我輩は凛太郎である/そしてその母紗夢猫(しゃむねこ)である+ワン!
凛太郎♂(15歳)ミニチュアダックスとハク♂(10歳)和犬雑種+その飼い主ニンゲンの皮を被ったネコ婆♀が繰り広げる日常




 凛太郎の災難を作った母である。じーちゃんの家での凛太郎はそれは面白かった。
 子ニャンに追いかけられるだけで、キャインと鳴き、とっとこ逃げる。何もされていないのにだ。これだけで笑える。それにしてもたいした子ニャンだ。自分より数倍大きいワンを追いかけるのだから。それもまた笑える。この子ニャン、普段はワンと一緒に寝ているそうだ。
 子ニャンの名はミケ。じーちゃんの家のワンはみな洋風の名前だけど、ネコはなんとも和風というか、古典的というか。それも私には面白かった。片手にミケを抱き、もう一方の手で抱いた凛太郎の鼻先に持って行くと身をそらして怖がる。それもまた面白い。なんとも悪い母親だ。
 実父のベルは発情が抑えられず、つぶらな瞳をきらきらさせ、凛太郎に両手をかけ、とても嬉しそうにへこへことマウンティング。凛太郎は子ニャンから目を離すことができず、しっかと子ニャンを見つめ、崩れお座りの格好でされるがまま。
 こうして災難な1日は過ぎた。帰路の車の中ではもうぐったりの様子。「寝ててええで」と言うも、顔だけはあげて、なんとか起きていようとけな気な努力も数分。優しく頭を撫ぜてやったら、お許しが出たとばかりに眠りに入ったようだ。
 けれども、母が車を止めると、そこは美味しいものがあると知っているかのように起きだし、ボクも一緒におろせと鳴く。これはいつものことなのだが「留守番!」と言って、母はコンビニで用を足し、この日は時間が遅くなったので、弁当とラーメンを買い、車の中で夕食。弁当ひとつ買うにも、凛太郎が食べられるモノが入っているかと気をつかう母でもある。一緒に夕食を済ませ、一路青山に向かった。
 帰宅後、気の毒な凛太郎をベッドに連れて行き「先に寝ててええしな」と声をかけたら、そのまま寝た。よほど疲れていたのだろう。さて、この優しさが、、、。
 
 翌日から、私は仕事をしたくてもできない状況だったので、神様がくれたお休みだとあきらめることにし、ジリ貧気分は捨てられないものの、まとまったお休みはラッキーと思い、掃除や庭の草抜き、畑仕事と忙しく過ごした。
 日中はそれなりにワンの勤めをはたす凛太郎だったが、夜になるといつもは遊べとせがむのだけど、夕食を食終わったら何をしたか。
 それはそれは美しいお座りをし、頭を上げ、私を見つめていた。その姿に私が気がつくと、まるでお先に失礼しますと言うような風情を見せた後、とっとと寝室に入ってしまった。見にくとドテーっと長くなってベッドの上で寝ていた。
 今までは、母の許しがないと上がってはいけないと思っていたのか、自分でも飛び乗れるのに、必ず上げてくれとせがみ、抱いて乗せてやっていたのにだ。そして、それは毎日続くようになった。

