さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

三月のうた

2009-06-09 | 歌のおけいこ



     わたしは 花をすててゆく
     ものみな芽吹く 三月に

     わたしは 道をすててゆく
     子らのかけだす 三月に

     わたしは 愛だけをだいてゆく
     よろこびと おそれと おまえ

     おまえのわらう三月に



     わたしは 花をすててゆく
     ものみな芽吹く 三月に

     わたしは 道をすててゆく
     子らのかけだす 三月に

     わたしは 愛だけをだいてゆく
     よろこびと おそれと おまえ

     おまえのわらう 三月に



   作詞:谷川 俊太郎
   
   作曲:武満  徹



おなじ歌詞が おなじ旋律で 2回くりかえして歌われる
シンプルなつくりの曲。


それだけに、歌いわけというか
1番と 2番の
表情、色づけの変化が必要になってくるという
むずかしさが ある。

そして 哀愁を帯びたその旋律。


歌のお仲間さんが 昨年4月の発表会で歌われるのを聴いて、

  いい歌だな~ 

と 思った。


今回の発表会は 
師匠のお達しにより(笑) 歌曲限定のコンサートとなる。


それなら、せっかくなので

ドイツリートから1曲と、

はじめての日本歌曲のソロにも 1曲 チャレンジしたくなり、

それで歌いたいと思ったこの曲を選んだ。


だれにでもわかる言葉で書かれた詩。


なのに この詩は、
なんど読んでも 深い。

いろいろな解釈や 思いの込めかたが可能だと思える。


わたしは、

旅立ちのときを迎えたものへの 
若いまぶしさを見送り 祝福しながら
一抹のさびしさをだいている…

しかし、

残された自分もまた毅然と
歩いてゆくべき 道があって (道を捨ててゆく…とあるけど??)

それには おまえ(たち)への愛だけを
たずさえてゆこう  

(おまえとは、ひとでもあり おもいで でもあるのだろうか…)


そんな思いのうたかなあ

と 感じている。


年寄りっぽい かなあ 


で、歌うにあたっては

作曲者が作曲したとおりの調性(原調)で歌うとなると
ものすごく低いところから始まり、
わたしの歌いやすいといえる音域からするとかなり低め…

で、そうなると いつもらくらくと出るはずの音の高さが
低→高音へのチェンジ部分になって
せっかくのもりあがるところのフレーズが
きれいに流れない

というむずかしさがあった。

その部分のための発声にかなりの時間を割いたほど。


それでも、

  「あなたがこの調で歌えるのならば、そうするほうが絶対いいよ!」

という師匠の言葉をたよりに??

はじめからずっと、もとの調性で練習してきた。


わたし自身も、この曲にある
ある意味の達観というか 覚悟というか
おちつき、哀愁…みたいな味をあらわすのには、
あまり高くない調性のほうが しっくりくるかな
と感じたので…。


いまだに不安が残る
発声といい、発音といい、

さらには
日本語のうたのむずかしさを
あらためて痛感した 曲でもありました!


まず、外国語の歌とはちがうのは、

日本語(母国語)である以上、
しかも ほとんど日本人のかたが聴かれる日本で歌うのだから、
その日本語の歌詞が正しくきこえなければ
(意味が伝わらなければ)
それだけで ダメになる。


外国語の歌ならば、
極端な話

  ”どうせ 歌詞の意味なんか誰も知らんねんから!”

  ”発音のひとつやふたつ、まちがえても
   知らん顔して余裕で笑っとく!
   まちがえた~って顔するから 気づかれるねん”


と…これはまあ、すごく乱暴にきこえるかも知れないが、

練習に練習をかさねた果ての
最後にいえることで、ある意味の真実 である。 


歌詞がきちんと伝わるように きこえるように歌う。

このひとつだけをとっても、
どれほど 難儀することか。


 日本語の歌はむずかしい…

でも以前に 書いたことがあるように。


正しく歌っても そうはきこえないことが多くて、

正しく歌う のではなく、

  ”正しくきこえるように歌う”

というのが 正解かも知れない。


さらには、情感のこめかた。

発声やら発音のことばかり頭にあると、
もうそれどころじゃないけれど  


わたしは 1番と2番の歌いわけについて、
師匠からのアドバイス&自分なりのイメージから

1番は淡々とシンプルに、きちんと感のある??クラシック的に

2番は思いをこめたい歌詞にすこし情感を入れて
表情をつけて歌いたいな…


と考えている。


さて、どこまで できるかな! 



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Ich Liebe dich…我 君を愛す

2009-06-07 | 歌のおけいこ



     君を愛している、君もそうだ
     夜も 昼も
     そして悩みを分かち合わない日は
     一日もない


     君も ぼくも、
     分かち合えば 悩みは軽くなる
     ぼくが悲しめば 君がなぐさめる
     君が嘆いたなら ぼくも泣く
     君が嘆いたなら…


     君に祝福あれ  ぼくのいのちのよろこびよ
     神よ 
     君をいつまでも まもりたまえ
     ふたりをいつまでも まもりたまえ


     神よ
     君をいつまでも まもりたまえ
     ふたりをいつまでも まもりたまえ
     ふたりをいつまでも いつまでも
     ふたりをいつまでも!



   作曲:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

   作詞:カール・フリードリヒ・ヘルロゼー



素直に、高らかに
恋人への愛と 神への讃歌をうたった曲。

重厚で しかめっつらな、哲学的なイメージのベートーヴェンさんが、

  実は こんなに明るくて晴れやかな曲をつくっていたのね!

