「「かりにわたしが生きている間たえず自分の意識の中で、わたしとはいったい何かと、自分に問うとしたら、「考え、感じている何か、つまり、まったく自分独自の方法でこの世界に応対しているもの」と答えるだろう。わたしが自分の自我として意識するのはそれだけであり、それ以外には何もない。いつどこでわたしが生れたか、いつどこで、現在考えたり感じたりしているように、考えたり感じたりしはじめたのか、などということについて、わたしはまるきり何一つ意識していない。意識がわたしに告げるのはただ、わたしは存在している、わたしは現在おかれているような世界との関係で存在している、ということだけだ。」
(p.162 「人生論」トルストイ 新潮社/新潮文庫、2006年2月刊62刷)
(p.162 「人生論」トルストイ 新潮社/新潮文庫、2006年2月刊62刷)