を突き捨ててから5筋を交換したのが、大山先生の素晴らしい構想です。36に移動して35歩と合わせるわけですね。

二上先生は36歩と突きだしてから飛車を追います。

大山先生は3筋をこじ開けて

銀を捨てて

金を取り返す。これも覚えておきたい手筋です。後手玉の位置が悪いので大山先生有利。

二上先生は金を捨てて角を使います。ここは悪くても24同角しかなかったか。

24同歩から桂を逃げますが、と金が大きいです。

大山先生は13角を封じる方針です。

金と桂だけの攻めなら受けるのは簡単で

と金は作られても角を取れば後手玉を寄せられます。

二上先生は早逃げですがこの角が成桂取り、ひどすぎます。

後手の攻めは切れているのですが、大山先生は玉を安全地帯に移動して

寄せは端から。8,9筋に手掛かりを作ればよいのです。

投了図。

二上先生の作戦負けがひどいのですが、大山先生相手にはこういうのが多くてつまらないです。相性が悪すぎます。
大山先生の指し方、将棋はこうやって勝つものだという見本ですね。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 6四歩(63)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 5八金(69)
22 5四歩(53)
23 5六歩(57)
24 4二銀(31)
25 4六歩(47)
26 9四歩(93)
27 3六歩(37)
28 9五歩(94)
29 4七金(58)
30 7三桂(81)
31 8八飛(78)
32 5三銀(42)
33 2六歩(27)
34 4二金(41)
35 3七桂(29)
36 6三銀(62)
37 6七銀(68)
38 8一飛(82)
39 2五歩(26)
40 6二金(52)
41 4八金(49)
42 4四歩(43)
43 2七銀(38)
44 4三金(42)
45 3八金(48)
46 4二玉(32)
47 5八飛(88)
48 3三桂(21)
49 2六銀(27)
50 5二玉(42)
51 5五歩(56)
52 同 歩(54)
53 3五歩(36)
54 同 歩(34)
55 5五飛(58)
56 3六歩(35)
57 同 金(47)
58 5四歩打
59 5九飛(55)
60 8六歩(85)
61 同 歩(87)
62 3四歩打
63 3五歩打
64 同 歩(34)
65 同 銀(26)
66 3四歩打
67 同 銀(35)
68 同 金(43)
69 3五歩打
70 同 金(34)
71 同 金(36)
72 1三角(22)
73 2四歩(25)
74 同 歩(23)
75 3四歩打
76 2五桂(33)
77 3三歩成(34)
78 2六銀打
79 3六金(35)
80 3七桂成(25)
81 同 金(38)
82 2五歩(24)
83 2四歩打
84 3五歩打
85 2五金(36)
86 3七銀成(26)
87 同 玉(28)
88 3六金打
89 4八玉(37)
90 5五桂打
91 5六銀(67)
92 2六歩打
93 3七歩打
94 4六金(36)
95 5七銀打
96 5六金(46)
97 同 銀(57)
98 2七歩成(26)
99 2三歩成(24)
100 6七銀打
101 同 銀(56)
102 同 桂成(55)
103 1三と(23)
104 6一玉(52)
105 3四角打
106 7二玉(61)
107 6七角(34)
108 8八歩打
109 4七玉(48)
110 8九歩成(88)
111 4六玉(47)
112 8八と(89)
113 3五玉(46)
114 8七と(88)
115 6八角(77)
116 7七銀打
117 5七角(68)
118 4五桂打
119 4六角(57)
120 6六銀成(77)
121 9四桂打
122 6七成銀(66)
123 9三桂打
124 同 香(91)
125 9二銀打
126 投了
まで125手で先手の勝ち

