先手番加藤先生の手を考えます。
第1問
どう対応するかというのは居飛車の陣形で変わってきます。
A 24同飛 B 25歩 C 26歩
第2問
いろいろありそうですが、これがわかりやすい指し方でした。
A 44歩 B 56銀 C 46銀
第3問
駒得をねらいます。
A 23歩 B 32歩 C 44銀
第4問
後手のねらいを阻止します。
A 52歩 B 55角 C 65銀打
先手番加藤先生の手を考えます。
第1問
どう対応するかというのは居飛車の陣形で変わってきます。
A 24同飛 B 25歩 C 26歩
第2問
いろいろありそうですが、これがわかりやすい指し方でした。
A 44歩 B 56銀 C 46銀
第3問
駒得をねらいます。
A 23歩 B 32歩 C 44銀
第4問
後手のねらいを阻止します。
A 52歩 B 55角 C 65銀打
今日の棋譜20190529
昭和42年2月、加藤一二三先生と第16期王将戦第3局です。
大山先生の向い飛車です。
急戦をねらうのは珍しく
積極的に動きますが、後手番ですし少し無理をしていると思います。
さらに玉頭銀にでました。連勝しているタイトル戦なのでいつもと違うことをやってみようということでしょう。
加藤先生は飛車を浮いて35歩
45歩~55歩で銀取りです。
銀は取れませんが角頭をねらいます。
24歩にも構わず(24同歩同飛25歩34飛のねらい)銀を出て
飛車を呼んで
34銀で両取りです。ここでは大山先生は35歩(同飛24角)が必然ですが
76飛同金23銀成、歩切れですが成銀得です。
と金から右桂を逃げて54歩を突けば歩切れは解消できそう、つまり駒得が確定します。
大山先生は上と横から攻めるのですが、87金同玉89飛成は決め手になりません。
加藤先生は堂々と53歩成、歩を取ると5筋を乱されて
と金を一つ寄せられましたがまだ大丈夫です。19香を取られて84香があるので
金取りに銀を打ちました。
大山先生は55歩から87金ですが
桂香しかないので先手玉が寄りません。
52歩を打ったら堂々と取られて
22飛~53歩を利かされます。51金ならばまだ長いけれど見込みがないと
角で取って52金を取らせるというのは形つくりでしょう。
75角は詰めろでも桂香しかないので簡単に受けられます。
普通に62金でも負けですが
加藤先生は76玉、角を切って
追いかけても詰みはなく、後手玉は詰めろになっていますからここまで。
アマチュア好みの急戦向い飛車ですが、居飛車がおかしな手を指していなければ急戦策は無理です。加藤先生がプロっぽい指し方でとがめて勝ち切りました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1966/02/07
手合割:平手
先手:加藤一二三8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(32)
11 6八玉(59)
12 2二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 5八金(49)
16 7二玉(62)
17 3六歩(37)
18 8二玉(72)
19 6八銀(79)
20 7二銀(71)
21 5七銀(68)
22 3二金(41)
23 6八金(69)
24 2四歩(23)
25 同 歩(25)
26 同 飛(22)
27 2五歩打
28 2二飛(24)
29 4六歩(47)
30 5四銀(43)
31 3七桂(29)
32 6五銀(54)
33 7五歩(76)
34 7六銀(65)
35 1六歩(17)
36 1四歩(13)
37 2六飛(28)
38 4三金(32)
39 9六歩(97)
40 9四歩(93)
41 3五歩(36)
42 同 歩(34)
43 4五歩(46)
44 5四金(43)
45 5五歩(56)
46 6五金(54)
47 4六銀(57)
48 2四歩打
49 3五銀(46)
50 2五歩(24)
51 3六飛(26)
52 2六歩(25)
53 2三歩打
54 同 飛(22)
55 3四銀(35)
56 3五歩打
57 7六飛(36)
58 同 金(65)
59 2三銀成(34)
60 2七歩成(26)
61 2五桂(37)
62 5一角(33)
63 5四歩(55)
64 3八と(27)
65 5七銀(48)
66 4九飛打
67 5三歩成(54)
68 5六歩打
69 同 銀(57)
70 4八と(38)
71 5七金(58)
72 1九飛成(49)
73 6五銀打
74 5五歩打
75 同 角(88)
76 8七金(76)
77 同 玉(78)
78 8九龍(19)
79 7七玉(87)
80 5二歩打
81 同 と(53)
82 同 金(61)
83 2二飛打
84 4二角(51)
85 5三歩打
86 同 角(42)
87 5二飛成(22)
88 7五角(53)
89 8七歩打
90 7九龍(89)
91 7八歩打
92 5一歩打
93 同 龍(52)
94 9九龍(79)
95 7六玉(77)
96 5七角成(75)
97 同 金(68)
98 9六龍(99)
99 8六金打
100 8五金打
101 6六玉(76)
102 投了
まで101手で先手の勝ち
20190529今日の一手
