先手番二上先生の手を考えます。
第1問
いろいろありますが、こう指しておくものでしょう。
A 46銀 B 55歩 C 44歩
第2問
ここはポイントを稼ぐチャンスです。
A 44歩 B 34歩 C 22歩
第3問
難しいところですが1本は筋です。
A 24銀 B 44歩 C 37歩
第4問
これで寄せが見えてきます。
A 33銀 B 46角 C 44角
先手番二上先生の手を考えます。
第1問
いろいろありますが、こう指しておくものでしょう。
A 46銀 B 55歩 C 44歩
第2問
ここはポイントを稼ぐチャンスです。
A 44歩 B 34歩 C 22歩
第3問
難しいところですが1本は筋です。
A 24銀 B 44歩 C 37歩
第4問
これで寄せが見えてきます。
A 33銀 B 46角 C 44角
今日の棋譜20190513
昭和41年10月、二上達也先生と第5期十段戦第1局です。(大山全集には二上達也8段となっているのですが、棋聖を奪っているので二上達也棋聖です。)
大山先生の四間飛車で、この頃は中央位取りを避けて54歩を突くことが多いです。
二上先生の玉頭位取りは棋風に合いません。急戦のようで
1筋の歩を突き越してから急戦にするというのが棋理に合わない指し方なのですが、右46銀の急戦です。
大山先生は端を手抜いているので、64歩~53金まで指しているところが違います。
なので38飛には51角と受けることもできます。45銀同歩11角成33角同馬同飛なら後手よしです。
二上先生は35歩を打って銀を立て直します。
大山先生の64金は積極的ですが、先手の仕掛けを待っていてもいいはず。
64金の効果で55歩と角筋を止めることができます。
二上先生は2筋を突き捨てて銀は常型の36ではなく46へ。このほうが中央に働きます。
大山先生の66歩は、角を呼んで65金~66歩と止める二枚落ちでよく見られる手筋です。
二上先生は6筋にかまわず、44歩を打って
銀交換から飛を走ると角取りでもあるので
駒得で飛を成りこめました。
でも角は逃げにくいので、駒得でゆっくりというわけにもいきません。
角を追い、53桂を打ち
44同歩には43歩~42銀では重いですね。42歩同角41桂成ということでしょう。
大山先生は角を取って12角。先手玉をにらんでいます。
二上先生の12同竜から43歩成も必然です。飛と金桂の交換、と金もできました。29桂が残っているので大威張りではありませんが、後手玉が薄いので指しやすくなったと思います。
44角は好打です。大山先生としては飛を逃げなくてもよいので何かあればというところですが
素直な39飛成は、71銀を打たれ、取れずに93玉では後手玉が不安定です。33角成で用済みの角をさばかれて
形勢は思わしくないです。84銀と打って中段玉で粘るのはお家芸みたいなものですが
91香を取られて、ゆっくりしていると98香打も嫌な手です。
88飛と捨てて
寄せ合いに出ました。これで詰めろ。
二上先生は92飛から78香と受けて
81桂を取った手が詰めろです。81同銀には86桂85玉91飛成で詰めろ。
単に68竜には93角を取って詰むのでした。
大山先生のほうが手が進んでいるわけですが、守りの金を攻めにも使っているわけで、良さそうに見えても難しいのです。二上先生は自玉のほうが堅いので考えやすかったのではないでしょうか。駒がぶつかってからはおかしな手もなく、自然に指して勝ち切りました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1966/10/29
手合割:平手
先手:二上達也棋聖
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 5七銀(48)
18 5四歩(53)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 3六歩(37)
22 4三銀(32)
23 1六歩(17)
24 8二玉(71)
25 1五歩(16)
26 5二金(41)
27 6八銀(79)
28 6四歩(63)
29 4六銀(57)
30 3二飛(42)
31 3五歩(36)
32 5三金(52)
33 3四歩(35)
34 同 銀(43)
35 3五歩打
36 4三銀(34)
37 3七銀(46)
38 6五歩(64)
39 4六歩(47)
40 6四金(53)
41 4五歩(46)
42 5五歩(54)
43 2四歩(25)
44 同 歩(23)
45 4六銀(37)
46 4五歩(44)
47 同 銀(46)
48 6六歩(65)
49 4四歩打
50 同 銀(43)
51 同 銀(45)
52 同 角(33)
53 2四飛(28)
54 4三歩打
55 2一飛成(24)
56 3五飛(32)
57 6六角(88)
58 6五金(64)
59 4五歩打
60 3三角(44)
61 9五歩(96)
62 同 歩(94)
63 5三桂打
64 5一金(61)
65 4四歩(45)
66 6六金(65)
67 同 歩(67)
68 1二角打
69 同 龍(21)
70 同 香(11)
71 4三歩成(44)
72 2四角(33)
73 4四角打
74 3九飛成(35)
75 7一銀打
76 9三玉(82)
77 3三角成(44)
78 同 角(24)
79 同 と(43)
80 8四銀打
81 8二角打
82 9四玉(93)
83 9一角成(82)
84 8八飛打
85 同 玉(78)
86 6九龍(39)
87 9二飛打
88 9三角打
89 7八香打
90 5八龍(69)
91 8一馬(91)
92 6八龍(58)
93 9三飛成(92)
94 投了
まで93手で先手の勝ち
20190513今日の一手
