後手番大山先生の手を考えます。
第1問
ここからが大山流の繰り替えです。
A 52銀 B 63銀 C 41飛
第2問
ここも大山流。
A 45同歩 B 53金 C 65歩
第3問
これが厳しい手です。
A 44角 B 27角 C 37歩
第4問
この手が指せれば簡単です。
A 99角成 B 48歩 C 66歩
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
ここからが大山流の繰り替えです。
A 52銀 B 63銀 C 41飛
第2問
ここも大山流。
A 45同歩 B 53金 C 65歩
第3問
これが厳しい手です。
A 44角 B 27角 C 37歩
第4問
この手が指せれば簡単です。
A 99角成 B 48歩 C 66歩
今日の棋譜20190511
昭和41年1月、関根茂先生と第16回NHK杯です。
大山先生は5筋を突いてからの四間飛車です。この頃は中央位取りを避けることが多かったのだと思います。
中央が薄いので早囲いになり
45歩の急戦を受けて金を左へ。
関根先生は攻めることができずに持久戦になりましたが位も取れず
4筋から攻められるかどうか。大山先生はツノ銀をやめて銀の繰り替えで待ちます。
早指しだと気合を重視するのでしょう、関根先生は飛をぶつけました。45同飛同桂22角、あるいは73桂42飛成同金というのもあるのでしょうが
大山先生は43金で飛交換を避け、桂を跳ねて待ちます。
関根先生は角交換を挑みます。65同桂33角成同桂というのはどうするか悩ましいと思うのですが。
大山先生は44歩だったので、64歩から45歩。とにかく攻めます。
53金に66歩ではつまらない感じです。88角65歩というのも先手よしには見えませんが
63金と46銀という比較は、玉の堅さが違います。
関根先生はとにかく攻めたいのですが
軽く指されると46銀はなくても良い駒です。ここでは急がずに67金右とか67歩とか、6筋を守っておくものではないかという気がします。
34歩では強い攻めではありません。大山先生は85桂から65歩で
角交換から44角。このラインはうまく止められません。
関根先生は55歩同歩66歩同歩78玉、これは苦し紛れの受けという感じです。
65銀に67歩は仕方ないのかもしれませんが
一目つぶれています。
ここに歩を打たれるのは痛いです。(66歩ではなく56同銀同金99角成88銀では怪しいですが、99角成の前に67歩なら後手よしでした。)
銀金の取り合いの後、再度の66歩も痛いです。
55銀に67歩成ではまぎれそうですが、58金はちょっと重い感じです。49飛がいなくなればよいので、55同角同銀45飛同飛69銀同玉67歩成というのが明快な寄せ方でした。
これでも駒得ですから悪い理屈はないです。
関根先生は55角~43歩で上部を手厚くしようとしましたが、54歩で困りました。
64角同金同銀に65金。上を押さえられると勝ち目がありません。
角を捨てられ
金を取り返されては望みが薄く
銀を補充されて、入玉できるかどうかだけですが
受けはなさそうですね。
ここまで。
4筋と6筋での戦いは、角交換からの44角が強烈すぎて、そのまま大山先生が押し切りました。関根先生はただ攻めるだけではだめで、6筋の嫌味を消しながらの攻め方が必要です。居飛車に苦労が多いのでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1966/10/14
手合割:平手
先手:関根茂7段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 5八金(49)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 3六歩(37)
16 6二銀(71)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 1六歩(17)
22 1四歩(13)
23 5七銀(48)
24 4三銀(32)
25 4六歩(47)
26 8二玉(72)
27 3七桂(29)
28 3二金(41)
29 6八銀(79)
30 7二金(61)
31 6六歩(67)
32 6四歩(63)
33 6七銀(68)
34 7四歩(73)
35 7七角(88)
36 5二銀(43)
37 4八飛(28)
38 6三銀(52)
39 4五歩(46)
40 同 歩(44)
41 同 飛(48)
42 4三金(32)
43 4九飛(45)
44 7三桂(81)
45 6八金(69)
46 8四歩(83)
47 6五歩(66)
48 4四歩打
49 6四歩(65)
50 同 銀(63)
51 4五歩打
52 5三金(43)
53 6六歩打
54 6三金(53)
55 4六銀(57)
56 6五歩打
57 3五歩(36)
58 6六歩(65)
59 同 銀(67)
60 4五歩(44)
61 同 桂(37)
62 4四角(33)
63 3四歩(35)
64 8五桂(73)
65 8八角(77)
66 6五歩打
67 5七銀(66)
68 8八角成(44)
69 同 玉(78)
70 4四角打
71 5五歩(56)
72 同 歩(54)
73 6六歩打
74 同 歩(65)
75 7八玉(88)
76 6五銀(64)
77 6七歩打
78 同 歩成(66)
79 同 金(58)
80 5六歩(55)
81 同 銀(57)
82 6六歩打
83 6五銀(56)
84 6七歩成(66)
85 同 金(68)
86 6六歩打
87 5五銀打
88 5八金打
89 4四銀(55)
90 6七歩成(66)
91 同 玉(78)
92 4九金(58)
93 5五角打
94 6四歩打
95 4三歩打
96 5四歩打
97 6四角(55)
