名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(354); 中飛車に左美濃

2016-11-30 | 大山将棋研究
昭和52年6月、森雞二先生と第30期棋聖戦第1局です。


森先生の中飛車で、大山先生は端の位を取って、穴熊にしなさいと言っています。

森先生は金の動きで1手損ですが

結局両者高美濃になりました。こうなると端の位が大きいです。

大山先生が怖いのは65歩の筋。角を移動してけん制します。

結局44銀型の四間飛車に4手角を狙う将棋になりました。ただし端の位の分だけ大山先生が作戦勝ちです。
この形、今では後手が1手待って、26角に53銀37桂44角とぶつけて千日手が狙えるということがわかっています。だから今では(定跡書の中でだけこの4手角の筋が出てくるのですが、後手振り飛車なら千日手、先手振り飛車なら避けるので)実戦では見なくなりました。

森先生は35歩から向い飛車に。

その時には27歩と謝るのが形です。

45の歩を取れて、大山先生が良さそうに見えるのですが

森先生は飛車切りから角を打って

角を切って75歩。うるさい攻めです。

大山先生は87玉からかわして受ける、角筋を避けてこれが本筋ですか。ちょっとびっくりしますね。

森先生は76銀から67歩を決めて1歩補充

桂馬が取れます。これで2枚換えですが

大山先生の34角が攻防に効きます。

2枚取られているのでかなり薄い玉ですが、後手は歩切れで攻め駒3枚。

桂馬を取るのは受けに使うためで

桂馬を合わせて受けます。森先生も73桂を跳ねられたので攻め駒が増えています。

玉頭でのやり取りがあり

守りの金も前面に出てきました。大山先生は大駒の利きでどうにか受けようとしています。

58桂はぴったりした受けでしたが、45銀もよさそうな手です。

大山先生は受けきれないので攻め合いです。64銀と打って、森先生の38角も攻防の手ですが

これで後手玉は詰めろ、ほぼ受けなしです。

先手玉は詰みません。端の位がここで生きました。

投了図。

かなりの好局、名局と言っていいでしょう。大山先生が作戦勝ちなのですが差はわずか。森先生が激しく攻めて大山先生がしのぎ、最後に1手勝ちにしてしまいました。
どちらを持っても楽しめると思います。

#KIF version=2.0 encoding=UTF-8
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:森雞二8段
後手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 5六歩(57)
6 4四歩(43)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5八金(49)
10 5二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 4三銀(42)
15 9六歩(97)
16 7二玉(62)
17 9五歩(96)
18 8二玉(72)
19 5七銀(48)
20 4二金(41)
21 7七角(88)
22 6四歩(63)
23 6六歩(67)
24 7四歩(73)
25 6七金(58)
26 5三金(42)
27 3六歩(37)
28 7二銀(71)
29 2五歩(26)
30 3三角(22)
31 8八玉(78)
32 6三金(53)
33 7八銀(79)
34 7三桂(81)
35 5九角(77)
36 4五歩(44)
37 3七角(59)
38 4四銀(43)
39 7七桂(89)
40 4二飛(52)
41 1六歩(17)
42 1四歩(13)
43 8六歩(87)
44 8四歩(83)
45 4八飛(28)
46 3五歩(34)
47 2六角(37)
48 2四歩(23)
49 同 歩(25)
50 2二飛(42)
51 4六歩(47)
52 2四飛(22)
53 2七歩打
54 6五歩(64)
55 同 歩(66)
56 5三銀(44)
57 4五歩(46)
58 2六飛(24)
59 同 歩(27)
60 3九角打
61 4九飛(48)
62 5七角成(39)
63 同 金(67)
64 7五歩(74)
65 8七玉(88)
66 7六歩(75)
67 同 玉(87)
68 7五歩打
69 6七玉(76)
70 7六銀打
71 6八玉(67)
72 6七歩打
73 同 金(57)
74 3六歩(35)
75 4四歩(45)
76 6七銀成(76)
77 同 銀(78)
78 6六歩打
79 同 銀(67)
80 7六歩(75)
81 3四角打
82 4四角(33)
83 5五歩(56)
84 7七歩成(76)
85 同 玉(68)
86 7五歩打
87 6八玉(77)
88 3五角(44)
89 4六歩打
90 5一金(61)
91 3一飛打
92 4二銀(53)
93 2一飛成(31)
94 7四桂打
95 7五銀(66)
96 6五桂(73)
97 6四歩打
98 7三金(63)
99 5七桂打
100 同 桂成(65)
101 同 玉(68)
102 8三桂打
103 7六歩打
104 7五桂(83)
105 同 歩(76)
106 6四金(73)
107 7四歩(75)
108 5五金(64)
109 5八桂打
110 4五銀打
111 同 角(34)
112 同 金(55)
113 6四銀打
114 3八角打
115 6三銀打
116 5六角成(38)
117 6八玉(57)
118 4六金(45)
119 7五桂打
120 4七金(46)
121 7七玉(68)
122 7六歩打
123 8七玉(77)
124 6二歩打
125 5一龍(21)
126 同 銀(42)
127 7三銀成(64)
128 投了
まで127手で先手の勝ち
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20161130今日の一手<その425>; あなたの感覚を問う問題

