A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記518 「広告の誕生」

2011-06-20 23:06:56 | 書物
タイトル:広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (岩波現代文庫)
著者:北田暁大
発行:岩波書店
発行日:2008年12月16日
定価:1000円+税
内容:
広告とは何か。存在としての緩さ、過剰な言説との不均衡を解明
(帯より)
近代日本のメディア・消費文化にとって、広告が果たした役割とは何か。広告とは、いかに「意味の媒体」であり続けたのか。存在としての緩さ、過剰な言説との不均衡を解明しつつ、1920年代から現代に至る時代空間の中で、広告の変容を考察する。俊英による刺激的な力作論考。(解説 遠藤知巳)
(カバー見返し解説より)

凡例
序章 問題と方法
 1 広告のある風景――消費社会のイメージ装置
 2 広告の存在論――ベンヤミンから
 3 方法をめぐって――広告コードと受け手の身体性
第1章 孤立する広告
 第1節 見世物のなかの/としての「広告」
  1 「文芸」と「広告」――戯作の読書空間と「広告」
  2 遊動空間のなかの「広告」――現前性(presentation)の表象空間
 第2節 広告の誕生
  1 広告の萌芽――《舞台》としての新聞
  2 《香具師的なるもの》の回帰――売薬広告をめぐって
  3 言説の逡巡――売薬広告とそのメタ言説
第2章 散逸する広告
 第1節 広告の美学化
  1 《三越的なるもの》とポスター――啓蒙のメディアとしての美人画ポスター――
  2 文化としてのテクノロジー――石版ポスターの表象空間
  3 「趣味」の涵養――初期ポスターの受容空間
 第2節 広告の工学化――工学の所産としてのポスター
  1 刺激としてのポスター――ポスターの媒体性への注視
  2 刺激の工学――商業美術(家)のアイデンティティ
 第3節 散逸する広告空間
第3章 融解する広告
 第1節 流動する《舞台》
  1 《舞台》の粉飾――《私的な遊動空間》の構築
  2 踊る広告――広告の「散逸」と「融解」
 第2節 〈欲望〉する女性と広告
  1 受け手としての女性――〈注意散漫〉な身体
  2 読み手/買い手としての女性――レスペクタビリティと逸脱性の〈あいだ〉
  3 〈欲望〉する女性と消費――消費社会の虚焦点
 第3節 融解する広告空間
終章 遊歩の弁証法

あとがき
岩波現代文庫版あとがき
解説 遠藤知巳
索引
(目次より)

購入日:2011年6月19日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 大正時代の観光鳥瞰図を調査している中で、鳥瞰図の制作に印刷技術の変遷が影響していることがわかってきた。そこで、同時代の広告について書かれた本書が参考になるかもしれないと思い、図書館で借りて読んだみた。読み始めると、なかなか刺激的でおもしろかったので購入することにした。
 私にとっては、第2章がとくに参考になった。鳥瞰図を挿絵=広告(ポスター)と捉えると、議論の参考になるかもしれない。余談だが、浮世絵とポスターは、始まりが美人画という点で共通している。浮世絵が現代のブロマイドや写真だとすれば、昔から人々は女性のアイコンを欲したということか。



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