A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記708 『東西文化の磁場』

2013-03-20 23:20:22 | 書物
タイトル:東西文化の磁場 : 日本近代の建築・デザイン・工芸における境界的作用史の研究
編著者:山野英嗣
装訂:伊藤滋章
発行:東京 : 国書刊行会
発行日:2013.3
形態:352p ; 22cm
内容:
東洋の文化と西洋の文化、両者の影響の下で生み出され、その拮抗の中で劇的な変貌を遂げてきた近代以後の日本文化。
形成のプロセスにはらまれる問題の再検討、内在する光と影の考察、ジャンルの枠を越えた相互作用の具体的解明を通し、これからのわれわれの文化の在り方を提示する、最先端の論考。
(本書帯より)

「まえがき」岩城見一

第1章 「建築」から見た境界的作用史
「祝祭を通じて受容される近代都市空間―大正大礼で変わる京都を例として」中川理
「上野伊三郎・リチの活動に見る『東西文化の磁場』」山野英嗣
「20世紀的彫刻から21世紀的庭へ―イサム・ノグチの反モダニズム的転向」新見隆

第2章 「デザイン」から見た境界的作用史
「京都高等工芸学校収蔵の日本美術資料―漆芸品を中心に」並木誠士
「明治初期における『美術工芸運動』の受容」藪亨
「ドイツ世紀転換期のデザインにおける日本と自然の言説をめぐる試論」池田祐子

第3章 「工芸」から見た境界的作用史
「芸術(日本画)と工芸(染織)の融合―明治期の京都」廣田孝
「近現代における染織文化財の価値形成―日本における国指定文化財と民間コレクションの動向を中心に」河上繁樹

第4章 ジャンル、国境を超えた境界的作用史
「モニスムスと生気論と生命中心主義―宮澤賢治/中原實/バウハウスにみる芸術と生命」前田富士男
「大正期日本における蓄音機の教育的利用の事例―雑誌『音楽と蓄音機』と日本教育蓄音機協會の場合」中川克志
「竹久夢二、超-、脱-境界的『画家(?)』―『夢二神話』のハイブリディズム」岩城見一

「あとがき」山野英嗣

頂いた日:2013年3月19日
 編著の方よりご恵贈いただいた1冊。どうもありがとうございます。

memorandum 118 どうしてだろうと

2013-03-19 22:43:18 | ことば
どうしてだろうと
おもうことがある

なんまん なんおくねん
こんなに すきとおる
ひのひかりの なかに いきてきて
こんなに すきとおる
くうきを すいつづけてきて
こんなに すきとおる
みずを のみつづけてきて

わたしたちは
そして わたしたちの することは
どうして
すきとおっては こないのだろうと…


(伊藤英治編『まど・みちお全詩集』理論社、2001.5、536-537頁。)

未読日記707 『京都の文化と市政』

2013-03-18 22:16:10 | 書物
タイトル:京都の文化と市政 : 守り、育て、創るための取組
編著:京都市文化政策史研究会
編集:梅林信彦、原智治
編集協力:株式会社シィー・ディー・アイ
発行:山代印刷株式会社出版部
定価:2,000円(税込)
形態:291p ; 21cm
内容:
 本書は、2010年11月から2011年9月にかけて、京都市が実施した「文化政策史講座」の記録集です。講座は、京都市文化芸術都市創生計画(2007年3月策定)の改定に当たり、過去の政策を見詰め直すものとして企画されました。交響楽団の創設、美術や芸能の振興、文化財保護など、分野ごとに、実際の施策に関わられた方々からお話を伺うことで、京都市の文化政策全体を展望するものとなっています。
 本書は、講座の内容をまとめたものですが、一自治体の事例にとどまらず、数々の示唆に富むものであると自負しております。本書が京都の文化政策の更なる深化に資するとともに、文化政策に携われる方々の参考資料として御活用いただければ幸いです。
(裏表紙テキストより)

「はじめに」京都市文化政策史研究会
序論「京都市文化行政の概観」平竹耕三

第1部:京都市の文化行政
「戦後京都の文化の礎―高山義三市長が築いたもの」清水武彦
「高山市政以後の文化政策―芸術祭典・京のころ」奥山侑ニ
「知られていない『きのう』と見えてこない『あす』のあいだで」富永茂樹
「対談:国際会館あの頃」湯浅叡子、天江喜七郎

