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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(330); 四間飛車穴熊に左美濃

2016-11-06 | 大山将棋研究
昭和52年1月、米長邦雄先生と第29期棋聖戦第3局です。


大山先生の四間飛車で米長先生は早めに端を詰めたので穴熊に。

とうとう44銀型がでました。四間飛車穴熊としてはこれが有力です。

55歩同歩同銀56歩46歩という筋があるので66銀と受けるのですが

銀を引かれると46歩があり、68角には64歩ですから57銀と引いて千日手模様。

結局米長先生が金を寄ることになりました。これでは固くなりません。

そのまま進めると作戦負けになりそうで、米長先生は86角のけん制ですが、大山先生は角をぶつけます。

これで手になるのかと思ったら24歩の筋は73角がうるさいのです。(角を打ちあっています)

さらには大山先生は平気で84歩を突きます。穴熊が崩れやすいのですけど。

位を取り返せば振り飛車が指しやすそうです。

飛車成りよりもこの突き出しのほうが厳しく

銀も繰り出せば大山先生好調です。

次は角の転回。33角を狙います。ここで23飛成ではなく34飛と横利きを通しておくほうがいいものですか。

しかし飛車を回られ

77歩と受けるようでは苦しい局面が続きます。

大山先生は飛車を活用して手に困らなくなりました。やはり先ほどは23飛成だったと思うのですが。

このあたりから米長先生が怪しい力を出します。角を打ってから飛車の位置をずらして

72角成から52飛成。これで勝負になりそうです。

とにかく食いつきます。

と金を作ってひと段落。かなり追い上げました。

大山先生の69角が急所。桂を入手しているので合駒は75桂で寄り筋が見えます。

76玉とかわしてから78金と打つのが米長先生苦心の受けで

しかし88歩は確実な攻めです。これは取ると退路がふさがります。

ならば米長先生は75桂から72と で勝負。

しかし銀を取っても攻め駒が足りません。84銀は攻防のようですが

大山先生は自玉のまわりを埋めることが攻防になります。

米長先生は竜を切って角を取りますが

大山先生の と金が働きだして

もう一回角打ちが急所

ぴったりの香があって

投了図。詰みです。

大山米長戦はいつも面白いです。本局で44銀の形が初めて出てきました。つまりは序盤で居飛車の66歩が問題になるのですが、この形になれば千日手が絡みます。米長先生は形を崩して打開して、大山先生は隙を突いて角交換に持ち込み、穴熊なので攻め駒が少ないのですが、うまく手を作りました。悪くなってからの米長先生の追い込みも素晴らしく、名局と言ってもよいと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 9六歩(97)
12 6二玉(51)
13 9五歩(96)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 5六歩(57)
18 9二香(91)
19 7七角(88)
20 9一玉(82)
21 8八玉(78)
22 8二銀(71)
23 7八銀(79)
24 5二金(41)
25 6六歩(67)
26 4五歩(44)
27 5七銀(48)
28 4四銀(43)
29 6五歩(66)
30 7一金(61)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 3六歩(37)
34 6二金(52)
35 6七金(58)
36 5四歩(53)
37 6六銀(57)
38 7二金(62)
39 8六歩(87)
40 5三銀(44)
41 5七銀(66)
42 4四銀(53)
43 8五歩(86)
44 4一飛(42)
45 6六銀(57)
46 5三銀(44)
47 5七銀(66)
48 4四銀(53)
49 6六銀(57)
50 5三銀(44)
51 5七金(67)
52 7四歩(73)
53 8六角(77)
54 6二銀(53)
55 6七銀(78)
56 4二角(33)
57 同 角成(86)
58 同 飛(41)
59 8六角打
60 4一飛(42)
61 2四歩(25)
62 7三角打
63 2六飛(28)
64 2四歩(23)
65 5五歩(56)
66 8四歩(83)
67 7五歩(76)
68 8五歩(84)
69 5九角(86)
70 5五歩(54)
71 7四歩(75)
72 8四角(73)
73 2四飛(26)
74 6四歩(63)
75 5八金(69)
76 4六歩(45)
77 同 歩(47)
78 6三銀(62)
79 8七歩打
80 7四銀(63)
81 6四歩(65)
82 6五歩打
83 5五銀(66)
84 8六歩(85)
85 同 歩(87)
86 5一角(84)
87 3四飛(24)
88 3三角(51)
89 5六歩打
90 3一飛(41)
91 5四飛(34)
92 6二金(71)
93 7七歩打
94 5五角(33)
95 同 飛(54)
96 3六飛(31)
97 3七角(59)
98 2八歩打
99 5四角打
100 3三飛(36)
101 3四歩打
102 8七歩打
103 同 玉(88)
104 2三飛(33)
105 2四歩打
106 同 飛(23)
107 7二角成(54)
108 同 金(62)
109 5二飛成(55)
110 7一歩打
111 8四金打
112 7三銀打
113 7四金(84)
114 同 銀(73)
115 6三銀打
116 8三銀(74)
117 7二銀成(63)
118 同 歩(71)
119 6三歩成(64)
120 2九歩成(28)
121 4五歩(46)
122 6九角打
123 7六玉(87)
124 7三桂打
125 7八金打
126 3四飛(24)
127 6四角(37)
128 8八歩打
129 7三角成(64)
130 同 歩(72)
131 7五桂打
132 7四銀(83)
133 7二と(63)
134 7一銀打
135 同 と(72)
136 同 銀(82)
137 8四銀打
138 8九歩成(88)
139 6四歩打
140 8二歩打
141 6八金(58)
142 7二桂打
143 同 龍(52)
144 同 銀(71)
145 6九金(68)
146 6四飛(34)
147 8七玉(76)
148 9九と(89)
149 8八金(78)
150 9八金打
151 7八金(69)
152 6九角打
153 9八金(88)
154 同 と(99)
155 同 玉(87)
156 9六香打
157 8七玉(98)
158 8九飛打
159 8八金打
160 9七金打
161 7六玉(87)
162 8八金(97)
163 7一角打
164 8五金打
165 投了
まで164手で後手の勝ち


