A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記スピン:「わたし」しおり

2009-09-08 22:53:23 | 書物
タイトル:「わたし」しおり
アーティスト名:今村源
素材:paper, string
サイズ:h: 21, w: 5 cm
制作年:2009年
価格:100円
購入日:2009年8月22日
購入店:Gallery Nomart
購入理由:
大阪のGallery Nomartにて開催された<今村源展―わたしにキク>(2009年7月21日―8月23日)において販売されていたしおり作品を購入。
ちょうどしおりを探し求めていたところだったので、よいタイミングであった。しかし、ややデカいしおりではあるが・・。

ギャラリーノマルでは不思議なことがあった。ギャラリーに入る際に、ドアを3㎝ほど開けたところでギャラリーの人からこう言われたのだ。

「あ!開けないでください!」

今まで何百何千とギャラリーに入って来たが、入るのを断られたのは初めてである。しかし、少し待つと「どうぞ」の声がする。おそるおそる入ってみると、納得がいった。ドアの少し上から針金線が向かい側の壁までひかれ、その端から端までを弥次郎べえのごとくゆっくり移動している「ヨドミノわたし」(2009)という作品があったのである。つまり、先ほど私がドアを開ける際に開けないでくださいと言われたのは、偶然にしてこの「ヨドミノわたし」がドアを蹴って、反対側の壁へと進もうとしている蹴り上げの瞬間だったのである(なお、当初はドアより上の壁にあたり、その壁を蹴って反対側へと向かうようだったが、会期終了頃になると電池の電量が尽きはじめたのか、疲れてきたのか段々に下に下がり始め、ドアの上部あたりを蹴り上げるようになったそうである)。
小さな小さな偶然が起こり、ギャラリーの方も驚かれていたが、こちらも当初の意味不明な出来事の全容が解明し、安心したと同時に、おそらく会期中唯一「ヨドミノわたし」と接触事故を起こしそうになった珍客として記憶されるのは微妙なものだと感じた経験であった(ちなみに、この「ヨドミノわたし」はsoldoutしており、もし私が接触事故を起こして、破壊してしまっていたらと想像すると寒気がする。その意味で、ギャラリーの方の咄嗟の入場ストップの掛け声は適切だった)。

それはさておき、今村作品をしおりとはいえ、100円で購入できるのはいいものである。しおりはオレンジと緑の2種類があったが、オレンジ色の傘を広げている「ウラにはイル」(2009)というキノコ状の作品が印象深く、オレンジのしおりを購入した。しかし、買った後に緑も捨てがたかったと後悔する。というより、100円と安いのだから、両色買っておけばよかったと思う。

ちなみに、スピンとは書籍の上部に付けられているヒモ状のしおり紐のことである(という)。「未読」なのにしおりを挟むのも変なものだが、読めないものなので、今回はあえて連番ではなく「スピン」とした。