第2部:芸術文化の振興
「文化団体懇話会から財団法人京都市芸術文化協会」中原昭哉
「伝統芸能の振興―薪能・市民狂言会・市民寄席」権藤芳一
「京都の美術と美術館」上平貢
「音楽文化の振興―京都市交響楽団と京都会館」二宮廣明
「鼎談:2000年代の京都」坂本公成、三浦基、横山佳世子

第3部:文化財の保護と活用
「文化財行政の曙と今後の課題」上田正昭
「京都の工芸―日本伝統工芸展の歩み」森口邦彦
「戦後 祇園祭の変遷」吉田孝次郎

終論「文化芸術都市・京都の未来」佐藤知久
「おわりに」吉澤健吉

資料
・京都市文化政策史年表
・京都市文化担当組織の変遷
・京都国際文化観光都市建設法
・世界文化自由都市宣言
・京都市芸術文化振興計画(抜粋)
・京都市芸術文化振興計画推進プログラム
  芸術文化の都づくりプラン(抜粋)
・京都文化芸術都市創生条例
・京都文化芸術都市創生計画(抜粋)
・京都文化芸術都市創生計画(改定版)(抜粋)
・「京都市の文化芸術に係るアンケート調査」の結果
・文化芸術関連データ集

購入日:2013年3月16日
購入店:京都芸術センター
購入理由:
 京都の文化政策についての参考資料として購入。巻末の京都市文化政策史年表が充実した出来ですばらしい。

未読日記706 『HANARART 2012』

2013-03-17 21:58:42 | 書物
タイトル:HANARART 2012
編著者・発行:奈良・町家の芸術祭 HANARART実行委員会
編集:小林征子、藤原日和子、松本珠貴
デザイン、アートディレクター:野村ヨシノリ(NARA ART PROM
デザイン・アドバイザー:三原賢治(amanojack design
写真:長谷川朋也、おおくぼおさむ、他
発行日:2013.2
形態:117p ; 25.7cm
内容:
はじめに
HANARART こあ
 五條新町
 御所市名柄
 郡山城下町
 田原本寺内町
 八木札の辻
 三輪
HANARART もあ
EVENTS
HANARART 2012 クロージングシンポジウム
HANARART こあキュレーター・出展作家 index

頂いた日:2013年3月16日
 発行者より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
昨年、キュレーターとして参加した「HANARART 2012」の図録。事務局の方には大変お世話になりました。第1回目はドキュメントブックだったが、2012年度は図録として制作され、全会場の作品写真、会場写真、キュレーターテキストを収録した充実の内容。これだけボリュームがあるイベントを1冊にをまとめた労力に頭が下がります。
 本書は、2013年のHANARART会場で販売されるとのこと。お見かけした際はぜひご覧ください。

memorandum 117 人ではない!

2013-03-16 23:16:21 | ことば
持っている手をはなすと コップは落ちる
そうして教えてくれるのは 人ではない

落ちたコップは いくつにか割れる
そうして教えてくれるのは 人ではない

コップの中の水は とびちる
そうして教えてくれるのは 人ではない

とびちった水は やがて蒸発する
そうして教えてくれるのは 人ではない

この世のはじめから そうしていちいち
教え続けてくれているのは 人ではない

ああ 人ではない! つきない不思議を
えいえんに 教え続けてくれるのは


(伊藤英治編『まど・みちお全詩集』理論社、2001.5、433頁。)

未読日記705 『交差する表現』

2013-03-15 22:26:44 | 書物
タイトル:交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術 開館50周年記念特別展
タイトル別名:CROSS SECTIONS: Chronicle@MoMAK 1963-2013
編集・発行:京都国立近代美術館
ブックデザイン:西岡勉
発行:2013.3
形態:239p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
   開館50周年記念特別展「交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術」
   2013年3月16日―5月6日
   京都国立近代美術館
内容:
「回想―創設当時の京都国立近代美術館 乾由明氏に聞く」聞き手・構成:中尾優衣、牧口千夏