 あの優しさが仇となったか、、、。


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 じいちゃんの家では、とんだ災難にあった。けれど災難はそれだけではなかった。明くる日からかあちゃんがずっと家にいたのだ。
 配達のパートをしている仕事先で、かあちゃんが乗る車がなくなったそうだ。それでお休みになったらしい。ボクはかあちゃんと一緒なのは嬉しいが、はっきり言って1日中、かあちゃんが家にいるととっても疲れるんだ。災難というのはこのことなんだ。
 いつもならかあちゃんがお仕事で留守番をしている間、ボクはすることもなくサークルの中で、ずっと寝ている。ところがかあちゃんが家にいると、ボクの本能はかあちゃんの傍にいることを選ぶ。家にいるかあちゃんは何かしているから、かあちゃんの行く先々にボクはついて行く。
 かあちゃんが石垣の草抜きを始めれば、石垣の内側の塀の中でずっと待っている。畑に行けば、畑に一番近い塀の傍で待っている。ボクってなんてけな気ななんだろう。ね、そう思わない?
 かあちゃんは「凛太郎、おうちの中で待ってて、寝ててええさかい」と言ってくれるけど、忠実なボクとしてはそんなことはできない。とはいえ、じいちゃんちのハードな災難でヘトヘトだったボクは、翌日は不覚にもかあちゃんが庭仕事をしている傍で眠りこけてしまった。翌日は汚名挽回と待機の姿勢でがんばった。
 しかし、三日目にもなると、疲れがたまって、、、。ボクはかあちゃんの言葉に従って、少しは家の中で休憩もしたけれど、やっぱり気になるので、何か物音がすると庭に出てかあちゃんの安否を確かめる。その上電話が鳴ったら、かあちゃんに知らせる役目もある。これは鳴き声を変えるから、かあちゃんは電話がなっていると察してくれて飛んで帰ってくる。でもかあちゃんが受話器を取る寸前に電話の音は止まる。ま、いろいろとボクも忙しいんだ。
 こういう日々が5日続いた。ボクはもうヘトヘト。6日目、やっとかあちゃんは仕事に行った。7日目も行ってくれたので、やっとボクの日常が戻ってきたと喜んでいたのに、その次の日からまた家にいる。嗚呼。
 世間では「亭主元気で留守がいい」というコトバがあるそうだけど、ボクは「かあちゃん仕事で留守がいい」。
 さっき、会社から電話があったみたいだ。「凛太郎、車戻ってくるんやて。明後日から、またかあちゃんお仕事行くしな」と言っていた。今度こそホントにボクの日常が戻ってくる。ほっ。
 そうだ、ひょっとしたら、災難はボクだけでなく、仕事がなかったかあちゃんも災難だったかもしれない。そういえば、最初はなんか暗かった。けど「毎日お休みで嬉しいなぁ。凛太郎、一緒にいられてええやろ。ラッキー」と脳天気なことを言い出して、明るくなった。
 ボクはそういう脳天気なかあちゃんがわりと好きなんだ。


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 昨日、ボクはかあちゃんと一緒にじーちゃんの家に行った。かあちゃんがじーちゃんに按摩をしてもらっている間、ボクはいつもじーちゃんの家で待っているのだ。
 いつものように、かあちゃんがじーちゃんの奥さんにボクを預けた。そこにはベルパパ、ティアラママ、マロン姉さんがいる。でも、今日はボクが見たことのない生き物がいた。
 小さくて、フワフワしていて動いている。かあちゃんは早速それを抱いて「わー、かわいい」とでれでれとしていた。
 「ボクは知らないぞ、そんな生き物」と怖々かあちゃんに抱かれたそれを見ている。
 「凛、かわいいやろ、ネコやで」とボクの鼻先に近づけてきた。
 「えっ それがネコ?」ボクの身体は一瞬に緊張。そして飛びのいた。
 
 ボクは、大きなネコは家でも見ているし、ボクの庭に侵入しようとしたらいつも吠えて追い払っている。でも、かあちゃんには内緒だけど、一度だけネコに飛びかかられて、あやうく逃げたことがあった。その時ボクはキャウインと言ってしまい「かあちゃんが家の中から凛太郎どうしたん?」と言って出てきた。その時、ネコは早々に立ち去っていたので、ボクの情けない姿をかあちゃんに見られることはなかった。
 ネコは飛ぶし、ボクより大きいし足が長いし、実はちょっとコワイんだ。でもこんなネコは初めて見る。それ、ホントにネコ?かあちゃんの手のひらに乗っているのに、ネコ?動いているし飛ぶし。
 ボクの心は戦々恐々。なのに!かあちゃんは行ってしまった。

 ボクの朝ご飯は子ニャンに盗られた。ボクは怖くて近づけない。そんなボクにパパワンが後ろから襲ってくる。マウンティングばかりしかけてくる。
 やがてかあちゃんが帰ってきた。かあちゃんに奥さんが言っている「ティアラの生理が終わったとこで」。かあちゃんが言っている「ベル発情してるの?」。
 パパワンはめちゃくちゃしつこい。ボクもしつこいとかあちゃんによく言われるけれど、パパ似だったんだ。それはともかく、ボクは子ニャンから目が離せない。だからパパワンのマウンティングから逃げたいけど、目の前のネコが怖いからされるがまま。子ニャンがいつこちらにやってくるかわからない。ついに来た。もうボクはプライドを捨てた。キャウインと叫ぶや逃げた。それを見たニンゲンたちが笑っているけど、ボクにはもうどうでもいい。コワイコワイコワイ。
 子ニャンから逃げ終えたらパパワンがマウンティング。
 「ボク息子なのに!」とうとうパパワンはボクの背中に射精。「ほんまにもう!!!」
 この日、ボクは前門の虎(こ)ニャン「肛門」の狼パパで災難日だった。
 
 かあちゃんの車に乗るやダウン。あ~疲れた!!!


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