大山将棋研究(334); 急戦向い飛車

2016-11-10 | 大山将棋研究
昭和52年1月、森雞二先生と第9回早指し選手権です。


森先生は石田流を目指し、これには85歩は普通の手なのですが、大山先生は84で止めておくのも多いですから珍しいかも。

森先生は急戦向い飛車に。居玉でやるのが横山公望さんのメリケン向い飛車でしたっけ。

85から歩を打つと飛車を引いて76銀から取られます。

65歩に44歩と止めたら穏やかだったのですが、55歩だったので飛車を回ります。これで大山先生は歩損を避けられません。

森先生は1歩かすめ取りました。ただし手損なのでどうなるか。

大山先生は34の歩がないので玉が安定しにくく、穴熊に。居飛車穴熊はまだ流行っていない頃です。

森先生はどんどん動きます。これで と金作り。

ここで74飛が疑問手。72と でした。

と金の活用を防がれてしまいました。

大山先生は穴熊が最低限まとまったので動きだします。銀をぶつけて交換、

飛車をぶつけて、交換できませんが と金を払って有利です。

銀を投入して飛車を抑え

これで8筋が破れます。

森先生は角をさばきますが、と金を作られ

95角から二枚換えねらい。よく手を作るものです。

大山先生は85角で銀にひもを付けて守り

と金はできているのでゆっくりさせば十分です。

角は取られても2枚換え。

王手飛車を避け

でもこの銀取りは受けにくいです。

銀取りは無視して香を取って2筋が急所です。

18銀と使わせたら中央から確実に攻めます。

森先生は玉が薄いので守りようがなく

馬を取られて角を打たれ

受けなしです。

この向い飛車というか、急戦向い飛車全般は、昔から滅多に見ませんが、やはり無理があるのです。それでも森先生は34の歩をかすめ取って と金を作り、うまくいったかと思ったのですが、72と と引くタイミングを逃したのが痛かったです。玉が薄いので間違うと響きますね。そのあともあれこれ手を作りに行くのですが、大山先生が受けそこなうとは思えません。局面が落ち着けば玉の堅さの差も出てきます。
後手をもって受け方や攻め方を学べると思います。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森雞二8段
後手:大山棋聖
先手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6七銀(68)
8 5四歩(53)
9 7五歩(76)
10 8五歩(84)
11 7七角(88)
12 4二玉(51)
13 8八飛(28)
14 3二玉(42)
15 4八玉(59)
16 5三銀(62)
17 7八金(69)
18 5二金(61)
19 8六歩(87)
20 同 歩(85)
21 同 飛(88)
22 8四歩打
23 6五歩(66)
24 5五歩(54)
25 3六飛(86)
26 4四銀(53)
27 3四飛(36)
28 3三角(22)
29 3六飛(34)
30 2二玉(32)
31 7六飛(36)
32 1二香(11)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(76)
36 7三歩打
37 7六飛(74)
38 1一玉(22)
39 8三歩打
40 同 飛(82)
41 7二歩打
42 7四歩(73)
43 7一歩成(72)
44 7三桂(81)
45 7四飛(76)
46 6二金(52)
47 7六飛(74)
48 3二金(41)
49 6六銀(67)
50 4五銀(44)
51 6七金(78)
52 5四銀(45)
53 3八玉(48)
54 6五銀(54)
55 同 銀(66)
56 同 桂(73)
57 6六角(77)
58 7三飛(83)
59 7四歩打
60 7一飛(73)
61 4八銀(39)
62 8五銀打
63 7九飛(76)
64 7六歩打
65 8六歩打
66 7四銀(85)
67 7六飛(79)
68 7五歩打
69 7九飛(76)
70 8五歩(84)
71 5六歩(57)
72 8六歩(85)
73 5五角(66)
74 同 角(33)
75 同 歩(56)
76 8七歩成(86)
77 5四歩(55)
78 5二歩打
79 5九飛(79)
80 7八と(87)
81 9五角打
82 7二飛(71)
83 5三歩成(54)
84 同 歩(52)
85 5四歩打
86 8五角打
87 6六金(67)
88 5四歩(53)
89 同 飛(59)
90 5三歩打
91 5五飛(54)
92 9四歩(93)
93 8六角(95)
94 6四歩(63)
95 3九金(49)
96 6三金(62)
97 9六銀打
98 同 角(85)
99 同 歩(97)
100 8二飛(72)
101 8七歩打
102 8九と(78)
103 6五金(66)
104 同 歩(64)
105 5九飛(55)
106 3三歩打
107 6四歩打
108 5四金(63)
109 4一角打
110 9九と(89)
111 7四角成(41)
112 2四香打
113 1八銀打
114 6六歩(65)
115 5六馬(74)
116 6五銀打
117 5七馬(56)
118 5五桂打
119 9九飛(59)
120 6七歩成(66)
121 4六馬(57)
122 6六銀(65)
123 6三歩成(64)
124 5八金打
125 4九桂打
126 4四歩(43)
127 5六歩打
128 4五金(54)
129 同 馬(46)
130 同 歩(44)
131 5五歩(56)
132 5六角打
133 5三と(63)
134 4六歩(45)
135 4四桂打
136 4八金(58)
137 同 金(39)
138 5七銀打
139 3九金打
140 4八銀成(57)
141 同 金(39)
142 5七金打
143 投了
まで142手で後手の勝ち


20161110今日の一手<その415>; 手の組み合わせ

2016-11-10 | 今日の一手

20161110今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、IさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は57角1枚。
後手の攻め駒は33角75金で2枚。72飛も働きそうなので3枚に近いです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

先手のミレニアム、後手の穴熊です。通常は振り飛車穴熊のほうが堅いので普通に組みあっても振り飛車が十分なのですが(だからすたれた戦型)、先手が端に手をかけたので桂頭が薄いとみて、袖飛車で攻められたところです。
77桂をうまく処置して玉が堅いまま戦いになれば先手が十分させるのですが。57角が75金に当たっているし、端を攻めることができるかも。だからうまくいきそうにも見えますが、持ち歩が1つしかないので下手をすると悪くなります。


△ 受けるとしたら87銀として

76歩85桂66歩88銀67歩成同金直66歩68金引65銀26飛

66歩76歩の圧力があるのですが、先手玉が89なのでまだ戦えます。後手は84歩とすれば桂馬を取れますが、93桂成と捨てられてかなり乱れます。
後手のペースですが形勢は互角です。


× 実戦は94歩と突き捨てて

94同歩85桂86金73歩同桂75角

85桂86角76歩

桂と金の交換でも7筋が危険です。24歩は疑問手ですが、77歩成同銀同桂成同角同角成同金右85桂

どんどん攻められて後手の快勝です。

戻って24歩では75金くらい。

でも77歩成同銀同桂成同金右75飛同角85桂

はやはり食いつかれています。


× 黙って85桂として

86金73歩同桂93桂成

となるなら先手がやや指せます。

でも73歩に52飛として

75角を避けられていると85金があります。93桂成も同銀なのでこれは指し過ぎです。


○ ということで85桂では決まりません。73歩を先にしてみます。

今なら73同飛の一手。24歩同歩同角44角

後手からの76歩には85桂が飛車に当たります。だからかなり有力です。
55歩同角42角成22歩85桂63飛87銀

が変化の一例。後で桂馬は取られるのですが、馬を作っていますし、互角以上に戦えると思います。


△ 普通に攻めるなら24歩ですね。

24同歩同角22飛が普通の受け方。

25歩44角57角86金24歩27歩同飛26歩28飛76歩

と、普通に指していたのではだめです。

22飛に23歩を利かせて

23同飛25歩44角42角成27歩同飛26歩28飛25飛

55歩同銀43馬71金65桂

として、これは先手が指せそうです。

でも24歩を取らずに76歩85桂86金23歩成44角

かもしれません。73歩52飛32と26歩21と85金

桂馬の交換ですが左の桂を交換しているので後手のほうが少し得です。




形勢互角の局面でしたが、正解になりそうな手は少なく、難しかったと思います。
これは先手が玉を固めるのを優先したためです。玉を金銀4枚で囲おうとか、穴熊にしようとか、現代では堅い囲いが好まれるのですが、攻撃に使える駒が少ないあるいは配備が遅れるということでもあります。玉を固めるのは初心者向けではないと思うのです。薄い玉で攻めろというのではありませんが、金銀3枚で普通に囲って、飛角銀桂で攻めを考える、というほうがわかりやすいのです。