と 思わせられる。


素直に、のびのびと明るく 
前向きに 晴れやかに。

そんなふうに 歌いたいと思っている。


この曲では、

これまでからできなかった発声というか発音の課題…

どの子音もはっきり発音をしなきゃあと思うあまり、
音の流れが スムーズにいかず、
響きも安定しない。

そして結果、
かえって 不自然な発音にきこえてしまっている…

というところを いよいよクリアしないと、

  歌わせへんぞ!的なレッスンが待っていて  

たいへんだったが、
しんどいながらも しんどさのなかにも
それをクリアしてゆく楽しさみたいなものもあって…


がんばれた。 


それからさらにまた 

  くちのむだな動きをしないで
  音の響きをもっと安定させる…

という、あらたな課題をあたえられ、
手鏡を持って 自分のくちの動きを確認しつつ歌った
前回のレッスン。

(これがまた大のニガテ!
 すぐにくちがパクパク動いてしまう。

 これも、
 すべての歌詞をきちんと、そうきこえるように
 正しく発音しなくちゃ と思うことからくる、弊害みたいなもの)


次回のレッスンでは 
すこしは ましになっているといいなーというところ…

だけど、まだあまりちゃんと練習できていない。

また、時間がせまって追いたてられる前に
やらなきゃ。


すこしでも、自分でイメージしている歌の雰囲気が
伝わるように 歌えるといいな 




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Gruss…”挨拶” または ”きみをしのぶ”

2009-06-05 | 歌のおけいこ



     ぼくがどこへ行き、どこを見ても
     野原や 森や 谷へと行くときも
     丘の上から畑を見下ろすときも
     山頂から空高く眺めわたすときも
     ぼくは君に 何千回も挨拶をおくる。


     ぼくの家の庭の中には
     美しい花が たくさん咲いている。

     それでたくさんの花冠を編み
     君への万感の想いを込め
     挨拶をその中に 編みこむ。


     でも それを君に手渡しはしない
     君は気高く美しすぎて
     君の前では しおれてしまうからだ。


     この至高の愛の想いを
     ぼくは 永遠に胸に秘めておく。



作曲。。。フェリックス・メンデルスゾーン

作詞。。。ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ



これが、今月末の発表会 Dein Dein Lied(だいだいリート)で
ぬっくさんと二重唱で歌う曲の訳詞。


この春から初夏にかけて出かけたいくつかのコンサートで、
この曲を ちがうふた組の二重唱で
聴かせていただくことができた。

ソプラノおふたりの女声ペアと、
テノール&バリトンの男声ペア。


女声ペアは さわやかですがすがしくて、
澄んだおふたりのハーモニーがすてきだったし、

男声ペアは あたたかみと幅がある感じで

どちらも いい味わいがあって
聴いていて幸せ でした。


独唱も 重唱も
歌い手によって、組み合わせによって
ひとの数だけ(組み合わせの数だけ)
ちがう味わいがある、歌 という生きもの。

歌われてこそ、歌は生きるんだな と感じる。

歌が生き生きと 生きてくるように、
歌わないとね。。。と思う。
なかなか できないけれど。


さて、この Gruss

愛するひとへのたいせつな想いを
くちにはせずに 永遠に胸に秘めておくんだ。。。

という、想いをうたった曲。


ぬっくさんとのハーモニーに、
歌詞の難しい箇所に、
わたしの歌うパートの 音の跳躍箇所に そのほか
いろいろ悩まされ、

レッスンのたびに何度もやり直し 歌わされつつ
ふたりの自主練習でも ああでもない、こうでもないと
くりかえし歌いつつ。。。


部分部分の課題がすこしずつクリアできてきて、
今度気になってくるのは 最後のフレーズが
なんとなくまとまりきらないところ。

曲としては あっさりめに静かに終わるのだが。。。


ふと、歌詞を考えたとき


  「この曲って、結局いちばん言いたいのは
   さいごの詩のところよねえ」

  「うん、永遠に…胸に秘めておくんだっていう想いよね」

  「歌詞をだいじにすることを意識して 歌ってみようか」


   ewig…永遠に

   bleibt…秘めて(とどめて)おく

   die Liebe ohne Gleichen…至高の愛の想い


とくに、最後にくりかえされるのは

   bleibt ewig im Herzen steh'n

   ぼくは 永遠に胸に秘めておく


というフレーズ。

最後は あっさりとまとまって終わるけれど、
いちばん歌いたいのは(言いたいのは)
ここやねん!

という気持ちで歌ってみたら

そうしたら、なんとなく。。。だが、
最後のフレーズのまとまりがみえてくるような気がしてきた。


で、なんとなく満足したら 

(なんとなく、ばっかり 


   「じゃあ、あとは師匠にきいてもらって直してもらうということで」

   「きょうは、このくらいにしといたろか」


ということになって、自主練習は終了。


たいがい、こんなノリである。


ぷち発表会では、本番第一弾のつもりで
師匠と お仲間さんの前で歌ってみたが、
あまりかたくならずに のびのび歌えた気がする。


発表会まで まだあと2回ほど、
ぬっくさんと合同でピアノつきレッスンを予定しているので、
もっとよくなるように できるかな。


師匠が 本番までにまにあわないような課題を(!)
出さなきゃいいけど??


でも、さらによくなるためなら。。。

それもまた 幸せなことか~ 




コメント (2)
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