A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1287 『千利休―無言の前衛』

2017-03-13 23:00:01 | 書物
タイトル:千利休―無言の前衛 (岩波新書)
シリーズ名:岩波新書, 新赤版 104
著者:赤瀬川原平
発行:東京 : 岩波書店
発行日:1998.4第20刷(1990.1第1刷)
形態:vi, 246p ; 18cm
注記:参考文献: p245-246
内容:
利休の創出した佗び・寂びとはどのような世界なのか。冗舌な権力者・秀吉との確執の中から無言の芸術・縮む芸術を考案し、斬新な発想と柔軟な感性で桃山時代を前衛的に生きた芸術家—映画「利休」のシナリオ執筆を契機に、その精神性を現代の諸相の中に浮上させる。ジャンルを超えて活躍する著者が日本文化の秘奥に挑む超エッセイ。

目次

序 お茶の入り口
1 楕円の茶室
 一 利休へのルート
 二 縮小の芸術
 三 楕円の茶室
2 利休の足跡
 一 堺から韓国へ
 二 両班村から京都へ
3 利休の沈黙
 一 お茶の心
 二 利休の沈黙
 三 「私が死ぬと茶は廃れる」
結び 他力の思想
あとがき
参考文献

購入日:2017年3月11日
購入店:BOOKOFF 京都三条駅ビル店
購入理由:
 京都芸術センター通信のレビューで、先日みたボーダレス・アートミュージアムNO-MAの「大いなる日常」展を書こうと思い、参考文献として購入。
アール・ブリュットを含んだ現代美術の展覧会になぜ本書なのかと思われるかもしれないが、「大いなる日常」展のアール・ブリュットやAI、他者との協働によって生まれた作品が、赤瀬川原平の「超芸術トマソン」の日常の発見に似ていると思ったのである。どちらも他の生命、日常や都市を「発見」することで生まれた超日常=超芸術なのではないか。
 本書は赤瀬川原平氏の著書の中でも屈指の名著である。学生時代に読んだことがあるかもしれないが、いま読むと先見性に驚き、さまざまな連想・思考へと誘われる。すばらしい本は、アイデアの宝庫である。さらに、本書は赤瀬川氏の他の本よりも透徹した文体が美しい。千利休、茶道、ひいては芸術の概念を刷新する本である。