読むとしたら
87銀から受けるのでは今一つもの足りない
端を攻めるのでは歩が足りない
85桂から73歩同桂93桂成は有力
でも73歩は取ってもらえない
ならば先に73歩でどうか
という流れと、

24歩同歩同角と行けるかどうか。取ってもらえれば踏み込んでいく手順がありそう。でも手ぬかれたらどうしようか。
やはり73歩同飛を入れてしまえば85桂があるので、24歩を手ぬかれにくくなるのだ。
という流れと、

両方考えないとわからないのだろうと思います。(全部読めなかった、読み間違えたというのは局後に検討して修正して学んでいけばよいのですが。)

感覚(直観)では何かありそうだとは思うのですが、85桂が正しいのか、なけなしの1歩を使い73歩とたたくべきか、24歩同歩が入れば手を作りやすいけど入るのかどうか、というのはすぐにはわからないとおもいます。
73歩同飛24歩が手の調子だ、というのは、その順を発見して比較すればなんとか理解できるのですが、この組み合わせが見えるかどうかにかかっています。

ですから、読みの得意なタイプの人が玉の堅い戦型を選ぶのはよいのですが、読むのは苦手というタイプなら、玉を固めすぎないほうが易しいのです。
級位者のうちに穴熊など堅い玉に頼るのはお勧めしません。

また、読みが得意な少年少女が奨励会に入った後で、周りも自分と同じくらい読みが得意で、アマチュアの頃のように勝てなくなる、というのもよくある話でしょう。どれだけ個性を発揮できるかが課題となります。単に読みが得意というだけでなく、どういう読みが得意なのか、直線的か曲線的か、手の広いところの読みが得意なのか、手のないところから手を作るのが得意なのか。あるいは読まないでも直観でわかるというタイプなら、どうやったら自分の得意な形に持って行けるか、どういう戦型の経験を増やしていくべきかを考えておくべきでしょう。
まあ私の知らない世界なので、憶測で言っているわけですが、アマチュアでもさらに上を目指すなら考えていかないといけないのだと思うのです。


大山将棋研究(333); 三間飛車に左美濃

2016-11-09 | 大山将棋研究
昭和52年1月、米長邦雄先生と第29期棋聖戦第4局です。


大山先生の先手三間飛車に米長先生は天守閣美濃。

まだ左美濃のブームの前ですが、45の位を取りたいというのは大山先生はわかっていたのでしょう。44歩と止めればおとなしい展開で

結局は第2局と同じように引き角棒銀です。

第2局では65歩として争点を与えていましたが、今回は端の位も取って息の殺し合いです。

千日手のような手順が続いて、大山先生のほうが手を変えました。2人とも千日手にする意思はないのですが、駆け引きで嫌がらせをしている感じがします。

大山先生の左銀が守りに着いたので、米長先生は薄いところから仕掛けです。

位を取って

大山先生は位の圧力を避ける意味もあって穴熊に。

米長先生の銀の繰り替えを見て、角でけん制。62角成があるので局面が動きだします。

飛車を回ると66歩の突き出しがある、だから72馬の余裕はなく

84馬から65歩です。これは取りにくいので67歩成から飛車の取り合いになり

と金を作り合って飛車を打ち合って、展開は互角です。穴熊のほうが と金攻めに遠いのですが、飛車の間にある と金は使いにくいので米長先生のポイントですが、馬と角の違いがあり、形勢は互角です。

米長先生は と金を中心にして金を呼びだし、銀をぶつけます。

大山先生は馬を守りに着け、銀を引っ掛ける。

この金打ちは28金に29金同金39と の意味でしょうが、 39と28金29と同金39金でも同じことですよね。でも相手を悩ませる怪しい手です。

その違いが出てきました。金を渡すから疑問手だろうと、大山先生は攻めに出ます。

気が付いてみれば米長先生の攻め駒は多く、寄せ合いです。33の桂を跳ねて攻防になっているようです。先手玉は詰めろではなさそうですが、2手すきにはなっていて、受ける手は難しそうです。

