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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(346); 四間飛車に玉頭位取り

2016-11-22 | 大山将棋研究
昭和52年3月、有吉道夫先生と第36期名人挑戦者リーグ(A級順位戦)です。


大山先生の四間飛車に有吉先生は定番の玉頭位取りです。

大山先生は石田流に。

玉の囲いもそこそこに飛車先交換に行きます。

そして美濃囲いを放棄。金美濃かと思ったら

6筋の位を解消するための動きです。64同歩は36歩同歩64角の筋です。

65の位を消せました。

角をどこに据えるかで探り合いがあったのですが、結局13に移動しました。57銀の移動を制限しています。

有吉先生は一瞬の隙をとらえて端攻め。14同飛には15香から44角です。玉が堅いので手を作ればよくなります。

この飛車の位置も角を質駒にできるので好位置。

ですが大山先生は53金左と備えて14歩を払います。

この歩も渋いですね。隙を作らないように注意しています。

有吉先生は8筋の工作。16飛とぶつける筋があるので取りにくいです。

大山先生は8筋を放置して25飛を見せます。となればこれで飛車交換になり

香得ではあります。

有吉先生は66の銀を引き付けるのですが、香を打たれて

金を捨てて香を取る。取り返しても金損なので、これでは苦しいです。

大山先生の93桂は見えませんね。91飛成にも85桂で、玉は中央に逃げようということなんです。

85桂が実現して

金銀を手にいてたので自陣に投入します。

金も打ち付けて

底歩で竜の利きを止めました。

8筋を狙われても攻め駒は少ないです。

7筋から逆襲です。

玉頭を制圧できれば勝ちが見えてきます。

とにかく玉頭に手を入れれば攻防になります。

玉頭を制圧しました。こんなところに両取りがありましたが

持ち駒の銀を使って角を取るだけなので怖くはなく、上から攻めるだけです。

あっさり角を取らないのがいいですね。

投了図。

大山先生の快勝に終わりましたが、こんな勝ち方は真似ができません。駒得というか、先手の攻め駒が少ないので薄い玉でも十分耐えています。玉頭を制圧する指し方もうまいものです。後手をもって並べて堪能しましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 7五歩(76)
20 3五歩(34)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 7七銀(68)
24 3二飛(42)
25 1六歩(17)
26 4二角(33)
27 2六飛(28)
28 5四歩(53)
29 7六銀(77)
30 3四飛(32)
31 5八金(49)
32 3三桂(21)
33 6六歩(67)
34 5三角(42)
35 6五歩(66)
36 3六歩(35)
37 同 歩(37)
38 4五歩(44)
39 2八飛(26)
40 3六飛(34)
41 3七歩打
42 3四飛(36)
43 6七金(58)
44 6二銀(71)
45 8六歩(87)
46 6四歩(63)
47 8七玉(78)
48 6五歩(64)
49 同 銀(76)
50 6三銀(62)
51 7八金(69)
52 6二金(61)
53 6六銀(57)
54 6四歩打
55 7六銀(65)
56 3五角(53)
57 5七銀(66)
58 1四歩(13)
59 7七角(88)
60 1二香(11)
61 8八玉(87)
62 5三角(35)
63 6六銀(57)
64 3五角(53)
65 5七銀(66)
66 1三角(35)
67 2六飛(28)
68 4四銀(43)
69 1五歩(16)
70 同 歩(14)
71 1四歩打
72 3五角(13)
73 3六飛(26)
74 5三金(52)
75 6六銀(57)
76 1四飛(34)
77 5五歩(56)
78 3二歩打
79 8五歩(86)
80 1六歩(15)
81 5四歩(55)
82 同 銀(63)
83 8四歩(85)
84 同 歩(83)
85 8三歩打
86 1五飛(14)
87 1六香(19)
88 同 飛(15)
89 同 飛(36)
90 同 香(12)
91 3六歩(37)
92 2六角(35)
93 1一飛打
94 1八飛打
95 5七銀(66)
96 5六歩打
97 6八銀(57)
98 5五香打
99 5六金(67)
100 同 香(55)
101 5七歩打
102 9三桂(81)
103 8二歩成(83)
104 同 玉(72)
105 5六歩(57)
106 8五桂(93)
107 同 銀(76)
108 同 歩(84)
109 6三歩打
110 同 金(62)
111 6一飛成(11)
112 8三銀打
113 7六桂打
114 6二金打
115 4一龍(61)
116 5一歩打
117 同 龍(41)
118 5二金(62)
119 4一龍(51)
120 5一歩打
121 8四歩打
122 7二銀(83)
123 8七香打
124 6五銀(54)
125 6七銀(68)
126 7四歩(73)
127 8五香(87)
128 7五歩(74)
129 8三歩成(84)
130 同 銀(72)
131 同 香成(85)
132 同 玉(82)
133 8四銀打
134 7二玉(83)
135 7五銀(84)
136 7四香打
137 6六歩打
138 7六銀(65)
139 同 銀(67)
140 7五香(74)
141 同 銀(76)
142 7六銀打
143 8七銀打
144 同 銀成(76)
145 同 玉(88)
146 7四歩打
147 8四銀(75)
148 7五桂打
149 同 銀(84)
150 同 歩(74)
151 6八桂打
152 7四金(63)
153 2七銀打
154 2八飛成(18)
155 2六銀(27)
156 2九龍(28)
157 7九歩打
158 8六歩打
159 同 角(77)
160 8五歩打
161 7七角(86)
162 8六銀打
163 8八玉(87)
164 7六桂打
165 同 桂(68)
166 同 歩(75)
167 6八角(77)
168 8七銀打
169 投了
まで168手で後手の勝ち