あいさつ
【第Ⅰ部】〈工芸〉表現の一断面
「『交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術』〈工芸〉表現の一断面から見たその諸相」山野英嗣
[図版]
 1 博覧会の時代 岡崎の地で開催、第4回内国勧業博覧会(1895年)の残影
 2 伝統と対峙して 京都の動向を中心に
 3 「表現」の多様性 工芸と版画
 4 生活への浸透 デザイン意識の芽生え
 5 新たな「表現」の模索 「前衛」表現への意識
 6 東西文化の交流 上野リチの創作活動
作品リスト

【第Ⅱ部】『視る』再録
〈再録1〉初期の美術館活動とその方針
〈再録2〉京都国立近代美術館と〈工芸〉
〈再録3〉美術館を建てる、1986年の事例
展覧会一覧 1963-2013

頂いた日:2013年3月15日
 職場にて頂いた1冊。


memorandum 116 橋

2013-03-14 23:25:02 | ことば
川は空を見あげて 流れています
空はひろいなあ と思って流れています
川は空を流れたくて 流れています

橋を渡るときに わたしたちの体が
なんとなく
すきとおってくるような気がするのは
きっと わたしたちが
川の憧れの中を 通るからでしょうね

そして 川の憧れの中には
昔の人たちの憧れも
まじっているからでしょうね

川のあちらがわへ 渡りたいなあ
どうしても 渡りたいなあ と考えて
とうとう橋をかけてしまった
昔の人たちの憧れも


(伊藤英治編『まど・みちお全詩集』理論社、2001.5、427-428頁。)

未読日記704 『陰翳礼讃』

2013-03-13 23:07:44 | 書物
タイトル:陰翳礼讃 (中公文庫)
著者:谷崎潤一郎
カバー画:司修
発行:中央公論社
発行日:1992.8第22版(1975.10初版)
形態:169p ; 15.2cm
内容:
人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。(本文より)
――西洋との本質的な相違に目を配り、かげや隅の内に日本的な美の本質を見る。
 目次
 陰翳礼讃
 懶惰の説
 恋愛及び色情
 客ぎらい
 旅のいろいろ
 厠のいろいろ
(カバー裏解説より)
解説 吉行淳之介

購入日:2013年3月13日
購入店:YUY BOOKS
購入理由:
 先に買った中公クラシックス版とは内容に相違があるようなので、念のため文庫版と比較したいと思っていたところ、たまたま常連の本屋で見つけて購入。


memorandum 115 けしゴム

2013-03-11 23:32:27 | ことば
自分が 書きちがえたのでもないが
いそいそと けす

自分が書いた ウソでもないが
いそいそと けす

自分がよごした よごれでもないが
いそいそと けす

そして けすたびに
けっきょく 自分がちびていって
きえて なくなってしまう
いそいそと いそいそと

正しいと 思ったことだけを
ほんとうと 思ったことだけを
美しいと 思ったことだけを
自分のかわりのように のこしておいて


(伊藤英治編『まど・みちお全詩集』理論社、2001.5、420頁。)

Collection 22 《a cup of coffee》

2013-03-10 23:10:01 | 美術
品名:a cup of coffee
主成分:コーヒー粉末、合成樹脂(色部)
アーティスト:吉行良平と仕事

購入日:2013年3月9日
購入店:see-saw
購入理由:
 「henachoco mobile shop」で購入した一品(逸品!)。いつも機知に富んだグッズとの出会いを与えてくれたshopへなちょこが昨年末に閉店し、とてつもなく残念だったが今年からは各地でモバイルショップとして展開していくそう。その第1回目が本展である。
 今回出会ったのは、デザイナー吉行良平氏による「a cup of coffee」。コーヒーをつくった後の粉でできた器である。聞いたところでは、消臭効果があるコーヒーの粉を陶器のように2度焼きし、ひとつひとつ手作業で制作しているのだとか。素材の特性上、水洗いはできないという点では器として欠点だが、デザインとしては素材感を生かしておりすばらしい。その色合いとフラジャイルな性質にやられた。
 そして、器がコーヒーフィルターに入っているという心憎いデザインセンスに脱帽。ホームページで見たほかのデザインもおもしろすぎ、楽し過ぎ。久しぶりに高揚した。