3月9日の名南将棋大会から、IさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
飛桂と角銀の交換で馬竜を作り合っています。損得なしと見て良いでしょう。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は43馬と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は29竜と持ち駒飛桂で3枚。
総合すれば先手が指しやすいです。
☆ 大局観として
藤井システムによって消えた戦法であった天守閣美濃(四枚美濃になることが多い)を時々見かけるようになりました。振り飛車党が忘れているのかもしれません。問題図で84歩を突いてあれば後手もちではないか(19香を取って83香~85歩というのが厳しい)というくらいの差なのですが。
そもそも問題図以前で
24歩同歩同角22飛33角成28飛成43馬29竜、という筋をうっかりしていたので問題図になったわけです。後手のOさんが誘ったというわけでもないでしょう。
ただこの飛と角銀の二枚換えの筋は、互いの玉の堅さと、居飛車の右桂が取れるかどうかで成否が変わってきます。問題図では先手がしてやったりというところではないでしょうか。
方針としては2通りです。どちらが好みでしょうか。
取り残されたのは21桂と66銀の違い(それが形勢の違いになっている)なので、後手の21桂(+11桂)を取って駒得を主張する。
後手玉を攻略する。
△ 21桂を取りに行くならば22歩
間違って両取りを食らわないように、歩で取りに行くのが手堅いです。22同竜もあるのですが、44角33桂42銀
23飛には53銀成ですね。
44角に12竜でも
61馬同銀22金
後手玉を薄くして飛を手に入れたら簡単です。
ということで19竜
香を取られるのですが、21歩成に29飛68金寄65歩77銀引57桂
がりがり攻められるのは気になるかもしれません。57同金69飛成同銀同竜78銀59竜69桂
このやり取りでも駒損になりませんし、飛角をもって後手玉を攻めるほうが速そうです。
△ 32角でも同じような意味合いです。
先ほどと同じ展開でも大した違いはありません。別の攻められ方で19竜21角成84香77銀引65桂というのがあるのですが11馬
として馬を守備に使うこともできます。反面41飛33馬43飛同馬から攻められるかもしれませんが。
なお先ほどの22歩から入って11と の形であるならば、84香には77銀打のほうが手堅いです。
22歩と32角の比較はどちらが良いとも言えませんが、どちらも先手が指しやすいです。
○ 44角とすると
11角成だけがねらいではなく、19竜ならば61馬同銀71銀93玉11角成
として95歩をねらうことができます。これは厳しいので81飛と受けるのですが、44馬53桂55歩
馬を引いて合駒をねらうことができます。
62香の時には
62同銀成同金同馬72金
として95歩をねらえば寄せきれます。
後手としては61馬を避けねばなりませんが、62金上に75歩
桂頭を攻められるのは嫌でしょう。
なので52桂とか
駒を打って受けるわけですが、11角成19竜21馬寄
飛と角銀の二枚換えですし、あまり役に立たない52桂を打たせたのでかなり得をしています。
○ 実戦は41角
これは21桂11香を取ることにはなりませんが、高美濃攻略の攻め筋です。62金上の受けが最善なのでしょうが75歩
先手玉の小びんでもありますが、桂頭攻めが厳しいです。75同歩74歩65桂75銀
圧力をかけておいて63角成同金73銀を見ておけば後手は指し手に困ります。
実戦では後手Oさんは71金
とかわしたのですが、これは73の地点の受けに役立ちません。75歩に65桂と応じたのですが、74歩81桂44馬61金63角成同銀73銀
と進めれば先手Oさんの完勝だったはず。
実戦では65桂を同銀
取ってしまったために、65同歩74歩75桂
先手玉のほうが危なくなってしまいました。77玉76歩68玉66歩同歩28飛
というのが詰めろ。59桂49銀に63馬で
勝負に行きました。実は63同銀で後手玉が詰まず、角を渡せば先手玉は詰んでいました。
実戦は58銀成同金同飛成38竜
48銀合に68金から詰まされて先手Oさんが負けたのですが、48飛合ならば詰まず、先手の勝ちだったでしょう。68金同玉48竜58金
この先手玉が詰みません。
○ 75歩を先にしても
75同歩41角
の時に74桂や74飛の受けが有効ではないので、多分同じことになります。
△ 他には61馬と切ってしまうと
過激なようですが、金をかわされたり52桂を打たれる変化は消えます。61同銀44角71桂11角成
後手玉は薄くなったのでまだ二枚換えで指しやすいです。
△ 52銀が普通の攻め方で
小さな駒から使うほうが寄せのセオリーではあるのですが、52同金同馬61銀打
まだ馬を切る段階ではない(61同馬同銀44角とすれば先ほどの61馬の変化と同じなのですが)と思えば34馬と後手を引きます。高美濃が乱れたと思えば損をしているわけでもないですが、1手パスのようにも思えます。
△ 他には68金寄
後手の飛打ちに備えて先受けしても、結局どれかの変化と合流するのでしょう。
☆ まとめ
引き角から飛と角銀の二枚換えにする変化は成立することも成立しないこともあります。序盤の駆け引きで終わることのほうが多い(振り飛車が22飛を強制される)ですが、振り飛車がうっかりか誘って、居飛車が踏み込むと激しい変化になることもあります。
上手く駒得ができれば、居飛車の玉が堅くて居飛車よし、パターンです。(先日私もこの筋に飛び込んだら、振り飛車に と金で銀をはがされて苦労しました。)
振り飛車の高美濃は急所を突かれるとあっけなく崩れてしまうことがあります。実戦の攻防はご参考に。