先手番大山先生の手を考えます。
第1問
手を作りたいのですが、こう指すものなんですね。
A 95歩 B 77桂 C 47飛
第2問
どこをどう受けたらよいものか。
A 87飛 B 55歩 C 65同歩
第3問
どこから攻めましょうか。
A 85歩 B 48桂 C 35歩
第4問
落ち着いた好手です。
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
手を作りたいのですが、こう指すものなんですね。
A 95歩 B 77桂 C 47飛
第2問
どこをどう受けたらよいものか。
A 87飛 B 55歩 C 65同歩
第3問
どこから攻めましょうか。
A 85歩 B 48桂 C 35歩
第4問
落ち着いた好手です。
今日の棋譜20190509
昭和41年9月、有吉道夫先生と第7期王位戦第5局です。
大山先生の中飛車で
有吉先生は天守閣美濃です。考案したのは松浦卓造先生で、大山先生よりも年上ですから、この頃には知られていたはずです。
有吉先生は65歩急戦を目指しますが、左金で守られたので
高美濃から
銀冠へ、持久戦になりました。大山先生も銀冠から
左金を寄せて行き
飛は47へ移動しました。
29玉まで囲って、右桂を交換します。
55同歩は56桂があるのでこの歩は取れず
先手玉は堅いものの、受けきることはできません。
有吉先生は右金で抑え込みつつ、ゆっくり攻めていきます。
大山先生のほうは飛角だけで受けているのでほころびが出そうですが、どうにかバランスを取っています。
もう左翼は受けきれませんから
攻める手を考えねばなりません。3筋に手を付けました。35同歩には47桂ですね
3筋の位を取り
角をぶつけました。
大山先生のほうから角を交換し
82角の打ち込みから馬を作っておきます。
飛車を追って、73馬ではなく
46桂を打って飛馬を交換し
飛を打ち込みます。有吉先生の63角は攻防ですが
54歩で利きが止まるのでは少し苦しいです。桂を打たされました。
大山先生は2,3筋の歩を突き捨てて7筋で1歩補充です。ねらいは24歩同銀34桂ですが、有吉先生のほうはぴったりした受けがないのです。
57歩成は取られてもどうするのかわかりません。ねらいの24歩を打たれて
57と を払われ
また56歩を打つのでは単なる1歩損です。34桂を取れば粘れそうですが
74歩同角77飛、駒損が避けられず、ここで投了となりました。
私が振り飛車を指せない理由は、こういう超持久戦のときの指し方がわからないからです。振り飛車党の皆さんは感覚的にわかるのでしょうか?単に玉を固めているとどこか食い破られそうで怖いです。
大山先生はうまくまとめてしまいました。玉頭方面で手を作り、完勝です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1966/09/20
手合割:平手
先手:大山王位
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 6八銀(79)
10 3四歩(33)
11 6六歩(67)
12 3二玉(42)
13 4八玉(59)
14 6二銀(71)
15 3八玉(48)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5二金(61)
19 2八玉(38)
20 2四歩(23)
21 3八銀(39)
22 2三玉(32)
23 5七銀(68)
24 3二銀(31)
25 4六歩(47)
26 7四歩(73)
27 3六歩(37)
28 6四歩(63)
29 6八飛(58)
30 7三桂(81)
31 7八金(69)
32 4四歩(43)
33 2六歩(27)
34 4三金(52)
35 4八銀(57)
36 9四歩(93)
37 9六歩(97)
38 3三桂(21)
39 2七銀(38)
40 3一角(22)
41 3八金(49)
42 2二玉(23)
43 3七桂(29)
44 2三銀(32)
45 6七金(78)
46 3二金(41)
47 5七金(67)
48 4二角(31)
49 4七金(57)
50 8四飛(82)
51 6七飛(68)
52 6三銀(62)
53 6八角(77)
54 5三角(42)
55 3九銀(48)
56 6二角(53)
57 4八金(47)
58 5三角(62)
59 9七香(99)
60 4二角(53)
61 4七飛(67)
62 5二銀(63)
63 2九玉(28)
64 9二香(91)
65 4五歩(46)
66 同 歩(44)
67 同 桂(37)
68 同 桂(33)
69 同 飛(47)
70 4四歩打
71 4七飛(45)
72 5五歩(54)
73 3七金(48)
74 8六歩(85)
75 同 歩(87)
76 6五歩(64)
77 8七飛(47)
78 6六歩(65)
79 4六角(68)
80 5四金(43)
81 4七金(37)
82 4三銀(52)
83 2八角(46)
84 6五金(54)
85 6八歩打
86 7五歩(74)
87 4六金(47)
88 5六歩(55)
89 3五歩(36)
90 6四角(42)
91 3四歩(35)
92 同 銀(43)
93 3五歩打
94 4三銀(34)
95 3六金(46)
96 3三歩打
97 6四角(28)
98 同 飛(84)
99 8二角打
100 6三飛(64)
101 7一角成(82)
102 6九角打
103 3七飛(87)
104 5五金(65)
105 7二馬(71)
106 5三飛(63)
107 6二馬(72)
108 5四飛(53)
109 4六桂打
110 5二飛(54)
111 同 馬(62)
112 同 銀(43)
113 5一飛打
114 6三角打
115 5四歩打
116 4一桂打
117 2五歩(26)
118 同 歩(24)
119 3四歩(35)
120 同 歩(33)
121 7五歩(76)
122 5七歩成(56)
123 2四歩打
124 同 銀(23)
125 3四桂(46)
126 2三玉(22)
127 5七飛(37)
128 5六歩打
129 3七飛(57)
130 3三歩打
131 7四歩(75)