2016-11-30 | 今日の一手
20161130今日の一手

10月29日の名南将棋大会から、AさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手が馬と成桂を作っている分だけ駒得です。
玉の堅さはやや先手のほうが堅いか。
(互いの玉の囲いに迫っているものだけ数えて)先手の攻め駒は75馬くらい。1枚あるかどうか。
後手の攻め駒は持ち駒角桂で2枚。24銀も攻めに使えそうです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
元は角換わりの右玉(後手は棒銀)で、後手は馬と成桂を作らせたけれども、飛車を玉頭方面に転戦して22玉から35銀を見て攻勢を取っています。その前に65にいた銀をぶつけて攻め駒を増やそうとしたところです。少し無理な攻めには見えますが、全部言うことを聞いていると悪くなりそうです。右玉の玉頭方面は薄いのです。
先手は左翼に駒が多いので左側の駒をさばきたいのですが、玉頭の攻めに備えるか(玉を左に逃げていく含み)、横から攻めて寄せ合いにもっていくか、というイメージで進めます。
まずはぶつかった銀をどうするか。取る手しかないというわけではありません。交換すると後手の攻め駒が増えてしまって受けにくくなるかもしれませんから。


△ 実戦は76同銀でした。自然な手です。

76同歩75馬53金寄45歩

こうやって攻めたくなるのもわかるのですが、左側に取り残された駒(89飛78金72成桂)が多いですから先行き不安。64角同馬同歩44歩35銀43銀同金上同歩成同金44歩同銀45歩35銀44金46歩

長く進めましたが、駒をはがしあったら後手のほうが厳しかった、という結果です。後手の攻め駒のほうが多いですよね。44金では36歩だった、という感想戦をしていましたが、それでも先手が悪いのでしょう。

途中で75馬に53金寄の後、76馬22玉36銀打

という指し方をすべきでしょう。少し面白くないのですが、玉頭は互いの急所ですからしっかり守らないといけません。この後は玉を左に逃げ出すイメージで進めます。


× 75馬は一応両取りなので目につきますが

67銀成同金78角29飛67角成31馬同玉25歩35銀36歩26桂

金を捨てて飛車と馬を交換した、というやり取りは面白くありません。それでも飛車を2筋に回り、玉頭から攻められるならよいのですが、後手に持ち駒が多いので反撃を食らって危なくなります。
以下は27玉38銀同銀同桂成同玉36銀