4月20日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があります。損得なしと見ます。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛46角55銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。
総合すれば先手やや有利です。
☆ 大局観として
問題図の少し前はこの図でした。
角換わりの将棋で46角(64角)が安定し、相手の攻撃をけん制できているというのは作戦勝ちなのです。後手から65歩同歩同銀と攻めてくるのならば喜んで対応できます。何度か書きましたが、作戦勝ちの時は相手から攻めてもらうのが理想で、この図は後手が歩を突き捨てて攻めてきそうなので大歓迎です。だから79玉とか67金右とかじっとしているのが正解です。
後手の立場で言えば、作戦負けの時は動かないで待っている方が良いです。玉の移動を考えると作戦負けが解消することがあります。
この図から24歩同銀55銀
55同銀同角で優勢、のつもりで動いてしまいました。でも63銀と引かれて当てが外れ、とりあえず44歩同歩と突き捨てたのが問題図です。
55銀が不安定な形で、銀ばさみで取られそうなのです。回避できるでしょうか。
喜んで仕掛けてみたけれど、見落としがあって「しくじった」という経験は皆さんお持ちでしょう。
それでもあきらめないで手を探してみます。まだ先手よしになる順があるのです。
○ まずは自然な順から考えるべきです。44同銀43歩
55銀54歩で銀が死んだ、とあきらめてはいけません。(もちろん問題図から読んでおくのですが)25歩を打てば後手は端を詰められているので13銀と逃げる手がありませんね。33銀同銀成同桂
これは先手の右銀と後手の左銀の交換です。2筋の歩を交換して14歩同歩12歩同香13歩と攻めることができますね。先手十分です。
後手が15銀と捨てたら
15同香17角
44角成とされたら馬が手厚いので面白くありません。
15同香としないで55銀54歩の時に15香
というのが正解です。55歩24歩同歩同角
これが王手になるのが都合の良いところです。33桂でも同角成同玉21飛成ですし、41玉や52玉でも51角成同玉21飛成としてしまえば良いのです。41銀45桂
桂馬も使えるので文句なしです。
後手が25歩を同銀としても
43銀成や53銀成も見えますが、単に25同飛44歩として24歩
24同歩同角は先ほどと似たような筋で角を捨てて桂を取り飛車を成りこめます。33桂と跳ねられても23歩成25桂32と同玉25桂
これはできすぎですね。
△か× 他の手として、79玉など
1手固めておきたいところではありますが、54歩44銀25歩15銀同香17角
79玉54歩が入っているために、馬を作られる変化を回避しにくいです。これでも29飛44角成24歩同歩同角41玉51角成同玉21飛成41銀
という図に持ち込めるのですが自信なしです。でも24桂42金32銀52銀
41銀成同銀32銀52銀で千日手になるかもしれません。ならば79玉は悪い手とも言い切れないのですが。
△か× 48飛は
先ほどの飛車を成りこむ筋を放棄しているのですが、54歩44銀43歩25歩15銀同香の時に
17角を打たれないということはあります。44歩24歩同歩12歩同香24角33銀46角14歩
飛車が2筋にいないので15香をねらわれそうです。13歩同香25桂15歩33桂成同玉35歩45香
先手が悪いとも言いにくいのですが、48飛が好手には見えません。
○ 工夫としては45歩と合わせます。
45同歩同桂54歩44銀43歩24角同歩53銀打
こうなるのが理想です。
54歩の催促で
44銀43歩25歩15銀同香
この時に17角~44角成というのが消えています。
後手が25歩に33銀でも
33同銀成同桂24歩同歩同飛23歩34飛
持ち歩を使ったので横歩を取ってみました。(後手の55銀に35角を作った意味もあります。)これでまあまあ指せそうです。
○か△ 22歩の利かしも入るでしょう。
55銀を取られても桂香を取ればよいです。22同金44銀43歩25歩15銀
15同香に17角があるというのは同じです。55銀54歩15香55歩24歩同歩同角33桂
22金の形なので24角の王手がより厳しくなっています。桂を跳ねて頑張ってみましたが、33同角成同玉45桂
玉がどこに逃げても22飛成で優勢です。
あるいは35角で
両金取りというのもあります。
良いことばかりのようですが、25歩に同銀ととるのがちょっと面倒です。
25同飛44歩の時に歩切れなので25歩と合わせることができません。よって53銀成同金25飛33桂28飛
62銀や35歩はねらえるけれど、44金とされたらどうなるか。形勢互角としておきます。
× 実戦は25桂と跳ねました。
桂は攻め駒になったのですが飛車が攻め駒と呼べません。手の調子として(少し前ですが)24歩同銀25桂というのがおかしく感じます。つまり自然な手ではないのです。
54歩44銀43歩に13桂成
銀を取らせている間に端を攻めようとしたわけです。13同香14歩(ここでも25歩のほうが良い)同香同香44歩
攻め駒4枚ではあるのですが、銀桂と香の交換では駒損が大きすぎます。終盤ワンチャンスありましたが、後手Kさんの勝ちに終わりました。
☆ まとめ
実戦心理としては、失敗したと思ってもあきらめずに最善を探す方が良いです。大山先生が「助からないと思っても助かっている」と言っていましたね。
探すのは自然な手からです。ちょっと失敗しているところなので、銀取りに構わず25歩を打つという不自然にも思える手を見つけねばなりませんが、「助かっている」のです。