名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(340); 四間飛車に中央位取り

2016-11-16 | 大山将棋研究
昭和52年2月、中原誠先生と第26期王将戦第4局です。


大山先生の四間飛車に中原先生は中央位取りです。

4筋の歩を交換するのは珍しいです。

右銀を繰り出し角を引きます。

3筋の歩を交換すれば角で受けて

目いっぱい頑張りますが、銀をぶつけられると角が不安定です。

43銀から75角はずいぶん考えたのでしょう。角頭が不安なので移動するのが軽いですね。

大山先生は手堅く銀を打って角を追いますが、打った銀を使われてしまいました。

中原先生は3筋方面へ。

謝らせて飛車を中段に移動します。

大山先生も飛車を浮いて8筋へ。

飛車は成られても玉頭に迫ります。

かなり厳しそうですが

中原先生は玉を寄るんですね。1手パスみたいですが、右翼に逃げだそうという意味です。

金で圧力をかけられたら

また逃げます。こうなってみると大山先生は45歩同竜と呼んでおいたのを後悔しそうです。

飛車を寄れば中原先生はまた怖い手を指しますね。

銀をとったら金を見捨てて玉を逃げ出します。

あとは角の処置ですが

飛車先を連打。75同角には88角でしょうか。

飛角の取り合いになり、と金を使われたら

うまくかわしました。

69角は怖いですが玉を逃げ出して

これで先手玉が安定しました。

あとは寄せです。馬の利きがそれたので84香から銀を打ち込んで

あっさり寄ってしまいました。

投了図。詰まないけれど角を抜けば怖いところがありません。


互いに構想の勝負になりました。中原先生の作戦はうまくいかなかったと思うのですが、右翼を開拓します。大山先生も(後手から見て)右翼、玉頭から反撃すれば、中原先生が右翼に玉を逃げ出したのが勝因です。
構想の勝負なので全体の流れを追っていくのが良いと思います。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠王将
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 4三銀(32)
19 5五歩(56)
20 5二金(41)
21 5六銀(57)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 6八銀(79)
26 3二飛(42)
27 4六歩(47)
28 7二銀(71)
29 5七銀(68)
30 6四歩(63)
31 4五歩(46)
32 同 歩(44)
33 同 銀(56)
34 4四歩打
35 5六銀(45)
36 6三金(52)
37 4六銀(57)
38 5一角(33)
39 7九角(88)
40 3六歩(35)
41 同 歩(37)
42 同 飛(32)
43 5七角(79)
44 3二飛(36)
45 3五歩打
46 5四歩(53)
47 同 歩(55)
48 同 銀(43)
49 5五歩打
50 6五銀(54)
51 同 銀(56)
52 同 歩(64)
53 2四歩(25)
54 同 歩(23)
55 4三銀打
56 2二飛(32)
57 7五角(57)
58 6四銀打
59 8六角(75)
60 7四歩(73)
61 5四銀成(43)
62 7五歩(74)
63 3四歩(35)
64 8四歩(83)
65 3八飛(28)
66 8五歩(84)
67 5九角(86)
68 7六歩(75)
69 4四成銀(54)
70 3二歩打
71 3五飛(38)
72 5六歩打
73 4五飛(35)
74 2三飛(22)
75 2二歩打
76 7四金(63)
77 2一歩成(22)
78 8三飛(23)
79 5四成銀(44)
80 7五銀(64)
81 4一飛成(45)
82 8四角(51)
83 1一と(21)
84 4八歩打
85 同 金(58)
86 6六歩(65)
87 6八玉(78)
88 4五歩打
89 同 龍(41)
90 6五金(74)
91 6六歩(67)
92 同 銀(75)
93 5八玉(68)
94 7三飛(83)
95 6七歩打
96 7七歩成(76)
97 6六歩(67)
98 6八歩打
99 4七玉(58)
100 6九歩成(68)
101 7七角(59)
102 6六金(65)
103 7四歩打
104 同 飛(73)
105 7五歩打
106 7七金(66)
107 7四歩(75)
108 6八と(69)
109 4九歩打
110 5八と(68)
111 3七金(48)
112 4四歩打
113 同 成銀(54)
114 6九角打
115 3六玉(47)
116 4八と(58)
117 2七玉(36)
118 4七と(48)
119 7七桂(89)
120 4六と(47)
121 同 龍(45)
122 3九角成(84)
123 2八歩打
124 2九馬(39)
125 8四香打
126 8三銀打
127 7三銀打
128 同 桂(81)
129 同 歩成(74)
130 同 銀(72)
131 8三香成(84)
132 同 玉(82)
133 7五桂打
134 8四玉(83)
135 8三飛打
136 7五玉(84)
137 8五飛成(83)
138 6六玉(75)
139 6五龍(85)
140 投了
まで139手で先手の勝ち

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20161116今日の一手<その418>; 守ってから駒得

2016-11-16 | 今日の一手
20161116今日の一手

10月29日の名南将棋大会から、KさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は58飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は62飛と持ち駒角で2枚。85桂は入れるかどうか微妙なところです。取られるだけかもしれません。