大山先生の53と は勝負手。米長先生は飛車を切って寄せに出ます。ななめ駒を渡さなければ一応大丈夫。

金を使わせて、より安全になり

66飛成にも桂をおいておきます。これで詰めろ。

大山先生は端に逃げる準備ですが

きれいに詰んでいました。

ほぼ互角で終盤戦になり、馬を守りにつけたところでは大山先生がよくなったかと思ったのですが、米長先生の怪しい金打ちにだまされました。急いで攻めなくてもよかった、というよりは急いではいけなかったのです。大山先生は囲いの金銀が乱れても気にしないところがあって、穴熊は乱れてくると粘りが利かない場合もあるのです。穴熊が乱れる前に補強しておくほうが手堅く、多くの場合は正しいです。
米長先生の逆転術を見た後は、寄せ方を勉強しておきましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:米長邦雄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八飛(28)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5二金(61)
17 2八玉(38)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 5四歩(53)
21 5六歩(57)
22 2四歩(23)
23 5八金(69)
24 2三玉(32)
25 5七銀(68)
26 3二銀(31)
27 4六歩(47)
28 4四歩(43)
29 3六歩(37)
30 4三金(52)
31 4七金(58)
32 3一角(22)
33 5九角(77)
34 7三銀(62)
35 8八飛(78)
36 3三桂(21)
37 2六歩(27)
38 2二玉(23)
39 2七銀(38)
40 2三銀(32)
41 3八金(49)
42 3二金(41)
43 9六歩(97)
44 4二角(31)
45 9五歩(96)
46 6四銀(73)
47 7八飛(88)
48 7三銀(64)
49 8八飛(78)
50 6四銀(73)
51 7八飛(88)
52 8三飛(82)
53 7九飛(78)
54 7三銀(64)
55 7八飛(79)
56 8二飛(83)
57 8八飛(78)
58 6四銀(73)
59 7八飛(88)
60 7三銀(64)
61 4八銀(57)
62 6四銀(73)
63 3七銀(48)
64 5二飛(82)
65 4八角(59)
66 5五歩(54)
67 5八飛(78)
68 5六歩(55)
69 同 金(47)
70 5五歩打
71 5七金(56)
72 4五歩(44)
73 4七金(57)
74 4六歩(45)
75 同 銀(37)
76 4五歩打
77 3七銀(46)
78 5四飛(52)
79 1八香(19)
80 5三銀(64)
81 1九玉(28)
82 4四銀(53)
83 6五歩(66)
84 6四歩(63)
85 8四角(48)
86 6五歩(64)
87 6二角成(84)
88 6四飛(54)
89 8四馬(62)
90 6六歩(65)
91 6五歩打
92 6七歩成(66)
93 6四歩(65)
94 5八と(67)
95 6三歩成(64)
96 6九飛打
97 6一飛打
98 5六歩(55)
99 同 金(47)
100 4六歩(45)
101 4八歩打
102 4五銀(44)
103 6六馬(84)
104 5六銀(45)
105 同 馬(66)
106 4九と(58)
107 5二銀打
108 3九金打
109 4三銀成(52)
110 同 金(32)
111 2一金打
112 1三玉(22)
113 3九金(38)
114 同 と(49)
115 1五歩(16)
116 2九と(39)
117 同 馬(56)
118 4五桂(33)
119 5三と(63)
120 2九飛成(69)
121 同 玉(19)
122 3七桂(45)
123 3八玉(29)
124 5六角打
125 4七金打
126 同 歩成(46)
127 同 歩(48)
128 5三角(42)
129 6六飛成(61)
130 4五桂打
131 1四歩(15)
132 同 銀(23)
133 同 香(18)
134 2三玉(13)
135 1一金(21)
136 4九銀打
137 2八玉(38)
138 2九桂成(37)
139 1七玉(28)
140 2八銀打
141 1六玉(17)
142 1七金打
143 1五玉(16)
144 2六角(53)
145 投了
まで144手で後手の勝ち


大山将棋研究(332); 三間飛車に左64銀急戦

2016-11-08 | 大山将棋研究
昭和52年1月、中原誠先生と第26期王将戦第1局です。


大山先生の先手三間飛車で、中原先生は急戦です。

先手三間飛車には急戦は難しいのですが、94歩に47金(これは95歩から75歩同歩96歩同歩86歩という急戦を含み)を待って、左64銀急戦(右銀の急戦もあるので区別)を選択しました。
先手は2手得しているようなものですが、47金の形なので受けにくくなる変化もあります。

現代振り飛車なら(といってもこのころは見ないですが)、65歩ですね。その時に左金が47なので67に上がる変化がないのです。でも振り飛車を持ちたいと思うのですが。

大山先生はおとなしく88角ですが、65銀は定跡の手。65同歩88角成同飛76角は居飛車が十分です。

67銀に74銀。居飛車は65銀の前に86歩同歩を入れて、67銀に同飛成同銀66銀と行くのが有力で、飛車を打ち込みやすいので通常よりも指しやすいと思います。
これで銀を引いた形が、64銀を1手で74に持っていったことになり、居飛車が十分指せる形ではあります。(居飛車が75歩67銀73銀引~74銀に比べて得)
定跡ではここで振り飛車が76銀と出て、75歩67銀と使わせる、ということになっているのですが

