さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

夏の終わりに

2014-09-08 | 父・母、家族のこと


父が亡くなった。

ちょうどひと月前の、8月8日。
暦はもう立秋。

わたしの目の前で、この世でさいごの息をして
その呼吸を止めた。
日付が8日に変わってまもない、
午前1時37分。

そっと酸素吸入のカニューレを外し、
酸素を止める。
もう、苦しがらない…

これまでのすべての苦痛から解放されて、
とてもきれいな顔でねむっていた。
73歳。

同世代のひとたちとくらべても
若々しく、
これまでは病気ひとつしたことのない元気なひとだった。

たぐい稀なる悪性の病にならずにいたなら、
いまでもピンピンしていたことだろう。

けれど、
病床についてはいても
住み慣れた自宅であればこその、
凝縮された濃密な時間にめぐまれ、
家族でその貴重なときを過ごし、
さいごまで見送ることができた。

父は、さいごのときまで父らしく
その生を全うしてくれた。

この世でもうあえないことはとてもさびしいが、
父の存在をいつも心に感じている。
亡くなってから、より大きなものとして。

もう自由になって、
いつどこででも一緒にいてくれているのだということを
父が旅立ってすぐから、
不思議なほど素直に信じられた。

最愛の父をうしなったら、
そのあとわたしは生きていけるのだろうか、
まして母は…

と、
もうずっと前から不安で心配でしかたのない毎日を
過ごしてきたのに、
こんな気持ちでいられることは
うれしい驚きだった。

父がいてくれて、
わたしたち家族は本当に幸せだった。
その父を、家で、家族で見送れたことも幸せだった。

いつか、わたしがこの世での寿命を終えて
父と再会できる日まで、
いつも父を心に抱いて 生きていこうと思う。

 



コメント (2)
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