昭和51年12月、森雞二先生と第26期王将戦です。

76歩34歩66歩だったので振り飛車だと思わせて、矢倉の出だしになりました。

大山先生は(当時の)矢倉の定跡は知らないでしょう。若いころから力戦派なのです。位を取って

銀立ち矢倉(凸矢倉)にしました。

ここで55歩はまだ早く見えますが

中飛車に構えます。どうもここでは大山先生が指しやすいようです。

後手から変化したのに固く囲えています。森先生は攻めるしかなさそうですが

攻めるならここから。でも角が参加していないのでまだ小競り合いです。

一段落してから

銀をぶつけます。大山先生は端から。

銀交換よりも端のほうが大きそうで

森先生は24歩のために香を走るのですが、こういう技をかけに行くところが危ないのです。

歩を打たれて同角は35銀

銀で取ってぶつけている間に香を取られて打ち込まれます。

33桂成には同玉で逃げ出されます。攻めが切れてしまいそう。

33桂成とはせずに攻めるのですが

大山先生は飛車を追って銀を打つ、なるほど、という寄せです。

89同玉に69銀で詰めろ、そこからも綱渡りのようでも攻め駒4枚ですから手が続きます。

森先生は精一杯の抵抗をするのですが

大山先生は先手玉を逃がさないように追いつめます。

森先生も食いついた形ですが

これで詰むのですね。うっかりしそうです。
35歩と位を取られた形、案外とがめにくいのです。先手の25歩が26で止まっていれば38飛の余地があるわけで、序盤の駒組みが不用意だったのでしょう。気が付けば後手の作戦勝ちです。先手も矢倉にして左を盛り上がって、とやれば互角なのかもしれませんが、薄い玉で自分から攻めるというだけで先行き不安です。(中央を厚くして、相手が中央から攻めてもらえるなら悪いということもなかったのですが。)
大山先生の寄せもきれいでした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:森雞二8段
後手:大山棋聖
先手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 2六歩(27)
10 4二銀(31)
11 4八銀(39)
12 5三銀(62)
13 5八金(49)
14 3三銀(42)
15 2五歩(26)
16 3二金(41)
17 7八金(69)
18 3五歩(34)
19 4六歩(47)
20 3四銀(33)
21 4七銀(48)
22 3三角(22)
23 6九玉(59)
24 4四歩(43)
25 3六歩(37)
26 同 歩(35)
27 同 銀(47)
28 3五歩打
29 4七銀(36)
30 5二金(61)
31 1六歩(17)
32 4三金(52)
33 1五歩(16)
34 4一玉(51)
35 7七銀(68)
36 5五歩(54)
37 7九角(88)
38 5六歩(55)
39 同 銀(47)
40 5二飛(82)
41 6七金(78)
42 7四歩(73)
43 7八玉(69)
44 5四銀(53)
45 9六歩(97)
46 9四歩(93)
47 6八銀(77)
48 4二角(33)
49 5七銀(68)
50 3一玉(41)
51 2六飛(28)
52 2二玉(31)
53 3七桂(29)
54 7三桂(81)
55 5三歩打
56 7二飛(52)
57 4五歩(46)
58 5五歩打
59 4四歩(45)
60 同 金(43)
61 4七銀(56)
62 5三角(42)
63 2四歩(25)
64 同 歩(23)
65 4五歩打
66 4三金(44)
67 2四飛(26)
68 2三歩打
69 2九飛(24)
70 7五歩(74)
71 同 歩(76)
72 同 角(53)
73 4六銀(57)
74 6四角(75)
75 7六歩打
76 9五歩(94)
77 3五銀(46)
78 同 銀(34)
79 同 角(79)
80 3四歩打
81 4四歩(45)
82 4二金(43)
83 6八角(35)
84 9六歩(95)
85 2四歩打
86 同 歩(23)
87 2三歩打
88 同 金(32)
89 2五歩打
90 同 歩(24)
91 9六香(99)
92 4六歩打
93 同 銀(47)
94 9六香(91)
95 4五銀(46)
96 5六香打
97 同 金(67)
98 同 歩(55)
99 2四歩打
100 3三金(23)
101 2五桂(37)
102 4五銀(54)
103 4三香打
104 3二金(42)
105 1四歩(15)
106 同 歩(13)
107 1二歩打
108 5七歩成(56)
109 同 金(58)
110 2八歩打
111 4九飛(29)
112 4八歩打
113 同 飛(49)
114 4七歩打
115 同 飛(48)
116 7七歩打
117 同 桂(89)
118 8九銀打
119 同 玉(78)
120 6九銀打
121 6七銀打
122 3六銀(45)
123 4九飛(47)
124 7八歩打
125 同 銀(67)
126 9七角成(64)
127 3三桂成(25)
128 同 玉(22)
129 8八金打
130 4五桂打
131 6九銀(78)
132 5七桂成(45)
133 同 角(68)
134 6七金打
135 9八歩打
136 8八馬(97)
137 同 玉(89)
138 5七金(67)
139 5一角打
140 4二歩打
141 同 香成(43)
142 9八香成(96)
143 同 玉(88)
144 9二飛(72)
145 投了
まで144手で後手の勝ち