大山先生は角を転回しました。でも代わりに75銀から76歩の形を得て、居飛車としては十分だと思います。

大山先生は右翼の形を生かしたかったのでしょう。58飛から角をさばいて

中原先生は8筋から飛車をさばきます。自然な動きです。

大山先生は44歩同歩71角ではだめだとみて、78銀から我慢ですが、これでは辛いです。

44歩同歩26角というのは必死の手作り。でも中原先生は角には角で受けて、この歩を手抜きます。

88歩から桂を取って、たいした手がないだろうと。

大山先生は左の銀桂を使えないので右金を使いますが、これでは苦しいです。

それでも銀をもって歩を取り込めばそれなりの迫力です。

中原先生は57歩から歩の手筋で先手陣を乱し

24桂が急所、46飛に77歩成で王手飛車の筋を狙います。駒損の大山先生は悩みますが

43歩成から53歩成でした。王手飛車の筋に

金を1枚取れます。しかしこの局面、36桂が脅威です。

47金打ちに68と。取れば36桂で困ります。飛車のほうを取りますが

後手を引いているので手負けのようです。

端から攻められて詰めろ。

と金を抜きましたが合駒の桂を使われます。

投了図。


序盤に問題ありなのですが、結局は普通の順を避けてしまった大山先生が少し悪いのでしょう。角を転回しても、ただの角交換では手損が残ります。左の銀桂がさばけず取られるだけの駒になってしまってはいけません。
中原先生はいつものように自然に見える手をつなげていって勝ちました。寄せで桂馬の筋が決まって、桂使いの名手として会心でしょう。
居飛車をもって、中盤以降の自然な手を学ぶべき題材です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:中原誠王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5四歩(53)
19 3八銀(39)
20 4二銀(31)
21 5八金(69)
22 5三銀(42)
23 5六歩(57)
24 7四歩(73)
25 4六歩(47)
26 4二金(41)
27 3六歩(37)
28 9四歩(93)
29 4七金(58)
30 6四銀(53)
31 6七銀(68)
32 7五歩(74)
33 3七桂(29)
34 7六歩(75)
35 同 銀(67)
36 7二飛(82)
37 8八角(77)
38 6五銀(64)
39 6七銀(76)
40 7四銀(65)
41 4五歩(46)
42 7五銀(74)
43 7九角(88)
44 7六歩打
45 4六角(79)
46 6四歩(63)
47 5五歩(56)
48 同 歩(54)
49 5八飛(78)
50 6三銀(62)
51 5五角(46)
52 同 角(22)
53 同 飛(58)
54 5四歩打
55 5八飛(55)
56 8六歩(85)
57 同 歩(87)
58 8二飛(72)
59 7八銀(67)
60 8六飛(82)
61 8七歩打
62 8五飛(86)
63 4四歩(45)
64 同 歩(43)
65 2六角打
66 6二角打
67 4五歩打
68 8八歩打
69 4四歩(45)
70 8九歩成(88)
71 5五歩打
72 6六銀(75)
73 5六金(47)
74 8四角(62)
75 8六歩(87)
76 同 飛(85)
77 6六金(56)
78 同 角(84)
79 5四歩(55)
80 5七歩打
81 4八飛(58)
82 4七歩打
83 同 飛(48)
84 5八歩成(57)
85 同 金(49)
86 2四桂打
87 4六飛(47)
88 7七歩成(76)
89 4三歩成(44)
90 同 金(42)
91 5三歩成(54)
92 3九角成(66)
93 同 玉(28)
94 4六飛(86)
95 4三と(53)
96 同 金(52)
97 4七金打
98 6八と(77)
99 4六金(47)
100 5八と(68)
101 4九歩打
102 1六桂(24)
103 同 香(19)
104 1九飛打
105 2九銀打
106 1八金打
107 4四桂打
108 同 金(43)
109 7六角打
110 5四桂打
111 5八角(76)
112 4六桂(54)
113 4四角(26)
114 5八桂成(46)
115 投了
まで114手で後手の勝ち


20161108今日の一手<その414>; 囲いの急所

2016-11-08 | 今日の一手

20161108今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、HさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得は、後手が と金を作っている分だけ得です。
玉の堅さは少し先手のほうが堅いかもしれませんがあまり違いません。
先手の攻め駒は85飛66角65桂で3枚。
後手の攻め駒は64角1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

後手の と金に対して、先手は飛角桂の働きが良い(後手陣に利きが届いて攻め駒になっている)のが主張です。これを生かしたいのです。
つまり、横からの攻め合いになって と金を使われると悪くなります。飛車交換でよしとは言えないわけです。これは先手玉が39であることが関係しています。
ですから上から攻めたいのです。45歩の筋ですね。それなら先手玉が39であるのも角筋を避けているので都合が良いです。


× こういうところ、73歩成としてはいけません。

73同桂同桂成同銀65銀55角同角同歩
角桂の総交換になりましたが、先手はもともと角桂は攻めに働いていたのです。後手は81にいた桂馬が攻め駒になったので得です。以下は75飛と使えるのですが、74歩同銀64銀

形勢は互角ですが、後手のペースです。


△ 実戦では75角とぶつけました。

互いに攻め駒だった角の交換なら互角の取引です。75同角同飛84角73角

先手は勢いでやってしまいましたが、73同桂同歩成75角82と

と金を作りましたが、角と81の桂馬を交換した勘定です。これは後手がうれしい展開でしょう。

先手は84角に78飛と引いておいて

後手の84角の働きが悪くて十分でした。

後手としては84角ではなく72歩と受けるのでしょう。

これで66角から99角成を見て後手が指しやすいのではないかと思います。
角交換は互角の取引ですが、そのあとの角の使い道は(72歩と謝れば)後手のほうがわかりやすいです。


△ 45歩と攻めたらどうか。

19角成44歩同銀同角42香

11角成47香成同銀引46歩56銀

先手の攻めは45香から22銀、後手は(先手の28銀の受けもあるので)28金48玉68と、先手の攻めのほうが厳しそうですが、後手番ですし何とも言えません。


○ 37桂と跳ねておいて

45歩を狙うのが普通でしょう。後手は63銀45歩74銀で飛車を取れそうですが、44歩と取り込んで

85銀43歩成同金11角成

は次に44歩が厳しいたたきです。先手優勢。

後手は44歩に同銀と取ると、右金の位置が変わるのですが

44同角85銀11角成31金12銀

今度は44桂の筋が残ります。
飛と銀香の2枚換えで後手玉を攻められるのですから先手が優勢になります。

後手が受けようとしたら33桂と跳ねて

45歩同桂同銀55歩

くらいなのですが、46金45歩55金

金を繰り出して攻めれば先手優勢です。

後手は37桂の時に何か動かねばなりません。84歩と突きだして

84同飛同飛同角79飛

飛車交換になると59と が厳しいですね。

ですから84歩にも45歩です。

85歩44歩同銀同角33桂

少し前には63銀~74銀~85銀と3手かけて飛車を取ったのですが、84歩~85歩なら2手で取れます。だから33桂の余裕があるのですが、45桂同桂11角成(詰めろ)42金上45銀