98 同 金(63)
99 同 銀(65)
100 6五金打
101 5六金打
102 5八角打
103 同 玉(67)
104 5九飛打
105 4七玉(58)
106 5六飛成(59)
107 3六玉(47)
108 6四金(65)
109 3八角打
110 2六金打
111 3五玉(36)
112 2五金(26)
113 同 玉(35)
114 4六龍(56)
115 3三歩成(34)
116 4五龍(46)
117 投了
まで116手で後手の勝ち
20190511今日の一手
3月9日の名南将棋大会から、OさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手玉のほうが堅いですが、2筋が壁なので横からの攻めには弱くなっています。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒銀の2枚。68角や15銀も使えそうではありますが。
後手の攻め駒は64角85桂と持ち駒銀で3枚。
総合すれば後手もちです。
☆ 大局観として
相矢倉が流行らなくなったので懐かしい戦型という感じがします。序盤は
相矢倉で端を受けると棒銀で攻められるので危ないという典型です。15同歩同銀(これが基本手筋)を取ることができなくて、22銀14歩12歩
端を謝らせて先手がポイントを上げました。ここから駒組みが進んだのですが
後手の攻めの体制も整ったので、形勢は互角に近くなっています。
64銀73桂の攻撃型を生かして攻められたら最初のポイントは消えているようですが、75同銀同角に74歩
72飛を省略して攻められているので、歩を垂らすのが常用の反撃手段であるはずでした。72飛には83銀~73歩成です。
実戦では74歩ではなく76歩を打ってしまったので、問題図では
後手もポイントを上げているわけです。
ここからの方針としては角の働きが違うので、それを解消したいです。相矢倉の中盤では角が主役と言われることも多いですね。64角がいなけれは46歩同歩同角とか、36歩~37桂とか、先手の攻め駒も増やせます。角の交換になったとしても、後手陣のほうに角の打ち込みが多いです。
棒銀はねらいがわかりやすいのですが、ポイントを上げた後での指し方が難しくなります。右桂か右香が働くようにするかというのが理想ですが、ここでは手数がかかりすぎるでしょう。飛角銀だけでは戦力不足ですから(ここでは守りの銀を手持ちにしたので一時的に戦力アップしていますが)、左翼に目が生きます。どれが有効手でしょうか。
△ 実戦は65銀と打ちました。
64角は目障りなので追いやりたくなります。53角74銀77歩
65銀のままでは使いにくいので銀を出るのも妥当でしょう。77歩を打たれてどれで取るか。ここは自然な77同桂は不正解(実戦での応手ですが)、77同金寄同桂成同金とするのが部分的な受け手筋です。後手は42角だとしてこの図です。
金と桂歩の交換でも後手は歩切れなので、先手が悪くはありません。先手玉が薄いので有利までもっていくのは難しいところですが。
実戦では77歩に同桂97桂成
この端攻めがあるので、96銀73桂型で95歩と伸ばしている形は攻撃力があります。それでも79玉とかわしておけばまだ難しい(少し悪い)のですが、97同香から端を破られ
角筋を止めても飛車に成りこまれた図は
明らかな劣勢です。
△ 65銀ではなく最初から74銀でも
ほぼ同じです。後手の角の位置が違っても新しい筋は出てきません。
○ 75銀は
64角の97への利きが止まるので守備的です。53角24歩同歩同角81飛
先手が銀を手放したので72銀が消え、後手は81飛と受けやすくなっています。形勢は互角です。
先手としては75銀53角に86歩を突くのが大胆な手です。
97桂成同玉85歩同歩74歩86銀85飛87歩
はつぶれていません。怖いところがありますが、桂得だと主張します。
85歩ではなく74歩だと
74同銀85歩88玉86歩83歩81飛75桂
これは入玉をねらえます。
△ 86銀は
77の地点を守っているのでさらに守備的、形勢互角です。後手だけ銀を手持ちにしているのですが、先手は1,2筋のポイントがあります。
○ 86角とぶつけるのが
知らないと思いつかないでしょうが、プロの棋譜にはよく見かける手筋です。86同角同歩97桂成同玉
ずいぶん怖いのですが、先手陣への角の打ち込みがなく、36歩を突いていないので64角が飛取りになりません。後手陣には角を打ち込むすきがあるというわけです。
瞬間桂得だというのは端を攻められるのでたいしたことではないのですが、玉で取って少しでも得をしようとしています。
85歩73角92飛84角成
96歩88玉86歩93歩82飛83銀81飛77玉
これが一例で、馬を作り入玉を目指します。後手は入玉できないし、飛車も渡しにくいですから、明らかな先手有利です。
△ 65歩を突くと
これも角を追う手ですが、先手玉のななめがあいてしまいます。53角(44角がある)には86角
とするしかないでしょう。86同角同歩44角55歩
55角には66銀を打つので形は良いのですが、後手陣に角を打ち込みにくくなっています。形勢互角でしょう。
△ あとは79玉
早逃げで端攻めに備えると、97桂成同香96歩同香同香94歩
というような反撃の手を指す余裕ができます。後手の飛角をいじめながら指すわけですが、少し怖いところです。
☆ まとめ
相矢倉は独特な手筋があります。定跡書だけでは少し足らなくて、そのあとの指し方は棋譜並べが一番良い訓練法でしょう。
問題図以前ですが、76歩を打たずに74歩と垂らす手
76歩を打った問題図では、75銀~86歩が継続手
86角とぶつける手
これらは左翼で戦うことになるのですが、攻め合いにしないで強く受けて入玉を見るような指し方もよく見られます。