A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記295 「Gallery SOWAKA 1992-2006」

2009-07-15 22:11:35 | 書物
タイトル:Gallery SOWAKA 1992-2006
編集:山本知歩
デザイン:細谷衣美
対談撮影:梅田彩華・山口和也
対談編集:岩淵拓郎(メディアピクニック)
印刷:西胡堂印刷株式会社
製本:株式会社修明社製本所
協力:草木貴照
p1リトグラフ:川部優子
発行:sowaka
発行日:2007年6月1日
定価:\2,500
内容:
ギャラリーそわかのドキュメントブック
主に、若手の現代美術作家の展覧会を行ってきたギャラリーそわかが2006年に幕を閉じた。ゆかりある作家のピックアップ、オーナーとスタッフとの対談などを収録。14年間歩んだそわかの道のりを通して、その時代の京都のアートシーンが見えてくる。

「始まりのとき、終わりのとき」平田賀津子(ギャラリーそわか)
「「ギャラリーそわか」その誕生まで」本郷重彦(造形作家)
「pick up artists by sowaka」
岩野勝人、大倉侍郎、かなもりゆうこ、清水克久、戸矢崎満雄、谷本天志、鈴鹿芳康、国谷隆志、英裕(英ゆう)、藤原みどり、本郷重彦、S+N、森太三、池田朗子、田尻麻里子
「スタッフ対談」
中西美穂、鎌田高美
「pick up artists by sowaka」
本田健、法貫信也、満江英典、森泰之、割石ヒロミ、杉原秀樹、藤岡秀夫、アニアス・ワイルダー、中西信洋、名和晃平、北城貴子、カワイオカムラ、室千草、矢部奈桜子、井上信太
「スタッフ対談」
坂本佳代、佐藤哲寛
「ギャラリーそわかという特別な存在」篠原誠司(Gallery ART SPACE)
「Drawings Xにむかって」谷本天志
「そわか 創造を触発する空間」深萱真穂(京都新聞社丹波総局記者)
「ギャラリーの役割 京都のアートシーンについて」小吹隆文(美術ライター)
「14年をふりかえって」平田賀津子
別冊 ギャラリーそわかの歩み

購入日:2009年6月24日
購入店:Calo Bookshop & Cafe
購入理由:
 とある理由でsowakaの前身であるギャラリーそわかについて調べたいと思い、いろいろ調べていたら大阪にあるオサレなブックショップ&カフェCaloのウェブサイトで、メールオーダー販売をしていて購入。注文したらものすごいスピードで届いてびっくりした。対応がすばらしい書店である(当のsowakaで注文してもこんなに早くは来なかったかもしれない)。ちなみに、本書は一般書店、美術系書店(例えば、ナディッフ)でも販売しておらず、あろうことか美術館のライブラリー、図書室にも置いておらず、本書の入手自体がかなり貴重。
 加えて本の内容がすばらしい。奇しくも同姓のオーナー平田賀津子さんが書く文章は、一文字一文字が美術やギャラリーへの愛情に満ち溢れていて、読後胸がつまる。こんなに飾らず素直で美しい日本語で書かれたギャラリーオーナーの文章はないと言いたくなる。「pick up artists by sowaka」で取り上げられている作家のほとんどが平田オーナーへの感謝や思いを綴っているのもうなづける。残念ながら私は「ギャラリーそわか」に行くことは叶わなかったが、現在は「sowaka」として2008年よりリニューアルオープンしている。オーナーの平田賀津子さんも健在である。過日行われた「北城貴子展」もすばらしい展示であったことを付け加えておこう。

 先のギャラリーαMといい、ギャラリーの歴史を知るとギャラリーというものが生き物に見えてきておもしろい。その活動の変遷は何かが作られていく過程でもあり、スリリングだ。また、現代ではコマーシャルギャラリーが中心になりつつあり、レンタル兼企画画廊の存在は軽視されがちだが、特に京都アートシーンでは個性的なオーナーが多く(なぜか女性が多い)、ギャラリーの個性が際立っている。こういった記録集も個性的なオーナーがいるからこそできるのだろう。ぜひ、他のギャラリーも閉廊時などと言わず作ってほしいものである。それはひとつのギャラリーの記録というより時代の記録でもあるのだから。