後手から19角成はあるので怖い感じですがまだ大丈夫。先手は攻め駒が5枚はありますから十分でしょう。


△ 28玉はマイナスにならなそうな手です。

ですが、84歩同飛同飛同角79飛

は後手として有力なのは変わりないです。59と が甘くなっていますが、61飛51金寄81飛成74飛成

と竜を引き付けるのが良い感じの手です。62角成同金上41銀22玉52銀成同金

84角が窮屈なので切るくらいですが、角と金桂の交換、と金があるので駒得とも言えません。難しい形勢です。

先手は飛車交換では面白くないので、84歩には75飛としてみます。(75角で角交換もありそう、39玉の形よりは少し得か。)75同角同角79飛64角92飛

97角打74飛成53桂成同銀同角成同金同角成42金86馬

飛桂と金銀の交換マイナス と金、これも難しい戦いです。


後手からは84歩で飛車交換という手が残っているので、ゆっくりしていると悪くはないけれど難しい戦いになります。飛車交換に備えるなら28玉が最善で、それは69と の存在と、玉の堅さの比較になります。読んでみると後手から79飛~74飛成とされるのが嫌なんですね。後手は と金の分だけ駒得なのでゆっくり指してもよいのです。

よさを求めるなら何か攻めたいのですが、実戦のように75角から角交換で73の地点を狙うのは、じっと受けられて飛車を狙われます。

攻めるのは44の地点。後手はここに駒を足せないのです。すぐに45歩は19角成があるので難しい戦い、37桂~45歩が有力ですが、この時に飛車を捨てて攻めるのがポイントです。

囲いの急所といわれる地点がありまして、その囲いごとに強いところ弱いところがあるわけです。弱いところを攻めれば簡単に崩れる、粘りの受けがない、ということがあります。よく出てくるのは桂頭、銀頭(とはあまり言いませんが)、角頭の地点です。玉の小鬢(こびん、斜め前のこと)玉頭、桂馬での王手、というのももちろん急所です。



大山将棋研究(331); 位取り中飛車穴熊に玉頭位取り

2016-11-07 | 大山将棋研究
昭和52年1月、宮坂幸雄先生と第18期王位戦です。


大山先生の中央位取り中飛車。これは優秀な戦法です。

宮坂先生は棒銀に出て、でもここで断念するのですが、13角の余地もあるので攻めてほしかったです。

玉頭位取りにするのですが、これでは左右分裂しています。

位取り中飛車で銀冠にするのはバランスが悪いと思うのですが

さらに穴熊にするのが大山先生の構想でした。

このあたりから駒がぶつかりますが

結局落ち着いて大山先生の穴熊が完成。

宮坂先生の攻撃開始です。ただし後手陣が薄いし離れ駒はあるしでうまくいきそうには見えません。

ここまで進むと攻撃力はあるのですが

角は成れたものの、後手陣の薄さに不安があります。

飛角交換になり、7筋で駒を損するのが痛いです。83銀にも63角で十分。73桂と跳ねているのをとがめられました。(74銀73桂は対抗型ではよい攻めの形とは言えない)

46歩から49飛が攻撃手段ですが、歩を打たれて、取れば王手飛車ですね。

角金交換の金でしかりつけられては終わっています。

大山先生は銀桂を取り桂を打つ、攻めることだけ考えればよく

宮坂先生に寄せの手段がありません。

投了図。


位取り中飛車にたいして、居飛車がやってはいけないという作戦の見本です。棒銀に出たら攻めないといけません。玉頭位取りも右銀が使いにくいので単独の作戦としては今一つですが、73銀の形との組み合わせはバランスが悪すぎました。それでも宮坂先生はうまく攻めの形は作りましたが、いかんせん玉が薄すぎました。
大山先生の銀冠はお勧めできませんが、この場合はさらに穴熊にしたのはよい判断です。しかし位取りと穴熊はやはり欲張り過ぎで、まねをしないほうが良いでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:宮坂幸雄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 3四歩(33)
5 5五歩(56)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 7七角(88)
10 3二玉(42)
11 6八銀(79)
12 5二金(61)
13 4八玉(59)
14 4二銀(31)
15 3八玉(48)
16 1四歩(13)
17 5七銀(68)
18 4四歩(43)
19 5六銀(57)
20 8五歩(84)
21 2八玉(38)
22 7四歩(73)
23 6六歩(67)
24 7三銀(62)
25 6五歩(66)
26 4三銀(42)
27 1六歩(17)
28 4二金(41)
29 3八銀(39)
30 3五歩(34)
31 4六歩(47)
32 3四銀(43)
33 2六歩(27)
34 4三金(52)
35 2七銀(38)
36 3三角(22)
37 3八金(49)
38 2四歩(23)
39 5九金(69)
40 2五歩(24)
41 同 歩(26)
42 同 銀(34)
43 2六歩打
44 3四銀(25)
45 4八金(59)
46 2四角(33)
47 7八飛(58)
48 3三桂(21)
49 6八角(77)
50 8四銀(73)
51 9六歩(97)
52 9四歩(93)
53 1八香(19)
54 7三銀(84)
55 1九玉(28)
56 6二飛(82)
57 7五歩(76)
58 7二飛(62)
59 5七角(68)
60 7五歩(74)
61 同 飛(78)
62 7四銀(73)
63 7九飛(75)
64 7五歩打
65 6九飛(79)
66 6二飛(72)
67 2八金(38)
68 6一飛(62)
69 3八金(48)
70 7三桂(81)
71 3九角(57)
72 5二金(42)
73 9七香(99)
74 8六歩(85)
75 同 歩(87)
76 8一飛(61)
77 6六飛(69)
78 3六歩(35)
79 4七金(38)
80 6四歩(63)
81 同 歩(65)
82 6五歩打
83 6七飛(66)
84 4五歩(44)
85 7六歩打
86 4六歩(45)
87 5七金(47)
88 6六歩(65)
89 8七飛(67)
90 4七歩成(46)
91 同 金(57)
92 6八角成(24)
93 7五歩(76)
94 7八馬(68)
95 7七飛(87)
96 同 馬(78)
97 同 桂(89)
98 4六歩打
99 同 金(47)
100 4九飛打
101 4四歩打
102 3九飛成(49)
103 4三歩成(44)
104 同 金(52)
105 3八金打
106 5九龍(39)
107 7四歩(75)
108 6八角打
109 4七銀(56)
110 4五歩打
111 3六金(46)
112 6七歩成(66)
113 7三歩成(74)
114 5七と(67)
115 3五桂打
116 4七と(57)
117 4三桂成(35)
118 同 玉(32)
119 4七金(38)
120 8六飛(81)
121 6三歩成(64)
122 3九銀打
123 2一角打
124 3二歩打
125 5三と(63)
126 同 玉(43)
127 3二角成(21)
128 投了
まで127手で先手の勝ち