132 同 角(63)
133 7七飛(37)
134 投了
まで133手で先手の勝ち
7月の予定が決まりました。
第197回は
壱5月1日(水) R1750以上
弐5月2日(木)R1750点以下
第198回は
壱6月1日(土) R1750以上
弐6月9日(日)R1750点以下
第199回は
壱7月6日(土) R1750以上
弐7月13日(土)R1750点以下
ご参加お待ちしております。
20190509今日の一手
3月9日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
この図から
15同歩24歩同角36歩同歩
と仕掛けたのが問題図です。
☆ 形勢判断をします。
先手の3歩損、持ち歩がないので駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は19香を入れるかどうかですが、26飛68角の2枚は攻め駒です。
後手の攻め駒は34飛と24角で2枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
この居飛車の仕掛けをご存知でしょうか?30年くらい前に天守閣美濃から4枚美濃にする将棋が流行ったころに考案されました。高橋道雄先生の将棋(NHK杯)を見たことがあります。その時は87玉型だったはずですが、1筋は突き捨てていませんでした。
どう仕掛けるかは後に書きますが、飛角の総交換になります。すると先手玉が堅く、石田流に組んでも四枚美濃に対抗するのは難しい、という認識でした。(その後の藤井システム出現でこの戦型にはならないのですが。)
玉の堅さが同等の戦型では、わずかな差が形勢を分けます。問題図のように後手の54銀が守りにあまり役立っていないので、差が出やすいのです。
代わりに後手は左桂を一つ跳ねているわけですが、桂をさばかさなければ先手有利になります。あるいは54銀をとがめるのも考えて良いです。
○ その昔の順というのは24飛です。
24同歩には23角があります。
43銀しかないですが、34角成同銀31飛
これならば33桂が取れます。34銀だけでも守りにくくて、27飛33飛成45銀44竜47飛成24角
先に桂を取っているので先手が指しやすいです。
ということで24飛には同飛と取るわけですが
24同角同歩で飛角の総交換です。31飛と打ちこむと
25桂28飛36飛成28飛
これは後手が先に桂を取れるので先手は指しにくい感じです。
ということで31飛ではなく22角
45桂には46歩ですから、25桂と逃げたら44角成49飛55歩
54銀型をとがめに行きます。ここから例えば47飛成34馬43銀42飛
という感じで、後手の左銀を目標に少しずつポイントを稼ぎます。
後手が桂を逃げずに28飛とすると
33角成29飛成44馬37歩成55歩
37と が働くかどうかですが、43歩33馬45銀43馬
61馬同銀42飛というような筋をねらって攻めていくほうが、後手の と金よりも速いです。
○ 昔は24角ではうまくいかないと習った(解説されていた)のですが
24同歩(24同飛同飛同歩だと前に変化に合流します)23角35飛24飛
25飛同飛同桂34角成
これは後手の左桂に逃げられているので最初に24飛とするのが正しい攻めです、とされていました。しかしこの図ならば悪いことはないです。28飛55歩45銀44馬
やはり銀をいじめる順があります。さすがに56銀同金67角では無理筋でしょう。(88玉型だから生じるのですが。)
△ 15香が実戦の手です。
先手Sさんはベテランでも24飛の筋は知らなかったのでしょう。15同香に35歩を打ち、35同角36飛
角をピンしましたが、香を捨てています。68角成34飛69馬同銀24角
これならば二枚換えでも先手よしという気がしますが、46歩と受けて65歩同歩85歩同歩65桂
と攻められて形勢不明です。
後手としては69馬と切らずに24馬
と引いてしまえば少し指せていたでしょう。
先手としては36飛は危険で、23飛成の方が良いです。
68角成同金引(34竜もある)35飛
24角25飛33角成23飛同馬
とりあえず桂は取り返したものの、29桂は取られるでしょうから難しい形勢です。勝負手としては28飛34馬29飛成83桂
83同玉には61馬同銀81飛72玉71金
61銀を取れますが、入玉を阻止して後手玉を寄せられるかどうか。
83同玉ではなく43角の受けには
43同馬同銀91桂成同玉95歩82玉94歩92歩
これも形勢互角です。
△か× 55歩を突くのも考えられます。
55同銀が得かどうかといえば、24飛同飛同角同歩34角45角
後手からの34角が嫌味になるので34角を先着しましたが。角を合わされて面白くないです。
43銀と引かれるのも考えておかねばなりません。
24飛同歩23角では34飛にひもがついています。24飛同歩15香
として35歩をねらい、45桂11香成31飛
42角11飛33角成13飛24角でどうか。
後手が31飛ではなく28飛35香
というのだって難しいです。68飛成34香18竜33香成49角
横から攻められる時は87玉型のほうが良いですから。
× 他の手としては、75歩同歩と突き捨てると
88玉型なのでやりやすくはありますが、指し過ぎの恐れが高いです。
× 17桂は
後の28飛~29飛成を避けよう、あるいは25桂とさばこうという手です。37歩成とされると25桂では同桂同飛47と
後手の と金が大きいです。
37歩成に24飛同飛同角同歩
と進んでも、桂を逃げたプラスよりも37と の存在のほうが嫌です。
こういう桂は仕掛ける前に跳ねておくほうが良い手です。
☆ まとめ
この石田崩しは、知識として知っていれば使えるかもしれません。でもなかなかこの形にならないです。居飛車穴熊対石田流のほうが実現しやすいかも。
互いに玉が堅い戦型、特に同じような玉の囲いを選ぶと
少しでも玉が堅い方が有利になりやすい。
小さな差が大差に結び付く。
ゆえに序盤で作戦負けを避け、中盤での読み合い勝負になることが多いでしょう。
この問題では後手の33桂を取り切れるかどうか、54銀をとがめられるかどうかが終盤前半の課題です。そのための仕掛けとしてどの手を選ぶか、しっかり読まないと指せません。