A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 017

2007-11-30 23:27:04 | ことば
あけがたから自分にこういいきかせておくがよい。うるさがたや、恩知らずや、横柄な奴や、裏切者や、やきもち屋や、人づきの悪い者に私は出くわすことだろう。この連中にこういう欠点があるのは、すべて彼らが善とはなんであり、悪とはなんであるかを知らないところから来るのだ。しかし私は善というものの本性は美しく、悪というものの本性は醜いことを悟り、悪いことをする者自身も天性私と同胞であること―それはなにも同じ血や種をわけているというわけではなく、叡智と一片の神性を共有しているということを悟ったのだから、彼らのうち誰一人私を損ないうる者はない。というのは誰ひとり私を恥ずべきことにまき込む力はないのである。また私は同胞にたいして怒ることもできず、憎む事もできない。なぜなら私たちは協力するために生まれついたのであって、たとえば両足や、両眼瞼や上下の歯列の場合と同様である。それゆえに互いに邪魔し合うのは自然に反することである。そして人にたいして腹を立てたり毛嫌いしたりするのはとりもなおさず互いに邪魔し合うことなのである。
(p.24 「自省録」マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子訳、岩波書店/岩波文庫1956.10)