大山将棋研究(330); 四間飛車穴熊に左美濃

2016-11-06 | 大山将棋研究
昭和52年1月、米長邦雄先生と第29期棋聖戦第3局です。


大山先生の四間飛車で米長先生は早めに端を詰めたので穴熊に。

とうとう44銀型がでました。四間飛車穴熊としてはこれが有力です。

55歩同歩同銀56歩46歩という筋があるので66銀と受けるのですが

銀を引かれると46歩があり、68角には64歩ですから57銀と引いて千日手模様。

結局米長先生が金を寄ることになりました。これでは固くなりません。

そのまま進めると作戦負けになりそうで、米長先生は86角のけん制ですが、大山先生は角をぶつけます。

これで手になるのかと思ったら24歩の筋は73角がうるさいのです。(角を打ちあっています)

さらには大山先生は平気で84歩を突きます。穴熊が崩れやすいのですけど。

位を取り返せば振り飛車が指しやすそうです。

飛車成りよりもこの突き出しのほうが厳しく

銀も繰り出せば大山先生好調です。

次は角の転回。33角を狙います。ここで23飛成ではなく34飛と横利きを通しておくほうがいいものですか。

しかし飛車を回られ

77歩と受けるようでは苦しい局面が続きます。

大山先生は飛車を活用して手に困らなくなりました。やはり先ほどは23飛成だったと思うのですが。

このあたりから米長先生が怪しい力を出します。角を打ってから飛車の位置をずらして

72角成から52飛成。これで勝負になりそうです。

とにかく食いつきます。

と金を作ってひと段落。かなり追い上げました。

大山先生の69角が急所。桂を入手しているので合駒は75桂で寄り筋が見えます。

76玉とかわしてから78金と打つのが米長先生苦心の受けで

しかし88歩は確実な攻めです。これは取ると退路がふさがります。

ならば米長先生は75桂から72と で勝負。

しかし銀を取っても攻め駒が足りません。84銀は攻防のようですが

大山先生は自玉のまわりを埋めることが攻防になります。

米長先生は竜を切って角を取りますが

大山先生の と金が働きだして

もう一回角打ちが急所

ぴったりの香があって

投了図。詰みです。

大山米長戦はいつも面白いです。本局で44銀の形が初めて出てきました。つまりは序盤で居飛車の66歩が問題になるのですが、この形になれば千日手が絡みます。米長先生は形を崩して打開して、大山先生は隙を突いて角交換に持ち込み、穴熊なので攻め駒が少ないのですが、うまく手を作りました。悪くなってからの米長先生の追い込みも素晴らしく、名局と言ってもよいと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 9六歩(97)
12 6二玉(51)
13 9五歩(96)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 5六歩(57)
18 9二香(91)
19 7七角(88)
20 9一玉(82)
21 8八玉(78)
22 8二銀(71)
23 7八銀(79)
24 5二金(41)
25 6六歩(67)
26 4五歩(44)
27 5七銀(48)
28 4四銀(43)
29 6五歩(66)
30 7一金(61)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 3六歩(37)
34 6二金(52)
35 6七金(58)
36 5四歩(53)
37 6六銀(57)
38 7二金(62)
39 8六歩(87)
40 5三銀(44)
41 5七銀(66)
42 4四銀(53)
43 8五歩(86)
44 4一飛(42)
45 6六銀(57)
46 5三銀(44)
47 5七銀(66)
48 4四銀(53)
49 6六銀(57)
50 5三銀(44)
51 5七金(67)
52 7四歩(73)
53 8六角(77)
54 6二銀(53)
55 6七銀(78)
56 4二角(33)
57 同 角成(86)
58 同 飛(41)
59 8六角打
60 4一飛(42)
61 2四歩(25)
62 7三角打
63 2六飛(28)
64 2四歩(23)
65 5五歩(56)
66 8四歩(83)
67 7五歩(76)
68 8五歩(84)
69 5九角(86)
70 5五歩(54)
71 7四歩(75)
72 8四角(73)
73 2四飛(26)
74 6四歩(63)
75 5八金(69)
76 4六歩(45)
77 同 歩(47)
78 6三銀(62)
79 8七歩打
80 7四銀(63)
81 6四歩(65)
82 6五歩打
83 5五銀(66)
84 8六歩(85)
85 同 歩(87)
86 5一角(84)
87 3四飛(24)
88 3三角(51)
89 5六歩打
90 3一飛(41)
91 5四飛(34)
92 6二金(71)
93 7七歩打
94 5五角(33)
95 同 飛(54)
96 3六飛(31)
97 3七角(59)
98 2八歩打
99 5四角打
100 3三飛(36)
101 3四歩打
102 8七歩打
103 同 玉(88)
104 2三飛(33)
105 2四歩打
106 同 飛(23)
107 7二角成(54)
108 同 金(62)
109 5二飛成(55)
110 7一歩打
111 8四金打
112 7三銀打
113 7四金(84)
114 同 銀(73)
115 6三銀打
116 8三銀(74)
117 7二銀成(63)
118 同 歩(71)
119 6三歩成(64)
120 2九歩成(28)
121 4五歩(46)
122 6九角打
123 7六玉(87)
124 7三桂打
125 7八金打
126 3四飛(24)
127 6四角(37)
128 8八歩打
129 7三角成(64)
130 同 歩(72)
131 7五桂打
132 7四銀(83)
133 7二と(63)
134 7一銀打
135 同 と(72)
136 同 銀(82)
137 8四銀打
138 8九歩成(88)
139 6四歩打
140 8二歩打
141 6八金(58)
142 7二桂打
143 同 龍(52)
144 同 銀(71)
145 6九金(68)
146 6四飛(34)
147 8七玉(76)
148 9九と(89)
149 8八金(78)
150 9八金打
151 7八金(69)
152 6九角打
153 9八金(88)
154 同 と(99)
155 同 玉(87)
156 9六香打
157 8七玉(98)
158 8九飛打
159 8八金打
160 9七金打
161 7六玉(87)
162 8八金(97)
163 7一角打
164 8五金打
165 投了
まで164手で後手の勝ち