76歩34歩66歩だったので振り飛車だと思わせて、矢倉の出だしになりました。

大山先生は(当時の)矢倉の定跡は知らないでしょう。若いころから力戦派なのです。位を取って

銀立ち矢倉(凸矢倉)にしました。

ここで55歩はまだ早く見えますが

中飛車に構えます。どうもここでは大山先生が指しやすいようです。

後手から変化したのに固く囲えています。森先生は攻めるしかなさそうですが

攻めるならここから。でも角が参加していないのでまだ小競り合いです。

一段落してから

銀をぶつけます。大山先生は端から。

銀交換よりも端のほうが大きそうで

森先生は24歩のために香を走るのですが、こういう技をかけに行くところが危ないのです。

歩を打たれて同角は35銀

銀で取ってぶつけている間に香を取られて打ち込まれます。

33桂成には同玉で逃げ出されます。攻めが切れてしまいそう。

33桂成とはせずに攻めるのですが

大山先生は飛車を追って銀を打つ、なるほど、という寄せです。

89同玉に69銀で詰めろ、そこからも綱渡りのようでも攻め駒4枚ですから手が続きます。

森先生は精一杯の抵抗をするのですが

大山先生は先手玉を逃がさないように追いつめます。

森先生も食いついた形ですが

これで詰むのですね。うっかりしそうです。
35歩と位を取られた形、案外とがめにくいのです。先手の25歩が26で止まっていれば38飛の余地があるわけで、序盤の駒組みが不用意だったのでしょう。気が付けば後手の作戦勝ちです。先手も矢倉にして左を盛り上がって、とやれば互角なのかもしれませんが、薄い玉で自分から攻めるというだけで先行き不安です。(中央を厚くして、相手が中央から攻めてもらえるなら悪いということもなかったのですが。)
大山先生の寄せもきれいでした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:森雞二8段
後手:大山棋聖
先手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 2六歩(27)
10 4二銀(31)
11 4八銀(39)
12 5三銀(62)
13 5八金(49)
14 3三銀(42)
15 2五歩(26)
16 3二金(41)
17 7八金(69)
18 3五歩(34)
19 4六歩(47)
20 3四銀(33)
21 4七銀(48)
22 3三角(22)
23 6九玉(59)
24 4四歩(43)
25 3六歩(37)
26 同 歩(35)
27 同 銀(47)
28 3五歩打
29 4七銀(36)
30 5二金(61)
31 1六歩(17)
32 4三金(52)
33 1五歩(16)
34 4一玉(51)
35 7七銀(68)
36 5五歩(54)
37 7九角(88)
38 5六歩(55)
39 同 銀(47)
40 5二飛(82)
41 6七金(78)
42 7四歩(73)
43 7八玉(69)
44 5四銀(53)
45 9六歩(97)
46 9四歩(93)
47 6八銀(77)
48 4二角(33)
49 5七銀(68)
50 3一玉(41)
51 2六飛(28)
52 2二玉(31)
53 3七桂(29)
54 7三桂(81)
55 5三歩打
56 7二飛(52)
57 4五歩(46)
58 5五歩打
59 4四歩(45)
60 同 金(43)
61 4七銀(56)
62 5三角(42)
63 2四歩(25)
64 同 歩(23)
65 4五歩打
66 4三金(44)
67 2四飛(26)
68 2三歩打
69 2九飛(24)
70 7五歩(74)
71 同 歩(76)
72 同 角(53)
73 4六銀(57)
74 6四角(75)
75 7六歩打
76 9五歩(94)
77 3五銀(46)
78 同 銀(34)
79 同 角(79)
80 3四歩打
81 4四歩(45)
82 4二金(43)
83 6八角(35)
84 9六歩(95)
85 2四歩打
86 同 歩(23)
87 2三歩打
88 同 金(32)
89 2五歩打
90 同 歩(24)
91 9六香(99)
92 4六歩打
93 同 銀(47)
94 9六香(91)
95 4五銀(46)
96 5六香打
97 同 金(67)
98 同 歩(55)
99 2四歩打
100 3三金(23)
101 2五桂(37)
102 4五銀(54)
103 4三香打
104 3二金(42)
105 1四歩(15)
106 同 歩(13)
107 1二歩打
108 5七歩成(56)
109 同 金(58)
110 2八歩打
111 4九飛(29)
112 4八歩打
113 同 飛(49)
114 4七歩打
115 同 飛(48)
116 7七歩打
117 同 桂(89)
118 8九銀打
119 同 玉(78)
120 6九銀打
121 6七銀打
122 3六銀(45)
123 4九飛(47)
124 7八歩打
125 同 銀(67)
126 9七角成(64)
127 3三桂成(25)
128 同 玉(22)
129 8八金打
130 4五桂打
131 6九銀(78)
132 5七桂成(45)
133 同 角(68)
134 6七金打
135 9八歩打
136 8八馬(97)
137 同 玉(89)
138 5七金(67)
139 5一角打
140 4二歩打
141 同 香成(43)
142 9八香成(96)
143 同 玉(88)
144 9二飛(72)
145 投了
まで144手で後手の勝ち