20161106今日の一手<その413>; 鳥刺しらしい戦い方

2016-11-06 | 今日の一手

20161106今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒銀1枚。
後手の攻め駒は56飛33角と持ち駒銀で3枚。

総合すれば互角かやや後手が指しやすいかというところです。

☆ 大局観として

後手の攻め駒は3枚ですが、先手陣には当面の隙はありません。普通に考えれば陣形を整備して後手の飛角を抑えつつ、歩得した筋を伸ばして圧迫するという駒組みです。
しかし先手は鳥刺しで急戦を狙っていたのです。だから低い陣形のまま戦いを起こしたいところなのです。攻め駒が少ないのですが、少しは戦果が欲しいなあ(1歩得ですがまだまだ)と考える局面です。


× 実戦は34歩でした。44角に45銀

という両取りをやりたくなります。でもこういう欲を出したところは怖いもので、26飛とぶつけられて当てが外れました。26同飛同角56飛

疑問手を指すと取り返そうと思って無理をしてしまうものです。(28から打って62角24歩同歩同飛とか、まだ長くできたのですが。)
27飛39金48角成

これで2枚換えで竜を作られるのですから失敗です。これでは玉の薄さが目立つので後手が優勢です。

34歩は得した筋の歩を伸ばすので一番自然に見えるのですが、後手に26飛とぶつける手段が生じるのでうまくないです。自然な手が疑問手になるのは形勢が少し悪いということではあるのですが。


× せっかく交換したのに持ち駒の銀を使うというのは(序盤では)つまらない手で、34銀とすればさらに歩を取れますが

42角43銀不成64角

これは後手が好調です。


△ 常識的には57銀として

51飛46銀32金

という感じで、右の銀を繰り出します。以下は34歩44角24歩同歩同飛23歩28飛

となれば飛車の筋が敵陣に通って攻め駒になります。角銀も使いやすいでしょう。これなら互角です。


× 46歩も常識的ですが

32金47銀51飛

歩越し銀よりも歩内銀のほうが持久戦向きとはいえ、5筋がやや薄く、35歩とのバランスが悪いです。一言で言えば79角が使いにくいのです。


○ 鳥刺しらしいのは24歩で

24同歩に22歩同角24飛32金

となれば軽いです。じっと飛車を引くかどうか悩みますが、23銀33角28飛31金22歩

と攻めて少し良いのではないでしょうか。どこかで55角には46歩から47銀を狙えます。(55角46歩33桂47銀の図)


後手は22歩を取りにくいので55角と出れば

46銀22角24飛32金55歩

として飛車を殺す筋があります。23歩28飛55角同銀同飛66角

のようになれば先手優勢です。


一般論で言えば
序盤で対等の駒交換になったら、その持ち駒を打つのは少し損です。
打ったならば戦果がないといけないのですが、実戦のように45銀と打ったのが空振りになると形勢が悪化します。
ですから銀を打とうなんて考えないほうが良いです。序盤に角交換になることがよくありますが、自分が先に打ったら少し損です。馬を作るとか、駒得になるとか、攻めの軸になるとか、何か狙いがあるときにだけ打つわけです。

では銀を打たずに何をするかといえば、残った右銀を繰り出すのが常識的な考えです。持ち駒は持っているだけで攻め駒にカウントしますが、48の銀はそのままでは攻め駒にもなりませんから。右銀を前面に出し、飛車や角の働きをよくして、できれば右桂も使いたいです。鳥刺しでは左翼の駒は動かさないほうがよろしい。(だから端攻めされかねない96歩は突かないほうが良いです。)右の駒を使います。

できれば低い陣形のまま手を作るのがこの戦型らしい戦い方で、後手の飛車が出てきたので24歩同歩22歩という筋を考えます。このときもう1歩あるのが心強く、持ち駒の銀もありますから2筋だけで手を作れそうなのです。後手にほかの筋で反撃があると困るのですが、この場合は何とかなりそうです。