20161106今日の一手<その413>; 鳥刺しらしい戦い方

2016-11-06 | 今日の一手

20161106今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒銀1枚。
後手の攻め駒は56飛33角と持ち駒銀で3枚。

総合すれば互角かやや後手が指しやすいかというところです。

☆ 大局観として

後手の攻め駒は3枚ですが、先手陣には当面の隙はありません。普通に考えれば陣形を整備して後手の飛角を抑えつつ、歩得した筋を伸ばして圧迫するという駒組みです。
しかし先手は鳥刺しで急戦を狙っていたのです。だから低い陣形のまま戦いを起こしたいところなのです。攻め駒が少ないのですが、少しは戦果が欲しいなあ(1歩得ですがまだまだ)と考える局面です。


× 実戦は34歩でした。44角に45銀

という両取りをやりたくなります。でもこういう欲を出したところは怖いもので、26飛とぶつけられて当てが外れました。26同飛同角56飛

疑問手を指すと取り返そうと思って無理をしてしまうものです。(28から打って62角24歩同歩同飛とか、まだ長くできたのですが。)
27飛39金48角成

これで2枚換えで竜を作られるのですから失敗です。これでは玉の薄さが目立つので後手が優勢です。

34歩は得した筋の歩を伸ばすので一番自然に見えるのですが、後手に26飛とぶつける手段が生じるのでうまくないです。自然な手が疑問手になるのは形勢が少し悪いということではあるのですが。


× せっかく交換したのに持ち駒の銀を使うというのは(序盤では)つまらない手で、34銀とすればさらに歩を取れますが

42角43銀不成64角

これは後手が好調です。


△ 常識的には57銀として

51飛46銀32金

という感じで、右の銀を繰り出します。以下は34歩44角24歩同歩同飛23歩28飛

となれば飛車の筋が敵陣に通って攻め駒になります。角銀も使いやすいでしょう。これなら互角です。


× 46歩も常識的ですが

32金47銀51飛

歩越し銀よりも歩内銀のほうが持久戦向きとはいえ、5筋がやや薄く、35歩とのバランスが悪いです。一言で言えば79角が使いにくいのです。


○ 鳥刺しらしいのは24歩で

24同歩に22歩同角24飛32金

となれば軽いです。じっと飛車を引くかどうか悩みますが、23銀33角28飛31金22歩

と攻めて少し良いのではないでしょうか。どこかで55角には46歩から47銀を狙えます。(55角46歩33桂47銀の図)


後手は22歩を取りにくいので55角と出れば

46銀22角24飛32金55歩

として飛車を殺す筋があります。23歩28飛55角同銀同飛66角

のようになれば先手優勢です。


一般論で言えば
序盤で対等の駒交換になったら、その持ち駒を打つのは少し損です。
打ったならば戦果がないといけないのですが、実戦のように45銀と打ったのが空振りになると形勢が悪化します。
ですから銀を打とうなんて考えないほうが良いです。序盤に角交換になることがよくありますが、自分が先に打ったら少し損です。馬を作るとか、駒得になるとか、攻めの軸になるとか、何か狙いがあるときにだけ打つわけです。

では銀を打たずに何をするかといえば、残った右銀を繰り出すのが常識的な考えです。持ち駒は持っているだけで攻め駒にカウントしますが、48の銀はそのままでは攻め駒にもなりませんから。右銀を前面に出し、飛車や角の働きをよくして、できれば右桂も使いたいです。鳥刺しでは左翼の駒は動かさないほうがよろしい。(だから端攻めされかねない96歩は突かないほうが良いです。)右の駒を使います。

できれば低い陣形のまま手を作るのがこの戦型らしい戦い方で、後手の飛車が出てきたので24歩同歩22歩という筋を考えます。このときもう1歩あるのが心強く、持ち駒の銀もありますから2筋だけで手を作れそうなのです。後手にほかの筋で反撃があると困るのですが、この場合は何とかなりそうです。