20161122今日の一手<その421>; 石田流の弱点

2016-11-22 | 今日の一手
20161122今日の一手

10月29日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは少し先手玉のほうが堅いか。
先手の攻め駒は86角1枚。
後手の攻め駒はありません。

総合すれば互角かやや先手の作戦勝ちか。

☆ 大局観として
形勢は互角なのですが、後手陣には不備があります。元をたどれば32金の位置で、角交換していないのですから玉の守りについているべき。また、後手が美濃囲いではないので堅くないということもあります。角の働きにも差がありますね。
つまり後手は手待ちをせず(12香~13香としている)角交換を目指すか、32の金を玉の方に寄せていく方法を考えるべきだったのです。
不備があるというのは、後手の飛車を攻める筋があるのです。


△ 55歩として

実は55歩同歩同銀54歩と交換したところだったのですが、後手は12香から13香と手待ちをしています。
55同歩同銀54歩に53角成

と角を切って、53同角54銀62角43銀打

で終わっていました。(12香の形で実現していたはず)

後手がこの筋に気が付いたら45歩

とするでしょう。(2回目なのでおかしいなあと気が付きそう)
おとなしく45同歩54歩46銀25桂36歩

と飛車を攻めるのもあるのですがせっかく位を守っていた銀が右にいくのは本調子ではありません。

45歩には54歩として

54同銀42角成同金

これで31角から攻められますが、金銀の取り合いでは今一つ。後手が少し指せそうです。


○ 55歩と合わせる筋をやるなら、56銀としてから。

このほうが前の歩交換を生かせます。持久戦にするのはあとで見るとして、84歩くらいなら55歩同歩同銀直54歩53角成同角54銀

として先手優勢なのは前と同じです。47の銀が66なので前よりよいですね。

後手は54歩としないで45歩同歩54歩46銀

としても、先手は36歩から飛車をいじめることができます。これも銀が47より66にいるほうが良いです。

また、54歩の時に44銀同銀と捨てて31角

とするのもかなり有力です。

後手としては43金と中央を厚くするほうが良さそうです。

これでも55歩同歩同銀直54歩53角成同金54銀

として54同金に43銀が利きます。(61角には52歩)駒得になるわけでもないのですが、後手陣が乱れているので十分指せます。
後手は銀が取れずに45歩なのでしょう。

このときは43銀打54飛同銀成同金24歩

銀を損しても24同歩と取れず、と金ができるので先手がやや指せそう。

戻って45歩に53銀成同角43銀は36歩

でだめです。

角を切るのは駒損する激しい変化なので、54同銀と歩を取るほうかもしれません。

どちらで取っても55歩です。54同銀55歩86角同歩36歩54歩37歩成61角

この角打ちが厳しいので先手が指せます。(途中36歩に同歩は47角が嫌味です。)


○ 実戦は36歩と直接飛車を攻めました。

1歩持っているので、36同歩には35歩同飛36銀

で飛車を殺せます。この筋は普通はどこかで45歩と突いたら53か62にいる角の筋が通って反撃が利くものなんですが、その筋がありません。

飛車が死なないように、36歩に25桂が実戦の手順です。

取れば24飛で交換になります。35歩同飛36銀33飛34歩

歩の数が足りています。32金が災いしました。34同飛35歩33飛25飛に64歩と進んで、77桂

が好調子だったはずなんですが、実戦では77桂と跳ねずに27飛65歩同銀64銀左

ここから激しくなってこういう図

いつの間にか後手の攻め駒4枚が集中しています。まだ難しいですが逆転してしまいました。


△ 56銀の後持久戦にすると

これくらいの図です。形勢互角、やや先手もちですが仕掛けるところは難しいです。


× 75歩として

7筋の歩も切ることができればまあまあなのですが、75同歩同銀の時に24歩同歩25歩

とされるのは嫌な筋ですね。

後手は74歩と抑えられないように84歩

としてじっと歩が入るのを待つのが本筋でしょうか。1歩入れば24歩です。


× 77桂は

力をためた手なのですが、84歩56銀85歩97角95歩

95同歩同香53角成同角95香97角成

2枚換えでもこんなところに角を成られてはいけません。


さて、後手陣の金銀角の配置がおかしいというのはわかりましたか?

銀をもって43銀あるいは23銀(角でもいいです)という筋で飛車が死にます。これがたまに出てくる石田流の弱点です。
他には角交換に弱いとか(升田式のように32金が必要で、22角などに備えます。筋違い角で飛車を追われる筋も注意が必要です。)
石田本組みなら端攻めとか。
実戦のように26飛47銀の形で1歩持って36歩同歩35歩というのは、35に駒の応援が利かない時にある筋です。

万能な戦法はないということなんです。

問題図の前にも(問題図でも)53角成という筋を決行するチャンスがあったわけですが、銀取りに歩を打たれたら銀を引く一手だと思わないで、何か手がないかな?と探す習慣があれば見つかることでしょう。