さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

ぷち発表会 その2

2010-09-03 | 歌のおけいこ


calcalさんも、ご自身のブログのコメント欄で書いておられたが、

歌う前の曲目解説 について。

解説、なんていうとなんだか たいそうだが、

前々回くらいからかな、師匠が


  「歌う前に、
   この歌はこんな内容の歌や とか、
   こういうところがすきだとか 
   ここがむずかしい とか、
   なんでも ええんです。

   歌う曲に関して ご自分の思われるところを
   自由にお話ください」


というあらたなる課題??を提案。


これ、実は最近 

だいじなことだなあ
しかも興味ぶかいことだわ と感じていることのひとつ。

誰が聴いても意味や情景がわかる日本歌曲とはちがって、
ドイツリートやオペラ歌曲って
なじみのある人にとっては そうでもないのだろうが、
日頃 聴いたり歌ったりする機会のない人からすれば

  なんじゃ こりゃ??
 
ってなものではないだろうか。

それでも、


  意味は よーワカランけど、
  なんか楽しそうに歌ってはるわ 

  内容わからんけど、
  ここちいい歌声やわ 


と感じてもらえればまだしも、


  意味もわからんし、コワイ顔して歌ってるし
  なんや むずかしそうなことやってはるなぁ


だと、ちょっとかなしい 


  歌い手は 歌で語るのがすべてよ! 


なんて よー言わんし、

わたし自身、
プロの歌い手さんであれ リート仲間であれ、
曲に対する思い入れとか 
その人のイメージとか きかせてもらうのがすきだ。

訳詩つきのプログラムもうれしいが、
それはコンサート後のお楽しみでもあり、
その場では 歌うひとの歌声や お話、表情を
じっくり味わいたい。


つい先日も、
いつもお世話になっているピアニストの先生が演奏される、
ソプラノ&バリトンのご兄妹(プロの方々)
のリサイタルを聴かせていただいたのだが、

クラシックにあまりなじみのないお客さんも
たくさんおられそうな その場で、


  これは こんな曲でね。。。


と説明されるお話が、とても魅力的だった。

内容もさることながら、
その人自身の曲への思いも伝わってくる。


  こんなふうに自然に、うまく伝えられるようになれたらなあ 


と 感じたことだ。


ところで、

今回のぷち発表会で、
うたこさんとわたしは
ぐうぜんおなじ曲 「五月の夜」 を選んで歌ったのだが、

彼女が この曲に関して
月夜の幻想的な情景を 印象的にイメージしたのに対し、

わたしも 情景としてはまず
月夜が浮かぶのだが、

  (うたこさんもわたしも、なぜかお月さまがすき♪
   月の曲集めたコンサートなんかいいねぇ、とか話したりしている。

   あっ ぬっくさんもかなあ。
   月の歌 夜の歌 が多かったぷち発表会かも)

その月夜 を背景として
思いにひたっている人の感情のほうを よりイメージしていた。


  五月といういい季節になって
  鳥たちも幸せそうに睦みあっているのに
  わたしはまだひとり。
 
  心から愛し合える人と 早くめぐりあいたい
  その日まで わたしは孤独のなみだにぬれて うんぬん…


そのあたりの歌詞の内容を
クローズアップしてとらえた感じに。


もしかして、
川柳をつくる人間としての習性?? かなあ。

川柳と俳句のちがいとして わたしは

俳句が 花鳥風月の情景、四季、自然をおもに詠むのに対して、

川柳は、風景や事象を詠んでいても、
そこにかならず 人間のすがた が描かれないといけない

というとらえかた をしている。

これが正解 というわけではなくて、
わたしが そう感じているだけなのだけど。。。

まあ そんなわけでか、歌でもわたしは
ひとの姿、にんげんの感情 というものに
つい 焦点をあててとらえるタイプ なのだろう。

だから、曲を選ぶときにも、
旋律がすき ということのほかに、
歌詞になんとなく 感情移入ができる、できそうだと思えるものを
選びとっているような気がする。 


で、この歌では
五月の花ざかりの季節 うつくしい月夜に、
どっぷり孤独にひたってる人間の内面 

という印象をはじめは持ったのだが、

今またふと


  恋に恋する というか、
  もしかしたら、まだめぐりあわぬ恋を思って
  若者がためいきをついているような、
  甘やかな感傷 なのかも


と思ったりもする。

歌い手の年齢や 立場によっても 変わってくるだろうし、
何年か前、何年かあとだったら
またちがう…ということもあるだろう。

そうなると、当然ながら
歌いかたも 変わってくる(かも知れない。表現の技術は 横においとくとして ) 

おなじ曲でも、とらえかたや 思いが
人によって その時期によって微妙にちがってくる、
というのが またおもしろい。

顔や声や性質が、ひとりひとりちがうのとおなじで…

また自分自身も いつまでも変わらないようで
実は 少しずつ変化してゆくように…


1曲1曲と、長い時間をかけておつきあいしてゆく

というのは、

歌との 音楽とのしあわせな関わりかた だと思う。







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