こんな攻めでも受けにくいのです。

先手は25歩33銀とできないので81飛くらいですが

41桂58銀打66馬91飛成

一応駒損は回復しました。後手から厳しい攻めがあるとだめなのですが、なんとか互角です。


△ 銀をかわす手を見てみます。66銀

67銀成同金78角29飛67角成に57金

が利けばよいですが、66馬同金57銀(48金ねらい)48銀66銀成75馬65金

これは駒損です。

戻って57金ではなく75馬

ならば互角です。金銀交換で馬を作られるのは損なのですが、左の駒をさばいて29飛とできています。66の銀が中途半端なのですが、57に引ければよくなります。


○ 58銀左は両取りがあるので気が引けますが

66桂68金58桂成同金左

でしっかりしています。左の金銀をさばいた(活用できた)という感じです。75馬が残っているので、36歩同銀78角29飛56角成47金左

なんてできれば楽に勝てそうです。


○ 飛車を移動するのも有力で、69飛

は振り飛車の感覚です。67銀成には同飛

とすれば、89角は79歩98角成62成桂

から飛車を成り込んで横から攻められます。78金は残ってしまうのですが、後手玉を攻められるなら悪いことはないでしょう。


△ 29飛も良さそうな手で

67銀成同金22玉36銀打

75馬は十字飛車の筋があるのが難点なのですが、67金を右に寄せていって、玉頭を厚くできるように戦います。35銀同銀同飛36歩31飛25歩42金右62成桂

左の駒が遊ばないように使い、あとで35銀と打つのも手厚いですね。


△ 62成桂を急ぐと

62同金同馬67銀成同金78角29飛67角成45歩

少し駒損ですが寄せあいを目指します。どちらかがよいはずですが、この先を調べないとわかりません。


× 最後は25歩で

33銀と引いてもらえれば十分な利かしです。35銀36歩67銀成同金26銀29飛27銀打

これは49玉と逃げて、多少右の駒を取られてもなんとかなりそう。

27銀を27角にすると、清算は69飛がうるさくて(27同飛同銀成同玉69飛26銀67飛成)

やや先手が悪いです。

39玉には17桂

で飛車は捕獲されそう。

28玉は35歩38銀打36角成

でこれも先手が悪いです。
後手の攻め駒が多いのでこの変化は後手に寄せられそうなのです。

☆ まとめ
いろいろ手がある局面でしたが
銀交換で寄せ合いにしようと思うと、攻め駒の数の比較で劣っている(攻撃力が劣っている)ので分が悪いです。76同銀では少し苦しいのだと思います。78金が残ることからも理解できます。

であれば銀を取らせたらどうか。78角の両取りがあるので、それ以上の手があればよいのですが、75馬では足りません。62成桂は微妙。
飛車をかわしておく手を考えるのが普通だろうと思います。29飛か69飛か。69飛は67飛の形にして、63飛成まで実現すれば有利です。(多分実現しそうなのですが)それができなくて78金が残れば悪いです。29飛は玉頭での戦い。なるべく玉頭を手厚く指します。

銀をかわすのもなかなかの手で、66銀とかわすのは後で57銀とできるかどうか。58銀は桂馬と交換になりますが、後手の持ち駒との交換ですから悪い取引でもありません。金銀をさばいたということになるのです。

ほかの手、62成桂はないことはないけれど嫌な感じ、25歩は多分つぶれます。

直感で選ぶなら
76同銀同歩は78金が取り残されるので、他が悪ければ指すけれど後回しの手
29飛が右玉(風車というべきか)らしい手で本線。67銀成同金を味が良いとみる。
振り飛車党なら69飛だけど、78金が遊ぶので敬遠するかも。
銀をかわすなら66銀は67銀成を食らうので今一つ、58銀はぴったりした受けだけれど、66桂があるのでやめるかも、でも68金58桂成同金まで見えれば案外いい感じ。


どの手をどういう理由で選びましたか?
ここでの解説とあっていないとしても、自分の中で基準をもって手を選ぶのは上達のために必要なことで、それが間違っていたとしていたらその経験を積み重ねて修正していくものなんです。
こういう理由でこう指したいけれど、別の角度から考えて検証しよう、のレベルまで行きつければ対局も局後の検討も楽しくなってきますよ。
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