総合すれば後手が指しやすいかというところです。

☆ 大局観として
後手はかなり軽い仕掛けで、桂を跳ねて角交換から飛車を回りました。普通なら問題図は後手の手番で、攻めが続いて有利になる、というところなんです。仕掛けが早すぎるのではないか?という気がします。

先手としては73角や86歩で駒得にできそう。後手は両方を受ける手段がありません。ではそのどちらかを指せば簡単ではないの?というとそうではなく、後手からは66歩同銀67角という攻め筋があり、先手玉の位置が悪いということもあり受けるのは大変なのです。(中飛車で39玉の形が好まれないのは王手の筋があるから。)
方針としては、守っておいて後で駒得にするというのが正しいのです。駒得を急いでつぶれたら元も子もありません。


× 後手の攻め筋がどれだけのものか見てみましょう。実戦では66銀でした。

65の歩を守ろうとしたのですが、後手は1歩節約できました。(実戦ではこう進まなかったのですが)67角68飛76角成78金

67歩を避けるには金を寄るくらい。ここまでがセットです。後手は64歩と合わせて、77歩65歩76歩66歩

ではかなり嫌ですね。

64歩には同歩として同銀

77歩に67歩同金同馬同飛55銀

これも先手が悪いでしょう。

77歩ではなくて67歩

なら一応受かるとはいえ、55歩~56歩が嫌味です。

ということで、後手は67角がかなり有力でしたが、実戦は67歩

後手は1歩節約できたのでここに歩が打てます。78金には69角48飛68歩成

68同飛は78角成~67金なので、68同金87角成67金64歩

これも後手の調子が良いです。

実戦では67歩に86歩でしたが

79角78飛(78金は68歩成)68角成同飛同歩成85歩67と

これも後手が有利です。

正しくは67歩に46角だと思います。

これで86歩~85歩を狙います。それまでが不安ですが、多分先手が指せるのだと思います。


× 66歩同銀67角の筋が怖いというのはわかりました。受けを考えます。68飛は57角

なので先受けは無効です。


△ 28玉と待てば

王手の筋が消えて少し受けやすくなります。後手がおとなしく65飛なら66歩61飛72角62飛83角成

くらいで先手よし。

28玉にも66歩同銀67角が来るわけですが

68飛76角成78金64歩

77歩65歩に57銀

今度は1歩持っているので我慢しやすいです。75馬48銀66歩73角61飛46角成

ならば互角です。(後手は66歩で64馬としても86歩がある。)

あるいは65歩に76歩66歩73角

とするのもいい勝負でしょう。28玉としているので心強いです。


○ 78金と受けるのが普通ですが、33角が嫌味。

88角では1手パスですから、66角同角同銀69角

こういうところで68飛は78角成同飛67金

で2枚換えですから

69角には67角58角成同角

としておきます。後手に飛車の打ち込みがなく、73角と86歩が残っているので駒得を目指せます。


× 他には77桂として

77桂成同金を期待すればよさそうですが、66歩同銀67角68飛76角成78金

77歩と馬を追う手段が消えています。後手から77桂成とはやりにくいのですが、64歩同歩同銀65歩75銀

と動けますから後手が指しやすいです。


○ 73角は駒得を目指す手ですが

66歩同銀67角68飛76角成78金

の時に64歩同歩同銀をやりにくくしている(62角成とできる)ので駒得というよりは後手の攻めをけん制しています。
73角は62角成と飛車を取りたくはなく、91角成が第一のねらい。後手の88歩の攻め筋が怖くなければ84角成から馬を作るのが第二のねらいです。


× 86歩も駒得を目指したものですが

この桂馬による攻め筋が見当たらないところでしたから受けの役に立っていません。66歩同銀67角68飛76角成

78金86馬77歩64歩

87歩は65歩86歩66歩73角

86歩よりも28玉の形のほうが価値が高いですし、歩切れなのも問題です。


× あとはひねって48角

と専守防衛にすることはできます。65飛66歩61飛86歩42銀上85歩同歩78金81飛77桂86歩

桂馬を取っても歩切れになるのでこういう筋も困ります。


いろいろな手が考えられましたが

実戦の66銀は1歩を守りますが、後手としては1歩節約できて(手番ももらって)嬉しいです。67角の筋は大変なんです。

67の地点を守るのですから、(68飛がだめなので)78金が自然。このとき69角の筋に自陣角でよし、というところまで見えていれば十分指せます。

28玉は自然な手で玉を固められるのでよい手です。ただしまだ後手玉のほうが堅いので、その先を間違えないで対処しなければなりません。

73角は積極的によくしようという手で、91角成のねらい。62飛の動きもけん制しているので実は受けの手なんです。飛車を取るだけの手と思ってはいけません。

86歩は駒得を急ぎ過ぎ。危ないです。
77桂は同桂成としてもらえなくてマイナス。

いずれにしても守りのことを考えて、駒得はそのあとです。後からでも駒得できる場合は守っておきます。
守り方がよくわからなければ形をよくしておくことです。28玉や78金ですね。
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