A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1155 『第三の意味』

2016-03-23 23:15:15 | 書物
タイトル:第三の意味―映像と演劇と音楽と
タイトル別名:L'obvie et l'obtus (Extrait)
著者:ロラン・バルト
訳者:沢崎浩平
発行:東京 : みすず書房
発行日:2004.6新装版第2刷(1998.10新装版第1刷)
形態:295p, 図版1枚 ; 20cm
内容:
「第三の意味」とは? そこには《第三の男》のような曖昧さがあり、深い謎につつまれている。おそらく意味論の学者たちその客観性を疑うかもしれない。しかしこれは《読む冒険》によって発見される新しい地平なのだ。表層のテクストやフィルムの下に潜むもう一つ別のそれを指すのである。それは水平的なストーリーを中断させ、言語活動の法則を打ちくだくカーニヴァル(バフチン)、またテクストの面をつきくずす《垂直の力》(クリステヴァ)である。
 著者は『イワン雷帝』や『戦艦ポチョムキン』のフォトグラム(スティル写真)を吟味し、この「第三の意味」を探り出す。精細な注視とシャープな分析はバルト読者にとって魅力に充ちたものである。本書にはそのほか、写真・映画・演劇・音楽に関する15篇を収め、これらの文章は60年代から70年代の全期にわたっている。バルトにとっては〈記号学〉から〈テクスト性・道徳性〉への転位の時代であった。本書所収のエッセーはバルトの内面的進化を具体的に跡づける貴重な道標である。

目次

写真のメッセージ
映像の修辞学

映画における意味作用の問題
映画における“外傷的単位”
第三の意味
映画館から出て

ギリシャ演劇
ディドロ、ブレヒト、エイゼンシュテイン

聴くこと
ムシカ・プラクティカ
声のきめ
音楽、声、言語
ロマン派の歌
シューマンを愛する
ラッシュ

原註
訳註
訳者あとがき

購入日:2016年3月23日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 林葵衣展「水の発音」レビューテキストのための参考文献として購入。
 本書を知ったのは、河合隼雄・鷲田清一の対談本『臨床とことば―心理学と哲学のあわいに探る臨床の知』(TBSブリタニカ、2003年)に所収の鷲田清一氏の論考だった気がする。本書の声に関する一文が引用されており、興味を魅かれたのであった。本書に所収の映像系の論考はキュレーションする展覧会「High-light scene」の参考になりそうだと期待。


最新の画像もっと見る

post a comment